建物の老朽化が目立ち始め、「次の大規模修繕をそのまま続けてよいのだろうか」「建替えまで考える時期なのか」と理事会で話題に上がるようになると、最初に困るのは選択肢の多さです。修繕、改修、建物更新、建替え、売却などについて調べるほど専門用語と数字が増え、専門家へ相談したいと思っても、今度は「誰を選べばよいのか分からない」という新しい悩みが生まれるでしょう。
マンション再生コンサルタントを選ぶ際に大切なのは、もっとも強い結論を言う人を探すことではありません。管理組合が自分たちの建物と暮らしを理解し、複数の選択肢を比較したうえで納得して判断できるよう支援する人を選ぶことです。
この記事では、管理組合が確認したい7つのポイントを最初に示したうえで、比較チェックシート、候補者への質問、提案依頼書、実際の選定手順まで具体化します。さらに、候補者の説明を見極めるために必要な2026年改正後の制度や、選定後の合意形成についても整理しているため、コンサルタント探しを始めた段階から実際の選考まで一つの流れで確認できます。
マンション再生コンサルタントの選び方で確認したい7つのポイント
「結局、候補者のどこを見ればよいのか」と迷ったときは、まず次の7項目を同じ基準で確認してください。
| 選定ポイント | 管理組合が確認したいこと |
|---|---|
| 1 同種マンションの再生経験 | 自分たちと規模や築年数や用途が近い案件を経験しているか |
| 2 主担当者本人の経験 | 会社実績だけでなく実際に担当する人に十分な経験があるか |
| 3 再生手法を比較する中立性 | 修繕や改修や建物更新や建替え等を偏りなく比較できるか |
| 4 合意形成支援の経験 | 説明会や意向調査だけでなく意見対立にも対応できるか |
| 5 業務範囲の明確さ | 何を実施し何を実施しないのか契約前に分かるか |
| 6 報酬と追加費用の透明性 | 基本料金だけでなく追加費用の発生条件まで明確か |
| 7 利害関係の説明 | 設計会社や施工会社やデベロッパー等との関係を開示できるか |
この7項目は、それぞれ独立したチェック項目に見えますが、実際には一つの問いへつながっています。それは「このコンサルタントと仕事をしたとき、管理組合自身が比較して判断できる状態になるか」という問いです。
実績が多くても特定の再生方法しか示さない人では、選択肢を公平に比較できません。説明が分かりやすくても、業務範囲や費用が曖昧なら契約後に不安が残りますし、技術力が高くても区分所有者の意見を単なる反対として扱うようでは、長期的な合意形成が難しくなる可能性があります。
だからこそ、会社名や見積総額だけを見るのではなく、最初から同じ7項目で候補者を比べることが、マンション再生コンサルタント選びの出発点になります。
マンション再生でコンサルタント選びが重要になる理由
マンション再生は、大規模修繕工事の施工会社を選ぶ場合とは性格が異なります。何を実施するか自体が決まっていない段階から、建物の状態、将来の修繕負担、区分所有者の生活、権利関係、不動産価値などを整理し、管理組合として方向性を考えなければならないからです。
国土交通省の公表資料によると、築40年以上のマンションは2024年末時点で約148万戸あり、2034年末には約293万戸、2044年末には約483万戸へ増えると推計されています。今後20年で約3.3倍になる見込みであり、高経年マンションの将来をどうするかという問題は、一部の特殊なマンションだけの課題ではありません。
一方、国土交通省が地方公共団体等への調査をもとに把握しているマンション建替え実績は、2025年3月31日時点で累計323件、約2万6,000戸です。なお、この集計には阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震による被災マンションの建替え115件は含まれていません。
この数字を見ると、「古くなったら建替えればよい」という単純な流れになっていないことが分かります。建替えを選ぶ場合にも事業費、仮住まい、権利調整、事業期間など多くの条件があり、現在の建物を改修して使い続ける場合にも「あと何年使うのか」「今後どの設備へ追加投資が必要になるのか」という別の判断が待っています。
さらに実務を難しくするのは、建物の条件だけではありません。
現役世代から「多少負担しても性能を高め、資産価値を維持したい」という意見が出る一方、高齢の区分所有者からは「大きな一時金を用意するのは難しい」という不安が示される場合があります。自ら住んでいる所有者と賃貸に出している所有者でも、再生に期待する内容は変わるでしょう。
こうした違いは、誰かがわがままだから生まれるものではありません。同じマンションを所有していても、家計、年齢、家族構成、資産計画、住み続けたい期間が違えば、守りたいものも変わるためです。
だからこそ、よいコンサルタントは「建替えが最善です」と早く結論を言う人とは限りません。管理組合が何を判断できておらず、何を調べれば比較できる状態になるのかを整理できる人が必要になります。
マンション再生コンサルタントを選ぶ7つのポイント
ここからは、冒頭で示した7つの判断基準を具体的に確認します。候補者のパンフレットに書かれている宣伝文句ではなく、管理組合が実際の提案書や面談で検証できる内容へ落とし込むことが重要です。
