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マンション管理計画認定には総会決議が必要? 申請前に管理組合が準備することを解説

マンション管理計画認定を検討し始めると、「総会では何を決めればよいのか」「理事会で申請方針を決めただけでは足りないのか」と、手続きの入口で迷うことがあります。

結論からいえば、マンション管理計画認定の申請には原則として総会の普通決議が必要です。ただし、管理規約に別段の定めがある場合には、その定めによる方法が認められることがあります。国土交通省も、申請には普通決議が必要である一方、規約で別の方法を定めている場合にはその方法によることが可能と案内しています。

さらに重要なのは、認定申請そのものの決議と、認定基準を満たすために必要となる長期修繕計画や管理規約などの決議を分けて考えることです。

「総会で申請を決めれば終わりだと思っていたのに、確認することが増えてきた」と感じる理事長や理事もいるでしょう。しかし、先に現在の管理状態を確認しておけば、総会後になって決議や書類の不足に気づく可能性を下げられます。

この記事では、マンション管理計画認定の総会決議について、何を決めるのか、普通決議と特別決議をどう区別するのか、総会前に何を確認するのかを中心に整理します。そのうえで、必要書類、不適合項目への対応、総会までの工程、事前確認、自治体への申請、マンション管理士へ相談できる範囲まで確認していきましょう。

TABLE OF CONTENTS
目次

マンション管理計画認定の申請には原則として総会決議が必要

マンション管理計画認定を申請するときは、原則として管理組合の総会で認定申請について決議する必要があります。

国土交通省のQ&Aでは、管理計画認定制度の申請には普通決議が必要であり、申請時には総会議事録を添付するとされています。したがって、理事会で「認定取得を進めよう」と合意しただけでは、通常は管理組合全体として申請する意思を確定したことにはなりません。

理事会としては、「日常の管理業務を進めているのは自分たちなのだから、認定申請も理事会で決めればよいのではないか」と感じることがあるかもしれません。

しかし、管理計画認定は申請書を一度提出して終わる制度ではありません。認定を取得した後も一定の管理水準を維持することが前提となり、認定基準へ合わせる過程で長期修繕計画、修繕積立金、管理規約などを見直す場合には、区分所有者の負担や権利にも影響してきます。

そのため、総会決議を単なる添付書類のための手続きとして考えるより、「管理組合として認定取得を目指す意思を共有する場」と考えたほうが制度の意味を理解しやすいでしょう。

管理規約に別段の定めがある場合

ただし、すべてのマンションで必ず総会決議しか認められないわけではありません。

国土交通省は、管理規約に別段の定めがある場合には、その定めによる方法も認めています。たとえば、管理計画認定の申請を理事会決議によって行えることが管理規約に明確に規定されている場合には、その規約と理事会議事録によって確認する取扱いがあります。

ここで大切なのは、「理事会決議でもよい場合がある」という結論だけを拾わないことです。

まず、自分たちの現在有効な管理規約に何と書かれているかを確認してください。他のマンションの事例やインターネット上のひな形ではなく、自分たちの管理規約が判断の出発点になります。

最初に規約を開いて確認することは地味な作業に見えるかもしれません。しかし、この一手間によって、「総会が必要なのか」「理事会で進められるのか」という最初の迷いをかなり減らせます。

マンション管理計画認定の総会では何を決議するのか

総会で中心となるのは、管理組合としてマンション管理計画認定を申請することについての決議です。

ただし、ここで一つ整理しておきたいことがあります。

「認定申請を行うこと」と「認定できる管理状態へ整えること」は同じではありません。

この二つを一緒にしてしまうと、総会で申請については可決できたものの、後から長期修繕計画や規約について別の決議が必要だったと気づく可能性があります。

認定申請を 行うこと 認定できる管理状態へ 整えること 同じではありません
「認定申請を行うこと」と「認定できる管理状態へ整えること」は同じではありません。

認定申請を行うことを決議する

まず、管理組合として管理計画認定を申請することを決議します。

総会議案では制度名だけを書くのではなく、なぜ自分たちのマンションが認定取得を目指すのかを説明したほうがよいでしょう。

たとえば、現在の管理状況を公的な基準に照らして確認したいこと、長期的な維持管理体制を整えたいことなどを示せば、区分所有者も「なぜ今この議案が出ているのか」を理解しやすくなります。

必要に応じて、事前確認や自治体への申請を誰が進めるのか、申請に必要な費用をどの予算から支出するのかについても整理します。

一方で、「この議案を可決すれば必ず認定される」という表現は避けるべきです。

総会で決めるのは申請を進める意思であり、認定そのものは提出書類や認定基準への適合状況を踏まえて地方公共団体が判断します。自治体独自基準が設定されている場合もあるため、総会での可決と認定結果は分けて考える必要があります。

