「隣のベランダからたばこの煙が入ってきます。管理組合で何とかしてもらえませんか」
このような相談を受けたとき、理事長や理事はすぐに答えを出せるとは限りません。苦情を申し出た居住者が現実に困っていることは理解できても、喫煙していると思われる住戸へ突然注意すれば、「管理規約のどこに禁止と書いてありますか」「自分の住戸に付属するベランダなのに、なぜ管理組合から注意されるのですか」と反発される可能性があります。
ベランダ喫煙の難しさは、単なる好き嫌いやマナーの問題として割り切りにくいところにあります。煙やにおいが室内へ入り込む不快感、洗濯物へのにおい移り、受動喫煙への不安、火の不始末への心配などが日常生活の中で繰り返されるため、苦情を申し出た側にとっては「今日もまた煙が入ってくるかもしれない」という落ち着かなさにつながるからです。
一方、喫煙する側にも事情や心情があります。長年、自分の住戸に付属するベランダで喫煙してきた人であれば、ある日突然「迷惑行為だからやめてください」と伝えられたとき、自分だけを責められたように感じることもあるでしょう。
この二つの感情が直接ぶつかると、問題は「煙の影響をどう減らすか」という話から、「誰が苦情を言ったのか」「管理組合はどちらの味方なのか」という住民同士の対立へ変わってしまいます。
だからこそ、管理組合に求められるのは誰かを裁くことではありません。現在どのような支障が生じているのかを確認し、自マンションの管理規約と使用細則を読み、必要最小限の対応を実施したうえで、その結果を確かめながら次の判断へ進むことが重要です。
この記事の主軸は、法律知識を網羅することではなく、理事長や理事が苦情を受けたその日から対応順序を判断できるようにすることです。そのため、まず実務フローを示し、その後にベランダの規約上の位置付け、健康増進法、裁判例、2025年改正マンション標準管理規約、2026年施行の改正区分所有法といった制度上の根拠を確認していきます。
ベランダ喫煙の苦情対応は7段階で考える
ベランダ喫煙への対応で避けたいのは、苦情が来るたびにその場の雰囲気で判断することです。担当する理事や理事長によって対応が変われば、苦情を申し出る側にも喫煙する側にも「前回と扱いが違う」という不公平感が残ります。
管理組合としては、次の流れを一本の軸として持っておくと実務を整理しやすくなります。
| 段階 | 管理組合が確認すること | 主な対応 |
|---|---|---|
| 1 現行ルールの確認 | 管理規約 使用細則 バルコニーの位置付け | 禁止規定や迷惑行為条項を確認する |
| 2 苦情内容の記録 | 日時 頻度 煙やにおいの影響 | 推測と確認できた事実を分けて記録する |
| 3 発生源の確度判断 | 発生方向 複数の申出 過去の記録 | 特定住戸へ進むだけの情報があるか判断する |
| 4 必要最小限の注意 | 発生源の確度 緊急性 規約の有無 | 全体周知または個別対応を選ぶ |
| 5 改善状況の確認 | 注意後に苦情が減ったか | 改善したなら必要以上に追及しない |
| 6 共通ルールの検討 | 同じ問題が繰り返されているか | 使用細則や対応基準の見直しを検討する |
| 7 専門家への相談 | 法的請求 強い措置 権利制限 | マンション管理士や弁護士へ相談する |
この流れの中心にあるのは、「注意をしたか」ではなく「注意した結果どうなったか」を確認する姿勢です。掲示物を出したことで対応を終えるのではなく、改善したならそこで止まり、改善しなければ原因を分析して次の段階へ進みます。
ベランダ喫煙の苦情が来たら最初に確認する4点
苦情を受けた直後は、「すぐ相手へ注意してください」と求められることがあります。理事長としても、何もしなければ管理組合が放置したと思われるのではないかと焦るでしょう。
しかし、発生源もルールも確認していない段階で特定住戸へ強い警告を行うと、今度は喫煙そのものではなく、管理組合の対応の妥当性が争点になる可能性があります。最初に確認したいのは、現在有効な管理規約と使用細則、ベランダの規約上の位置付け、苦情の具体的状況と発生源の確度、そして管理会社と管理組合の役割分担です。
管理規約と使用細則の現行規定を確認する
最初に見るのは、自マンションで現在有効な管理規約と使用細則です。
「バルコニーでの喫煙を禁止する」「共用部分における喫煙を禁止する」と明記されているマンションもあれば、喫煙について直接触れていないマンションもあります。直接的な禁止規定が見つからない場合には、他の居住者へ迷惑を及ぼす行為や共同生活の秩序を乱す行為について定めた条項も確認します。
ただし、一般的な迷惑行為条項があるからといって、すべてのベランダ喫煙が自動的に規約違反になるわけではありません。煙やにおいの程度、頻度、生活への具体的な影響などを確認しながら判断する必要があります。
また、「以前から禁煙だったはず」という役員の記憶だけで進めないことも重要です。過去に禁煙をお願いする掲示が出ていても、それが正式な使用細則ではない場合がありますし、反対に手元の規約冊子が古く、過去の総会で使用細則が変更されていることもあります。
