「管理計画認定を検討したいけれど、何十ページもある管理規約のどこを見ればよいのか分からない」。理事長や理事として制度を調べ始めると、長期修繕計画や修繕積立金、総会、名簿と確認事項が次々に出てくるため、肝心の「まず規約のどこを見るのか」が見えにくくなることがあります。
現行基準で管理規約を一次確認するなら、最初に見るポイントは大きく4つです。管理規約そのもの、専有部分への立入り、修繕等の履歴情報、財務・管理情報の提供を順番に確認します。地方公共団体への申請日が2027年4月1日以降になる場合は管理規約の確認範囲が9項目へ広がるため、まず現行の4ポイントを押さえ、その後に申請時期に応じて確認を広げると整理しやすいでしょう。
管理計画認定では管理規約も審査対象になる
管理計画認定を検討し始めたら、制度全体の資料を読み込む前に、まず手元の管理規約で次の4ポイントを探してみてください。この記事の中心になる確認事項です。
| 一次チェック項目 | 現行基準で確認する内容 | 管理規約で探したい言葉 |
|---|---|---|
| 管理規約の作成 | 現在有効な管理規約を確認できるか | 管理規約・規約改正・附則 |
| 専有部分への立入り | 災害等の緊急時や管理上必要な場合の立入り規定があるか | 立入り・専有部分・災害・事故 |
| 修繕等の履歴情報 | 修繕等の履歴情報を整理し管理する規定があるか | 修繕・履歴情報・整理・管理 |
| 財務・管理情報の提供 | 書面交付または電磁的方法による情報提供の規定があるか | 財務・交付・提供・電磁的方法 |
国土交通省の一般向けマンション管理・再生ポータルサイトでは、現行の認定基準を16項目として整理し、管理規約については「管理規約の作成」「緊急時等における専有部分への立入りと修繕等の履歴情報の保管」「財務・管理情報の提供」という3項目を掲げています。2番目の認定項目に立入りと修繕履歴が一緒に含まれているため、実際の規約を確認するときには4つへ分けたほうが使いやすいでしょう。
なお、事務ガイドラインでは地方公共団体のマンション管理適正化指針に関する項目まで含めて17項目として整理されています。一般向け資料の16項目と数字が異なるため、「どちらが正しいのだろう」と戸惑うかもしれませんが、数え方の違いによるものです。この記事では、読者が実際の管理規約を確認することを優先し、数字そのものは深追いしません。
管理計画認定について初めて調べると、「修繕積立金が十分なら、それで管理状態は判断できるのでは」と考えることもあります。大規模修繕の資金は金額として目に見えるため、理事会でも問題意識を持ちやすいからです。
しかし、建物を長く管理するには資金だけでは足りません。漏水や事故が起きたときに誰がどこまで対応できるのか、過去の修繕記録を次の理事へどう残すのか、財務や管理状況を必要な人へどう説明するのかというルールも必要になります。
その土台が管理規約です。
普段は書棚にしまったままでも、問題が起きると「規約ではどうなっているのか」と急に開くことになります。管理計画認定をきっかけに規約を読み直す作業には、認定審査への対応だけでなく、現在の管理ルールと実際の運営にずれがないかを見直す意味もあるでしょう。
自治体独自基準も忘れずに確認する
国の認定基準だけを満たせば、全国どこでも同じ条件で認定されるとは限りません。
国土交通省は、地方公共団体が独自の認定基準を設けている場合があるため、独自基準の有無を申請先へ確認するよう案内しています。
規約改正や資料整理を終えてから自治体独自基準に気づけば、「ここまで準備したのに、また確認が必要なのか」と負担を感じやすくなります。そのため、国の基準を確認するのと同じ時期に、所在地の自治体ホームページも開いておくと手戻りを減らせます。
管理規約で確認したい現行の認定要件
現行制度で管理規約を確認するときに大切なのは、標準管理規約と同じ条番号を探すことではありません。
見るべきなのは、認定基準が求めている機能が自分たちの管理規約に備わっているかです。
管理規約が作成されているか