1 同種マンションの再生経験を確認する
「マンション再生の実績が豊富です」と説明されれば、管理組合として安心感を持つのは自然です。ただし、実績件数だけで自分たちのマンションにも対応できると判断するのは早いでしょう。
50戸程度の単棟マンションと数百戸規模の団地では、検討組織のつくり方も区分所有者への情報提供も異なります。店舗を含む複合用途マンション、借地権があるマンション、耐震性に課題を抱えるマンションなどでは、さらに別の論点が加わります。
そこで確認したいのは、自分たちのマンションと条件が近い案件です。
候補者には、戸数、築年数、建物形式、用途、権利関係、当初抱えていた課題、比較した再生手法、どの段階まで支援したのかを尋ねてください。完成した成功事例だけではなく、「途中でどのような問題が起きたのか」まで聞くと経験の深さが見えやすくなります。
たとえば「費用負担への不安が強かったため、当初案をいったん戻して複数案の負担額を再計算しました」と具体的に説明できる人であれば、単に成果物をつくっただけではなく、検討途中の調整まで経験していることが分かるでしょう。
2 主担当者本人の経験と実績を確認する
会社として多数の再生案件を扱っていても、実際に自分たちのマンションを担当する人が同じ経験を持っているとは限りません。
選考時のプレゼンテーションには経験豊富な役員や責任者が出席し、「この人なら安心できそうだ」と感じたにもかかわらず、契約後は別の担当者が毎回理事会へ来るようになれば、選定時の評価と実際の支援内容がずれてしまいます。
そのため、会社実績と担当予定者の実績は分けて確認してください。
主担当予定者がこれまで何件の再生案件へ関わり、責任者だったのか補助担当だったのかまで聞くと、実際の経験を把握しやすくなります。契約後の定例会や住民説明会へ誰が出席するのか、担当者が交代した場合にどのような引継ぎを行うのかも確認したほうがよいでしょう。
一級建築士やマンション管理士などの資格は専門領域を知る材料になりますが、資格があることとマンション再生の実務経験が豊富であることは同じではありません。保有資格と実際の担当経験を組み合わせて評価することが重要です。
3 修繕改修建物更新建替えなどを中立に比較できるか確認する
マンション再生では、相談を始めた時点で最終的な再生方法が決まっていないことも多いでしょう。
それにもかかわらず、初回相談の段階から「この築年数なら建替えです」「改修で十分です」と強く方向付けられると、管理組合は専門家との知識差から、その結論を前提に考え始めてしまうことがあります。
そこで見るべきなのは、何を勧めたかだけではなく、別の選択肢をどのように比較したかです。
建替えを提案する候補者には、「現在の建物を修繕または改修して使い続ける案では、どの問題が解決できないのでしょうか」と尋ねます。改修を中心に提案する候補者には、「建替えや建物更新などを比較対象から外す理由は何ですか」と聞くと、判断過程が見えやすくなるでしょう。
コンサルタントの会社やグループが設計監理、施工、不動産開発などの後続業務を行っている場合もあります。それ自体を問題と決め付ける必要はありませんが、将来受注できる業務と現在の助言との間にどのような関係があるのかは確認したほうが安全です。
中立性とは「どの事業者とも関係がないこと」だけを意味するものではありません。関係がある場合にもその内容を開示し、異なる選択肢のメリットと不利益を同じ基準で説明できることが重要です。
4 合意形成支援の経験を確認する
マンション再生では、技術的に優れた計画をつくれば自動的に話が進むわけではありません。
たとえば説明会で「自己負担はいくらになりますか」と尋ねた人に対して、まだ計算できないからと「後で説明します」とだけ答え続ければ、その人は計画の内容以上に「自分たちに都合の悪いことを隠しているのではないか」と不安になる可能性があります。
こうした心理の変化を軽く扱わないことが重要です。
候補者には、区分所有者の意見が大きく割れた案件でどのような対応を行ったのかを尋ねます。説明会の開催回数だけを見るのではなく、アンケートをどう設計したか、個別相談を行ったか、住民の意見を受けて検討案を修正した経験があるかまで確認してください。
合意形成は、反対者を説得するための話術ではありません。何を不安に感じているのかを把握し、その不安を判断できる具体的な課題へ変え、必要な情報を返していく仕事だと考えると、選ぶべきコンサルタントの姿も見えやすくなるでしょう。
5 業務範囲が明確か確認する
見積書に「マンション再生コンサルティング業務一式」とだけ書かれていては、金額が安くても高くても適切に評価できません。
現状把握、既存資料の精査、建物調査、再生手法比較、アンケート作成、集計、説明会資料作成、当日の説明、個別相談、行政協議、事業者選定など、マンション再生には多くの業務があります。
そのため、契約前には「何をしてもらえるか」と同じくらい「何をしてもらえないか」を確認してください。
たとえば「建物の現状把握」という言葉でも、既存の診断報告書を読むだけなのか、新たに建物調査を実施するのかでは業務量が大きく異なります。「説明会支援」についても、資料作成だけなのか、担当者が出席して説明と質疑対応まで行うのかによって意味が変わります。
