マンション管理士

マンション共用廊下の私物放置に管理組合はどう対応する? マンション管理士が対応手順を解説

共用廊下に自転車やベビーカーが置かれている。安全面を考えれば片付けてもらいたいものの、同じマンションで暮らす住民へ強く言うのは気が重い。理事長や理事として、そんな迷いを抱えることは珍しくありません。

何もしなければ管理組合として対応を怠っているように感じる一方、焦って撤去や処分へ進めば、今度は管理組合側が別のトラブルを抱える可能性があります。

だからこそ、共用廊下の私物問題では、最初から「どうやって撤去させるか」だけを考えないことが大切です。

まず現場と管理規約を確認し、事実を記録したうえで、必要な注意喚起や個別対応へ進みます。それでも改善しなければ理事会で組織的に判断し、規約解釈や法律上の問題が難しくなった段階で専門家へ相談する。この流れが基本です。

この記事では、共用廊下に置かれた自転車、ベビーカー、傘立て、段ボール、植木鉢、置き配などについて、管理組合がどのような順序で対応すればよいのかを実務の流れに沿って解説します。

単なる禁止事項の解説ではありません。

なぜ理事会が対応をためらうのか。なぜ住民は玄関前へ物を置くのか。なぜ一度片付いても再発するのか。

そうした背景まで考えながら、住民との不要な対立を避け、管理組合として説明できる形で改善へつなげる方法を整理していきます。

TABLE OF CONTENTS
目次

まず結論 共用廊下の私物には5ステップで対応する

共用廊下の私物放置を見つけても、管理組合が最初から強制撤去や処分を考える必要はありません。

基本となる対応は、次の5段階です。

段階 管理組合が行うこと 主な目的
1 現状確認と記録 何が起きているかを事実として把握する
2 全体への注意喚起 ルールを知らない住民を含めて自発的な改善を促す
3 該当住戸への個別通知 対象物と改善してほしい内容を明確に伝える
4 理事会で対応方針を決定 個人対応から管理組合としての判断へ切り替える
5 改善しない場合は専門家へ相談 規約解釈や法的対応を整理する

ただし、どの案件でも必ずこの順序を機械的にたどるわけではありません。

大量の可燃物が避難経路を大きく妨げているなど緊急性が高い場合には、全体掲示を待たず、対象者への連絡や消防機関への確認を優先することが考えられます。

反対に、複数階で同じような私物放置が起きているなら、いきなり特定住戸だけを注意するより、全体周知から始めたほうが公平でしょう。

この記事で一貫してお伝えしたいのは、何でも「ケースバイケース」で終わらせることではありません。

管理規約と場所を確認し、事実を記録し、段階的に改善を求め、無断処分は慎重に行う。

ここが管理組合対応の主軸です。

共用廊下への私物放置はなぜ問題になるのか

理事になるまでは気にしていなかった玄関前の物が、管理する立場になると急に目につくことがあります。

折り畳まれたベビーカー、壁際に寄せられた自転車、小さな傘立てなどを見ると、「これくらいなら人は通れるし、わざわざ注意しなくてもよいのでは」と感じることもあるでしょう。

住民一人の日常だけを見れば、それほど大きな問題には見えない場合もあります。

しかし、管理組合として確認するのは、その一つの物だけではありません。

共用廊下が何のための場所なのか、ほかの住民も同じ使い方を始めたらどうなるのか、非常時にも安全な状態が保たれるのかまで考える必要があります。

共用廊下は基本的に通行のための共用部分

マンション管理センターは、共用部分について、その用法に従って使用するという考え方を説明しています。廊下についても、基本的には通行のために使用する場所であり、物品を保管するための場所ではないという整理が示されています。

国土交通省のマンション標準管理規約でも、敷地及び共用部分等をそれぞれの「通常の用法」に従って使用するという規定例があります。

したがって、共用廊下を個人的な収納場所として常態的に使用しているのであれば、少なくとも管理組合として確認すべき状態だと考えたほうがよいでしょう。

とはいえ、ここから「玄関前に物が一つあればすべて違反」と短絡する必要はありません。

実際には、自マンションの管理規約、使用細則、対象場所の位置づけを確認して判断します。

共用廊下は非常時には避難経路になる

普段の廊下なら簡単によけられる物も、火災や地震が発生したときには意味が変わります。

停電しているかもしれません。煙によって足元が見えず、小さな子どもを抱えている人や、高齢者を支えながら避難する人がいる可能性もあります。

普段なら何気なくよけている小さな物でも、暗闇では転倒の原因になるかもしれません。

消防法第8条の2の4では、対象となる防火対象物について、廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設に、避難の支障となる物件が放置またはみだりに存置されないよう管理することを求めています。