長期修繕計画の決議状況を確認する

認定申請の決議とは別に確認したいのが、長期修繕計画に関する総会決議です。

現行の認定基準では、長期修繕計画が存在するだけではなく、その計画内容と長期修繕計画に基づいて算定された修繕積立金額が総会で決議されていることが求められています。

つまり、最新版の長期修繕計画を持っていても、「この計画はどの総会で承認されたのか」が確認できなければ準備が止まる可能性があります。

書庫を探して、「計画書はあるのに承認した議事録が見つからない」と焦る場面もあるでしょう。

その場合には、現在使用している長期修繕計画と過去の総会議事録を並べ、どの計画がどの総会で決議されたのかを確認してください。計画を何度か改定している場合には、最新版と承認議事録がきちんと対応しているかを見ることも重要です。

認定基準を満たすための関連議案を整理する

現在の管理状態を確認した結果、長期修繕計画の変更、修繕積立金額の変更、管理規約の改正などが必要になることがあります。

その場合は、認定申請の議案とは分けて考えてください。

同じ総会で複数の議案を扱うことはできますが、それぞれの議案には異なる決議要件が適用される可能性があります。

総会資料を作る前に、「認定申請のために新たに決めること」「認定基準を満たすために変更すること」「すでに過去の総会で決議済みであること」の3つに分けて整理すると、必要な議案が見えやすくなるでしょう。

認定取得の準備で混乱しやすいのは、制度そのものが難しいからだけではありません。過去に決めたことと、今回新しく決めることが頭の中で混ざってしまうからでもあります。

まず決議事項を分類するだけでも、総会準備はかなり具体的になります。

マンション管理計画認定は普通決議か特別決議か

認定申請そのものについては、原則として普通決議です。国土交通省も現在のQ&Aで明確に普通決議としています。

一方、認定基準を満たすために管理規約の変更などを行う場合には、特別決議が必要になることがあります。

ここは総会実務へ直接影響するため、「認定に関係する議案は基本的に普通決議」と一括りにしないことが重要です。

標準管理規約を前提とした基本的な決議整理

次の表は、マンション標準管理規約を前提とした基本的な考え方です。

実際の決議要件は、現在有効な管理規約と議案の具体的な内容を確認して判断してください。

議案の内容 基本的な考え方 確認するポイント
管理計画認定の申請 原則として普通決議 管理規約に別段の定めがないか確認する
長期修繕計画の作成や変更 原則として普通決議 現行管理規約の議決事項を確認する
管理費や修繕積立金額の変更 原則として普通決議 規約変更を伴う構成なら特別決議の要否も確認する
管理規約の制定や変更 特別決議 2026年4月施行の改正区分所有法と現行規約を確認する

特に修繕積立金額の変更は、マンションによって規約の作りが異なるため注意が必要です。

標準管理規約のように金額そのものを総会決議で決める構成なら、一般的には普通決議として整理できます。

一方で、管理規約本文や規約の一部となる別表に具体的な金額が定められており、その変更自体が規約変更に当たる構成であれば、規約変更について特別決議が問題になる可能性があります。

「前に住んでいたマンションでは普通決議だった」「管理会社から以前そう聞いた」という情報だけで判断しないほうが安全です。

自分たちの規約のどこに金額が書かれており、その金額を変更すると何を変更することになるのかまで確認してください。

2026年4月以降の規約変更は改正区分所有法に注意

管理計画認定を取得するために管理規約を変更する場合には、2026年4月1日に施行された改正区分所有法の影響を確認する必要があります。

2026年4月1日以降に規約改正総会の招集手続きを開始する場合、改正区分所有法による新しい定足数と決議要件が適用されます。

国土交通省の資料では、規約変更について、総会の定足数を組合員総数と議決権総数の各過半数の出席とし、その総会に出席した組合員とその議決権の各4分の3以上で決議する仕組みが示されています。

なお、区分所有法上の特別決議については、個別の規約によって法定基準より厳しい要件を定めることが可能とされています。そのため、改正法の数字だけを見るのではなく、自分たちの管理規約にさらに厳しい条件が設けられていないかも確認してください。

改正法に抵触する旧規約は優先されない

ここは特に誤解しないようにしたいポイントです。

自分たちの管理規約が旧制度を前提とした条文のまま残っていたとしても、2026年4月1日以降に招集手続きを開始する規約変更総会で、その旧規約の定足数や決議要件を自由に選べるわけではありません。