業務の境界線が明確な契約ほど、検討途中で「そこからは追加業務です」と判明する行き違いを防ぎやすくなります。
6 報酬と追加費用が明確か確認する
管理組合のお金を使う以上、費用を抑えたいと考えるのは当然です。
理事としては、高い候補者を選んだ後に「なぜ一番安いところにしなかったのか」と聞かれることも気になるでしょう。そのため見積総額は比較しやすく、数字だけで順位を付けたくなることがあります。
しかし、同じ金額でも含まれている業務が違えば比較にはなりません。
A社が150万円で住民説明会2回まで、B社が220万円で説明会6回と個別相談まで含むなら、単純にB社が70万円高いと評価することはできないでしょう。検討期間が延びた場合、説明会を追加した場合、アンケートをやり直した場合にどの程度の費用が増えるのかも確認してください。
| A社 | B社 |
|---|---|
| 150万円で住民説明会2回まで | 220万円で説明会6回と個別相談まで含む |
また、低価格であること自体を問題視する必要はありません。
確認したいのは「なぜその価格でできるのか」です。業務を効率化しているのか、対応範囲が限定されているのか、後続業務を別契約としているのかが分かれば、価格を適切な比較材料として使えるようになります。
7 利害関係と事業者との関係を確認する
マンション再生では、設計事務所、施工会社、デベロッパー、不動産会社など多くの企業が関わる可能性があります。
コンサルタント自身やグループ会社が後の設計や開発へ参入する可能性がある場合でも、それだけで不適切と判断する必要はありません。しかし、その関係を説明しないまま特定の再生手法や事業者を強く推奨しているなら、管理組合として確認する必要があります。
資本関係、業務提携、継続的な取引、紹介料や成功報酬の有無、後続業務へ参入する予定などを質問してください。
「そこまで聞くのは相手を疑っているようで気まずい」と感じる理事もいるでしょう。それでも、マンション再生は区分所有者の大きな資産に関わる事業であり、誰がどの立場から助言しているのかを確認することは、相手を疑うためではなく公平な意思決定を守るための手続きです。
コンサルタント比較チェックシートで候補者を採点する
7つのポイントが「何を判断するか」だとすれば、比較チェックシートは「どう同じ基準で採点するか」を具体化する道具です。
候補者との面談後は、「説明が分かりやすかった」「話しやすそうだった」といった印象が強く残ります。相性も大切ですが、数社を比較すると記憶が混ざりやすいため、面談前から同じ評価表を用意しておくと判断理由を残しやすくなります。
| 評価項目 | 確認内容 | 配点例 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|---|---|
| 類似案件の経験 | 規模や築年数や条件が近い案件経験 | 5 | |||
| 主担当者の実績 | 本人の担当年数と役割と実績 | 5 | |||
| 再生手法の比較力 | 複数手法を共通条件で比較できるか | 5 | |||
| 合意形成支援 | 意向調査や説明会や個別相談の経験 | 5 | |||
| 説明の分かりやすさ | 専門情報を管理組合向けに説明できるか | 5 | |||
| 業務範囲 | 成果物や対応範囲が明文化されているか | 5 | |||
| 費用透明性 | 基本費用と追加条件が明確か | 5 | |||
| 独立性 | 利害関係について説明できるか | 5 | |||
| 支援体制 | 担当者交代や専門家連携へ対応できるか | 5 | |||
| 管理組合との相性 | 自分たちの判断を支える姿勢があるか | 5 |
点数は合計だけで機械的に使う必要はありません。
すでに技術調査が十分に済んでいる一方、住民意見が大きく割れているマンションなら、合意形成支援を重く評価する方法があります。反対に、そもそも建物状態が十分に分かっていない場合は、技術的な調査体制を重視するほうが自然です。
ただし、配点は候補者の提案を見てから変えないほうがよいでしょう。
気に入った候補者が現れてから、その会社に有利な項目の点数を高くすると、後になって「最初から選ぶ会社が決まっていたのではないか」という疑念を招きます。評価基準を先に決めることは、公平な選定だけでなく、その後の区分所有者への説明にも役立ちます。
候補者への質問で提案内容を検証する
チェックシートで評価軸を決めたら、次は候補者の説明が本当にその基準を満たしているかを質問によって確かめます。
質問を会社ごとに大きく変えると回答を比較しにくくなるため、基本質問は共通化し、書面で確認するものとヒアリングで直接聞くものを分ける方法が実務的です。
| 分類 | 候補者へ確認したい質問 | 回答から見たい点 |
|---|---|---|
| 経験 | 当マンションと規模や築年数や条件が近い案件で何を担当しましたか | 類似実績の具体性 |
| 経験 | その案件で最も難しかった問題と対応方法を教えてください | 問題解決経験 |
| 体制 | 本業務の主担当者は誰で類似案件では何を担当しましたか | 担当者本人の実績 |
| 体制 | 契約後の理事会や説明会にも同じ担当者が出席しますか | 選考時と実務の一致 |