必要に応じて総会議事録や細則の改定履歴まで確認し、現在有効なルールを確定させます。何度も同じ苦情が出ているにもかかわらず、これまで掲示を繰り返すだけだったのであれば、個人のマナーだけでなく、管理組合として判断するための共通基準が不足していないかも振り返るべきでしょう。
ベランダの規約上の位置付けを確認する
ベランダについて注意を受けた居住者から、「自分の住戸からしか出られないのだから専有部分ではないのですか」と言われることがあります。
令和7年改正マンション標準管理規約単棟型では、バルコニーは共用部分の範囲に含まれ、各住戸の区分所有者へ専用使用権を認める構成になっています。つまり、標準管理規約に準じたマンションでは、日常的には特定の住戸だけが利用する場所であっても、完全な専有部分として扱う構成ではありません。
もっとも、マンション標準管理規約は各マンションが規約を作成または改正するときのひな型です。すべてのマンションへ自動的に適用されるものではないため、自マンションの専有部分、共用部分、専用使用権、別表の規定を確認する必要があります。
この確認には、単なる法律知識以上の意味があります。喫煙する人が「自分だけが使う場所だから自由に使える」と考えている場合、その認識と管理規約上の位置付けの違いを説明できれば、管理組合からの要請を単なる個人的な価値観の押し付けとして受け取られにくくなります。
苦情内容と発生源の確度を分けて記録する
苦情を受けたら、「煙が迷惑です」という一言だけで終わらせず、いつ頃から続いているのか、何時頃に多いのか、どの程度の頻度なのかを可能な範囲で確認します。
洗濯物ににおいが付く、室内まで煙を感じる、窓を開けられないなど、具体的な生活上の支障があるなら、その内容も記録します。健康への影響を申し出ている場合には、その申出内容をそのまま残しますが、管理組合が医学的な因果関係まで判断する必要はありません。
さらに、「下の住戸から来ているように感じる」という話と、「実際にその住戸のベランダで喫煙しているところを確認した」という事実は分けて記録します。煙は風向きや建物形状によって流れ方が変わるため、苦情申出者が感じた方向と実際の発生源が一致しない可能性があるからです。
一方、苦情を申し出た居住者へ裁判のような証明を要求する必要もありません。「写真や動画がなければ何もできません」と返されれば、困って相談した側には「信用されなかった」という感情が残るでしょう。
記録の目的は、誰かを犯人として確定させることではありません。全体周知でよいのか、個別対応へ進むべきなのかを、理事会が感情ではなく事実に基づいて判断するためです。
管理会社と管理組合の役割を確認する
「管理会社に任せればよいのではないか」と感じる理事もいるでしょう。
実際、苦情受付、掲示文の作成、全戸配布などを管理会社が支援しているマンションは少なくありません。ただし、管理会社がどこまで対応するかは実際の管理委託契約によって異なります。
国土交通省のマンション標準管理委託契約書は、管理組合と管理会社が契約を締結する際の参考となる標準的なモデルです。そのため、標準契約書に規定例があるからといって、自マンションの管理会社にも同じ業務が当然に含まれるわけではありません。
管理会社には実務を支援してもらい、管理組合は対応方針を決めるという役割分担を意識すると整理しやすくなります。喫煙ルールの制定や変更、規約違反として扱うかどうか、総会へ何を議案として提出するかといった意思決定は、管理組合側で行う必要があります。
管理規約と使用細則に喫煙禁止規定がある場合
現行の管理規約や使用細則にバルコニーや共用部分での喫煙禁止規定が存在する場合、管理組合はその規定を根拠として遵守を求めることができます。
とはいえ、「禁止と書いてあるから対象住戸へ直ちに強い警告を出せばよい」という話ではありません。条文の対象範囲と発生源の確度を確認したうえで、改善を目的として対応することが大切です。
禁止規定が適用される場所を確認する
「共用部分での喫煙を禁止する」という規定であれば、自マンションの規約上でバルコニーがどのように扱われているかを確認します。
反対に、「エントランス及び共用廊下での喫煙を禁止する」と場所が限定されているのであれば、その条文が当然にバルコニーまで及ぶとは限りません。「火気使用禁止」という文言についても、喫煙禁止と同一の意味になるかは実際の条文を読む必要があります。
理事会が先に結論を決め、その後から使えそうな条文を探すと、規約の解釈を必要以上に広げてしまいがちです。まず規定を正確に読み、その範囲へ今回の事実を当てはめる順番を守るほうが安全でしょう。
加熱式たばこも含むかを確認する
最近は紙巻たばこだけでなく、加熱式たばこをめぐって「煙ではなく蒸気だから規則の対象外ではないか」という議論が起きることがあります。
健康増進法第28条では、喫煙について、たばこを燃焼させる場合だけでなく、加熱することによって煙を発生させる行為を含み、その煙には蒸気も含むと定義しています。
ただし、自マンションの使用細則に記載された「喫煙」という言葉がどこまでの製品を対象とするかは、細則の文言や制定経緯によって確認する必要があります。