国土交通省は、改正法に抵触する現行規約の成立要件や決議要件は無効となり、改正区分所有法に従った手続きが必要になると明示しています。

つまり、「現行規約には以前の要件が書かれているから、その条文どおりに進めればよい」とは限りません。

現行規約を確認する目的は、古い条文をそのまま優先するためではなく、現在の規約と改正区分所有法との間にどのようなずれがあるかを確認するためです。

規約を見た結果として「法律と違うことが書かれている」と分かれば、不安になるかもしれません。しかし、そこで旧規約に無理に合わせるのではなく、改正法を基準として整理する必要があります。

招集手続きを開始した時期も確認する

経過措置にも注意してください。

2026年3月31日までに総会の招集手続きを開始していた場合には、総会開催日が2026年4月1日以降であっても、改正前の区分所有法による集会規律が適用される取扱いがあります。

一方、2026年4月1日以降に招集手続きを開始した総会には、改正区分所有法の集会規律が適用されます。

現在これから認定取得のために規約改正を検討するのであれば、基本的には改正後の制度を前提として準備することになるでしょう。

古い総会資料やウェブ上の記事を参考にするときは、作成時期にも注意してください。

総会議案を作る前に16の認定基準を確認する

総会議案を書く前に行いたいのが、現在の管理状況と認定基準との照合です。

2026年8月時点の国の管理計画認定基準は16項目で構成されています。管理組合の運営、管理規約、管理組合の経理、長期修繕計画、名簿などについて確認する仕組みです。

国土交通省も、認定取得までの基本的な流れを「認定基準への適合」「総会決議」「事前確認」「自治体への申請」と整理しています。

認定基準への適合 総会決議 事前確認 自治体への申請
国土交通省も、認定取得までの基本的な流れを「認定基準への適合」「総会決議」「事前確認」「自治体への申請」と整理しています。

この順序には意味があります。

先に総会議案を作ってしまうと、後から基準を満たしていない項目が見つかり、「この変更も同じ総会で決めておけばよかった」となる可能性があります。

総会を急ぐより、まず現在地を確認するほうが結果としてやり直しを減らせるでしょう。

管理組合の運営

管理組合の運営では、管理者等が定められていること、監事が選任されていること、総会が年1回以上開催されていることが確認されます。

普段から毎年総会を開いていれば、「ここは問題ない」と思うでしょう。

しかし、認定では実際に行っていることだけではなく、その事実を書類で確認できることも重要になります。

管理者等や監事の選任を確認できる議事録があるか、総会議事録が適切に保管されているかまで確認してください。

管理規約

管理規約については、規約が作成されていることに加えて、認定基準で求められる内容が定められているかを確認します。

現行基準では、緊急時などにおける専有部分への立入り、修繕などの履歴情報の保管、管理組合の財務や管理に関する情報提供について必要な規定があることが求められています。

築年数の経過したマンションでは、管理規約そのものは存在していても、長期間大きな見直しをしていないことがあります。

「これまで問題なく使ってきたのだから、そのままでよいのではないか」と思う気持ちもあるでしょう。

しかし、区分所有法やマンション標準管理規約は改正されています。

認定を取るためだけに条文を追加するのではなく、今後も管理組合のルールとして使える内容になっているかを見直す機会と考えたほうがよいでしょう。

管理組合の経理

管理組合の経理では、管理費と修繕積立金が区分経理されていること、修繕積立金会計から他の会計へ不適切な充当が行われていないことが確認されます。

さらに、直前事業年度の終了日時点において、3か月以上滞納している修繕積立金額が全体額の1割以内であることも現在の認定基準です。

「収支が黒字だから問題ない」という確認だけでは足りません。

管理費会計と修繕積立金会計がどのように区分されているのか、3か月以上の滞納額をどの資料から確認するのかまで把握しておく必要があります。

管理会社へ会計業務を委託している場合には、認定基準を確認するための資料が必要だと伝え、早めに準備してもらうと進めやすくなるでしょう。

長期修繕計画

長期修繕計画は、認定準備の中でも特に確認項目が多い部分です。

現在の認定基準では、計画内容と修繕積立金額が総会で決議されていること、計画の作成または見直しが7年以内であること、計画期間が30年以上であることが求められています。

さらに、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれていること、一時的な修繕積立金徴収を予定していないこと、修繕積立金の平均額が著しく低額ではないこと、計画最終年度に借入金残高がないことも確認対象です。