最初に確認するのは管理規約そのものです。
「管理規約なら一冊あります」と思っていても、それが現在有効な全文とは限りません。築年数の長いマンションでは、分譲時の原始規約が残り、その後の変更部分だけが新旧対照表や総会議事録として別に保管されていることがあります。
すると、認定基準との比較以前に「この条文は今も有効なのだろうか」という問題が起こります。
そこで最初に確認したいのは、過去の改正内容まで反映した現在有効な規約全文を一つの文書として確認できるかです。
現行の認定基準では管理規約が作成されていることが求められますが、管理規約全体をマンション標準管理規約と一字一句同じ文章にすることまで求めるものではありません。
国土交通省はマンション標準管理規約を、各マンションが管理規約を作成または改正するときに使うひな型として公表しています。2026年8月30日時点では2025年10月17日改正のものが最新で、団地型については2025年12月10日に規定の一部が修正されています。
「標準管理規約と文章が違うから認定されないのでは」と不安になる必要はありません。
一方で、「似た内容が書いてあるから問題ない」と早く判断するのも避けたいところです。まず現行全文を確定し、その後に認定基準と対応する内容を確認する順番が安全でしょう。
緊急時と管理上必要な場合の専有部分への立入り
次に確認したいのが、専有部分への立入りです。
たとえば上階から漏水が起き、下階の天井から水が落ち続けているのに、原因と思われる住戸と連絡が取れない場面を想像してみてください。「早く原因を確認しなければ被害が広がる」と焦る一方、各住戸の内部は専有部分なので、管理組合が当然に自由に入れるわけではありません。
管理上必要な対応と区分所有者の権利を両立するために、管理規約上の根拠が必要になります。
現行の認定基準では、緊急時等における専有部分への立入りについて管理規約に定めがあることが確認されます。
単棟型のマンション標準管理規約を目安にすると、第23条周辺に相当する規定を探すことになります。ただし、自分たちの規約でも同じ条番号である必要はありません。
実際の管理規約では「立入り」「専有部分」「必要箇所」などを検索し、該当条文を最後まで読んでください。
通常の点検や工事のための立入りしか書かれていないのか、それとも災害や事故など緊急時まで対応できる内容なのかが確認ポイントになります。
また、管理会社との管理委託契約に緊急対応の定めがあるからといって、管理規約の確認を省略しないようにします。認定基準として管理規約に求められる事項は、管理規約本体に必要な根拠があるかを確認する必要があるからです。
日常では「何かあれば管理会社が対応してくれる」と考えていても、その対応を支える管理組合側のルールが十分かどうかは別の問題になります。
修繕等の履歴情報を保管する規定
修繕履歴は、工事を行った直後よりも数年後や十数年後に価値が高くなる情報です。
前回の大規模修繕でどこを直したのか、屋上防水はどの工法だったのか、設備交換にいくらかかったのか。こうした記録が残っていれば、次の理事会は過去の実績を土台に修繕時期や予算を判断できます。
反対に、「前回は十年くらい前だったと思う」という記憶だけを頼りにすると、次の修繕計画は曖昧なところから始まります。
現行の認定基準では、修繕等の履歴情報の保管について管理規約に定めがあることが求められています。
ここで特に注意したいのは、「修繕を行う規定」と「修繕履歴を整理して管理する規定」は同じではないことです。
共用部分の修繕を管理組合の業務として定めていても、工事後の履歴情報まで管理する仕組みが書かれていない可能性があります。
管理規約の「管理組合の業務」などに近い章を開き、「修繕」「履歴情報」「整理」「管理」といった言葉を探してください。
管理会社が資料をきれいに保管しているため、これまで困ったことがないマンションもあるでしょう。それでも、管理会社が変わったときや十年後に役員がすべて入れ替わったとき、同じ資料へたどり着けるかは確認しておきたいところです。