今後ルールを作り直すのであれば、紙巻たばこや加熱式たばこなど、対象となる行為を居住者が理解できる形で整理しておくと、後から「これは対象外ではないか」という争いを減らしやすくなります。
規約違反でも改善を目的にする
明確な禁止規定が見つかると、理事会の中では「規約違反なのだから強く言うべきだ」という空気が生まれることがあります。
しかし、管理組合の目的は違反者を懲らしめることではありません。問題となっている状態を改善し、同じことが繰り返されない状態へ戻すことです。
最初の個別連絡では、該当条文を示しながら「現在このような相談が寄せられており、当マンションではこの規定がありますので、今後は遵守をお願いします」と伝える方法があります。
規約という根拠を明確にしつつ、相手が行動を修正できる出口を残すことが、長期的には住民間の対立を抑えやすくします。
禁止規定がない場合に管理組合ができる対応
管理規約や使用細則を調べても、ベランダ喫煙を直接禁止する規定がないことがあります。
この場合に「何もできない」と考える必要はありませんが、存在しない禁止規定をあるかのように扱うこともできません。現実に煙やにおいの影響が生じているのであれば、まず周囲への配慮を求める対応から考えます。
迷惑行為条項は個別事情と合わせて考える
管理規約に、共同生活の秩序を乱す行為や他の居住者へ迷惑を及ぼす行為を禁止する一般条項が置かれている場合があります。
煙やにおいが繰り返し他住戸へ流入し、生活上の支障が具体的に発生しているのであれば、このような条項との関係を検討する余地があります。
ただし、一般条項があるだけで「ベランダで一本吸った時点で規約違反」と機械的に判断するべきではありません。発生頻度、程度、改善要請の経緯などを整理しながら、どの程度の対応が必要なのかを検討します。
禁止規定がない初期段階では、「ベランダ喫煙は禁止されています」と伝えるより、「煙やにおいについて相談が寄せられているため、周囲への影響が生じないよう配慮してください」と伝えるほうが、管理組合の根拠と実際の言葉が一致します。
健康増進法は配慮義務と禁煙規制を分けて考える
ベランダ喫煙の相談を受けると、「受動喫煙なのだから健康増進法違反ではないのですか」と尋ねられることがあります。
ここでは、罰則を伴う禁煙規制と、第27条に定められた喫煙時の配慮義務を明確に分けなければなりません。
健康増進法第27条は、何人も、特定施設等の喫煙禁止場所以外の場所で喫煙する際に、望まない受動喫煙を生じさせないよう周囲の状況へ配慮しなければならないと定めています。
一方、厚生労働省の集合住宅等に関するファクトシートでは、集合住宅のベランダや住居内での喫煙について、健康増進法の罰則の対象外である一方、第27条の配慮義務があると整理されています。
したがって、「ベランダで喫煙すれば健康増進法の罰則対象になる」という説明は適切ではありません。その反対に、「自宅やベランダなら健康増進法とはまったく関係がない」と説明することも正確ではなく、望まない受動喫煙を生じさせないよう周囲へ配慮するという考え方は残ります。
さらに重要なのは、第27条に配慮義務があることだけを理由として、管理組合に直接的な喫煙中止命令権や独自の制裁権が生じるわけではないことです。
管理組合が実際にどこまで是正を求められるかを考えるときは、自マンションの管理規約や使用細則、実際に生じている影響、これまでの経緯などを確認する必要があります。健康増進法第27条は、管理組合が「法律違反だから直ちに禁止する」ための武器というより、周囲への配慮を求める際の法的背景の一つとして位置付けるほうが実務に合っています。
この区別をせず、「法律違反です」と強く告げれば、注意された側は犯罪者のように扱われたと感じるかもしれません。すると、本来話し合うべき煙やにおいの影響ではなく、管理組合の法律解釈そのものをめぐる争いへ話が移ってしまいます。
名古屋地裁のベランダ喫煙判決から分かること
禁止規定がないベランダ喫煙を考える際によく参照されるのが、名古屋地方裁判所平成24年12月13日判決です。
この判決を「ベランダ喫煙は違法だと裁判所が決めた」とだけ紹介すると、結論を単純化しすぎます。重要なのは、どのような事情が重なったときに不法行為となり得るのかを見ることです。
公益財団法人不動産流通推進センターの判例解説では、ベランダ喫煙を禁止する使用規則が存在しなくても、他の居住者へ著しい不利益を与えていることを知りながら喫煙を続け、何ら防止措置を取らない場合には不法行為を構成することがあり得ると整理されています。名古屋地裁の事案では慰謝料5万円が認められました。
| 確認事項 | 判例解説から読み取れる内容 |
|---|---|
| 禁止規定 | ベランダ喫煙を直接禁止する使用規則がない事案 |
| 重視された事情 | 他の居住者への著しい不利益を認識しながら喫煙を継続したこと |
| 法的評価 | 個別事情によって不法行為を構成する場合がある |
| 損害賠償 | 名古屋地裁の事案では慰謝料5万円 |
| 注意点 | ベランダ喫煙すべてを違法と判断したものではない |