「30年以上の計画だから大丈夫」と、一つの数字だけを見て判断したくなるかもしれません。

しかし、長期修繕計画は工事内容と資金計画がつながった資料です。

いつ工事を行うのか、そのとき資金はいくら必要なのか、積立金で賄えるのかという流れまで見て初めて、将来の維持管理計画として意味を持ちます。

組合員名簿と居住者名簿

認定基準では、組合員名簿と居住者名簿を備え、年1回以上内容を確認していることも求められています。

名簿は存在していても、何年も更新確認をしていないことがあります。

その場合、「今まで困らなかったから大丈夫だった」と捉えるのではなく、認定準備をきっかけに運用を整えることができます。

全戸へ登録情報の確認を依頼し、毎年同じ時期に確認する仕組みを作れば、翌年からは特別な作業ではなく通常業務として続けられるでしょう。

自治体独自基準

国の16項目だけを確認して準備を終えてはいけません。

地方公共団体によっては、国の基準に加えて独自の認定基準を設けている場合があります。国のポータルサイトでも自治体独自基準が存在する場合があると案内されています。

さらに、マンション管理センターによる事前確認では、地方公共団体が独自に設定している認定基準は事前確認の対象外です。

事前確認適合証が発行されたからといって、「自治体の基準まで全部確認済み」と考えないようにしてください。

申請先自治体の最新ページを確認し、追加基準、必要書類、申請方法、手数料などを把握しておく必要があります。

マンション管理計画認定の準備書類を確認する

認定基準を一通り確認したら、必要な資料を集めます。

議案を書き始めるより先に書類を集めると、「すでに満たしていること」と「これから対応すること」を分けやすくなります。

総会前の準備書類チェック

準備する資料 主に確認する内容
現在有効な管理規約 認定基準に必要な規定と各議案の決議要件
総会議事録 管理者等や監事の選任と総会開催状況
認定申請に関する総会議事録 管理組合として申請を決議した事実
現在有効な長期修繕計画 計画期間と工事内容と資金計画
長期修繕計画に関する総会議事録 計画内容と修繕積立金額の決議状況
貸借対照表 管理組合の財務状況
収支計算書 管理費と修繕積立金の区分経理
修繕積立金の滞納状況を確認できる資料 3か月以上の滞納額
名簿確認に関する資料 組合員名簿と居住者名簿の確認状況
自治体独自基準に関する資料 国の基準以外に求められる事項

国の認定基準では、総会議事録、管理規約、貸借対照表、収支計算書、修繕積立金の滞納状況を確認する資料、長期修繕計画、名簿に関する書類などが必要書類として示されています。

ここで重要なのは、ファイルが存在するかどうかだけではありません。

現在使っている長期修繕計画と総会議事録が対応しているか、規約は過去の改正を反映した最新版か、会計資料と滞納資料の基準日は合っているかというように、書類同士をつなげて確認します。

実際に集めてみると、「管理会社にあると思っていた」「前の理事長から引き継いだはずなのに見つからない」という状況になるかもしれません。

その瞬間は少し焦るでしょう。

それでも、総会後や申請直前ではなく、この段階で不足が分かったのであれば対応する時間があります。認定準備をきっかけに資料の保管方法まで整理できれば、次の役員への引き継ぎにも役立ちます。