認定要件を調べる途中で「そういえば前回の大規模修繕の竣工資料はどこにあるのだろう」と気づいたのであれば、その確認は認定申請だけで終わらない管理改善につながります。
財務・管理情報を提供する規定
4つ目は、財務・管理情報の提供です。
古い管理規約では、帳簿や議事録を「閲覧させる」という条文があっても、必要な情報を書面として交付したり、電磁的方法で提供したりする規定までは整っていない場合があります。
「閲覧できるなら同じではないか」と思いやすいところですが、見ることができる仕組みと、必要な情報を提供する仕組みは同一ではありません。
現行の認定基準では、管理組合の財務・管理に関する情報の提供について管理規約に定めがあることが求められています。
規約を検索するときには「閲覧」だけで止めず、「財務」「交付」「提供」「電磁的方法」といった言葉まで確認してください。
管理状況を必要な相手へ適切に伝えられる仕組みは、中古マンションを購入しようとする人などが管理状態を判断する際にも意味があります。「管理がよい」と内部で思っているだけではなく、その状態を外部へ説明できることが管理の見える化につながります。
実際の管理規約で該当条文を探す方法
管理規約を机に置いた後、最初から第1条、第2条と読み進める必要はありません。
専門用語が並ぶ文章を順番に読んでいると、「まだ半分にも届かない」と疲れてしまい、肝心の確認項目へ到達する前に作業が止まりやすくなります。
そこで、探す作業と判断する作業を分けます。
まず表紙や附則を確認し、制定日と最終改正日を見てください。過去に規約改正を行っているなら、新旧対照表や総会議事録が別に残っていないか確認し、手元の規約が現在有効な全文なのかを確定します。
次に目次を開き、「共用部分等の管理」「必要箇所への立入り」「管理組合の業務」「帳票類等の作成及び保管」などに近い章を探します。
PDF形式で管理しているなら全文検索が有効です。
最初に「立入り」「履歴情報」「交付」を検索し、見つからなければ「専有部分」「修繕」「財務」「提供」「電磁的方法」へ広げます。
紙の規約しかない場合は、目次から該当しそうな章へ付箋を貼り、見つけたページと条番号をメモしておくと後の確認が楽になります。
一次チェックは、次の程度までできれば十分です。
| 確認項目 | 確認OKの目安 | 要確認となる例 |
|---|---|---|
| 現行管理規約 | 改正内容を反映した現在有効な全文を確認できる | 原始規約と改正履歴が分散している |
| 専有部分への立入り | 管理上必要な場合と緊急時の規定を確認できる | 通常時の立入りしか確認できない |
| 修繕履歴 | 履歴情報を整理し管理する規定を確認できる | 修繕工事の実施しか書かれていない |
| 財務・管理情報 | 書面交付や電磁的方法による提供規定を確認できる | 閲覧規定しか見つからない |
| 自治体独自基準 | 申請先自治体の基準も確認している | 国の認定基準しか確認していない |
「要確認」が付いたからといって、その場で不適合と判断する必要はありません。
表現は違っていても必要な内容が含まれている場合や、別の条文と組み合わせることで要件を満たしている場合もあります。
一次チェックの目的は、理事会だけで認定可否を断定することではありません。
どの条文を詳しく確認すればよいかを明らかにすることです。
古い管理規約で条文が見つからない場合
築年数が長いマンションだからという理由だけで、管理計画認定を受けられないわけではありません。
重要なのは管理規約が作られた年代ではなく、現在有効な規約が申請時点の認定基準へ対応しているかです。
一方、昭和年代や平成初期の分譲時から大きく規約を見直していない場合には、現在必要とされる規定が十分反映されていない可能性があります。
「これまで何十年もこの規約で問題なく管理してきたのだから、今さら変更する必要があるのだろうか」と感じる区分所有者もいるでしょう。
しかし、マンションを取り巻く環境は変化しています。建物の高経年化、区分所有者の高齢化、賃貸住戸の増加、災害対応、電子的な情報提供など、分譲当初とは管理上の課題も異なります。