| 体制 | 担当者が交代する場合はどのように引き継ぎますか | バックアップ体制 |
| 経験 | 中断または方針変更になった支援案件はありますか | 失敗から学ぶ姿勢 |
| 比較力 | 修繕継続と改修と建物更新と建替えを何で比較しますか | 評価軸の中立性 |
| 比較力 | 建替え以外の方法を推奨した事例がありますか | 得意分野への偏り |
| 法制度 | 建物更新の適用可能性はどのように確認しますか | 制度理解の正確さ |
| 財務 | 将来の工事費や物価変動をどのように試算しますか | 前提条件の透明性 |
| 財務 | 修繕積立金と各戸負担を含めた比較ができますか | 建築と財務の統合 |
| 合意形成 | 区分所有者の意見が割れた案件でどう対応しましたか | 対立時の実務経験 |
| 合意形成 | 費用負担に不安がある高齢者へどう説明しますか | 生活事情への理解 |
| 合意形成 | 不在区分所有者へどう情報を届けますか | 情報提供の設計力 |
| 合意形成 | 説明会が紛糾した場合にどう進行しますか | ファシリテーション |
| 合意形成 | 過去のニュースレター等を提示できますか | 実際の広報力 |
| 合意形成 | 反対意見で検討案を見直した経験がありますか | 意見を戻す姿勢 |
| 業務 | 定例会と説明会への出席回数は何回含まれますか | 業務範囲 |
| 業務 | アンケート作成から分析までどこまで含みますか | 見積条件の具体性 |
| 業務 | 個別相談は基本業務でしょうか | 追加費用リスク |
| 費用 | 契約期間延長時の報酬はどう計算しますか | 追加料金の透明性 |
| 費用 | 再生方針決定後はどこから別契約になりますか | 後続業務との境界 |
| 独立性 | グループ会社が設計や施工へ参入する可能性はありますか | 利益相反の可能性 |
| 独立性 | 紹介料や業務協力費を受ける場合がありますか | 報酬構造 |
| 独立性 | 継続取引先が候補者になった場合どう扱いますか | 公平性の管理 |
| 姿勢 | 現段階で当マンションが最初に確認すべきことは何ですか | 結論を急がない姿勢 |
最後の質問は、候補者の考え方を見るうえで特に有効です。
資料をほとんど確認していない段階で「建替えが最善でしょう」と即答する人と、「まず修繕履歴、建物状態、資金状況、敷地条件、区分所有者の意向を確認したい」と答える人では、同じ専門知識を持っていても支援の考え方が異なる可能性があります。
答えの内容だけではなく、答えへ至る順序まで見ることが選定では重要です。
提案依頼書で候補者の条件をそろえる
比較チェックシートが「採点方法」、候補者への質問が「検証方法」だとすれば、提案依頼書は候補者を「同じ条件でスタートさせるための方法」です。
管理組合から「マンション再生について提案してください」とだけ依頼すると、一社は新たな建物調査を含め、別の一社は既存資料の確認だけで見積もることがあります。その状態で価格を比較すれば、前提条件が違う業務を総額だけで比べることになってしまいます。
提案依頼書には、少なくとも次の内容をそろえて記載するとよいでしょう。
| 提案依頼書の項目 | 記載内容 |
|---|---|
| マンション概要 | 竣工年や戸数や構造や用途 |
| 敷地条件 | 面積や用途地域や容積率など |
| 管理状況 | 管理方式や長期修繕計画や積立金 |
| 修繕履歴 | 大規模修繕や設備更新の履歴 |
| 現在の課題 | 劣化や耐震や資金など認識済みの問題 |
| 検討目的 | 再生手法を比較するなど今回の目的 |
| 委託範囲 | 現状把握や比較や意向調査など |
| 成果物 | 報告書や比較表や住民説明資料 |
| 予定期間 | 契約から成果物提出までの想定 |
| 担当者情報 | 主担当者の経歴と実績 |
| 類似案件 | 同条件に近い過去案件 |
| 見積条件 | 基本報酬と実費と追加費用 |
| 利害関係 | 関係事業者との資本や取引関係 |
| 選定方法 | 書類審査やヒアリングの方法 |
| 日程 | 質問期限や提出期限や選考日 |
提案依頼書をつくると、候補者より先に管理組合自身の考え方が見えてくる場合があります。
ある理事は「建替えの可能性を調べるための依頼」と考えているのに、別の理事は「建替えを避けるため改修可能性を調べる依頼」と思っているかもしれません。この違いに契約後気付けば、専門家を選び直すほどの手戻りになる可能性があります。
募集前に「今回は何を決めるための検討なのか」を文章にすること自体が、小さくても重要な実践です。
管理組合でマンション再生コンサルタントを選定する進め方
実際の選定では、候補者探しから契約までを一つの流れとして設計します。
公平な手続きは単なる形式ではありません。後になって区分所有者から「いつの間にこの会社に決まったのですか」と聞かれたとき、選定経緯を説明できることが、その後の再生検討への信頼につながります。
検討目的と選定体制を決める
最初に、今回コンサルタントへ何を依頼するのかを管理組合内で整理します。
まだ建替えや改修などの方向性が決まっていないなら、「建替え支援」ではなく「再生等手法の比較検討支援」とする方法があります。国土交通省のマニュアルでも、管理組合内に検討組織を設け、専門家を選定した後に再生等の構想と手法比較へ進むプロセスが示されています。