認定基準を満たしていない場合は改善の順番を決める

認定基準を確認した結果、現状では満たせていない項目が見つかることがあります。

「これでは認定取得は難しいのではないか」と感じるかもしれません。

しかし、現在基準を満たしていないことと、今後も認定を取得できないことは別です。

国土交通省も、まだ基準を満たしていない項目がある場合には、管理組合で話し合い、基準を満たすための取り組みを進めるよう案内しています。

重要なのは、不適合項目を見つけたあとに、すぐ改善できることと時間が必要なことを分けることです。

長期修繕計画に課題がある場合

計画期間が短い、見直しから7年以上経過している、大規模修繕工事の回数が足りないなどの問題があれば、長期修繕計画の見直しを検討します。

ただし、認定基準に数字だけを合わせることが目的ではありません。

将来必要になる工事と費用を改めて検討し、その結果として認定基準にも合う計画へ整えることが本来の進め方です。

認定のためだけに30年という数字へ合わせても、実際の工事費用が反映されていなければ、数年後に再び資金不足の問題と向き合うことになります。

修繕積立金に課題がある場合

修繕積立金が不足している場合は、理事会として最も話を切り出しにくい問題の一つでしょう。

「認定のために値上げすると言えば反対されるのではないか」という心配が出てくるのも自然です。

だからこそ、認定取得だけを理由に増額を求めないことが重要になります。

現在の積立額を続けた場合に、いつ資金が不足するのか。どの工事にどれだけの費用が必要なのか。そのうえで、どのような積立方法なら将来の工事を賄えるのかを説明します。

区分所有者が知りたいのは、「認定を取るためにいくら払うのか」だけではありません。

「なぜ、この金額が必要なのか」が見えれば、単なる負担増ではなく建物を維持するための課題として考えやすくなるでしょう。

管理規約に課題がある場合

認定基準で求められる規定が不足している場合には、管理規約の変更を検討します。

最新のマンション標準管理規約は重要な参考資料になりますが、その文章をそのまま自分たちの規約へ追加すればよいとは限りません。

現在の規約との整合性、マンションの管理方式、改正区分所有法との関係まで確認する必要があります。

規約変更が必要であれば、2026年4月以降の特別決議ルールと、個別規約によりさらに厳しい要件が設けられていないかも含めて総会を準備してください。

名簿管理に課題がある場合

組合員名簿や居住者名簿が古い場合には、まず登録情報の確認から始められます。

この問題は、規約変更や修繕積立金の見直しほど大きな総会議論を必要としないこともあります。

全戸へ登録内容の確認を依頼し、以後は毎年同じ時期に確認する運用へ変えることで、認定基準への対応だけではなく、緊急時の連絡体制も整えやすくなるでしょう。

小さく直せるものから先に直すと、「認定までにやることが多すぎる」という心理的な負担も減っていきます。

マンション管理計画認定の総会までの工程

認定取得を目指す場合、総会直前から一気に準備するより、数か月前から確認を始めたほうが安全です。

特に、規約変更や長期修繕計画の見直し、修繕積立金額の変更を伴う場合には、理事会での検討だけではなく区分所有者への説明にも時間が必要になります。

次の工程は法令上定められた期限ではなく、実務上の目安です。

時期の目安 段階 主な作業
総会6か月前から4か月前 現状確認 管理規約や長期修繕計画や会計資料を集める
総会4か月前から3か月前 基準照合 16基準と自治体独自基準を確認する
総会3か月前から2か月前 改善検討 規約変更や計画変更や積立金見直しの必要性を検討する
総会2か月前から1か月前 合意形成 必要に応じて説明会や事前周知を行う
総会前 議案作成 議案ごとの決議要件を確認して招集通知を整える
総会当日 総会決議 認定申請と必要な関連議案を審議する
総会後 書類整備 総会議事録と申請資料を整える
書類整備後 事前確認 国の認定基準への適合確認を受ける
事前確認後 自治体申請 自治体独自基準も確認して認定申請する