規約を見直すことは、これまでの管理が間違っていたと認める作業ではありません。
これまで使ってきたルールを、これからも機能する状態へ更新する作業と考えたほうが理解しやすいでしょう。
古い規約で該当条文を見つけられない場合には、いきなり「規定がない」と結論付けず、まず原始規約とその後の改正履歴を確認してください。
そのうえで最新のマンション標準管理規約と認定基準を比較し、実際に不足しているのかを判断します。
マンション標準管理規約は2025年10月17日に改正され、改正区分所有法を踏まえて総会手続や決議要件なども見直されています。団地型については同年12月10日に一部修正が行われています。
管理規約が不足している場合の改善手順
必要と思われる条文が見つからないと、「標準管理規約から文章を持ってきて追加すればよい」と考えたくなります。
しかし、管理規約はそれぞれの条文がつながって一つのルールを作っています。一部分だけをコピーすると、役職名や参照条文、既存の定義と食い違う可能性があります。
そのため、不足が疑われる場合には、現行規約と認定基準を照合して不足を確定し、その結果を基に改正案を作り、最後に必要な決議手続きを行うという流れで進めることが重要です。
標準管理規約と認定基準を照合する
最初に、現在有効な管理規約、マンション標準管理規約、現行の認定基準、事務ガイドライン、申請先自治体の資料を並べます。
2027年4月1日以降に申請する可能性がある場合には、公布済みの新しい認定基準も同時に確認してください。
この段階で全文を一行ずつ比較する必要はありません。
認定に直接関係する条文について、「必要な内容を確認できる」「一部不足している可能性がある」「該当規定を確認できない」と分類し、改正が必要そうな場所を先に絞ります。
規約改正案を全体との整合性を見ながら作る
不足箇所が確定したら、改正案や新旧対照表を作ります。
たとえば標準管理規約では「管理者」という表現でも、自分たちの管理規約では「理事長」を使っていることがあります。標準管理規約の一文をそのまま貼り付ければ、同じ規約の中で用語が混在するかもしれません。
追加する条文だけでなく、前後の規定、参照条文、役員の定義、使用細則などとの関係まで確認する必要があります。
組合員へ説明するときにも、「認定を取るために必要だから」という理由だけでは遠い話に聞こえることがあります。
漏水時の対応を明確にするため、修繕資料を次の理事へ引き継ぐため、必要な管理情報を適切に提供できるようにするためという実際の管理上の意味まで伝えれば、改正の必要性を理解してもらいやすくなるでしょう。
総会で必要な手続きを確認する
管理規約を変更する場合は、現在適用される区分所有法と自分たちの管理規約に沿って手続きを行います。
2026年4月1日に施行された改正区分所有法では、規約の設定、変更または廃止について、原則として区分所有者と議決権の各過半数が出席し、出席した区分所有者と議決権の各4分の3以上による決議が必要です。
ただし、定足数について法定の過半数を上回る割合を管理規約で定めている場合には、その規約上の定足数を満たす必要があります。したがって「今は過半数が出席すればよい」と数字だけを覚えるのではなく、自分たちの規約も必ず確認してください。
また、規約変更が一部の区分所有者の権利へ特別の影響を及ぼす場合には、その区分所有者の承諾が必要になる場合があります。
管理計画認定を申請すること自体については、原則として総会の普通決議によって承認を得ます。ただし、管理規約に別の定めがある場合には、その方法によることも可能です。たとえば規約で理事会決議によることを定めている場合には、その規約と理事会議事録によって確認する取扱いが示されています。
「管理計画認定を申請する決議」と「認定基準を満たすために管理規約を改正する決議」は別のものです。
同じ総会で扱うとしても、それぞれに必要な手続きを分けて確認してください。
2027年4月以降の申請で追加確認したい管理規約
ここまでが、現行基準で管理規約を確認するときの主線です。