消防庁も、階段や廊下に物品があることで避難が困難になる可能性や、可燃物が放火や延焼拡大の要因になる可能性を示しています。

ここは、原則と個別判断を分けると理解しやすくなります。

避難に使う場所を安全な状態に維持する必要があることは、管理上の原則として言えます。

一方で、目の前にあるベビーカーや傘立てが具体的に消防法令違反へ該当するかどうかは、建物の構造、置き方、物品の大きさ、避難への影響などを確認しなければ判断できません。

そのため、「共用廊下に物を置けば必ず消防法違反」という説明は避けます。

段ボールなどの可燃物は早めに確認する

段ボールや紙類は、住民本人にとっては「次の資源ごみの日に出すだけ」という感覚かもしれません。

しかし、階段や廊下に置かれた可燃物は、放火や延焼拡大の要因となる可能性があります。

このため、継続的に大量の段ボールが置かれている場合には、傘一本などと同じ優先度で扱わず、防火の観点から早めに確認する合理性があります。

もっとも、住民へ伝えるときに「重大な消防法違反です」と決めつける必要はありません。

「防火と避難の観点から早めの移動をお願いします」と説明すれば、管理組合が何を心配しているのかも伝わりやすいでしょう。

区分所有法と管理規約も関係する

共用廊下の私物問題は、防火だけの話ではありません。

区分所有法第6条では、区分所有者が建物の保存に有害な行為その他建物の管理または使用について、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならないという基本原則が定められています。

一定の場合には、同法第57条による行為停止などの請求制度もあります。

ただし、共用廊下へ私物を置いた行為が、直ちにすべて第6条の「共同の利益に反する行為」へ該当するわけではありません。

放置の程度、期間、他の住民への影響、避難上の支障、管理規約違反の内容などを踏まえて判断する必要があります。

つまり、ここでも原則は明確です。

共用部分は自由な個人収納場所ではなく、管理規約に従って使用する必要があります。

一方で、区分所有法上の強い措置まで必要なのかは、個別の事情を確認して判断します。

放置が続くと住民の公平感も崩れやすい

私物放置を見過ごし続けると、問題は少しずつ姿を変えます。

最初は一台の自転車だったのに、その隣へ三輪車が置かれ、別の階には傘立てが増える。すると、「玄関の前なら物を置いてもよいらしい」という空気が生まれることがあります。

後から管理組合が是正しようとすれば、

「前から置いていました」

「うちだけではありません」

「なぜ今になって駄目なのですか」

という反応が起きるでしょう。

理事側は安全を守りたいだけなのに、特定の住戸を狙って注意しているように受け取られると、「もう言いたくない」と感じるかもしれません。

だからこそ、問題が小さい段階から同じ判断基準で対応することが大切です。

強い注意を一度行うより、説明できる運用を継続する。

そのほうが、長い目で見れば住民間の公平感を保ちやすくなります。

私物対応の前に管理規約と使用細則を確認する

共用廊下に物があると、すぐに「規約違反なので撤去してください」と伝えたくなるかもしれません。

しかし、管理組合が最初に確かめるべきなのは、相手の違反ではなく、自分たちが説明できる根拠です。

自マンションの管理規約を優先する

国土交通省のマンション標準管理規約は、マンションの管理規約を作成または改正するときの参考となるひな型です。

現行の標準管理規約が重要な資料であることは確かですが、それ自体が全国すべてのマンションへ自動的に適用されるわけではありません。

したがって、管理組合が住民へ通知する前に、自マンションで現在効力を持っている管理規約を確認します。

共用部分、通常の用法、禁止行為、使用細則、専用使用部分、専用使用権、違反者への勧告などに関する規定を探すとよいでしょう。

玄関前の場所そのものを確認する

私物だけを見ていると、意外と見落としやすいのが場所の問題です。

玄関前のくぼんだ部分がアルコーブなのか、共用廊下の一部なのか、専用使用権が設定された場所なのかによって、確認すべき規定が変わります。

「毎日この住戸だけが使っているから専有部分だろう」という感覚では判断できません。

管理規約だけで分からない場合には、規約別表や図面なども確認します。

使用細則で具体的な生活ルールを確認する

管理規約に「ベビーカー」「傘立て」といった具体名が書かれているとは限りません。

そこで確認するのが使用細則です。

自転車の指定保管場所、共用廊下への物品設置、置き配、専用使用部分の利用方法など、日常生活に近いルールが定められている場合があります。

「管理規約に禁止と書かれていないから置ける」と判断するのも早計です。

反対に、使用細則で例外的な利用を認めている場合まで、一般条項だけを見て一律に禁止する必要はありません。

過去の運用も振り返る

規約だけではなく、過去にどのような運用が行われてきたかも確認します。

たとえば、数年間にわたり複数の住戸が同じ場所へベビーカーを置き、管理組合が特に問題としてこなかったのであれば、突然厳格な運用へ切り替えたときに住民が戸惑うのは自然でしょう。

