管理計画認定の準備を始め、保管してある総会議事録を開いたところで、「これだけそろっていれば申請できるのだろうか」と手が止まることがあります。直近の総会議事録はあるのに、現在の理事長を選任した記録が見つからない。監事の名前は役員名簿に載っているものの、いつ選任されたのかまでは分からない。こうした迷いは、申請に必要な書類を「何年分そろえるか」から考えてしまうと、さらに大きくなりがちです。
管理計画認定の総会議事録を確認するときに大切なのは、過去の議事録を片端から集めることではありません。まず確認したい事実を決め、現行管理規約でルールを確かめたうえで、その事実を証明できる総会議事録や理事会議事録へ遡ります。
この順番が分かれば、「議事録が足りない」という漠然とした不安は、「理事長を選任した理事会議事録を探せばよい」「現在の監事を選任した年度の総会議事録まで戻ればよい」という具体的な作業へ変わります。本記事では、自分のマンションで必要な議事録を特定できる状態を目指して、確認の順番と注意点を整理します。
管理計画認定で総会議事録を確認する理由
管理計画認定と聞くと、長期修繕計画や修繕積立金の金額を最初に思い浮かべる方も多いでしょう。実際、それらは重要な認定基準ですが、制度が確認しているのは建物の修繕や資金計画だけではありません。
管理組合がどのようなルールで意思決定を行い、役員を選び、総会を開催してきたのかという運営面も確認されます。
国の現行基準では、管理組合の運営について、管理者等が定められていること、監事が選任されていること、集会が年1回以上開催されていることなどが確認事項になっています。
その確認で重要な資料になるのが総会議事録です。
管理規約が「このマンションをどのようなルールで運営するのか」を定める資料であるのに対し、総会議事録は、そのルールのもとで実際に何を決めたのかを残す記録になります。
そのため、総会議事録が毎年ファイルに保存されているだけでは、確認が終わったとはいえません。
例えば、役員改選の総会議事録には現在の理事長が「理事」として記載されているものの、「理事長として選任した」という記録が見当たらない場合があります。
そこで「理事長を選任していないのではないか」と不安になるかもしれません。
しかし、自マンションの現行管理規約が、総会で理事を選任した後に理事会で理事長を選任する仕組みになっていれば、総会議事録に理事長という肩書がないこと自体は不自然ではありません。必要なのは、その後の理事会議事録まで確認して、現在の理事長へ至る選任経緯をつなげることです。
反対に、総会で直接理事長を選任する規約であれば、見るべき決議は変わります。
つまり、管理計画認定で確認するのは「議事録があるか」という一点ではなく、現行管理規約に定められたルールと実際の意思決定を資料で説明できるかという点です。
ここを理解すると、「とりあえず過去5年分を集めよう」と考える必要がないことも見えてきます。
必要な議事録の年数から考えるのではなく、証明したい事実から必要書類を逆算することが、総会議事録確認の基本です。
最初に確認する3つの基本要件
総会関係の資料を確認するときは、細かな条文へ入る前に、管理者等、監事、年1回以上の総会という三つの事項を分けて考えると整理しやすくなります。
どれも役員や総会に関係する話ですが、何を確認しようとしているのかは異なるからです。
管理者等が定められているか
最初に確認するのが管理者等です。
一般的な理事会方式のマンションでは、理事長を区分所有法上の管理者とする管理規約が採用されている場合があります。
しかし、「普通のマンションなら理事長が管理者だろう」と推測だけで進めるべきではありません。
実際の認定準備では、自マンションの現行管理規約を開き、誰を管理者とする仕組みなのか、その人をどの機関で選任することになっているのかを確認します。
そのうえで、規約上の選任機関が総会なら総会議事録を確認し、理事会で選任する構成なら必要な理事会議事録までたどります。
マンション標準管理規約は重要な参考資料ですが、自マンションの管理規約そのものではありません。
標準管理規約を見て「一般的にはこうだから大丈夫」と考えるより、自分たちの現行管理規約に何と書かれているのかを最初に確かめる方が、遠回りに見えて確実です。
監事が選任されているか
次に確認するのが監事です。
監事については、役員名簿を見ると現在の氏名がすぐ分かるため、「ここは問題ないだろう」と確認を終えたくなることがあります。
しかし、役員名簿から分かるのは、基本的には現在の役職です。
その人がいつ、どの機関で、どのような決議によって監事へ選任されたのかまで確認できるとは限りません。