すでに基準を満たしているマンションであれば、これより短期間で進められる可能性があります。

一方、規約変更や長期修繕計画の見直し、修繕積立金額についての合意形成が必要なら、半年以上かかる場合もあるでしょう。

「○月までに絶対に認定を取る」と先に期限を固定すると、総会へ無理な議案を出したり、説明不足のまま積立金変更を急いだりする可能性があります。

先に課題の大きさを把握し、その後に現実的な申請時期を決めるほうが、結果として管理組合にとって無理のない進め方になります。

総会決議後から事前確認と自治体申請までの流れ

総会で必要な議案が可決されたら、議事録と申請資料を整えて次の手続きへ進みます。

総会を終えると「これで一番大変なところは終わった」と感じるかもしれません。

確かに大きな節目ですが、認定取得という意味では、ここから書類で総会決議と認定基準への適合状態を示す段階に入ります。

総会議事録を整える

総会議事録では、認定申請についてどのような議案が審議され、どのような結果になったのかを確認できることが重要です。

同じ総会で長期修繕計画、修繕積立金額、規約変更などを決議した場合には、それぞれの決議内容も分かるようにします。

以前から使っている議事録様式がある場合でも、現在の管理規約や法令との整合性を確認してください。

「いつもこの書き方だから」という理由だけで古い様式を使い続けるのではなく、現在必要な内容を記録できているかを見る必要があります。

申請書類の最新版をそろえる

総会で長期修繕計画や管理規約を変更した場合には、必ず変更後の最新版を申請資料として使用します。

総会前に保存していた古いファイルをそのまま使用すると、認定基準への適合状況が正しく確認できません。

ファイル名に改定日や総会承認日を入れるなど、小さな管理ルールを決めておくと取り違えを防ぎやすくなります。

事前確認を受ける

マンション管理センターの管理計画認定手続支援サービスを利用する場合には、所定の事前確認講習を修了したマンション管理士が認定基準への適合状況を確認します。

適合が確認されると、マンション管理センターから事前確認適合証が発行されます。

ただし、自治体独自基準はマンション管理士による事前確認の対象外です。

そのため、事前確認適合証が発行されたことと、自治体の最終的な認定を受けたことは別だと理解しておいてください。

地方公共団体へ認定申請する

事前確認を利用した場合には、その後、地方公共団体への認定申請へ進みます。

申請方法、独自基準、手数料などは地方公共団体によって異なる場合があるため、対象自治体の最新案内を確認します。

ここまで進むと、「あと少しだから早く申請してしまいたい」という気持ちになるかもしれません。

しかし、最後だからこそ一度立ち止まり、申請書、添付資料、自治体独自基準の3点を見直してください。

申請直前の一回の確認が、補正や追加提出の負担を減らすことにつながります。

2026年と2027年の制度改正で確認すること

現在のマンション管理計画認定を考えるうえでは、2026年と2027年の制度変更を分けて理解する必要があります。

二つを混同すると、「総会のルールが変わる話」と「認定基準が変わる話」が一緒になってしまいます。

2026年4月の 区分所有法改正 総会のルールが変わる話 2027年4月の 管理計画認定基準 見直し 認定基準が変わる話
二つを混同すると、「総会のルールが変わる話」と「認定基準が変わる話」が一緒になってしまいます。

2026年4月の区分所有法改正

2026年4月1日から改正区分所有法が施行され、規約変更などの特別決議に関する仕組みが変わっています。

これから管理計画認定のために規約変更を行う場合には、旧規約に記載された決議要件だけを見て判断せず、改正区分所有法との整合性を確認する必要があります。

前述のとおり、改正法に抵触する旧規約部分はそのまま優先されません。また、個別規約で法定基準より厳しい特別決議要件が定められている場合には、その点も確認してください。

2027年4月の管理計画認定基準見直し

2027年4月1日からは、管理計画認定制度そのものの見直しが行われます。

これは現在検討中という段階ではありません。

国土交通省は2026年7月31日に、制度拡充と認定基準の見直しに関する改正省令と告示を公布しており、2027年4月1日に施行されます。

地方公共団体への申請日が2027年4月1日以降になる場合には、見直し後の認定基準が適用されます。

つまり、2026年中に理事会で準備を始めたとしても、総会や事前確認に時間がかかって自治体への申請が2027年4月以降になる場合には、新基準を前提として最終確認する必要があります。

2027年度は改訂ガイドラインも確認する

一方、2027年度の実務手続きに必要な情報が、2026年8月時点ですべて出そろっているわけではありません。

国土交通省は、申請書や添付書類について改正後の施行規則に基づく提出が必要になるとしたうえで、詳細については今後ガイドラインを見直す予定と案内しています。

したがって、2027年4月以降の申請を予定する管理組合は、「公布済みの新しい認定基準をもとに準備すること」と「実際の申請前に改訂後のガイドラインや申請書式を確認すること」を分けて考えるとよいでしょう。

制度改正の時期に申請するのは、通常より確認事項が多く少し面倒に感じるかもしれません。

それでも、「今分かっていること」と「申請前にもう一度確認すること」を分ければ、すべての情報が出るまで何もできないわけではありません。

マンション管理士へ相談できる範囲

ここまで確認して、「自分たちだけでは整理しきれない」と感じる場合には、マンション管理士へ相談する方法があります。

マンション管理士へ依頼する意味は、申請作業を丸ごと任せることだけではありません。

現在の管理状態を確認し、「何が不足しているのか」「どの順番で改善すればよいのか」を整理することにも価値があります。

認定基準への適合状況を確認する

管理規約、長期修繕計画、総会議事録、会計資料などを確認し、認定基準との差を整理する支援を相談できます。

「長期修繕計画はあるが承認議事録との対応が分からない」「規約はあるが現在の法改正への対応状況が判断できない」といった問題は、自分たちだけでは見落とすことがあります。

総会直前に見つかれば対応できる選択肢が少なくなりますが、準備初期に分かれば、総会で対応するのか次年度に見直すのかまで検討できます。

総会議案や説明資料を整理する

規約変更や修繕積立金の見直しを行う場合には、総会議案や住民向け説明資料について助言を受ける方法があります。

ただし、マンション管理士が作成を支援した議案だからといって、認定が保証されるわけではありません。

専門家に求めるのは「必ず認定される文章」ではなく、必要な論点を整理し、区分所有者が判断できる資料へ整えることだと考えたほうがよいでしょう。

住民説明会の支援を受ける

修繕積立金の変更や規約変更では、区分所有者からさまざまな質問が出ることがあります。

特に毎月の負担が増える場合には、「なぜ今なのか」「認定を取らなければ増額しなくてよいのか」という疑問が出るのも自然です。

そのようなときに、第三者であるマンション管理士などが長期修繕計画や認定基準の関係を説明すれば、理事会だけで説明する場合より議論を整理しやすくなる可能性があります。

