マンションの駐車場に一台、また一台と空きが増えてくると、理事長や理事としては落ち着かないものです。決算書を見れば駐車場使用料は前年より減り、機械式駐車場では利用者が少なくなっているのに保守や修繕の負担は残っています。
「このまま収入が減り続けたら、管理費や修繕積立金へ影響するのではないか」
そんな心配から、「早く外部へ貸したほうがよい」「使われていない機械式駐車場は撤去したほうがよい」という意見が理事会に出ることもあるでしょう。
しかし、空きが増えたという結果だけを見て大きな対策へ進むと、本当の原因を取り違える可能性があります。
車を持つ住民そのものが減っているマンションもあれば、住民は車を所有しているのに、SUVやミニバンが既存の機械式駐車場へ入らず、近隣の月極駐車場を利用しているマンションもあります。料金が周辺相場より高いことや、1住戸1台といった以前からの利用ルールによって、マンション内部に残る需要を取りこぼしている可能性もあるでしょう。
原因が違えば、選ぶべき対策も変わります。
この記事では、まず空きが増えている理由を整理し、空き率や収支、住民需要を確認します。そのうえで理事会がどの順番で検討すればよいかを先に示し、駐車区画や料金、2台目利用、外部貸し、機械式駐車場の一部停止や撤去、平面化まで詳しく解説します。
目指したいのは、空いている区画を何が何でも埋めることではありません。
なぜ空いているのかを理解し、これから何台必要なのかを考え、その設備へどこまで費用をかけるのかを管理組合自身が判断できる状態をつくることです。
マンションで駐車場の空きが増える主な原因
駐車場の契約台数が減ると、「最近は車離れが進んでいるから仕方がない」と考えたくなるかもしれません。
確かに、自動車を所有しない暮らしが広がっていることは一つの背景と考えられています。しかし、自分たちのマンションで起きている空きまで、すべて同じ理由で説明できるとは限りません。
住民構成の変化に加え、設備と車両のミスマッチ、駐車料金、区画ごとの使いやすさ、利用ルールなどが重なっている可能性があります。
早い段階で「もう需要がない」と結論を出してしまえば、本来なら改善できた原因まで見落としてしまいます。
居住者の生活が変わり駐車需要も変化する
新築時にはほぼ満車だったマンションでも、20年、30年と経過すれば住民の暮らしは変わります。
入居当初は子どもの送迎や買い物のため毎日のように車を使っていた世帯でも、子どもが独立すれば使用頻度は下がるでしょう。高齢になって運転免許証を返納し、「これを機に車も手放そう」と考える住民もいます。
都市部では鉄道やバスなどの公共交通に加え、カーシェアなどを利用できる地域もあります。週末に数回しか車を使わないのであれば、保険料や車検、駐車料金などを含めた所有コストを考え、車を持たない生活へ切り替える世帯が増えることもあるでしょう。
建物の駐車設備は建築時の姿を残していても、そこで暮らす人の生活は変化します。
新築時に必要だった台数だから今後も同じだけ必要だろうと考えるのではなく、現在の住民にどの程度の駐車需要があるのかを改めて確かめる必要があります。
機械式駐車場と現在の車両サイズが合っていない
契約台数が減っていても、住民の駐車需要そのものがなくなっているとは限りません。
築年数が経過したマンションの機械式駐車場では、建設当時に一般的だった乗用車を想定した車高や車幅、全長、重量などの条件になっている場合があります。
一方、現在はSUVやミニバンなど車高や車幅の大きい車種が広く使われ、電気自動車では車両重量も重要になります。
その結果として、「駐車場には空きがあるのに、自分の車は入らない」という状態が起こります。
住民から見れば、使えない区画が何台空いていても意味はありません。仕方なくマンション外の月極駐車場を借りているのに、管理組合側では契約台数だけを見て「住民の駐車需要が減った」と理解していれば、原因と対策がずれてしまいます。
実のところ、需要不足ではなく設備と車両のミスマッチが問題になっている可能性があります。
現在の契約状況だけでなく、過去に車高や車幅、全長、重量などを理由として契約を断念した住民がいなかったかまで確認すると、空きの背景が見えやすくなるでしょう。
駐車場料金が周辺相場と合っていない
料金設定が契約率へ影響しているケースもあります。
たとえば敷地内駐車場が月額18,000円で、徒歩数分の月極駐車場が月額13,000円なら、毎月5,000円の差が生じます。年間では6万円になるため、「少し歩いてでも外を借りよう」と考える住民がいても不思議ではありません。
反対に、周辺相場より大幅に安い料金を長年続けている場合にも、別の問題が生じます。