現行制度では、監事を置くことを決議した総会議事録が基本的な確認資料になり、管理規約に別段の定めがある場合には、その規約と定めに応じた資料を確認する仕組みです。
したがって、役員名簿で氏名を確認した後は、現行管理規約に戻り、監事の選任方法を確認したうえで実際の選任議事録までつなげます。
「毎年監査報告をしているのだから、選任手続も問題ないはず」と感じることもあるでしょう。
それでも、管理計画認定では記憶や慣行ではなく、実際の記録によって確認できる状態を作ることが重要です。
総会が年1回以上開催されているか
三つ目は、集会が年1回以上開催されていることです。
ここでは、認定申請日の直近に開催された総会議事録を確認し、開催年月日を見ます。
必要に応じて前回総会の開催年月日も確認し、年1回以上の開催状況を資料から追ってください。
「毎年春に開催しているから問題ない」と思っていても、総会の日程は役員交代や会場事情などで少しずつ動くことがあります。
日付自体は難しい情報ではありませんが、感覚ではなく議事録から確認する方が確実でしょう。
なお、災害や感染症の感染拡大などにより、前年の総会開催日から1年以内に開催できなかった場合については、状況の解消後に遅滞なく総会を招集したことを確認する取扱いがあります。
したがって、総会の開催間隔が1年を超えているという一点だけを見て、直ちに認定されないと判断することはできません。
その一方で、単なる開催忘れなども同じ取扱いになるという意味ではないため、特殊な事情がある場合は申請先自治体へ確認する必要があります。
必要な総会議事録を特定する基本手順
ここからが、実際の確認作業です。
議事録のファイルを何冊も机に並べてから考え始めると、ページをめくっているうちに「そもそも何を探していたのだろう」と目的を見失いやすくなります。
そこで、最初に確認したい事実を一つ決めます。
現在の理事長を確認したいのであれば、まず現行管理規約を開き、理事と理事長をどの機関が選任するのかを確認します。
総会で理事を選任する構成なら役員改選を行った総会議事録へ進み、その後に理事会で理事長を選任する規約なら理事会議事録まで確認してください。
考え方を整理すると、次の表になります。
| 確認したい事実 | 最初に見るもの | 次に見るもの | 確認できればよい状態 |
|---|---|---|---|
| 管理者等 | 現行管理規約 | 総会議事録または理事会議事録 | 規約どおりに現在の管理者等が選任された経緯を追える |
| 理事長 | 現行管理規約 | 総会議事録と必要な理事会議事録 | 理事への選任から理事長就任までを追える |
| 監事 | 現行管理規約 | 監事を選任した議事録 | 誰がいつ監事として選任されたか分かる |
| 総会開催 | 直近の総会議事録 | 必要に応じて前回総会議事録 | 年1回以上の開催状況を確認できる |
| 認定申請 | 現行管理規約 | 認定申請を決議した議事録 | 申請意思と決議結果を確認できる |
| 長期修繕計画 | 最新の長期修繕計画 | 作成または変更を決議した総会議事録 | 現在の計画をいつ決議したか確認できる |
この表で大切なのは、「過去何年分を集めるか」が出発点になっていないことです。
例えば、現在の監事を2年前に選任しているなら、その年度まで遡ります。
現在使っている長期修繕計画を4年前に改定しているなら、そのときの総会議事録を探します。
直近の総会議事録だけですべてを証明する必要はありませんし、反対に、過去何年分もの議事録を無条件に提出すれば安心というものでもありません。
必要な議事録は、確認したい事実によって変わります。
この「事実から逆算する」という考え方が身につけば、資料の量が増えても確認の方向を見失いにくくなるでしょう。
理事長と管理者等の選任を確認する
理事長関係で特に混乱しやすいのは、総会議事録には理事として名前があるのに、理事長という役職名が見当たらない場面です。
役員改選の議事録を開いて、「○○氏ほか5名を理事に選任した」という記載しかなければ、「理事長を決めた記録がない」と不安になるのも無理はありません。
しかし、ここでも一枚の議事録だけで結論を出さないことが重要です。
理事長の選任方法によって必要資料が変わる
理事長を誰が選任するのかは、自マンションの現行管理規約で確認します。
マンション標準管理規約では、総会で理事及び監事を選任し、理事長などの役職を理事会で選任する構成が示されています。
現行のマンション標準管理規約単棟型でも、普通決議や理事会を含めた運営ルールが規定されていますが、標準管理規約はあくまで規約作成や改正のひな型です。