役員交代によって議論が途切れることが心配なら、理事会の諮問組織として再生検討委員会などを設け、一般の区分所有者にも参加を呼びかける方法があります。すべてのマンションで同じ形にする必要はありませんが、長期の検討内容を引き継げる仕組みは意識したいところです。
評価基準を候補者を見る前に決める
次に、比較チェックシートの評価軸と配点を決めます。
提案書を見てから評価方法を変えると、「特定候補者を選ぶために条件を変えた」と受け取られる可能性があります。何を重視する管理組合なのかを事前に決めることで、選考メンバー自身も判断しやすくなるでしょう。
同じ提案依頼書を候補者へ渡す
候補者には同じ情報を同じ条件で提示します。
質問を受けた場合も、一社だけが重要情報を知った状態にならないよう、提案内容へ影響する回答については他の候補者へ共有する方法が考えられます。手間は増えますが、こうした対応が選定手続きへの信頼を支えます。
主担当予定者を含めて面談する
書類審査後は、できる限り実務の主担当予定者から直接説明を受けます。
完成した提案資料だけでは、実際の対応力は分かりません。想定外の質問へどのように答えるのか、分からないことを無理に断定せず確認できるのか、慎重な意見や反対意見をどう扱うのかを見ることで、契約後の関係を想像しやすくなります。
選定理由を記録して必要な手続きを行う
候補者を決めたら、評価結果と選定理由を議事録などへ残します。
契約について必要な理事会や総会の手続きは、管理規約、予算承認の内容、契約金額、委託業務などによって異なるため、一律に「必ず総会普通決議」と断定するのは適切ではありません。自分たちの管理規約と既存の決議内容を確認したうえで、必要な手続きを進めてください。
大切なのは、「安かったから」「有名だから」という一言ではなく、どの評価項目を比較した結果として選んだのか説明できる状態にすることです。
マンション再生コンサルタント選定で起こりやすい失敗
失敗例は、新しい判断基準を増やすためではなく、すでに確認した7つのポイントを実際の選考で忘れないために使うと整理しやすくなります。
| 起こりやすい失敗 | 背景にある心理 | 防ぐために確認するポイント |
|---|---|---|
| 会社実績だけで決める | 大手なら安心だと思いたくなる | 主担当者本人の実績 |
| 最初から建替え前提で募集する | 早く方向を決めたい | 再生手法の比較力 |
| プレゼンの印象だけで選ぶ | 説明が上手な人へ安心感を持つ | 比較チェックシート |
| 最安値だけで決める | 支出理由を説明しやすい | 業務範囲と追加費用 |
| 専門家へ判断まで任せる | 難しい制度から解放されたい | 管理組合主体の支援姿勢 |
| 利害関係を聞かない | 相手を疑っているようで聞きづらい | 独立性と情報開示 |
これらは、理事や委員の能力不足から起こるとは限りません。
専門知識が少ない状態で多額の資産に関わる判断を求められれば、「大きい会社なら安心できる」「安い会社なら区分所有者へ説明しやすい」「専門家が決めてくれれば責任を背負わずに済む」と感じることはあります。
だからこそ、個人の感覚だけに頼るのではなく、評価表や質問票、提案依頼書などの仕組みを用意する意味があります。人間の印象や不安を完全になくすのではなく、それだけで重要な判断が決まらない状態をつくることが公平な選定につながります。
マンション再生コンサルタントが支援する主な業務
ここまで選び方を先に説明してきましたが、候補者を正しく評価するには、そもそもマンション再生コンサルタントがどのような業務を支援するのかも理解しておく必要があります。
国土交通省のマニュアルでは、再生検討の段階で専門家を選定し、再生等の構想策定や手法比較へ進む流れが示されています。また、案件によって建築、法律、税務など別分野の専門家と連携することも想定されています。
建物と管理状況の現状を整理する
最初に行うのは、「古い」「修繕費が増えている」といった漠然とした感覚を、判断に使える具体的な情報へ変えることです。
設計図書、修繕履歴、建物診断、耐震性能、設備状況、長期修繕計画、修繕積立金などを確認し、今後どのような工事と負担が予想されるのかを整理します。
たとえば給排水設備を更新すれば当面の問題が解決するのか、その数年後にエレベーター、外壁、防水などへ大きな費用が必要になるのかによって、現在の建物へ追加投資する意味は変わります。
重要なのは調査結果を並べることではなく、「その結果を将来判断へどう使うのか」まで管理組合に伝えられることです。
複数の再生等手法を比較する
現状が分かった後は、修繕継続、改修、建物更新、建替え、売却等について比較します。
比較するのは当初の工事費だけではありません。今後の維持費、各戸負担、事業期間、仮住まい、権利への影響、将来の建物性能などを同じ表へ並べていく必要があります。
初期費用だけ安い方法でも、その後の設備更新や修繕費が大きければ長期的な評価は変わる可能性があります。反対に、当初負担が大きい手法にも将来の維持管理面で別の利点があるかもしれません。
だからこそ、コンサルタントには「この方法が一番です」という結論だけではなく、何を比較した結果なのかまで示してもらう必要があります。