同じ解説では、東京地裁平成26年4月22日判決について、一日数本程度のベランダ喫煙が受忍限度内と判断された例も紹介されています。つまり、煙を感じたという事実だけで結論が決まるのではなく、頻度、程度、具体的な影響、喫煙者の認識、改善要請後の対応などによって評価が変わるということです。
管理組合がこの判例を使うのであれば、「裁判で違法とされています」と相手を威圧する材料ではなく、「禁止規定がなくても、他者へ著しい不利益を与えていることを認識しながら配慮せず継続した場合には法的責任が問題となる可能性があります」と説明するための材料と考えたほうがよいでしょう。
発生源が未確定なら全体周知から始める
「注意喚起は全体から個別へ」という方法は、あらゆるベランダ喫煙トラブルで必ず守る順番ではありません。
この方法が特に適しているのは、発生源を十分に特定できておらず、火災などの緊急性もなく、初期段階の相談である場合です。
反対に、明確な喫煙禁止規定があり、発生源も十分確認されており、過去にも個別注意を行っているのであれば、再び全戸へ一般的な掲示を出すことが適切とは限りません。また、火の付いた吸い殻の落下など安全上の具体的危険がある場合には、通常の段階対応より迅速な措置を検討する必要があります。
発生源が未確定の場合の3段階対応例
| 対応段階 | 管理組合の対応 | 実務上の確認 |
|---|---|---|
| 苦情を受けた当日 | 苦情内容を記録し規約と細則を確認する | 発生日時 頻度 影響 規定の有無 |
| 改善なし | 全体周知後の状況を確認し必要に応じ周辺住戸へ配慮を求める | 苦情の継続 他住戸からの申出 発生源の確度 |
| 再発時 | 理事会で個別対応やルール整備を検討する | 注意履歴 規約との関係 使用細則の必要性 |
この表は標準的な進め方の一例であり、必ず三段階を経なければ個別対応できないという意味ではありません。
全体周知後は必ず変化を確認する
全体向けの注意掲示を出したことで、管理組合が「対応済み」と考えてしまうことがあります。
しかし、本当に確認するべきなのは、掲示したという事実ではなく、その後に煙やにおいの流入が減ったかどうかです。
全体周知後に苦情が止まったのであれば、喫煙していた人が自分の行為に気付き、行動を変えたという可能性があります。この場合、誰が吸っていたのかを探し続ける必要はありません。
それでも問題が続くのであれば、同じ掲示を貼り直すだけではなく、本人に注意が伝わっていないのか、発生源が違うのか、それともマンションとして共通の喫煙ルールが存在しないことが原因なのかを分析します。
注意回数を増やしても結果が変わらない場合、足りないのは注意の強さではなく判断基準なのかもしれません。
匿名性に配慮したベランダ喫煙の注意文例
全体周知では、苦情申出者を推測させず、特定の住戸も断定せず、それでも現実に困っている居住者がいることを伝える必要があります。
強い言葉ほど効果が高いわけではありません。法的根拠以上の表現を使うと、注意された側の反発によって問題が長期化する可能性があります。
全戸向けベランダ喫煙注意文
ベランダ等での喫煙に関するお願い
居住者の皆様へ
日頃より管理組合の運営にご理解とご協力をいただきありがとうございます。
最近、当マンションにおいて、ベランダ付近から流れてくるたばこの煙やにおいが室内へ入ることや、洗濯物等ににおいが付くことについて相談が寄せられています。
ベランダ等で発生した煙やにおいは、風向きや建物の構造によって近隣住戸の窓や給気口付近まで流れる場合があり、喫煙されている方が想定している以上に周囲へ届くことがあります。
本ご案内は特定の居住者または住戸を対象として注意するものではありません。喫煙される場合には、当マンションの管理規約及び使用細則をご確認いただくとともに、周囲の住戸へ煙やにおいの影響が生じないよう十分なご配慮をお願いいたします。
皆様が安心して生活できる住環境の維持に、ご理解とご協力をお願いいたします。
○○マンション管理組合
自マンションに明確な喫煙禁止規定がある場合には、該当条文を示したうえで規定の遵守を求める文章へ変更します。
反対に禁止規定がない場合には、「ベランダ喫煙は法律違反です」「規約違反です」といった断定を加えません。
周辺住戸向けベランダ喫煙注意文
ベランダ等での喫煙に関する配慮のお願い
周辺にお住まいの皆様へ
先般、ベランダ等での喫煙について全体へのご案内を行いましたが、その後も一定の時間帯にたばこの煙やにおいが流入するとの相談が寄せられています。
現時点で特定の居住者を違反者として断定するものではありませんが、本住戸周辺から煙が流れていると感じられる状況が継続しているとの申出があります。
お心当たりのある方におかれましては、現在の管理規約及び使用細則をご確認いただき、喫煙場所を見直すなど、近隣住戸へ煙やにおいが及ばないようご配慮をお願いいたします。
なお、本ご案内は苦情申出者または特定の居住者を明らかにすることを目的とするものではありません。
円滑な共同生活の維持に、ご理解とご協力をお願いいたします。
○○マンション管理組合