自分のマンションで必要となる確認資料は、自マンションの規約によって決まります。
| 選任方式 | 規約で確認すること | 主に確認する資料 | 確認のポイント |
|---|---|---|---|
| 総会で直接選任する方式 | 総会が理事長や管理者等を選任する規定 | 総会議事録 | 対象者が規約どおりの役職へ選任された決議を確認する |
| 理事会で理事長を選任する方式 | 総会で理事を選任し理事会で理事長を選任する規定 | 総会議事録と理事会議事録 | 理事への選任から理事長就任までを連続して確認する |
| 独自の選任方式 | 現行管理規約に記載された具体的な方法 | 規約上必要になる議事録 | 標準管理規約をそのまま当てはめず現行規約に従う |
理事会選任方式であれば、総会議事録では現在の理事長が理事として選任されたことを確認し、その後の理事会議事録で理事長への選任を確認します。
さらに、自マンションの管理規約で理事長と区分所有法上の管理者がどのような関係になっているのかを確認すれば、現在の管理者等まで選任経緯をつなげられます。
探しているのは「理事長」という文字ではありません。
探しているのは、現在の理事長が規約に沿ってその立場へ就いたことを示す選任の経緯です。
この違いを意識すると、総会議事録に肩書がないだけで慌てずに済みます。
監事の選任を総会議事録から確認する
監事の場合も、最初に現行管理規約を確認します。
そのうえで、現在の監事が実際に選任された議事録へ進みます。
ここで注意したいのは、候補者として氏名が載っていることと、監事として選任されたことを同じ意味にしないことです。
例えば、総会議案書の役員候補者一覧に「監事候補 ○○氏」と記載されていても、それだけでは候補者であったことしか確認できません。
総会議事録から役員選任議案が可決され、その内容によって○○氏が監事として選任されたと確認できるところまで見ます。
「候補者として載っているのだから、当然選任されたはず」と頭の中で補ってしまうと、資料上確認できる事実と推測が混ざります。
管理計画認定の準備では、推測せず記録をつなげることが重要です。
また、現在の監事が直近総会で選任されていないのであれば、実際の役員改選年度まで遡ってください。
直近の議事録が最も新しいからといって、すべての確認に使えるとは限りません。
現在の監事の選任を確認したいなら、その人を選任した議事録が必要です。
総会議事録の署名と電子署名を確認する
総会議事録では、決議内容だけでなく議事録として必要な署名等も確認します。
ここで注意したいのは、「自マンションの管理規約だけ見れば署名要件が分かる」と考えないことです。
現行の事務ガイドラインでは、区分所有法の規定に基づき必要となる署名または電子署名を確認し、総会議事録の有効性を見る考え方が示されています。
したがって、まず区分所有法上必要となる署名等を確認し、そのうえで自マンションの現行管理規約に定められている議事録作成ルールとも照合するという順番になります。
以前の管理組合運営を経験している方ほど、「議事録には署名と押印が必要だったはず」と感じることもあるでしょう。
しかし、区分所有法の改正によって押印要件は見直されています。
そのため、押印がないという一点だけを理由に、現在の議事録を直ちに不適合と考えるのは適切ではありません。
反対に、パソコンで氏名が印字されているだけなのに、「名前が書いてあるから署名済みだろう」と判断することにも注意が必要です。
法令上必要となる署名または電子署名を確認し、そのうえで現行管理規約の議事録に関する条文と照合します。
規約だけでも、印鑑の有無だけでも判断しないことが大切です。
管理計画認定の申請自体について決議を確認する
管理者等や監事の選任、総会の開催状況に問題がなかったとしても、もう一つ忘れてはいけない決議があります。
管理計画認定を申請すること自体についての意思決定です。
国土交通省の公式Q&Aでは、管理計画認定制度の申請にあたって普通決議が必要であり、申請時には総会議事録を添付する必要があると案内されています。
ただし、管理規約で別の定めをしている場合には、その方法によることも可能です。
例えば、認定申請を理事会決議によって行う旨を管理規約で定めている場合には、その規約と理事会議事録によって確認する方法が示されています。
つまり、「認定基準を満たしていること」と「管理組合として認定申請を行うことを決めたこと」は分けて確認する必要があります。