ただし、地方公共団体への申請日が2027年4月1日以降になる場合は、新しい認定基準が適用されます。制度見直しに関する省令と告示は2026年7月31日に公布済みで、2027年4月1日の施行が決まっています。
これから規約改正を始める管理組合では、「現行基準に合わせて改正した直後に、また変更しなければならないのでは」と心配になることがあります。
申請が2027年4月以降になる可能性が高いなら、現行の4ポイントだけで改正範囲を決めず、新基準も同時に比較したほうが二度手間を減らせるでしょう。
2027年基準で確認する管理規約9項目
2027年4月1日以降に管理組合の管理者等が申請する場合、管理規約の認定基準は9項目へ細分化されます。
| 新基準の確認項目 | 管理規約で見る主な内容 |
|---|---|
| 管理規約の作成 | 管理規約が作成されている |
| 管理者等と監事の選任解任 | 所定の集会決議による選任・解任等が定められ、選任・解任を困難にするおそれのある事項がない |
| 管理者等と監事の任期 | 任期が2年を超えない範囲内で定められている |
| 専有部分等への立入りと保存行為 | 管理上必要な場合と緊急時の立入りや保存行為が定められている |
| 修繕等の履歴情報 | 修繕等の履歴情報の整理と管理等について定められている |
| 利益相反取引 | 利益相反取引を防止する規定が所定の要件を満たしている |
| 区分所有者等による集会招集請求 | 標準管理規約への準拠等の要件を満たし負担を加重する事項がない |
| 集会の議決事項 | 標準管理規約で掲げる必要な議決事項が規定されている |
| 財務・管理情報の提供 | 書面または電磁的方法による財務・管理情報の提供が定められている |
ここで注意したいのは、項目名に似た条文を見つけただけでは十分ではないことです。
たとえば管理者等と監事の選任解任については、単に「役員は選任する」と書かれているだけでなく、所定の集会決議による選任・解任等が定められていることや、選任・解任を困難にするおそれのある事項がないことまで確認する必要があります。
管理規約に基づいて理事会を置く方式では、管理者に当たる者の選任・解任と監事の選任・解任について確認する仕組みも分けて見る必要があります。
また、管理者等と監事の任期は、単に「任期を定めていること」ではありません。
新基準では2年を超えない範囲内で管理規約に定めるという具体的な基準があります。
さらに、管理組合の運営については、実際の管理者等や監事の在任期間が規約で定める任期を超えていないことも確認対象になります。
つまり新基準では、適切な条文があるかだけでなく、実際にその条文どおり運営しているかまで意識する必要があります。
規約を改正した後に「これで終わった」と考えるのではなく、役員選任の総会議事録なども併せて確認したほうがよいでしょう。
防災方針は管理規約に書くとは限らない
2027年4月以降の新基準では、防災に関する方針を記載した書類を作成し、その内容を区分所有者等へ周知することが認定基準として求められます。
これは今後検討される方向性ではなく、公布済みの認定基準です。
求められる事項には、防災訓練の実施方針、防災情報と周知方法、防災物資等の備蓄方針、災害等の緊急時における活動体制があります。
ただし、「この4項目をすべて管理規約本文に入れなければならない」という意味ではありません。
新基準が求めているのは、防災に関する方針を記載した書類を作成し、区分所有者等へ周知することです。
管理規約へ書く事項と、防災計画など別の書類で運用する事項をどう分けるかについては、施行に向けて更新される事務ガイドラインも確認してください。国土交通省は2026年8月時点で、申請書や添付書類を含む詳細について今後ガイドラインを見直す予定としています。
2027年4月前後は自治体への申請日を確認する
新旧どちらの認定基準が適用されるのかを見るときは、事前確認を始めた日ではなく、地方公共団体への申請日を意識してください。
国土交通省は、地方公共団体への申請日が2027年4月1日以降となる場合に見直し後の認定基準が適用されると明示しています。