専門家が説明すれば必ず賛成が増えるわけではありませんが、感情だけでなく数字や制度をもとに判断する土台を作ることはできます。

事前確認を利用する

マンション管理センターは、管理計画認定の申請経路として複数のパターンを案内しています。

パターン 主な申請方法 注意点
パターン1 事前確認講習修了マンション管理士へ依頼 費用や支援範囲は依頼するマンション管理士との契約を確認する
パターン2 管理会社等を経由 マンション管理適正評価制度等と併せた申請経路
パターン3 日本マンション管理士会連合会を経由 所定の事前確認審査料が必要
パターン4 管理組合がマンション管理センターへ申込み 所定の事前確認審査料が必要
パターン5 地方公共団体へ直接申請 事前確認は行われず利用可否と具体的な方法を所在地の自治体へ確認する

パターン5は、全国の管理組合が同じ条件で自由に選べるという意味ではありません。

マンション管理センターも、地方公共団体へ直接申請する場合には地方公共団体へ相談するよう案内しています。

そのため、事前確認を利用せず直接申請したい場合には、自分たちのマンション所在地を管轄する自治体へ、直接申請の可否と具体的な方法を確認してください。

マンション管理士への支援と申請代理は別

ここは、専門家への依頼を検討するときに特に注意したいところです。

マンション管理士には、認定基準の確認、管理状態の改善支援、総会議案や説明資料の検討、所定の要件を満たすマンション管理士による事前確認などを相談できます。

一方、マンション管理センターの「管理計画認定手続支援サービス」上で申請手続きを行えるのは、申請者本人または申請者から委任を受けた代理人であり、代理人は行政書士に限られます。