過去の黙認が、現在の設置を当然に正当化するわけではありません。

しかし、

「なぜ今まで何も言わなかったのですか」

と尋ねられたとき、管理組合自身がこれまでの経緯を把握しているかどうかは重要です。

ルールを守ってもらう前に、自分たちの管理を振り返る。

この作業が、その後の説明を落ち着いたものにします。

ステップ1 現状確認と記録を行う

管理規約の確認と並行して行いたいのが、現場の記録です。

ここで目的にするのは、違反者を追及するための証拠集めではありません。

後から別の理事や管理会社、専門家が確認しても、何が起きていたのか分かる状態をつくります。

ステップ1 現状確認と記録を行う、ステップ2 全体への注意喚起を行う、ステップ3 該当住戸へ個別通知を行う ステップ1 現状確認と記録を行う ステップ2 全体への注意喚起を行う ステップ3 該当住戸へ個別通知を行う

日時と場所と物品を客観的に残す

記録では、日時、場所、物品の種類と数量、置かれている状態、通行への影響などを整理します。

「5階廊下がひどい状態だった」と書くより、「8月20日午後6時ごろ、505号室付近の共用廊下に段ボール4箱を確認した」と記録するほうが、第三者にも状況が伝わります。

必要であれば継続日数も確認します。

一日だけの一時的な状態なのか、毎日のように同じ場所へ置かれているのかでは、次に選ぶ対応が変わるからです。

写真は位置関係が分かるように残す

写真を残す場合は、物品だけの近接写真に加えて、廊下、壁、階段、玄関などとの位置関係が分かる範囲も撮影します。

通路幅を確認する必要があれば、採寸することも考えられるでしょう。

ただし、測定した数値だけを根拠に「建築基準法違反」「消防法違反」と管理組合が独自に断定しないよう注意します。

建物の用途や構造、設計条件などによって判断が変わる可能性があるため、必要なら管理会社、建築士、消防機関などへ確認します。

また、住戸内へカメラを向けたり、人物を追いかけて撮影したりする必要はありません。

記録するのは人ではなく、共用部分の状態です。

事実と感情を分ける

対応が長く続くと、「また同じ物がある。どうして分かってくれないのだろう」と感じることもあります。

その心情を持つこと自体に問題はありません。

しかし、正式な記録では、

「管理組合を無視している」

ではなく、

「個別通知後も同じ場所に自転車1台を確認した」

と書きます。

相手の意図は分からなくても、確認した事実は残せます。

この違いが、その後の理事会判断を感情的なものにしないために重要です。

ステップ2 全体への注意喚起を行う

複数の住戸で同様の私物放置が確認されている場合や、マンション全体でルールの理解が十分でないと考えられる場合には、全体への注意喚起が有効です。

いきなり個別住戸を指摘すると、「なぜ自分だけなのか」という反発が生まれる可能性があります。

一方、全体へ周知すれば、「置いてはいけないとは知らなかった」という住民が自分から片付けてくれることもあるでしょう。

全体周知は自発的な改善を促すために使う

全体掲示の目的は、誰かを遠回しに非難することではありません。

管理組合として共用廊下の利用ルールを共有し、自発的な改善を促すことです。

したがって、「違反者は直ちに撤去してください」「処分します」といった強い表現を最初から使う必要はありません。

実際に使える全体向け注意文

共用廊下及び玄関前の私物についてのお願い

居住者の皆様には、日頃よりマンションの管理運営にご理解とご協力をいただきありがとうございます。

現在、一部の共用廊下及び玄関前において、自転車、ベビーカー、傘立て、段ボール、植木鉢等が置かれている状況を確認しております。

共用廊下は日常の通行に使用する共用部分であり、火災や地震等の非常時には避難に使用される重要な場所でもあります。物品の置き方によっては通行や避難の妨げとなるほか、可燃物については防火上の問題につながる可能性があります。

当マンションの管理規約及び使用細則をご確認いただき、共用部分への設置が認められていない私物がある場合には、室内または所定の保管場所へ移動していただきますようお願いいたします。