「室内で吸えば問題ありません」と管理組合が一律に解決方法を指定することも避けたほうがよいでしょう。換気方法や建物構造によっては室内での喫煙でも周辺へ影響する可能性があるため、管理組合は特定の喫煙方法を保証するより、他住戸への影響を生じさせないよう配慮を求めるほうが安全です。
改善しない場合に理事会で確認すること
全体周知や個別の配慮要請を行っても状況が改善しないと、「もっと強い警告を出したほうがよい」という意見が理事会で出てくるでしょう。
その前に必要なのは、対応の強さを上げることではなく、なぜ改善しなかったのかを整理することです。
発生源の認識そのものが違っているのであれば、強い警告を出しても問題は解決しません。全体周知を本人が自分への注意だと理解していない場合もありますし、「規約に禁止と書いていないから問題はない」と考えているため配慮要請の意味が伝わっていない場合もあります。
ここまで確認して初めて、個別の申入れを強めるのか、それとも管理組合側の共通ルールを整えるべきなのかが見えてきます。
理事会で確認するベランダ喫煙対応チェックリスト
| 確認項目 | 確認内容 | 確認 |
|---|---|---|
| 現行規約 | 有効な管理規約と使用細則 | □ |
| ベランダの位置付け | 共用部分と専用使用権 | □ |
| 喫煙規定 | 禁止規定や迷惑行為条項 | □ |
| 苦情記録 | 日時 頻度 具体的影響 | □ |
| 発生源 | 推測と確認済み事実の区別 | □ |
| 初期対応 | 状況に応じた全体周知や個別対応 | □ |
| 効果確認 | 注意後の変化 | □ |
| 匿名性 | 苦情申出者を必要以上に特定させない | □ |
| 管理会社 | 委託契約上の役割 | □ |
| 共通ルール | 使用細則の見直しの必要性 | □ |
| 合意形成 | アンケートや説明会の必要性 | □ |
| 専門家相談 | 法的判断が必要な段階か | □ |
このチェックリストは、書類を埋めるためのものではありません。
理事会として「なぜ次の対応を選ぶのか」を説明できる状態にすることが目的です。後から担当理事が交代しても、記録を見れば同じ判断を再現できる状態にしておくことで、住民への説明にも一貫性が生まれます。
喫煙ルールを使用細則へ追加する場合
同じ苦情が繰り返され、現在の規約では判断しにくいのであれば、使用細則によって共通の喫煙ルールを整備することを検討します。
ここで重要なのは、使用細則を「禁止事項を増やすための文書」と考えないことです。どこまでが許容され、問題が起きた場合にどのような手順で対応されるのかを居住者にも理事会にも分かる状態にすることが、本来の役割になります。
2025年改正で喫煙ルールの考え方が明確になった
国土交通省は2025年10月17日にマンション標準管理規約を改正しました。
改正後の第18条関係コメント⑥では、共用部分で喫煙を認めるか認めないか、認める場合の場所や遵守事項、違反した者への措置などについて、使用細則で定めることが可能であると明示されています。
さらに、他の区分所有者や占有者との円滑な共同生活を維持する観点から、周囲の状況へ配慮した方法で喫煙することが望ましく、そのような規定を使用細則へ盛り込むことも考えられるとされています。
この改正は、国土交通省が全国一律に「ベランダ喫煙を禁止しなさい」と決めたものではありません。
全面禁止とするのか、特定の場所だけ喫煙を認めるのか、周囲への配慮義務を明記するのかは、マンションごとの構造や実際のトラブル状況を踏まえて検討します。
違反時の対応手順まで整える
使用細則へ「バルコニーでの喫煙は禁止する」と一文だけ追加した場合、実際に問題が起きたときには「誰が確認するのか」「初回から個別通知を出すのか」「再発したらどうするのか」という別の疑問が生まれます。
そのため、対象となる場所や行為と併せて、違反が疑われる場合の初期対応、個別の改善要請、再発時の理事会対応についても整理しておくと運用しやすくなります。
同じルールでも役員によって対応が変わる状態を減らせることが、使用細則を整える大きな意味です。
使用細則と管理規約の決議方法を混同しない
標準管理規約の構成では、使用細則の制定や変更は総会決議事項として扱われます。ただし、喫煙制限の内容によっては使用細則だけで定めてよいのか、それとも管理規約本文の変更まで必要なのかを別途検討しなければなりません。
この「原則として使用細則で具体的な使用方法を定められること」と、「どのような内容でも使用細則だけで決められるわけではないこと」を分けて考える必要があります。
令和7年改正マンション標準管理規約単棟型では、規約及び使用細則等の制定、変更または廃止は総会の決議事項とされています。
そのため、自マンションが標準管理規約と同様の構成であり、規約が使用細則へ委任している範囲で具体的な利用方法を定めるのであれば、通常の総会決議として扱うことが基本になるでしょう。
しかし、「使用細則に書けば普通決議でどのような制限でも設定できる」と考えることは適切ではありません。自マンションの管理規約が使用細則へどこまで委任しているか、導入しようとしている制限が具体的な使用方法の範囲に収まるのか、それとも規約本文に関わる内容なのかを確認する必要があります。