2027年春に申請を考えている場合には、通常総会、規約改正、事前確認、自治体申請の日程を一本の工程表にしておくとよいでしょう。
「春ごろ申請したい」という予定だけでは曖昧でも、日付を書き出せば「この総会で改正できなければ新基準になる可能性がある」という具体的な判断へ変わります。
長期修繕計画にも新基準がある
この記事の中心は管理規約ですが、2027年4月以降は長期修繕計画の認定基準も見直されます。
たとえば計画の作成または見直しについて、現行の7年以内から原則として申請日前5年以内へ変更されます。
そのため、管理規約9項目を満たしていても、それだけで新基準への対応が完了するわけではありません。
管理規約の確認を終えた後に、長期修繕計画など他の認定分野についても申請日時点の最新基準と照合してください。
マンション管理士など専門家へ確認したほうがよいケース
管理規約の一次チェックは、管理組合自身でもできます。
むしろ、一度自分たちで管理規約を開き、「第○条は見つかったが、この文章で認定基準を満たすのか分からない」と整理してから相談したほうが、専門家へ聞きたいことが明確になります。
一方、次のようなケースでは専門的な確認を検討する意味があります。
現在有効な管理規約を一本に確定できない場合、認定基準に似た条文はあるものの内容が十分か判断できない場合、2027年基準の管理者等と監事の選任解任や利益相反取引の要件まで確認したい場合です。
また、規約には適切な規定があるのに、実際の役員選任や修繕履歴管理が規約どおりなのか確認できないケースでは、管理規約だけでなく総会議事録や関連資料を見る必要があります。
国土交通省の一般向けポータルでは、事前確認の方法として、所定の事前確認講習を修了したマンション管理士へ依頼する方法などが案内されています。事前確認によって基準適合が確認されると、マンション管理センターから事前確認適合証が発行されます。
なお、自治体独自基準がある場合は別に確認する必要があります。
「事前確認適合証を取得したから、所在地自治体の基準まで全部確認できた」と考えず、申請先自治体の案内も確認してください。
管理規約の確認後に見る認定全体の参考チェック
ここまで管理規約の4ポイントを確認したら、次に認定全体へ視野を広げます。
最初から全部を確認しようとすると「何から手を付ければいいのか」が見えなくなりますが、管理規約の確認を終えた後なら次の作業として整理しやすくなります。
| 分野 | 次に確認したい内容 |
|---|---|
| 管理組合の運営 | 管理者等と監事の選任状況や年1回以上の総会開催 |
| 経理 | 管理費と修繕積立金等の区分経理や他会計への充当の有無 |
| 長期修繕計画 | 計画期間や見直し時期など申請時点の認定基準 |
| 名簿 | 区分所有者名簿や居住者名簿の整備と定期的な内容確認 |
| 自治体独自基準 | 所在地の地方公共団体が設定する追加基準 |
| 認定申請 | 原則となる総会決議または管理規約の別段の定め |
| 申請時期 | 2027年4月1日前後のどの認定基準が適用されるか |
現行制度では、管理規約以外にも管理組合の運営、経理、長期修繕計画、名簿などが認定基準として確認されます。
ただし、この記事を読んだ直後からすべてを確認する必要はありません。
まず規約の4ポイントを確認し、そこで「確認OK」と「要確認」を分ける。その次に認定全体へ広げる順番なら、作業が一度に膨らみすぎません。
管理計画認定と管理規約のよくある質問
- 古い管理規約でも管理計画認定を受けられますか?
-
管理規約が古いという理由だけで認定を受けられないわけではありません。
重要なのは作成年代ではなく、現在有効な規約が申請時点の認定基準を満たしているかです。
長期間改正していない場合には、専有部分への立入り、修繕履歴、財務・管理情報など現在必要な内容が十分に反映されていない可能性があります。まず現在有効な全文を確定してから確認してください。
- マンション標準管理規約と同じ内容にする必要がありますか?