長期修繕計画や修繕積立金の確認に力を入れるほど、申請するという意思決定自体が抜けてしまうことがあります。
「ここまで準備したのだから申請するのは当然だろう」と理事会では感じていても、その意思が管理組合の決議として記録されているとは限りません。
通常総会が近い段階で認定取得を検討しているなら、申請決議の議案化も早めに確認しておくと、その後に臨時総会を検討する負担を減らせます。
普通決議の成立要件は現行管理規約で確認する
管理計画認定の申請が普通決議でよいことと、具体的にどの程度の賛成で可決するのかは分けて考えます。
2026年4月1日に施行された改正区分所有法を踏まえた現行マンション標準管理規約単棟型第47条では、総会の基本的な定足数について議決権総数の過半数を有する組合員の出席を求め、普通決議については出席組合員の議決権の過半数で決する構成になっています。
ここでは「半数」と「過半数」を混同しないことが大切です。
過半数は半数を超えることを意味するため、半数ちょうどとは異なります。
さらに重要なのは、標準管理規約はあくまでひな型だという点でしょう。
実際のマンションで総会決議の成立要件を確認するときには、自マンションの現行管理規約を直接確認します。
したがって、「管理計画認定の申請は普通決議である」と理解したうえで、定足数や可決に必要な議決権については自マンションの規約に従って判断することが適切です。
長期修繕計画を承認した総会議事録も確認する
総会議事録の確認では、理事長や監事だけに意識を集中しないよう注意します。
長期修繕計画についても、総会での決議とのつながりを確認する必要があるためです。
現行の管理計画認定基準では、長期修繕計画が一定の基準に基づいて作成され、その内容と、それに基づいて算定された修繕積立金額について総会で決議されていることなどが確認されます。
そのため、最新の長期修繕計画書が管理室にきれいに保管されていたとしても、それだけで確認は終わりません。
現在使っている長期修繕計画を、いつ作成または変更し、どの総会で決議したのかまで確認します。
もし現在の計画を4年前に改定しているなら、直近総会の議事録ではなく、4年前の改定時に開催した総会議事録が必要になる可能性があります。
ここでも考え方は同じです。
「過去何年分の議事録が必要か」と先に年数を決めるのではなく、「現在の長期修繕計画を承認した議事録はどれか」と逆算します。
何のために過去資料を探しているのかが明確なら、何年分ものファイルを最初から最後まで読む必要はありません。
管理規約と議事録が食い違う場合の確認方法
実際に現行管理規約と議事録を並べてみると、内容がきれいにつながらないことがあります。
管理規約では理事会で理事長を選任すると定められているのに、総会議事録だけを見ると総会で理事長を直接選んだように読める。
反対に、規約では総会で監事を選任する構成なのに、該当年度の総会議事録に監事選任の記載が見当たらない。
こうした状態を見つけると、「これまでの管理組合運営が全部間違っていたのだろうか」と急に不安になるかもしれません。
しかし、不一致を発見した時点で結論を出す必要はありません。
不一致の原因を先に特定する
まず考えたいのは、議事録の表現が簡略化されている可能性です。
総会議事録には理事の選任しか書かれていなくても、別の日の理事会で正式に理事長を選任している場合があります。
また、現在の管理規約と過去の議事録を比較しており、その決議当時には別の規約が有効だった可能性もあるでしょう。
規約改正が何度か行われているマンションでは、現在のルールを過去の運営へそのまま当てはめると、実際には存在しなかった不一致が見えることがあります。
そこで、不一致を見つけたときは、最初から「違反かどうか」を判断しようとせず、決議当時に有効だった規約、総会議事録、必要な理事会議事録を時系列で並べます。
それでも説明できない部分が残るなら、その時点でマンション管理士や申請先自治体へ相談します。
過去の議事録を安易に書き換えない
認定準備中に記載不足を見つけると、「ここに一文書き足せば済むのではないか」と思うことがあります。
しかし、実際には決議していたものの議事録への記載が不足していた場合と、必要な決議そのものを行っていなかった場合では事情が異なります。
当時の議案書や配布資料などを確認し、本当に何が決議されたのかを特定することが先です。
必要な決議自体を行っていなかったのであれば、過去の議事録を書き換えて整えるのではなく、必要に応じて改めて総会等で決議する方法を検討することになります。
不備を見つけると、「申請から遠ざかった」と感じるかもしれません。