特定の区分所有者の権利へ大きな影響を及ぼす内容であれば、さらに慎重な法的検討が必要になるという可能性があります。
2026年施行の改正区分所有法を確認する
管理規約そのものを変更する場合には、2026年4月1日に施行された改正区分所有法を前提に考えなければなりません。
国土交通省は、2026年4月1日以降に規約改正に係る総会の招集手続を開始する場合、組合員総数及び議決権総数の各過半数の出席を定足数とし、総会に出席した組合員及びその議決権の各4分の3以上で決議する手続を示しています。
この場合、書面または代理人によって議決権を行使する者についても、標準管理規約上は出席した組合員として扱う構成です。
したがって、以前の記事に多かった「規約変更には全組合員数と全議決権の各4分の3以上が必要」という説明を、そのまま2026年以降の総会へ当てはめるべきではありません。
また、総会を開催する日だけでなく、規約改正に係る招集手続をいつ開始したかによって適用関係を確認する必要があります。具体的な改正を行う場合には、その時点の区分所有法、国土交通省の案内、自マンションの管理規約を併せて確認してください。
| 使用細則の制定や変更 | 管理規約そのものを変更する場合 |
|---|---|
| 標準管理規約の構成では、使用細則の制定や変更は総会決議事項として扱われます。 | 2026年4月1日に施行された改正区分所有法を前提に考えなければなりません。 |
アンケートと説明会は結論を先送りするためではない
使用細則を変更する際、法的な決議要件を満たすことと、住民が新しいルールを理解して受け入れることは別の問題です。
長く煙に悩んでいる居住者からすれば、「なぜまだアンケートを取る必要があるのか」と感じるかもしれません。一方、突然全面禁煙の議案を示された喫煙者からすれば、「自分たちの意見を聞かずに決められた」と感じる可能性があります。
全戸アンケートは、決議の代わりではありません。
実際にどの程度の居住者が煙やにおいの影響を感じているのか、全面禁止と配慮規定についてどのような意見があるのかを把握し、総会で議論する材料にするためのものです。
住民説明会を行う場合にも、喫煙者と非喫煙者を向かい合わせた討論会にしないことが大切です。管理組合から、これまでにどのような相談があり、何を実施し、なぜ現在のルールだけでは運用が難しいと判断したのかを説明します。
ルール変更を「喫煙者を締め付けるための措置」ではなく、「今後同じ問題が起きたときに同じ基準で判断するための仕組み」と説明できれば、合意形成の意味も伝わりやすくなるでしょう。
管理組合だけで解決が難しいケース
注意喚起や個別の配慮要請を行い、ルール整備を検討しても解決しない事案があります。
長期化すると、最初は煙についての相談だったものが、住民同士の感情や権利をめぐる争いへ変わることがあります。この段階で理事長が何でも解決しようとすると、役員自身が当事者に近い位置へ巻き込まれかねません。
発生源が確認できない場合
煙やにおいが流入していることは分かっていても、どの住戸から発生しているか確認できない場合があります。
この状態で一戸を名指しすれば、誤った相手へ注意する危険があります。しかし、何もしなければ苦情申出者には「管理組合は動いてくれない」という不満が残ります。
このような場合には、個人を無理に特定するより、全体周知とルール整備へ重点を移す方法があります。誰が行ったのか分からない問題ほど、「誰が悪いか」より「同じ状況をマンションとしてどう扱うか」を整える意味が大きくなります。
当事者同士の対立が強くなった場合
喫煙者と苦情申出者が互いを認識し、直接訪問や言い争いが始まると、問題の性質が変わります。
暴言、威圧、騒音、嫌がらせなどへ広がっているなら、単純な喫煙マナーの問題として処理するべきではありません。
管理組合は一方の代理人になるのではなく、規約上の管理問題として扱う部分と、個人間の紛争として別途対応する部分を切り分ける必要があります。
損害賠償や差止めの話になった場合
「治療費を請求したい」「法的に喫煙をやめさせてほしい」という要求が出た場合には、通常の管理組合運営を超える法的判断が必要です。
名古屋地裁の判決があるからといって、同様の請求が必ず認められるわけではありません。具体的な喫煙状況、影響、改善要請の経緯などによって結論が変わる可能性があります。
理事会が法的結論まで背負う必要はなく、専門家へ判断を渡すべき段階を見極めることも管理組合の役割です。
マンション管理士と弁護士へ相談する目安
問題が長引くほど、役員は「どこまで自分たちで判断すればよいのか」と迷います。
専門家へ相談することは、管理組合が責任を放棄するという意味ではありません。自分たちで決めるべき部分と、専門的判断を求める部分を適切に分けることが重要です。
マンション管理士へ相談する場面
現在の管理規約と使用細則を整理したい場合、2025年改正マンション標準管理規約を踏まえて喫煙ルールを作りたい場合、総会議案や住民説明の進め方を検討したい場合には、マンション管理士へ相談する方法があります。