駐車場を利用していない住民からすれば、共用財産に関係する設備を一部の利用者だけが低額で使っているように感じられ、「この料金は本当に公平なのだろうか」という疑問につながる可能性があります。
国土交通省の令和7年改正マンション標準管理規約第15条コメントでは、駐車場が全戸分ない場合などについて、近傍の同種駐車場との均衡だけでなく利便性の違いも考慮し、区画の利便性や機能性に応じて柔軟に料金を設定する考え方が示されています。
昔から同じ料金だから現在もそのままでよいとは限りません。
周辺市場や住民需要が変わっているのであれば、料金についても現在の状況に合わせて検証する必要があります。
機械式駐車場は利用者が減っても維持管理が残る
機械式駐車場で特に悩ましいのは、利用者が減ったからといって維持管理に必要な費用まで同じ割合で減るわけではないことです。
設備を使用し続ける以上、保守点検や修繕が必要になります。長期的には部品交換だけでなく、設備そのものの更新を検討する時期も訪れるでしょう。
そこで車を所有していない住民から、「自分は使っていない設備なのに、これからも多額のお金を使う必要があるのだろうか」という疑問が出ることがあります。
一方、現在も車を利用する住民にとって、駐車場は生活を支える重要な設備です。
どちらか一方だけを正しいと扱えば、駐車場の収支問題が住民同士の対立へ変わってしまう可能性があります。
だからこそ、感情がぶつかる前に、現在どの程度利用され、維持する場合には今後どの程度の費用が必要になるのかを共有することが大切です。
最初に確認したい駐車場の空き率と収支と住民ニーズ
駐車場の空きが気になり始めても、最初から外部貸し業者へ問い合わせたり、機械式駐車場の撤去見積もりを依頼したりする必要はありません。
最初の理事会で確認したいのは、「いま何が起きているのか」です。
空きがかなり深刻だと感じる理事と、まだ様子を見ればよいと考える理事が同じ会議へ参加していても、見ている情報が違えば話はかみ合いません。
空き率と収支、住民需要を同じ資料へまとめることで、初めて共通の土台から議論できるようになります。
駐車場の空き率と過去の推移を確認する
利用可能な駐車区画が50台あり、そのうち10台が未契約なら、単純な空き率は20%です。
ただし、機械の故障などによって現在利用できない区画まで未契約区画として扱うと、実際の需要を正確に捉えにくくなります。
理事会では総区画数だけではなく、現在契約できる区画、契約中の区画、未契約の区画、長期停止している区画を分けて整理したほうがよいでしょう。
さらに重要なのが過去からの推移です。
今年だけ一時的に空きが増えたのか、それとも数年間にわたって契約台数が下がり続けているのかでは、同じ空き台数でも意味が変わります。
現在の空き率は一枚の写真にすぎません。
過去数年間の推移まで確認することで、いま起きていることが一時的な変動なのか、構造的な需要変化なのかを考えやすくなります。
駐車場収入と維持費を同じ資料で確認する
空きの状態を把握したら、駐車場に関係する収入と支出を同じ資料へまとめます。
現在の駐車場使用料が年間いくらなのかを確認するとともに、保守点検や修繕へどの程度支払っているのかを整理し、長期修繕計画で将来予定されている工事についても確認します。
国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、駐車場数が住戸数の100%未満であり、駐車場使用料で駐車場の点検や修繕費を賄えない場合には収支計画の見直しが必要になるとしています。そのうえで、近隣駐車場の料金がマンション内より低いため値上げが難しい場合や、稼働率低下が恒常的で使用料収入の改善を見込みにくい場合には、機械式駐車場の除却についても検討が必要になると説明しています。
この前提を外して、「空きが多ければ国土交通省も撤去を勧めている」と受け取るのは適切ではありません。
まず、自分たちのマンションで駐車場使用料と必要経費のバランスがどうなっているのかを確認します。
また、機械式駐車場の会計についても、国土交通省の長期修繕計画関係資料では、管理費会計や修繕積立金会計とは区分して駐車場使用料会計を設ける考え方が示されています。これはすべてのマンションへ一律に義務付ける説明ではないため、自分たちの規約や会計方式を踏まえて検討します。
住民アンケートで空きの理由を確認する
空き区画があるという結果だけを見て、住民需要がないと判断するのは早いでしょう。
アンケートでは、現在車を所有しているかだけではなく、敷地外の駐車場を利用している場合にはその理由まで確認します。
所有車両の大きさや2台目利用への希望、今後の車購入予定、EVへの買い替え予定、現在の駐車料金についてどう感じているかを聞けば、契約台数だけでは見えなかった事情が表れます。