それでも、申請後ではなく準備中に見つけられたからこそ、資料を探すのか、新しい決議を検討するのか、専門家へ相談するのかを選べます。
不備の発見は、必ずしも後退ではありません。
管理規約 総会議事録 理事会議事録の3列チェック表
ここまで確認してきた内容を、三つの資料の関係で整理すると次のようになります。
| 確認項目 | 管理規約で見ること | 総会議事録で見ること | 理事会議事録で見ること |
|---|---|---|---|
| 理事 | 選任機関と選任方法 | 理事として選任された氏名と決議結果 | 規約上必要になる場合のみ確認 |
| 理事長 | 理事長を選任する機関 | 総会直選なら選任決議 理事会選任なら理事への選任 | 理事会選任なら理事長への選任決議 |
| 管理者等 | 誰を管理者とするか | 総会選任なら該当する決議 | 規約に基づく理事会選任なら該当決議 |
| 監事 | 監事の選任方法 | 規約に沿った監事の選任決議 | 現行規約上必要になる場合に確認 |
| 役員任期 | 任期と再任に関する規定 | 役員の選任年月日 | 理事長などの役職選任年月日 |
| 総会開催 | 総会開催に関する規定 | 開催年月日と議事の経過と結果 | 原則として総会開催確認には使用しない |
| 議事録形式 | 議事録作成に関する規定 | 法令上必要な署名等と規約との整合 | 理事会議事録について規約上必要な記録 |
| 認定申請 | 決議方法に別段の定めがあるか | 原則となる認定申請の決議 | 規約で理事会決議と定める場合に確認 |
| 長期修繕計画 | 作成や変更に関する決議方法 | 現在の計画を作成または変更した決議 | 規約上必要となる場合に確認 |
この表は、三種類の資料を必ずすべて提出するという意味ではありません。
例えば、理事長を総会で直接選任する規約であれば、理事長の選任確認のために理事会議事録を用意する必要がない可能性があります。
反対に、理事会が理事長を選任する規約なら、総会議事録だけでは選任の途中までしか確認できない場合があります。
すべての欄を埋めることが目的ではありません。
自分たちの現行管理規約に必要な経路だけを、途切れずにつなげることが目的です。
管理計画認定でよくある確認漏れ5例
本文で扱った内容のうち、実際の申請準備で特に抜けやすい部分をまとめると次のようになります。
| よくある確認漏れ | なぜ起こるのか | 次に確認すること |
|---|---|---|
| 総会で理事を選任したところで確認を終える | 理事長も同じ総会で決まったと思い込みやすい | 現行規約で理事長の選任機関を確認し必要なら理事会議事録を見る |
| 監事を役員名簿だけで確認する | 現在の氏名が分かるため安心してしまう | 監事を実際に選任した議事録まで遡る |
| 押印の有無だけで議事録の有効性を判断する | 過去の運用や法改正前の記憶が残っている | 法令上必要な署名等を確認し現行管理規約とも照合する |
| 認定申請自体の決議を忘れる | 他の認定基準の確認に意識が向きやすい | 認定申請を行う旨の決議と自マンションの決議要件を確認する |
| 長期修繕計画書だけ確認する | 計画書が存在することで確認が終わったと感じる | 現在の計画を作成または変更した総会議事録を特定する |
どれも、難しい専門知識がなければ気づけない問題というより、「これまで普通に運営できていたから大丈夫だろう」という安心感から生じやすい確認漏れです。
普段の管理組合運営では困っていなかったとしても、第三者へ適正な管理状況を示す認定申請では、記録として説明できる状態になっているかを確認します。
その違いを理解しておくと、認定準備だけ急に細かいことを要求されているような感覚も少し薄れるでしょう。
申請前の総会議事録チェックリスト
ここまで確認したら、申請前に手元の資料を使って次の状態まで整理できているかを確認します。
| 確認項目 | 確認できればよい状態 | 確認欄 |
|---|---|---|
| 現行管理規約 | 現在有効な規約を使って確認している | □確認済 □要確認 |
| 管理者等 | 規約上の選任方法と現在の管理者等をつなげられる | □確認済 □要確認 |
| 理事長 | 理事への選任から理事長就任まで確認できる | □確認済 □要確認 |
| 監事 | 誰がいつ監事へ選任されたか確認できる | □確認済 □要確認 |
| 役員任期 | 選任年月日と現在の在任状況を確認できる | □確認済 □要確認 |
| 総会開催 | 年1回以上の開催状況を議事録から確認できる | □確認済 □要確認 |