なお、アルコーブや玄関ポーチ、置き配等を含め、物品を置いてよい場所か判断が難しい場合には、自己判断せず管理組合または管理会社までお問い合わせください。

安全で快適な住環境を維持するため、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

○○マンション管理組合

全体掲示を繰り返しすぎない

一方で、対象住戸が明確になっているのに、全体掲示だけを何度も繰り返すことが適切とは限りません。

きちんとルールを守っている住民からすれば、「なぜ毎回マンション全員が注意されるのだろう」と感じる可能性があります。

全体周知は便利ですが、万能ではありません。

対象と事実が明確になったら、必要に応じて個別対応へ切り替えます。

ステップ3 該当住戸へ個別通知を行う

全体への周知をしても改善しない場合や、最初から所有者と状況が明確な場合には、該当住戸へ個別に通知します。

ここは、住民事情への配慮が最も重要になる場面です。

なぜ片付けないのかを決めつけない

理事側から見ると、「掲示もしたのに、どうしてまだ置いているのだろう」と腹立たしく感じることがあります。

しかし、相手の事情はこちらからは見えません。

ベビーカーを毎日持ち上げて室内へ入れることが難しいのかもしれませんし、子乗せ電動自転車が既存の駐輪ラックに入らず、本人も置き場所に困っている可能性があります。

もちろん、事情があれば共用廊下へ自由に物を置いてよいという意味ではありません。

大切なのは、事情を聞くことと、ルールを守ってもらうことを対立させないことです。

人格ではなく行為について伝える

個別通知では、「ルールを守らない住民」「悪質な放置」といった人格評価を避けます。

確認した場所、物品、規約上の扱い、移動してほしい内容を具体的に伝えます。

こうすることで、相手を責める文書ではなく、共用部分の改善を求める文書になります。

実際に使える個別通知文

共用廊下に置かれている物品の移動についてのお願い

〇〇号室 ご入居者様

日頃よりマンションの管理運営にご協力いただきありがとうございます。

現在、〇階〇〇号室付近の共用廊下において、〇〇が置かれている状況を確認しております。

当該場所については、当マンションの管理規約及び使用細則により共用部分の利用方法が定められております。また、共用廊下は日常の通行に加え、非常時の避難にも使用される場所です。

お手数をおかけしますが、管理規約及び使用細則をご確認のうえ、〇月〇日頃までを目安として、当該物品を室内または所定の保管場所へ移動していただきますようお願いいたします。

なお、移動が難しい事情がある場合や、当該場所の取扱いについて確認したい点がございましたら、期日前に管理組合または管理会社までご連絡ください。

安全な共用環境の維持にご理解とご協力をお願いいたします。

○○マンション管理組合

理事長 ○○○○

通知期限と処分期限を混同しない

個別通知では、一定の期限を設けることがあります。

しかし、「10日以内なら法律上妥当」「2週間を過ぎれば管理組合で処分できる」といった全国共通の期限があるわけではありません。

通知に書く期限は、住民へ改善を求め、管理組合が次に状況を確認するための目安です。

期限を過ぎたことと、所有権を失ったことは別問題だと理解しておく必要があります。

ステップ4 理事会で対応方針を決定する

個別通知をしても改善されない場合には、理事長や担当理事だけで対応を続けないようにします。

ここで個人対応から管理組合としての判断へ切り替えます。

なぜなら、対応が長引くほど「理事長対〇〇号室」という個人的な対立に見えやすくなるからです。

しかし、本来扱っているのは人間関係ではありません。

共用部分をどのように管理するかという組織上の問題です。

理事会ではこれまでの経緯を一度並べる

理事会では、現状写真、確認日時、管理規約、使用細則、全体掲示、個別通知、住民からの回答、管理会社からの報告などを確認します。

そのうえで、再通知を行うのか、面談を検討するのか、防火上の確認が必要なのか、使用細則の見直しまで必要なのかを整理します。

ここで重要なのは、ただ対応を強くすることではありません。

「何を根拠として、どの状態まで改善してほしいのか」を理事会として説明できるようにすることです。

単棟型第67条の規定例を参考にする

現行のマンション標準管理規約単棟型第67条には、法令、規約、使用細則等への違反や共同生活の秩序を乱す行為などについて、理事長が理事会の決議を経て必要な勧告、指示、警告を行う規定例があります。

ここで「単棟型」と明示することは重要です。

マンション標準管理規約には、単棟型だけではなく団地型や複合用途型もあります。すべてのマンションについて「第67条」という同じ条番号が当然に使えるわけではありません。

また、標準管理規約はあくまでモデルです。

実際に自分たちの理事会がどのような手続で勧告や警告を行えるのかは、自マンションの管理規約を確認してください。

意見が割れても判断経緯を残す

理事会の中でも考え方が分かれることがあります。

「すぐに厳しい警告を出したほうがよい」という人もいれば、「これまで黙認してきた事情もあるので丁寧に進めたい」と考える人もいるでしょう。

意見が割れること自体は問題ではありません。

複数の視点で確認したからこそ、一人では見落としていた事情が見つかることもあります。

議事録には、最終結論だけではなく、どのような状況と規約を確認してその方針を選んだのかが後から分かる程度に経緯を残します。

そうしておけば、役員が交代した後も「なぜこの対応をしているのか」が引き継がれます。

ステップ5 改善しない場合は専門家へ相談する

全体周知や個別通知を重ね、理事会でも対応方針を検討したにもかかわらず改善しない場合には、管理組合だけで判断を抱え込まず、専門家への相談を検討します。

ここで重要なのは、「専門家へ相談する=直ちに法的手段へ進む」と考えないことです。

規約の解釈や管理実務の整理が必要であればマンション管理士、具体的な訴訟や法律上の請求を検討する段階であれば弁護士というように、問題の内容によって相談先を分けます。