区分所有者の意向を確認する
建物診断だけでは、マンション再生の答えを出すことはできません。
自己負担への不安、今後住み続けたい期間、仮住まいへの抵抗、将来的な売却意向などをアンケートやヒアリングで確認し、再生手法を考える条件へ反映します。
ここで「建替えに賛成ですか」という一問だけでは情報が足りません。
「反対している」という結果だけを見るのではなく、費用が分からないから不安なのか、転居が難しいのか、現在の住まいを手放したくないのかまで分かれば、管理組合が次に調べるべき内容も具体的になります。
合意形成を支援する
再生検討が長くなるほど、理事や委員と一般の区分所有者の間には情報量の差が生まれます。
委員が半年間かけて理解した内容を総会直前の資料だけで説明すれば、受け取る側は「急に話が進んだ」と感じるかもしれません。そのため、ニュースレター、勉強会、説明会、アンケート、個別相談などを使いながら、検討経過を段階的に共有します。
事業計画を具体化する
方向性が絞られてきたら、事業費、資金調達、スケジュール、権利関係、仮住まい、行政協議などを具体化します。
この段階では建築だけでなく、法律、不動産、税務、金融などの専門知識が必要になる場合があります。コンサルタント本人がすべて対応できることを期待するのではなく、必要な専門家を判断し、適切に連携できるかを見ることも重要です。
2026年改正後のマンション再生制度で知っておきたいこと
マンション再生コンサルタントを選ぶ記事で、管理組合が法律の細かな条文まで暗記する必要はありません。しかし、候補者が制度を正確に説明しているか判断するため、2026年4月施行後の大きな変更は理解しておくと役立ちます。
2026年4月1日には改正マンション関係法が施行され、従来の「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」は「マンションの再生等の円滑化に関する法律」へ名称が変更されました。建物更新や売却、取壊しなどを含めた再生等の制度も整備され、国土交通省のマンション再生関連マニュアルも2026年3月に改訂されています。
建物更新は一般的な改修と同じではない
建物更新は、単に大規模なリノベーションを実施することを意味する制度ではありません。
区分所有法上は、建物の構造上主要な部分の効用の維持または回復について、通常有すべき効用の確保を含め、そのために共用部分の形状を変更し、かつ、その変更に伴って全ての専有部分の形状、面積または位置関係を変更するものとして定義されています。
国土交通省の資料では制度を理解しやすくするため「一棟リノベーション」という表現が用いられる場合がありますが、一般的なリノベーションという言葉と法令上の建物更新を完全に同じものとして考えることはできません。
実際に建物更新を検討する場合は、「大規模に改修するから該当するだろう」と判断するのではなく、法令上の要件を満たす計画なのか確認する必要があります。
建替えや建物更新の決議要件
国土交通省の2026年3月改訂マニュアルでは、建替え決議と建物更新決議について、原則として区分所有者のうち議決権を有しない者を除いた者と議決権の各5分の4以上が必要と整理されています。
一定の客観的事由に該当する場合には、この多数決割合が各4分の3以上へ引き下げられます。
| 建替え決議と建物更新決議 | 原則 | 一定の客観的事由に該当する場合 |
|---|---|---|
| 区分所有者のうち議決権を有しない者を除いた者と議決権 | 各5分の4以上 | 各4分の3以上 |
一方、改正後の区分所有法には、規約変更や共用部分変更などについて出席者を基準とする決議もあります。そのため、「改正後はすべて出席者多数決になった」と理解すると、建替えや建物更新の決議要件を誤る可能性があります。
制度を説明するコンサルタントには、どの決議について何を母数とするのかを区別して説明できることが求められます。
売却系の決議では敷地利用権持分価格も確認する
建物敷地売却と建物取壊し敷地売却では、建替えや建物更新とは確認する要素が異なります。
これらの決議では、原則として区分所有者、議決権に加え、敷地利用権の持分の価格についても各5分の4以上が必要となります。一定の客観的事由に該当する場合には、これらについて各4分の3以上となります。
| 建物敷地売却と建物取壊し敷地売却 | 原則 | 一定の客観的事由に該当する場合 |
|---|---|---|
| 区分所有者、議決権に加え、敷地利用権の持分の価格 | 各5分の4以上 | 各4分の3以上 |
この違いは実務上重要です。
区分所有者の人数だけを数えて「あと何人賛成すればよい」と考えても、売却系の決議では必要な条件を確認したことにはならないからです。
客観的事由による要件緩和
多数決割合の緩和に関係する客観的事由には、耐震性の不足、火災に対する安全性の不足、外壁等の剝落により周辺に危害を生ずるおそれ、給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ、バリアフリー基準への不適合があります。
したがって、「配管が古いから4分の3で決議できる」と単純化することはできません。