したがって、マンション管理士へ相談したからといって、そのマンション管理士が当然にシステム上の代理申請まで行えるわけではありません。

「認定取得支援をお願いしたので、申請まで全部やってもらえると思っていた」と後から認識がずれると、総会後の手続きで慌てることになります。

専門家へ依頼するときは、現状診断、改善提案、議案作成支援、住民説明、事前確認、申請手続きのうち、どこまでが業務範囲に含まれるのかを最初に確認してください。

マンション管理計画認定と総会決議のよくある質問

理事会決議だけで申請できますか

原則として、管理計画認定の申請には総会の普通決議が必要です。

ただし、管理規約に別段の定めがあり、認定申請を理事会決議によって行えることが規定されている場合には、その方法によれることがあります。

まず自分たちの管理規約を確認してください。

総会は普通決議ですか特別決議ですか

認定申請そのものは原則として普通決議です。

一方、認定基準を満たすために管理規約を変更する場合には、その規約変更について特別決議が必要です。

また、特別決議について個別規約で法定基準より厳しい要件を定めている場合があるため、改正区分所有法と現在の管理規約を両方確認してください。

臨時総会でも認定申請を決議できますか

臨時総会で決議することも可能です。

ただし、臨時総会であっても招集手続き、定足数、決議要件などを守る必要があります。

定期総会まで待つか臨時総会を開催するかは、認定基準への適合状況、関連議案の有無、申請時期を踏まえて判断するとよいでしょう。

総会議事録には何を書けばよいですか

認定申請についてどのような議案が審議され、どのような結果になったのかを確認できるようにします。

同じ総会で長期修繕計画や規約変更などを決議した場合には、それぞれの決議内容も適切に記録してください。

具体的な様式や署名方法などについては、自分たちの現行管理規約と現在の法令を確認することが重要です。

認定基準を満たしていなくてもマンション管理士へ相談できますか

相談できます。

むしろ、現状で何が不足しているのか分からない段階で相談することにも意味があります。

不適合項目を洗い出し、総会で対応するもの、日常運用で改善するもの、時間をかけて見直すものに分けることで、現実的な改善計画を作りやすくなるでしょう。

マンション管理士に申請代理まで依頼できますか

マンション管理士として認定取得の支援や事前確認を行うことと、システム上で申請代理を行うことは別です。

マンション管理センターの管理計画認定手続支援サービスで、申請者から委任を受けて申請手続きを行える代理人は行政書士に限られます。

依頼時には、マンション管理士に任せる業務と、本人または行政書士が行う申請手続きを分けて確認してください。

事前確認を受けず自治体へ直接申請できますか

マンション管理センターの案内では、地方公共団体へ直接申請するパターン5も示されています。

ただし、その利用可否や具体的な方法は申請先となる地方公共団体へ確認する必要があります。

全国一律に同じ方法で直接申請できると考えず、対象自治体へ事前に確認してください。

事前確認適合証があれば必ず認定されますか

必ず認定されるとは限りません。

マンション管理士による事前確認では、地方公共団体が設ける独自認定基準は確認対象外です。

事前確認適合証が発行された場合でも、申請先自治体の独自基準を別途確認してください。

2027年4月以降に申請する場合は何を確認すればよいですか

地方公共団体への申請日が2027年4月1日以降になる場合には、見直し後の認定基準が適用されます。

さらに、申請書や添付書類などについては、今後改訂されるガイドラインも確認する必要があります。

2026年時点で使用している申請書式や手引きを、そのまま2027年度にも使用できると判断しないよう注意してください。

マンション管理計画認定の総会準備は現在地の確認から始める

マンション管理計画認定の申請には、原則として総会の普通決議が必要です。

しかし、この記事を読み終えたときに覚えておきたいのは、「普通決議を取ればよい」という結論だけではありません。

認定申請のために行う決議と、認定基準を満たすために必要となる決議は別です。

長期修繕計画、修繕積立金、管理規約、会計、名簿を確認し、すでに基準を満たしている部分と改善が必要な部分を分けたうえで総会へ進むことが重要になります。

確認を始めれば、思っていたより課題が多く見つかるかもしれません。

「こんな状態では認定なんて無理なのではないか」と感じることもあるでしょう。

しかし、その課題は認定制度によって突然生まれたものではありません。認定基準へ照らしたことで、これまで見えにくかった管理上の問題が見えるようになったとも考えられます。

長期修繕計画が古ければ見直し、名簿の確認ができていなければ毎年確認する仕組みを作り、管理規約が現在の法律と合っていなければ必要な改正を検討します。

修繕積立金が不足するのであれば、「認定を取るために値上げする」のではなく、将来の工事を実施するために必要な金額を改めて考えます。

こうした改善を一つずつ進めた結果として認定を取得できれば、認定後にも続く管理体制を残しやすくなるでしょう。

自分たちで書類と基準を整理できるのであれば、そのまま理事会と総会で進めることもできます。

一方、規約変更、長期修繕計画、修繕積立金、自治体独自基準など複数の問題が重なっている場合には、総会直前まで抱え込む必要はありません。

マンション管理士などへ早めに相談し、何を自分たちで行い、どこから専門家の支援を受けるのかを整理する方法があります。

まとめ

マンション管理計画認定の申請には、原則として総会の普通決議が必要です。ただし、管理規約に別段の定めがある場合には、その方法によれるケースがあります。

また、認定申請そのものは普通決議でも、認定基準を満たすために管理規約を変更する場合には特別決議が必要です。2026年4月以降に招集手続きを開始する規約変更総会では改正区分所有法が適用され、改正法に抵触する旧規約部分はそのまま優先されません。

一方、個別の管理規約によって法定基準より厳しい特別決議要件を定めることも可能であるため、法律だけでなく現在有効な規約も確認する必要があります。

総会議案を作る前には、16の認定基準、管理規約、長期修繕計画、修繕積立金、会計資料、名簿、自治体独自基準を確認してください。

そこで不足が見つかっても、すぐに認定取得を諦める必要はありません。

総会で決めること、日常の運用で改善すること、時間をかけて見直すことを分ければ、次に何をすべきかが見えてきます。

総会で 決めること 日常の運用で 改善すること 時間をかけて 見直すこと
総会で決めること、日常の運用で改善すること、時間をかけて見直すことを分ければ、次に何をすべきかが見えてきます。

また、2027年4月1日以降に自治体へ申請する場合には見直し後の認定基準が適用され、実務上の詳細については今後改訂されるガイドラインも確認する必要があります。

まずは管理規約、総会議事録、長期修繕計画、会計資料を一か所に集めてください。

現在地が分かれば、自分たちだけで進められるのか、総会前からマンション管理士へ相談したほうがよいのかについても、具体的に判断できるようになるでしょう。

参考資料

認定申請に必要な総会決議と普通決議の考え方
国土交通省 マンション管理計画認定に関するQ&A

現行16項目の認定基準と認定取得までの流れ
国土交通省 マンション管理・再生ポータルサイト 管理計画認定制度

2026年4月以降の区分所有法改正とマンション標準管理規約
国土交通省 マンション標準管理規約

2026年4月以降に規約変更総会を行う場合の手続き
国土交通省 管理規約改正手続の留意点

事前確認と申請パターンと申請代理の条件
マンション管理センター 管理計画認定手続支援サービス

2027年4月以降の新認定基準と今後のガイドライン改訂
国土交通省 マンション管理計画認定制度

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