何度も注意した理事長ほど、「もう次は強く出るしかない」と感じるかもしれません。

しかし、その気持ちが強くなったときこそ、第三者にこれまでの経緯を見てもらう意味があります。

管理組合が選ぼうとしている対応が、確認できている事実や規約上の根拠と釣り合っているかを確かめるためです。

どのような場合にマンション管理士への相談が特に有効なのかは、後半で具体的に整理します。

管理会社はどこまで対応してくれるのか

共用廊下の私物について管理会社へ連絡したのに、何日たっても状況が変わらない。

そのとき理事側では、「管理会社へお願いしたのだから、撤去されるまで対応してほしい」と感じることがあります。

毎月管理委託費を支払っている以上、その感覚自体は理解できます。

しかし、管理会社が行う仕事は、基本的に管理委託契約によって決まります。

管理会社は強制機関ではない

管理会社は警察や行政機関ではありません。

居住者の所有物を管理会社独自の判断で自由に処分できるわけではなく、管理組合としての方針決定が必要になる場面があります。

国土交通省は2025年12月12日にマンション標準管理委託契約書を改正しています。

標準契約書は管理会社と管理組合の役割を考える参考になりますが、実際に確認すべきなのは、自マンションが現在締結している管理委託契約です。

管理会社への依頼は具体的にする

「廊下の私物について対応してください」という依頼だけでは、理事会と管理会社で認識がずれる場合があります。

理事会は個別通知まで求めたつもりでも、管理会社側は「現場を確認して報告する依頼」と受け取っているかもしれません。

そこで、何を依頼したいのかを具体的にします。

現場確認なのか、掲示文の作成なのか、住戸への通知なのか、過去の対応記録の確認なのかを明確にし、必要であれば回答を確認する時期も決めます。

こうした整理だけでも、「お願いしたはず」「そこまでは頼まれていない」という行き違いを減らせるでしょう。

管理会社と理事会と専門家の役割比較

関係者 主な役割 共用廊下問題で考えられる対応 注意点
管理会社 管理委託契約に基づく管理事務 巡回確認、現状報告、掲示や通知など 業務範囲は実際の管理委託契約で確認します
理事会と管理組合 共用部分の管理と意思決定 対応方針、通知、規約や細則の検討 役員個人ではなく組織として判断します
マンション管理士 管理運営に関する専門的助言 規約整理、対応手順、細則見直し支援 強制執行や訴訟代理を行う立場ではありません
弁護士 法律相談と紛争対応 法的請求、調停、訴訟など 具体的な法的紛争を検討する場合に相談します
消防機関 防火や避難安全に関する確認 避難上の支障や消防関係法令の確認 建物や所在地によって判断が異なります