| 議事録形式 | 必要な署名等と管理規約との整合を確認できる | □確認済 □要確認 |
| 認定申請 | 申請する旨の決議と決議結果を確認できる | □確認済 □要確認 |
| 長期修繕計画 | 現在の計画を承認した議事録を特定できる | □確認済 □要確認 |
| 自治体独自基準 | 所在自治体の追加基準の有無を確認している | □確認済 □要確認 |
| 2027年新基準 | 申請日が2027年4月1日以降なら新基準も確認している | □確認済 □要確認 |
最初からすべてが「確認済」になるとは限りません。
むしろ、実際に確認を始めれば一つや二つ「要確認」が残る方が自然でしょう。
このチェックリストの目的は、すべてに丸を付けて安心することではありません。
「手元の議事録で申請できるか分からない」という大きく曖昧な不安を、「理事長を選任した理事会議事録だけが見つからない」「監事を選任した年度を確認する必要がある」という具体的な問題へ変えることにあります。
問題が具体的になれば、次に何を探せばよいかも決まります。
専門家へ相談するときにも、質問を具体化できます。
ここまで進めば、申請準備はかなり整理された状態です。
不明点がある場合にマンション管理士へ相談する
自分たちで現行管理規約と議事録を照合しても、最後まで判断できないケースはあります。
何度も規約改正を行っているマンションでは、どの時点の規約が役員選任に適用されていたのか整理しにくい場合がありますし、古い理事会議事録が一部残っていないこともあるでしょう。
そのような場合は、マンション管理士などの専門家へ相談する方法があります。
公益財団法人マンション管理センターの管理計画認定手続支援サービスでは、地方公共団体への認定申請に先立って、事前確認講習を修了したマンション管理士が国の認定基準への適合状況を確認する事前確認の仕組みが設けられています。
適合していると確認された場合には、事前確認適合証が発行されます。
ただし、事前確認を利用する申請方法は一つではありません。
マンション管理センターでは複数の申請経路が設けられているため、自分たちがどの経路を利用するのかを先に確認した方が、その後の書類準備を進めやすくなります。
また、地方公共団体が独自の認定基準を設けている場合、その独自基準はマンション管理士による事前確認の対象外です。
そのため、「事前確認適合証が発行されたから、自治体独自基準まで含めてすべて確認済み」と考えることはできません。
国の認定基準と申請先自治体の独自基準を分けて確認する必要があります。
相談するときは不足している資料を言葉にする
専門家へ相談するとき、「うちのマンションは認定できますか」とだけ尋ねるより、どこまで確認できているのかを整理して伝える方が話は早く進みます。
例えば、「総会議事録で現在の理事長が理事に選任されたことまでは確認できましたが、現行管理規約では理事長を理事会で選任することになっており、その理事会議事録が見つかりません」と伝えます。
監事であれば、「現在の役員名簿では監事の氏名を確認できますが、本人を監事に選任した総会議事録を特定できていません」と整理できます。
この状態なら、まだ答えが出ていなくても問題の位置は見えています。
分からないことをすべて解決してから相談する必要はありません。
分からない場所を特定してから相談することが、専門家を有効に使うための準備になります。
2027年4月以降に申請する場合の追加チェック
2027年4月1日以降に地方公共団体へ認定申請する場合は、見直し後の管理計画認定基準が適用されます。
この制度改正については、2026年7月31日に関係する省令と告示が公布され、2027年4月1日に施行されることが正式に公表されています。
したがって、現在は「改正されるかもしれない」という段階ではありません。
2027年4月1日以降に申請する予定であれば、新基準を前提として準備する必要があります。
ただし、新基準全体をこの記事で詳しく扱うと、「総会議事録を何から確認すればよいのか」という主題が見えにくくなります。
ここでは、管理規約と総会議事録の確認に直接関係する変更へ絞って整理します。
管理者等と監事は規約に基づく選任を確認する
2027年4月1日以降の新基準では、管理者等と監事について、管理規約に基づき選任されていることが明確に求められます。
そのため、現在の役員名簿に氏名が載っていることだけではなく、現行管理規約に記載された選任方法と実際の議事録がつながっているかを、これまで以上に意識して確認する必要があります。
この記事で繰り返してきた「規約で選任方法を確認し、実際の議事録へ進む」という作業は、新基準への準備にもそのままつながります。