特に、規約本文を変更する必要があるのか、それとも使用細則で対応できるのか判断しにくい場合には、議案作成前に第三者の確認を入れる意味があります。
また、喫煙問題をきっかけに、ペット、騒音、工事、置き配など他の生活ルールも現在の実態と合っていないことが分かる場合があります。その場合でも一度に全部を変更する必要はなく、現に問題が生じている項目から優先順位を付けて整理したほうが理事会の負担を抑えられます。
弁護士へ相談する場面
個別住戸への法的警告、損害賠償、差止め、強い権利制限が具体的な論点になった場合には、弁護士への相談を検討します。
また、新しい喫煙制限が区分所有者の権利へどの程度影響するのか判断しにくい場合や、必要な総会決議方法に疑問がある場合にも法的確認が有効です。
「理事会だけでここまで決めて大丈夫だろうか」と感じる段階で相談したほうが、問題がこじれてから修正するより選択肢を残せます。
喫煙者の部屋番号を掲示してもよいか
問題が繰り返されると、「部屋番号を掲示すれば本人もやめるのではないか」という意見が出ることがあります。
しかし、発生源の判断が間違っていれば重大な問題になりますし、仮に喫煙の事実が確認されていても、その情報を全居住者へ公表する必要性があるかは別に検討しなければなりません。
初期対応では、住戸番号や氏名を全体掲示せず、まず匿名の周知を行い、必要な場合には対象者本人へ個別に連絡する方法が適切でしょう。
一方で、「住戸番号の公表はどのような状況でも絶対に違法」と一律に断定することも避けます。公表を必要と考えるほど重大な事情がある場合には、必要性や相当性、名誉やプライバシーへの影響を含めて、実施前に弁護士へ確認することが望まれます。
ベランダ喫煙に関するFAQ
- ベランダに喫煙禁止規定がなくても注意できますか
-
禁止規定がない場合でも、煙やにおいについて実際に相談が寄せられているのであれば、周囲への配慮を求める注意喚起を行うことは考えられます。
ただし、明文の規定がない状態で「あなたは規約違反です」と断定することは避けます。名古屋地裁の裁判例についても、規則がなくても個別事情によって不法行為となり得ることを示したものであり、ベランダ喫煙すべてを違法とするものではありません。
- 健康増進法でベランダ喫煙は禁止されていますか
-
集合住宅のベランダや住居内喫煙については、厚生労働省資料で健康増進法の罰則の対象外と整理されています。一方、第27条には、望まない受動喫煙を生じさせないよう周囲へ配慮する義務があります。
したがって、「ベランダ喫煙は健康増進法違反だから管理組合が禁止できる」と一律に説明するのは適切ではありません。また、第27条があること自体から、管理組合に直接的な中止命令権や制裁権が生じるわけでもありません。
- ベランダは専有部分ですか共用部分ですか
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まず自マンションの管理規約を確認してください。
令和7年改正マンション標準管理規約単棟型では、バルコニーは共用部分の範囲に含められ、各住戸の区分所有者へ専用使用権を認める構成です。
ただし、標準管理規約はひな型であるため、自マンションの規約を確認せず全国一律に判断するべきではありません。
- 最初は必ず全戸へ注意しなければなりませんか
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必ずしもそうではありません。
発生源が未確定で緊急性も低い初期段階では、全体周知から始める方法が合理的です。一方、明確な禁止規定があり、発生源も十分確認できており、既に注意履歴がある場合などは、個別対応から進むほうが適切なこともあります。
火災など具体的な安全上の危険がある場合には、通常の段階対応にこだわらず迅速に対応します。
- 管理会社と管理組合のどちらが対応しますか
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管理会社が苦情受付や掲示物の作成、居住者への連絡を支援できる場合がありますが、実際の業務範囲は自マンションの管理委託契約によって異なります。
管理会社へ日常実務を依頼することと、管理組合が対応方針を決定することは分けて考えます。使用細則の制定や変更、総会議案の内容、規約違反として扱うかどうかといった判断は、管理組合として行う必要があります。
- 使用細則を変更するには総会決議が必要ですか
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令和7年改正マンション標準管理規約単棟型では、規約及び使用細則等の制定、変更、廃止を総会の決議事項としています。
標準管理規約と同様の構成を採用しており、規約から委任された範囲で具体的な使用方法を変更するのであれば、通常の総会決議として扱うことが基本になります。
ただし、「使用細則なら普通決議で必ずどのような喫煙禁止でも設定できる」という意味ではありません。自マンションの規約上の委任範囲や、導入する制限の内容を確認する必要があります。