私物を管理組合が勝手に捨ててもよいのか

私物放置への対応で、最もトラブルを生みやすいのが処分です。

何度も通知しているのに自転車が残っていると、「これ以上待っても仕方がない」と感じるかもしれません。

安全確保を急ぎたい気持ちは理解できます。

それでも、規約に違反した場所へ物を置いていることと、その物の所有権を失うことは別問題です。

無断処分には法的リスクがある

他人の所有物を無断で廃棄し、損害を与えた場合には、民法上の不法行為責任などが問題になる可能性があります。

そのため、

「管理組合には共用部分を管理する責任があるから自由に処分できる」

とは考えないほうが安全です。

高価な自転車やベビーカーなどを廃棄した後に所有者が現れれば、共用廊下問題とは別の紛争が始まる可能性があります。

「相手が規約を守らなかったのだから管理組合が正しい」と感じても、処分方法そのものが別に問われることはあり得ます。

期限を過ぎても自動的に処分できるわけではない

「〇月〇日までに撤去してください。撤去されない場合は処分します」と掲示しても、その期限を過ぎた瞬間に所有権が自動的に消えるわけではありません。

同様に、

「7日後なら処分できる」

「30日保管すれば捨てられる」

という全国共通のルールもありません。

是正を求める期限と、物を廃棄できる法的根拠は分けて考えます。

所有者不明物も段階的に確認する

所有者が分からない物については、まず物品の種類、確認日時、場所、状態を記録します。

そのうえで所有者確認の掲示などを行い、盗難品や遺失物の可能性がある自転車などでは、警察への相談も検討します。

また、安全上どうしても場所を移す必要がある場合には、一時的な移動と廃棄を分けて考えることが重要です。

「一定期間保管したから必ず処分できる」と機械的に判断せず、実際に廃棄が必要になった段階で、物品の性質やこれまでの経緯を整理します。

判断が難しければ、マンション管理士や弁護士へ確認したほうが安全でしょう。

自転車やベビーカーなど物品別の対応を考える

共用廊下に置かれている物といっても、生活上の意味はそれぞれ異なります。

段ボールを片付けることには納得できても、毎日使うベビーカーについては「少しくらい配慮してほしい」と感じる住民もいるでしょう。

管理組合としては、物品名だけで判断するのではなく、場所、規約、置き方、継続期間、安全への影響を組み合わせて確認する必要があります。

共用廊下の物品別チェック表

物品 主なリスク 確認する内容 管理組合の基本的な考え方
自転車や三輪車 転倒、通行阻害、避難障害 駐輪場、使用細則、対象場所 指定場所がある場合は所定場所への移動を求めます
ベビーカー 転倒、通行や避難への影響 使用細則、場所、代替保管先 子育て事情も確認しながら同じ基準で判断します
傘や傘立て 転倒、水濡れ、滑り 一時利用か常設か 小さいことだけで許容とは判断しません
段ボールや紙類 可燃性、放火、延焼 数量、場所、継続期間 防火上の優先度を上げて確認します
植木鉢やプランター 転倒、破損、水漏れ 専用使用部分か、細則で認められているか 景観目的でも自由な常設とは限りません
宅配物や置き配 通行障害、長期放置 置き配に関する使用細則 一般の私物とは分けて正式な運用を確認します

ベビーカーは原則と生活事情を分けて考える

ベビーカーは、理事会が特に悩みやすい物品です。

子育て世帯にとっては毎日使う生活用品であり、室内への出し入れが大きな負担になることがあります。

その事情を一切聞かずに「規則だから駄目です」とだけ言えば、住民は管理組合へ冷たい印象を持つかもしれません。

一方で、事情を理由に無期限で黙認すれば、「それなら自転車もよいのでは」という別の問題が生まれます。

そこで、まず管理規約と使用細則を確認し、そのうえで代替保管場所がないかを考えます。

必要であれば、現在の生活実態に合わせて将来的な使用細則の見直しを検討する方法もあります。

公平とは、事情を一切見ずに同じ言葉を言うことではありません。

同じ判断基準を使いながら、必要な背景事情を確認することではないでしょうか。

自転車は駐輪場側の問題も確認する

自転車であれば、通常は指定駐輪場への移動を求めます。

しかし、子乗せ電動自転車などでは、既存ラックの寸法や重量に合わず、現実に使える区画がない場合があります。

その事情だけで共用廊下への放置が認められるわけではありません。

とはいえ、使える駐輪場所がない状態で「廊下から移動してください」と繰り返しても、同じ問題が戻ってくる可能性があります。

原因が設備側にあるなら、駐輪場の運用改善も再発防止策の一つです。

置き配は一般の私物と分けて確認する

置き配は、自転車や傘立てとは少し性質が異なります。

現行のマンション標準管理規約コメントでは、専用使用部分ではない共用部分への物品設置を原則として認めない考え方を示しながら、置き配を例外的に認める場合についても触れています。