管理者等と監事の任期を確認する
新基準では、管理者等と監事について、選任された日から認定申請日までの期間が管理規約で定める任期を超えていないことも確認対象になります。
さらに、管理規約上の管理者等と監事の任期について、2年を超えない範囲で定める基準が示されています。
ここで重要になるのが「いつ選任されたのか」です。
現在の役員名簿には氏名や役職が載っていても、選任年月日までは分からないことがあります。
そこで役員改選を行った総会議事録や、その後に理事長を選任した理事会議事録まで戻り、選任年月日と規約上の任期を照合します。
2027年4月以降は「誰が選ばれたのか」だけでなく、「いつ選ばれたのか」という時間軸も重要になるわけです。
理事会を置く場合は選任ルールを確認する
新基準では、管理規約に基づいて理事会を置く場合、区分所有法上の管理者の選任と解任について理事会決議による旨を定め、監事の選任と解任については集会決議による旨を定める基準が示されています。
したがって、2027年4月以降に申請する予定であれば、現在の役員がどのように選任されたかを見るだけでは足りません。
現行管理規約そのものが、新しい認定基準に対応した内容になっているかも確認します。
もし規約改正が必要になれば、総会議案の準備や決議にも時間が必要です。
「申請の直前に見ればよい」と先送りすると、思った以上に準備期間が必要だと分かって焦る可能性があります。
申請時期が2027年4月以降になる見込みなら、早めに規約を点検しておく方が進めやすいでしょう。
長期修繕計画は申請日前5年以内の見直しを確認する
新基準では、長期修繕計画の作成または見直しについて、原則として申請日前5年以内という基準が示されています。
そのため、現在の長期修繕計画が認定基準に合う内容かだけではなく、いつ作成または見直したのか、その内容をどの総会で決議したのかまで確認しておく必要があります。
数年前に長期修繕計画を変更した管理組合では、その決議を行った総会議事録を早めに特定しておくとよいでしょう。
2027年改正には、このほかにも管理計画認定制度に関する変更があります。
実際に2027年4月1日以降に申請するときは、国土交通省と所在地自治体が公表する最新の認定基準、事務ガイドライン、申請案内を改めて確認してください。
管理計画認定と総会議事録のよくある質問
- 管理計画認定の申請には総会決議が必要ですか
-
原則として、管理計画認定を申請することについて普通決議を行い、その議事録を確認します。
国土交通省の公式Q&Aでも、管理計画認定制度の申請には普通決議が必要であり、申請時に総会議事録を添付することが示されています。
ただし、管理規約で別の方法を定めている場合には、その方法によることも可能です。
例えば、認定申請について理事会決議による旨を管理規約で定めている場合は、その規約と理事会議事録を確認します。
- 管理計画認定の申請は普通決議でよいですか
-
管理計画認定の申請自体は普通決議とされています。
ただし、具体的な決議成立要件については、自マンションの現行管理規約を確認してください。
現行のマンション標準管理規約単棟型では、普通決議について出席組合員の議決権の過半数で決する構成になっています。
「半数あればよい」と単純化するのではなく、定足数を含めて自マンションの現行規約を確認することが重要です。
- 理事長を理事会で選任している場合はどの議事録が必要ですか
-
自マンションの現行管理規約で、総会が理事を選任し、理事会が理事長を選任する仕組みになっているなら、両方の経緯を確認します。
総会議事録では現在の理事長が理事として選任されたことを確認し、その後の理事会議事録では理事長として選任されたことを確認します。
総会議事録に「理事長」という文字がないという理由だけで不備と考えず、規約上の選任経路が最後までつながっているかを見ることが大切です。
- 監事の選任はどの議事録で確認しますか
-
現行制度では、監事を置くことを決議した総会議事録が基本的な確認資料になります。
ただし、管理規約に別段の定めがある場合には、その規約と定めに応じた資料によって確認する仕組みがあります。
したがって、役員名簿で現在の氏名を確認するだけではなく、その監事を実際に選任した議事録まで遡ることが重要です。
また、2027年4月1日以降の申請では新しい認定基準も確認してください。
- 総会を年1回開催できなかった場合は認定されませんか
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国の現行基準では、集会が年1回以上開催されていることが原則です。