実際に客観的事由へ該当するかは、それぞれの制度要件に沿って確認する必要があります。候補者が「老朽化しているから要件は緩和されます」と大まかに説明する場合には、どの客観的事由に該当する想定なのかを質問したほうがよいでしょう。
所在等不明区分所有者の制度とは分けて考える
改正法では、所在等不明区分所有者について、裁判所の決定を経て一定の決議の母数から除外する仕組みも設けられています。
ただし、この制度と客観的事由による5分の4から4分の3への多数決要件緩和は別の仕組みです。「所在不明者がいるから4分の3になる」という制度ではありません。
制度の数字だけを見ると複雑ですが、管理組合がすべてを暗記する必要はありません。むしろ、このような違いを候補者へ質問したときに、制度を混同せず分かりやすく説明できるかどうかも、コンサルタントを評価する材料になります。
選定後はマンション再生の合意形成を段階的に進める
コンサルタントを選び終えると、「ようやく専門家に任せられる」と肩の力が抜ける理事もいるでしょう。
長い選考を終えた後であれば、その感覚は自然です。しかし、ここから管理組合が検討を専門家へ丸投げすると、理事や委員と一般の区分所有者との情報差が大きくなる可能性があります。
国土交通省のマニュアルでも、検討組織を設け、専門家を導入し、再生等手法を比較しながら合意形成を進めていく段階的なプロセスが示されています。
実際の情報提供でも、最初から最終案と自己負担額だけを提示するより、現在の建物を維持した場合に将来どのような工事と負担が見込まれるのかを共有し、その状況を踏まえて複数の再生手法を比較した後、費用、工事期間、仮住まいなど生活への影響を具体化するほうが理解されやすいでしょう。
建物の現状を知らない区分所有者へ突然大きな金額を示せば、「そんなに払えない」という反応が先に出るかもしれません。一方、現在の建物を使い続ける場合にも相応の将来負担があると理解していれば、建替えや建物更新の負担も複数案の比較として考えられるようになります。
勉強会と説明会を使い分ける
検討初期では、正式な説明会だけでなく勉強会を活用する方法があります。
「説明会」と聞くと、すでに理事会が決めた内容を説明される場だと受け止める人もいるでしょう。これに対して「まだ何も決めていない段階で、一緒に必要な情報を確認する場」と位置付ければ、疑問や不安を出しやすくなる場合があります。
初期には建物の状況や再生手法について共有し、具体案が見えてきた段階で費用や生活への影響を説明するというように、検討段階に応じて情報の深さを変えることが重要です。
賛否より不安の中身を見る
アンケートを賛否投票だけに使うと、結果は見えても次の行動が見えません。
反対理由として「自己負担が分からない」という回答が多ければ、次に必要なのは説得ではなく負担額の試算です。「高齢なので心配」という声が多いなら、費用だけではなく仮住まい、引越し、再入居など生活上の条件を具体化する必要があります。
反対意見を一つの感情として処理せず、何が不安なのかを具体的な論点へ分けることで、情報提供によって解消できる問題と、価値観として尊重する必要がある問題を区別しやすくなります。
小さな実践で議論を整理する
次の理事会では、議案ごとに「今回判断すること」「現段階では判断しないこと」「次回までに調べること」が分かる資料をつくってみてください。
小さな変更ですが、「今日は建替えを決める会議なのか」といった誤解を減らせる可能性があります。数回続けた後に、区分所有者の質問が「何となく不安」から「修繕を続けた場合の20年間の費用を比較したい」と具体的になっていれば、情報共有が判断につながり始めたと考えられるでしょう。
合意形成とは、最初から全員の意見を一致させることではありません。漠然とした不安を、管理組合が一つずつ検討できる具体的な問いへ変えていく過程でもあります。
マンション管理士に相談できること
まだコンサルタントを募集するほど課題が整理できておらず、「そもそも何を依頼すればよいのか分からない」という管理組合もあります。
そのような段階では、マンション管理士へ相談する方法も考えられます。
マンション管理士は、管理組合運営、管理規約、総会や理事会などについて助言を行う国家資格者です。再生検討でも、検討組織の立ち上げ、専門家選定、区分所有者への情報提供、提案依頼書の整理などについて支援できる場合があります。
ただし、マンション管理士であればマンション再生のすべてを単独で担当できるわけではありません。
| 専門家 | 主な専門領域 | 再生検討で期待される役割 |
|---|---|---|
| マンション管理士 | 管理運営や規約や合意形成 | 初期整理や組合運営や専門家選定 |
| 建築士 | 建築設計や建物技術 | 劣化調査や改修計画や建築検討 |
| 弁護士 | 法律 | 権利調整や紛争や高度な法律判断 |
| 不動産鑑定士 | 不動産評価 | 土地建物や権利価値の評価 |
| 税理士 | 税務 | 売却や再生に関係する税務 |
| 再開発分野の専門家 | 事業計画や権利調整 | 建替え等の事業化支援 |
建物の構造や設計については建築士、法的な紛争については弁護士など、必要な専門家は問題によって変わります。
また、「マンション管理士だから中立」と自動的に考えるのも適切ではありません。資格にかかわらず、所属する会社、取引関係、後続業務との関係を確認する必要がある点は、ほかの専門家と同じです。