したがって、

「共用廊下だから置き配はすべて禁止」

とも、

「宅配物だから自由に置ける」

とも一律には考えません。

利用できる時間帯、置き場所、留置期間などについて、自マンションの使用細則や正式な運用を確認します。

アルコーブや玄関ポーチなら物を置いてよいのか

玄関前の少しくぼんだスペースに物を置いている住民から、

「廊下ではなく自分の玄関前です」

と言われることがあります。

感覚としては理解しやすい主張ですが、見た目だけで判断することはできません。

アルコーブは規約と図面で確認する

アルコーブは、玄関扉が共用廊下より後退していることで生じる空間です。

一般的には共用部分として扱われる場合がありますが、個別マンションでの位置づけは管理規約や図面などを確認する必要があります。

そのため、

「アルコーブだから置ける」

「アルコーブだから絶対に何も置けない」

のどちらも先に決めません。

まず場所の位置づけを確定し、その後で使用ルールを確認します。

玄関ポーチも専用使用権があれば自由とは限らない

玄関ポーチに専用使用権が設定されているマンションもあります。

ただし、専用使用権があることは、その場所が区分所有者の完全な所有地になることを意味しません。

共用部分としての性質を持つ場所であれば、管理規約や使用細則に従って利用します。

つまり、

専用使用できることと何でも自由に置けることは別です。

この区別ができると、アルコーブやポーチの問題を感覚論だけで議論せずに済みます。

再発防止は使用細則と設備の両方から考える

一度私物がなくなったとしても、数か月後にまた同じ状態へ戻ることがあります。

そのとき「住民の意識が低い」と考えるだけでは、再発の原因を見落とすかもしれません。

曖昧なルールは具体化する

「共用部分に私物を置いてはならない」とだけ書かれていても、住民には判断しにくい場合があります。

濡れた傘はどうするのか。置き配は認めるのか。玄関ポーチは対象なのか。

こうした疑問が何度も起きているのであれば、使用細則を具体化する意味があります。

現行のマンション標準管理規約では、使用細則等の制定、変更または廃止を総会の決議事項とする規定例があります。

ただし、実際に必要な決議や手続は、自マンションの規約と変更内容を確認してください。

規約そのものの変更に当たる場合や、一部の区分所有者の権利へ特別な影響を与える場合には、別の検討が必要になる可能性があります。

置き配は条件まで決める

置き配を認める場合には、「置き配可」とだけ定めるより、置ける場所、時間帯、留置期間、避難経路を妨げないことなどを明確にしたほうが運用しやすくなります。

ルールが具体的であれば、管理する側も感覚だけで判断する必要がありません。

住民にも「特定の人だけ例外にしている」のではなく、「全員に同じ条件を適用している」と説明できます。

ルールだけでなく置く理由を確認する

再発防止で忘れたくないのが、なぜそこへ物を置くのかという問いです。

ベビーカー置場がなく、駐輪場も不足しているマンションで禁止だけを強化しても、根本的な問題が残ります。

設備不足や生活様式の変化が背景にあるなら、管理組合側でも改善できることがないか検討します。

ルールを守ってもらうことと、守りやすい環境を整えることは、どちらか一方ではありません。

ルールを守ってもらうことと、守りやすい環境を整えることは、どちらか一方ではありません。 ルールを守ってもらうこと 守りやすい環境を 整えること
ルールを守ってもらうことと、守りやすい環境を整えることは、どちらか一方ではありません。