ただし、災害や感染症の感染拡大などによって前年の総会開催日から1年以内に開催できなかった場合については、その状況が解消された後に遅滞なく総会を招集したことを確認する取扱いがあります。
そのため、開催間隔が1年を超えたという事実だけを見て、一律に認定されないと判断することはできません。
個別事情がある場合は、申請先自治体へ確認してください。
- 過去何年分の総会議事録が必要ですか
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一律に「過去○年分」と考えるのではなく、何を確認するための議事録なのかで判断します。
年1回以上の総会開催を確認する場合は、直近の総会議事録が中心になります。
一方、現在の理事長や監事を以前の総会で選任しているなら、その選任年度まで遡る必要があります。
長期修繕計画も同じです。
現在使っている計画を数年前に作成または変更したのであれば、その決議を行った総会議事録を確認します。
「3年分なら大丈夫」「5年分あれば安全」と年数だけで考えるより、証明したい事実から必要資料を逆算する方が正確です。
- 議事録に押印がありませんが確認資料になりますか
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押印がないという一点だけで、現在の議事録を直ちに不適合と判断するものではありません。
まず、区分所有法上必要となる署名または電子署名を確認し、そのうえで自マンションの現行管理規約に定められた議事録作成ルールとも照合します。
「印鑑がないから使えない」「氏名が印字されているから署名も問題ない」というように、一つの形式だけで判断しないことが重要です。
- 過去の議事録に記載漏れがあれば加筆できますか
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安易に後から書き足すことは避けた方がよいでしょう。
当時は実際に決議していたものの議事録への記載だけが不足している場合と、決議自体を行っていなかった場合では対応が異なります。
議案書や当時の配布資料なども確認し、何が実際に決議されたのかを整理してください。
判断が難しい場合は、マンション管理士や申請先自治体などへ相談することが考えられます。
- マンション管理士へ事前確認を依頼できますか
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管理計画認定手続支援サービスでは、事前確認講習を修了したマンション管理士による事前確認の仕組みがあります。
適合していると確認された場合には、マンション管理センターから事前確認適合証が発行されます。
ただし、事前確認を利用する申請経路は複数あります。
また、地方公共団体が独自に設けている認定基準は、マンション管理士による国基準の事前確認の対象外です。
事前確認適合証を取得した場合でも、申請先自治体の独自基準については別途確認してください。
管理計画認定の総会議事録確認まとめ
管理計画認定で総会議事録を確認するときは、過去の議事録を片端から集める必要はありません。
まず、管理者等、理事長、監事、総会開催、認定申請、長期修繕計画という確認したい事実を一つ決めます。その事実について現行管理規約でルールを確認し、必要な総会議事録へ進み、規約上必要なら理事会議事録までつなげてください。
この順番で確認すると、「手元の議事録で申請できるのか分からない」という漠然とした不安は、「現在の理事長を選任した理事会議事録を探す」「監事を選任した年度の総会議事録を確認する」という具体的な作業へ変わります。
資料に不足や食い違いが見つかることもあるでしょう。
それでも、何が足りないのかまで分かれば、別の議事録を探すのか、決議の有無を確認するのか、専門家へ相談するのかという次の行動を選べます。
最終的な目標は、議事録を何冊そろえたかではありません。
自分のマンションについて、誰がいつどの機関で選任され、どの総会で必要な決議が行われたのかを資料から説明できる状態にすることです。
そこまで確認できれば、「必要な総会議事録が分からない」という最初の状態からは大きく前へ進んでいます。
認定申請のためだけに書類を集めるのではなく、自分たちの管理組合がどのようなルールで意思決定を続けてきたのかを確かめる機会として、この確認作業を使うことにも意味があるのではないでしょうか。
参考資料
国土交通省「マンションの管理計画認定に関する事務ガイドライン」