-
管理規約全体をマンション標準管理規約と一字一句同じにする必要があるとは限りません。
マンション標準管理規約は、各マンションが管理規約を作成または改正するときに参考にするひな型です。
現行基準では、条番号や文章を形式的に一致させるのではなく、その認定項目に必要な内容が自分たちの規約に備わっているかを確認します。
一方、2027年4月以降の新基準では、利益相反取引や集会招集請求など、マンション標準管理規約への準拠等が具体的な条件になる項目もあるため、新基準では各項目の要件まで確認してください。
- 認定取得のために管理規約を必ず改正する必要がありますか?
-
現在の管理規約で認定基準を満たしていれば、認定取得だけを目的として必ず改正する必要があるとは限りません。
最初に行うのは改正案の作成ではなく、現行規約と認定基準の照合です。
不足が確認された場合に、どの条文をどのように見直す必要があるのかを検討します。
- 管理規約の改正にはどのような決議が必要ですか?
-
2026年4月1日施行の改正区分所有法では、規約の設定、変更または廃止について、原則として区分所有者と議決権の各過半数が出席し、出席した区分所有者と議決権の各4分の3以上による決議が必要です。
ただし、管理規約で法定基準を上回る定足数を定めている場合には、その規約上の割合も確認しなければなりません。
法律上の数字だけで判断せず、自分たちの現在有効な管理規約と改正内容を併せて確認してください。
- 管理計画認定の申請は必ず総会決議が必要ですか?
-
原則として普通決議による総会の承認が必要です。
ただし、管理規約で別の方法を定めている場合には、その方法によることも可能です。国土交通省のQ&Aでは、たとえば総会ではなく理事会決議と規約で定めている場合は、その規約と理事会議事録が必要になると説明されています。
- 2027年4月から管理規約の確認はどう変わりますか?
-
2027年4月1日以降の申請では、管理規約に関する確認範囲が9項目へ細分化されます。
管理者等と監事の選任解任、2年を超えない範囲の任期、専有部分等への立入りと保存行為、修繕履歴、利益相反取引、区分所有者等による集会招集請求、集会の議決事項などが重要な追加チェックポイントです。
申請が2027年4月以降になる可能性がある場合には、現行4ポイントだけで規約改正の範囲を決めず、新基準まで照合しておくと手戻りを減らしやすくなります。
- マンション管理士などへ何を確認してもらえますか?
-
現在有効な管理規約の整理、認定基準との照合、不足している可能性がある規定の確認、規約改正を行う際の論点整理などを相談できます。
特に、改正履歴が複雑で現在有効な条文を確定できない場合や、2027年基準の選任解任や利益相反取引について自分たちだけでは判断しにくい場合には、専門的な確認を検討するとよいでしょう。
管理計画認定で管理規約を確認するときのまとめ
管理計画認定で最初に管理規約を見るなら、現行基準では管理規約そのもの、専有部分への立入り、修繕等の履歴情報、財務・管理情報の提供という4ポイントから確認します。
必要な規定を見つけられなくても、その場ですぐ「不適合」と判断したり、標準管理規約の文章を貼り付けたりする必要はありません。まず現在有効な規約全文を確定し、認定基準と照合して不足箇所を明らかにしたうえで、必要なら改正案と総会手続きを検討します。
さらに地方公共団体への申請日が2027年4月1日以降になる場合には、管理規約について新基準の9項目まで確認範囲を広げてください。
まず手元の管理規約を開き、4ポイントに関係するページと条番号を書き出すところから始めれば、漠然としていた認定準備を具体的な一次チェックへ変えられるでしょう。
参考資料
制度や認定基準は改正される可能性があるため、実際の申請時には最新の一次資料と申請先自治体の案内をご確認ください。
国土交通省マンション管理・再生ポータルサイト「管理計画認定制度」