「ハイルーフ対応なら利用したい」という回答が多いなら、需要そのものではなく設備条件が問題と考えられます。
「もう少し安ければマンション内へ戻りたい」という回答が目立つなら、料金を調べる意味があります。
一方、今後も車を所有する予定がない世帯が増えているなら、現在の駐車台数を維持し続ける必要性そのものを考える時期かもしれません。
数字の後ろにある生活まで確認して、初めて対策を選べます。
理事会でマンション駐車場対策を進める7段階
ここまでで何を確認するのかが見えてきたら、次は理事会として実際にどう進めるかを整理します。
前章では空きの原因を把握するために何を見るのかを説明しました。この章では、それを理事会の具体的な作業へ落とし込みます。
第1段階 現状資料を1枚にまとめる
契約可能区画数、契約台数、過去の稼働推移、駐車場使用料収入、現在の維持費を一つの資料へまとめます。
平置きと機械式など設備によって空き方が異なる場合には、設備別の数字も分けて記載します。
この段階では解決策を決めず、理事会全員が同じ数字を見られる状態をつくります。
第2段階 解約理由と運用履歴を確認する
過去の解約理由や問い合わせ記録を確認し、車両サイズが原因だったケースや、2台目利用、区画変更などの希望を断った事例がないかを整理します。
以前の理事会を評価するためではありません。
現在のルールが、いまの住民や車種に合っているかを確かめるための作業です。
第3段階 住民需要と周辺市場を調査する
住民アンケートを実施し、同時に周辺月極駐車場の料金や空き状況、設備条件を調べます。
ここで「空きの継続性」「設備の特徴」「周辺市場」「住民需要」という判断材料がそろいます。
どれか一つの数字で結論を出さず、次に何を改善すべきかを絞り込みます。
第4段階 内部改善策を選ぶ
住民需要が残っている場合には、区画配置、車両条件、料金、2台目利用、来客利用などの中から、空きの原因に合う対策を選びます。
外部貸しへ進む前に内部改善を行うのは、住民向け対策だけで解決できれば、税務や防犯、外部契約管理という新しい負担を増やさずに済むためです。
第5段階 小規模に実施する
可能であれば、いきなり全面変更せず、対象区画や期間を限定して試します。
たとえば2台目利用を数区画だけで始めたり、特に利用が少ない区画の料金だけを見直したりする方法があります。
小さく試すことで、対策そのものの効果だけでなく、最初に考えた原因分析が正しかったかも確認できます。
第6段階 効果と管理負担を測定する
実施前後で契約数、使用料収入、問い合わせ件数、解約数などを比較します。
さらに、予約管理や契約事務などの負担がどの程度増えたか、住民からどのような反応があったかも確認します。
契約数が増えたという一つの数字だけで成功と判断せず、管理組合全体への影響を評価します。
第7段階 外部貸しと設備縮小を比較する
内部改善を実施しても恒常的な空きが残った場合に、外部貸しや機械式駐車場の縮小を具体的に比較します。
外部貸しでは実質的な手取りと管理負担を計算し、設備縮小では維持した場合と撤去した場合の長期費用を比べます。
ここまで順番を踏んでいれば、総会でも「空いているから貸したい」「使っていないから撤去したい」という説明にはなりません。
内部需要を確認し、改善策を実施し、その結果を踏まえて次の案を比較しているという経緯を示せます。
結論そのものだけでなく、そこまでどう考えてきたかが見えることは、住民の納得感にも影響するでしょう。
マンション駐車場の4項目判断表
空き対策では、空き率を「何%なら撤去」といった固定的な基準として扱うべきではありません。
見るべきなのは、空きが一時的なのか恒常的なのかという状況に加え、設備の特徴、周辺市場、住民需要です。
次の表は法令上の判定基準ではなく、理事会が次に確認する事項を整理するためのものです。
| 現在の空き状況 | 設備の特徴 | 周辺市場 | 住民需要 | 次に確認したいこと |
|---|---|---|---|---|
| 空きが一時的に増えている | 平置きや自走式が中心 | 周辺にも一定の需要がある | 住民需要が残っている | 解約理由と2台目需要を確認する |
| 特定区画だけ空きが続く | 機械式で車両制限がある | 外部駐車場へ流れる住民がいる | 大型車需要がある | 車両条件と区画配置を確認する |
| 数年にわたり空きが増えている | 設備形態を問わない | マンション内料金が割高 | 料金への不満がある | 周辺料金と料金変更後の総収入を比較する |
| 空きが恒常化している | 機械式が中心 | 周辺需要はある | 内部需要が弱い | 内部対策後に外部貸しを比較する |