定期巡回では違反者より変化を見る

共用廊下の状態を維持するには、定期的な確認も役立ちます。

ただし、「誰が違反しているか」を探すことだけを巡回の目的にすると、管理員や理事も疲れてしまいます。

前回より物が増えているか、以前の注意後に改善状態が続いているか、新しい可燃物が避難経路付近に置かれていないかという変化を見るとよいでしょう。

巡回頻度について、「週1回が正しい」「月1回なら十分」という全国共通の基準があるわけではありません。

建物規模、管理員の勤務状況、過去の発生頻度などを踏まえて、継続できる方法を決めます。

小さな変化の段階で気づければ、大きな警告を出す前に軽い周知で改善できることもあります。

対応した後は改善したかを確認する

注意文を掲示したり、個別通知を送ったりすると、「ひとまず対応した」という安心感が生まれます。

しかし、管理組合の目的は文書を出すことではありません。

共用廊下が安全な状態へ戻ったかを確認することです。

私物がなくなっていれば、今回の対応には一定の効果があったと考えられます。

一部だけ残っているなら、全体周知では届かなかった可能性があります。

複数階で同じ物が繰り返し増えるのであれば、個人の問題よりも、使用細則や設備に原因がある可能性を考えたほうがよいでしょう。

一度決めた対応を最後まで変えないことが、良い管理とは限りません。

結果を確認し、必要なら方法を修正する。

その経緯を次の役員にも残すことで、管理組合としての判断が少しずつ蓄積されていきます。

マンション管理士へ相談した方がよいケース

ステップ5では、改善しない場合に専門家へ相談するという判断を示しました。

ここでは、実際にどのような状態になったらマンション管理士への相談を検討しやすいのかを、もう一段具体的に整理します。

すべての私物問題で専門家が必要になるわけではありません。

管理規約が明確で、全体周知や個別通知で改善するなら、管理組合と管理会社で対応できるでしょう。

一方、理事会だけでは「次に何を判断すればよいのか」が分からなくなってきたときには、第三者の知見を使う意味があります。

規約と現場のずれを整理したい場合

「アルコーブの扱いが分からない」

「ベビーカーを条件付きで認める細則を作りたい」

「置き配ルールを整備したい」

といった問題では、規約だけを読むのではなく、実際の建物と生活実態を合わせて整理する必要があります。

現在のルールで対応できる問題なのか、それともルールそのものを見直したほうがよいのか。

この切り分けを行うときに、マンション管理士の専門的な助言が役立ちます。

長期間の黙認を是正したい場合

何年も同じ場所へ自転車や植木鉢が置かれていたのに、新しい理事会になって突然「撤去してください」と伝えれば、住民から反発を受ける可能性があります。

「ルール違反なのだから従ってください」と言うだけでは、なぜ今まで認められていたように見えたのかという疑問には答えられません。

このような場合には、過去の運用と現在の規約を整理し、どのような手順で運用を改めれば公平なのかを検討する必要があります。

理事会と住民の関係が悪化している場合

何度通知しても改善せず、住民から「理事長に嫌われているから注意されている」と受け取られるようになると、当事者同士のやり取りでは解決が難しくなります。

理事長側も、強い反論が続けば「もう関わりたくない」と感じるでしょう。

その状態で直接交渉を続ければ、本来は共用部分の利用方法だった問題が、人間関係の争いに変わってしまう可能性があります。

第三者を入れることで、問題を再び事実と規約の話へ戻せる場合があります。

理事会内で判断がまとまらない場合

理事会内で、

「すぐに厳しく注意すべきだ」

「子育て世帯には配慮したほうがよい」

「これまで黙認してきた管理組合側にも問題がある」

と意見が分かれることもあります。

こうした意見の違いは、誰かが間違っているから起きるとは限りません。

安全、公平性、過去の運用、生活事情という複数の論点を同時に考えているからこそ、結論が出にくい場合があります。

第三者に論点を整理してもらえば、「賛成か反対か」だけではなく、何を確認してから判断すべきかが見えてくるでしょう。

法的措置を考え始めた場合

区分所有法第57条による請求など、具体的な法律上の措置を検討するのであれば、手続や記録の確認が必要です。

マンション管理士へ管理実務や規約面を相談し、具体的な法的請求へ進む段階では弁護士へ相談するという役割分担も考えられます。

マンション管理士へ管理実務や規約面を相談し、具体的な法的請求へ進む段階では弁護士へ相談するという役割分担も考えられます。 マンション管理士 管理実務や規約面 弁護士 具体的な法的請求へ 進む段階
マンション管理士へ管理実務や規約面を相談し、具体的な法的請求へ進む段階では弁護士へ相談するという役割分担も考えられます。

マンション管理士へ相談する目的は、「どうすれば相手を撤去させられるか」だけではありません。

これまで管理組合が行ってきた対応に不足がないか、そもそもルールや設備側に改善すべき点がないかまで整理し、同じ問題が繰り返されにくい管理へつなげることにあります。

共用廊下の私物放置に関するFAQ

玄関前のアルコーブにも物を置けませんか?

アルコーブだから自由に物を置けるとは限りません。

管理規約、別表、図面などで、その場所がどのように位置づけられているかを確認し、そのうえで使用細則を調べます。

見た目が自宅の一部に感じられることと、自由に使えることは別です。

ベビーカーも撤去対象ですか?

ベビーカーだから必ず撤去対象になるとも、育児用品だから必ず認められるとも一律には判断できません。

管理規約、使用細則、対象場所、通行や避難への影響を確認します。

事情がある場合には代替保管場所も考えながら、同じ判断基準で対応することが大切です。

少しの時間だけなら問題ありませんか?

短時間であることだけで設置可能とは判断できません。

一時的な搬出入と、毎日のように同じ物を保管する状態では性質が異なります。

また、「何時間以内なら全国共通で問題ない」というルールがあるわけでもありません。

正式な一時利用ルールがある場合には、その内容を確認します。

置き配も撤去対象ですか?

置き配は、一般的な私物と完全に同じように扱う必要はありません。

国土交通省の標準管理規約コメントでも、共用部分への物品設置を原則として認めないという考え方を示しつつ、置き配を例外的に認める場合について留意事項が示されています。

実際に利用できるかどうかは、自マンションの使用細則や正式な運用を確認してください。

管理会社に頼めば強制撤去してくれますか?

管理会社が独自の判断で居住者の所有物を自由に処分できるわけではありません。

具体的な業務範囲は、自マンションが締結している管理委託契約を確認します。

標準管理委託契約書を参考にする場合には、国土交通省が2025年12月12日に公表した現行の改正版を確認してください。

注意しても撤去しない住戸にはどう対応しますか?

現場記録、全体周知、個別通知、相手からの回答を整理し、自マンションの管理規約に従って理事会で対応方針を決めます。

規約上の勧告や警告を検討できる場合もありますが、強い法的措置へ進む段階ではマンション管理士や弁護士などへ相談するとよいでしょう。

所有者不明の物は管理組合で処分できますか?

所有者が分からないという理由だけで、直ちに自由に処分できるとは限りません。

まず物品の状態や場所を記録し、所有者確認のための周知などを行います。

自転車などで盗難品や遺失物の可能性が考えられる場合には、警察へ相談する方法もあります。

「〇日たてば必ず捨てられる」という一律の期間基準だけで判断しないことが重要です。

まとめ

共用廊下の私物放置で管理組合が最初に行うべきことは、強く撤去を迫ることではありません。

まず現場と管理規約、使用細則を確認し、何が起きているのかを記録します。そのうえで問題の広がりに応じて全体周知や個別通知へ進み、改善しなければ理事会で組織的に対応方針を決めます。

さらに、規約解釈や管理実務が複雑になったらマンション管理士へ、具体的な法的紛争へ進む可能性があるなら弁護士へ相談するという整理ができます。

同時に覚えておきたいのは、共用廊下へ物があるというだけで何でも直ちに消防法違反と断定できるわけではなく、通知期限を過ぎた私物を管理組合が自由に廃棄できるわけでもないという点です。

慎重であることと、何もしないことは違います。

確認できる原則は明確にし、個別判断が必要な部分だけを慎重に扱えば、管理組合として行動できます。

そして、管理組合の目的は誰かを悪者にすることではありません。

共用廊下を安全に利用できる状態へ戻し、その状態が無理なく続く仕組みをつくることです。

住民へルールを守ってもらう一方で、なぜそこへ物を置くのかという背景にも目を向ける。

その積み重ねが、不要な衝突を避けながら、管理組合として説明できる運用につながっていくでしょう。

参考資料

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