マンション再生コンサルタント選びのFAQ
- マンション再生コンサルタントはいつから入れるべきですか
-
建替えなどの再生方針が決まった後に限らず、「次の大規模修繕をそのまま続けてよいのか」「設備更新まで含めると将来負担はいくらになるのか」と迷い始めた段階から相談できます。
国土交通省のマニュアルでも、検討組織を設置した後に専門家を選定し、再生等手法の比較検討へ進む流れが示されています。結論が決まっていない段階だからこそ、複数の選択肢を整理する支援に意味があります。
- マンション管理士と建築士の違いは何ですか
-
中心となる専門領域が異なります。
マンション管理士は管理組合運営や管理規約などの管理面について助言し、建築士は建物の設計や建築技術を専門とします。マンション再生では双方の分野が関係するため、どちらか一人ですべてを担当する前提ではなく、現在の課題に必要な専門家が連携できる体制を確認することが重要です。
- コンサルタントは何社くらい比較すればよいですか
-
法律で決められた社数はありません。
管理組合の審査負担や地域の候補者数にもよりますが、重要なのは複数の候補者から同じ条件で提案を受け、比較できる状態をつくることです。実務上は3〜5社程度へ提案を求め、その中から数社へ詳しいヒアリングを行う方法もありますが、これは法定基準ではありません。
- コンサルタントは費用だけで選んでもよいですか
-
費用は重要な判断材料ですが、総額だけでは比較できません。
基本料金に何が含まれているのか、説明会や個別相談を追加した場合にいくらかかるのか、後続業務は別契約なのかまで確認してください。低価格の理由が合理的に説明されていれば有力な候補になり得ますが、安いという事実だけで評価すると業務範囲の違いを見落とす可能性があります。
- 区分所有者の合意形成も依頼できますか
-
アンケート、ニュースレター、勉強会、住民説明会、個別相談などを含め、合意形成を支援するコンサルタントへ依頼できます。
ただし、専門家へ依頼すれば必ず合意できるというものではありません。最終的な意思決定主体は管理組合と区分所有者であり、コンサルタントは判断材料と対話の環境を整える支援者です。
- 建替えを決める前でも相談できますか
-
むしろ、建替えと決める前に相談する意味があります。
現在の建物を修繕しながら使い続ける場合、性能を高める改修を行う場合、建物更新や建替え等を行う場合について、自分たちの条件では何が違うのかを比較することが再生検討の重要な部分です。「建替えを進める専門家」ではなく、「将来の再生方法を比較する専門家」として相談する方法もあります。
- 建物更新は一棟リノベーションと同じですか
-
完全に同じ意味ではありません。
区分所有法上の建物更新には法定の定義があるため、一般的な「一棟リノベーション」という呼称だけでは判断できません。具体的な要件については、本記事の「2026年改正後のマンション再生制度で知っておきたいこと」で整理した内容を踏まえ、実際の計画が制度上の建物更新に該当するか専門家へ確認してください。
- 建替えや建物更新は出席者の5分の4で決められますか
-
国土交通省の2026年3月改訂マニュアルでは、そのようには整理されていません。
建替え決議と建物更新決議については、区分所有者のうち議決権を有しない者を除いた者と議決権の各5分の4以上が原則であり、一定の客観的事由がある場合には各4分の3以上となります。改正後には出席者を基準とする別の決議もあるため、決議の種類を混同しないことが重要です。
まとめ マンション再生コンサルタント選びは比較できる仕組みから始める
マンション再生コンサルタントを選ぶときに確認したいのは、同種マンションの経験、主担当者本人の実績、再生手法を中立に比較する力、合意形成支援、業務範囲、報酬と追加費用、利害関係の7点です。
ただし、この7項目を知っているだけでは公平な選定にはなりません。
同じ評価基準をチェックシートへ落とし込み、同じ質問で候補者を検証し、提案依頼書によって各社へ同じ条件を提示することで、初めて比較できる状態がつくられます。その選定過程を記録し、区分所有者へ説明できるようにしておけば、コンサルタントを選ぶ手続きそのものが、その後の合意形成の土台にもなるでしょう。
マンション再生の検討では、専門用語や大きな金額を前にすると、専門家へ答えを預けたくなる瞬間があります。
それでも、最終的に費用を負担し、住み続けるか売却するかを考え、マンションの将来を選ぶのは区分所有者です。よいコンサルタントとは、その判断を代行する人ではなく、複雑な問題を整理して比較可能な形へ変え、管理組合が自分たちの答えへたどり着けるよう支えてくれる相手ではないでしょうか。
参考資料
マンション再生等手法の比較、建物更新の定義、2026年改正後の制度について確認する場合は、国土交通省の次の資料が中心になります。
コンサルタントの選定、再生検討における専門家の役割、建替えや建物更新の実務について確認する場合は、国土交通省のマンション再生実務マニュアルが参考になります。
高経年マンションの増加と2026年改正の背景については、国土交通省の法改正等説明資料で確認できます。
マンション建替えの累計実績については、国土交通省の建替え等実施状況を参照できます。