管理規約そのものを変更する場合には、2026年4月1日施行の改正区分所有法を前提に、現在の定足数と決議要件を確認してください。
ベランダ喫煙対応で管理組合が守りたい軸
ベランダ喫煙の問題では、「喫煙する人と非喫煙者のどちらが正しいのか」という議論に入り込むほど、管理組合の判断が難しくなります。
管理組合が確認するべきなのは、現在どの程度の支障が発生し、その状態を現在の管理規約と使用細則でどこまで扱えるのかという点です。そのうえで、これまで実施した対応によって改善したかを確認し、改善しないなら発生源の認識、注意の伝わり方、共通ルールの不足といった背景を分析します。
苦情を申し出た居住者には、自分では止められない煙が再び入ってくるかもしれないという不安があります。一方、注意される側には、長年続けてきた生活習慣を突然否定されたように感じる戸惑いが生まれる場合があります。
その心情を理解することは必要ですが、どちらかの要求をそのまま管理組合の結論にする必要はありません。
小さな対応で改善したなら、そこで止めます。改善しなければ一段だけ対応を進め、それでも再発するなら個人への注意を繰り返すだけではなく、管理組合自身のルールを見直します。
法的な紛争になった段階では、役員だけで抱え込まず専門家へ相談します。
この順番が共有されていれば、理事長個人が「どちらの味方なのか」と迫られる状況を減らせます。管理組合が守るべきなのは一方の価値観ではなく、同じ条件であれば同じように判断できる共同生活の基準です。
まとめ マンションのベランダ喫煙は実務フローを先に整える
マンションのベランダ喫煙について苦情を受けたら、最初に管理規約と使用細則を確認し、ベランダの規約上の位置付け、苦情の具体的な発生状況、発生源の確度、管理会社との役割分担を整理します。
発生源が未確定で緊急性も低い初期段階では匿名の全体周知から始める方法がありますが、これはすべての案件に機械的に適用する順番ではありません。規約、発生源の確度、安全性、過去の注意履歴によって、最初から個別対応を検討する場合もあります。
健康増進法については、集合住宅のベランダや住居内喫煙が罰則付き禁煙規制の対象外と整理されている一方、第27条による周囲への配慮義務があります。ただし、この配慮義務だけを根拠に管理組合が直接中止命令や独自の制裁を行えるわけではないため、自マンションの規約と実際の影響を合わせて判断します。
また、2025年改正マンション標準管理規約では、喫煙について使用細則でルールを定める考え方が明確になりました。繰り返し注意しても問題が改善しない場合は、個人のマナーだけを責めるのではなく、マンション全体に共通の判断基準が不足していないかを確認することが重要です。
使用細則を変更する場合は、標準管理規約の構成では総会決議事項として扱われますが、喫煙制限の内容によって使用細則だけで足りるかは別途確認しなければなりません。管理規約そのものを変更する場合には、2026年4月1日に施行された改正区分所有法を前提に現在の決議要件を確認します。
事実を確認し、現在のルールを読み、必要最小限の対応を実施し、その結果を確かめて次へ進む。この流れが、住民同士の争いを必要以上に広げず、管理組合として住環境と共同生活の秩序を守るための実務の軸になります。
参考資料
以下は、この記事の主軸となる制度と裁判例を確認するための資料です。実際に規約変更や法的措置を検討する場合には、掲載時点の解説だけでなく公的機関が公表する最新版も確認してください。
国土交通省 マンション標準管理規約
マンション標準管理規約の最新版と関連資料を確認できます。国土交通省は標準管理規約を、各マンションが管理規約を制定または変更する際のひな型として位置付けています。
国土交通省 令和7年マンション標準管理規約改正説明資料
2025年改正の内容をまとめた資料で、第18条関係コメントに追加された喫煙ルールの考え方や、改正区分所有法を踏まえた変更点を確認できます。
国土交通省 令和7年改正マンション標準管理規約単棟型
バルコニーの共用部分としての位置付け、専用使用権、第18条の使用細則、第48条の総会決議事項などを確認できる一次資料です。
国土交通省 管理規約改正手続の留意点
2026年4月1日以降に規約改正総会の招集手続を開始する場合の定足数、決議要件、適用時期に関する留意点を確認できます。
厚生労働省 健康増進法
第27条の喫煙時の配慮義務と、第28条にある「喫煙」の定義を確認できます。
厚生労働省 集合住宅等の受動喫煙トラブル
集合住宅のベランダや住居内での喫煙について、健康増進法の罰則対象外である一方、第27条の配慮義務があるという整理を確認できます。
公益財団法人不動産流通推進センター ベランダ喫煙の裁判例解説
名古屋地裁平成24年12月13日判決や東京地裁平成26年4月22日判決を含め、受忍限度と不法行為の考え方を確認できます。
国土交通省 マンション標準管理委託契約書
管理会社と管理組合の役割分担を確認する際の参考となる標準契約書です。実際の苦情対応では、自マンションが締結している管理委託契約書を優先して確認します。