| 空きが恒常化している | 老朽化した機械式 | 周辺需要も弱い | 将来需要も弱い | 維持と縮小の長期コストを比較する |
| 空きはあるが利用希望も多い | 区画ごとの利便性差が大きい | 周辺条件は同程度 | 特定区画へ需要が集中している | 区画再配置と傾斜料金を検討する |
この表から持ち帰りたいのは、「空き率○%なら○○をする」という答えではありません。
空きの状態だけでなく、設備と市場と住民需要を組み合わせれば、次に確認すべきことが変わるという判断方法です。
対策1 駐車区画と車両サイズを見直す
最初に検討したい具体策は、現在の住民が使いたくても使えない状態になっていないかを確認することです。
特に機械式駐車場では、車高や車幅、全長、重量などの条件が区画ごとに異なります。
ハイルーフ対応区画へ小型車が駐車され、普通車対応区画だけが空いているような場合には、契約更新や抽選のタイミングで配置を見直すことで、新たな利用につながる可能性があります。
過去の解約理由も重要です。
「SUVへ買い替えたら駐車できなくなった」「購入予定の車が重量条件を超えていたため外部駐車場へ移った」といった事例が複数あれば、住民需要そのものではなく設備とのミスマッチが空きの原因だった可能性があります。
ただし、安全条件を理事会の判断だけで緩めてはいけません。
「数センチ程度なら大丈夫だろう」という感覚で、メーカーや設備仕様で定められた条件を超える車両を利用させることは避ける必要があります。
利用条件を見直せるか検討する場合には、設備メーカーや専門事業者へ確認し、安全性を確保できる設備改修などが可能かを調べます。
目的は無理に利用可能車両を増やすことではありません。
今の設備と現在の住民が選ぶ車との間に生じているずれを見つけ、安全に修正できるかを確認することです。
対策2 駐車場料金を見直す
料金差が利用減少の原因なら、料金見直しは有力な対策になります。
しかし、「値下げして契約台数を増やせばよい」と考えるだけでは十分ではありません。
たとえば月額15,000円で40台が契約していれば、毎月の使用料収入は60万円です。これを月額12,000円へ下げたことで45台まで増えたとしても、毎月の収入は54万円になります。
空き区画は減りましたが、財務面では収入が減っています。
駐車場収入の減少を改善したいのであれば、契約率と総収入を同時に試算する必要があります。
周辺月極駐車場は条件まで比較する
周辺相場を調査するときには、月額料金だけを並べないようにします。
マンションからの距離に加え、平置きか機械式か、屋根があるか、24時間出庫できるか、防犯設備があるかなどを確認します。
近所の月極駐車場が12,000円だから、自分たちも12,000円にすればよいという話ではありません。
利用条件が近い駐車場と比較して、現在の料金が住民にとって妥当かを検討します。
傾斜料金で区画ごとの差を反映する
同じマンション内でも、駐車区画の使いやすさには差があります。
すぐに出庫できる平置き区画と、機械操作を行い車両が出てくるまで待つ区画が同じ料金であれば、不便な側を利用する住民が「なぜ同額なのだろう」と感じることもあるでしょう。
そこで、利便性に応じて料金差を設ける傾斜料金という考え方があります。
平置きなど使いやすい区画をやや高めにし、待ち時間が長い区画や車両制限が厳しい区画を低めにする方法です。
もちろん、「同じマンションなのに料金が違うのは不公平ではないか」という声が出る可能性もあります。
だからこそ、料金差だけを示すのではなく、区画ごとの利便性や制限条件まで説明し、なぜ差を設けるのかを住民が理解できる状態にする必要があります。
駐車場料金と区画変更で対立した相談事例
駐車場の料金や区画を見直すとき、数字だけでは整理できない問題もあります。
マンション管理士事務所が公開している東京都町田市の27戸のマンションの相談事例では、機械式と平置きを合わせて15台分の駐車場があり、使用料は一律月額5,000円でした。
使用細則には必要に応じて場所を入れ替える旨が定められていたものの、具体的な入替方法は明確ではありませんでした。
長く平置き区画を使用してきた住民から見れば、「これまで認められてきた場所を、なぜ今になって変えるのか」という気持ちがあります。
一方、不便な機械式区画を使ってきた住民には、「同じ料金なのに、なぜ自分だけ不便な場所を使い続けなければならないのか」という不満が積み重なっていたでしょう。
公開事例では、マンション管理士が規約や細則だけでなく、それまでの経緯や住民の受け止め方も確認し、最終的に空き待ちリスト、利便性に応じた料金差、希望者による抽選などを組み合わせた運用へ見直したとされています。
これは行政機関の調査事例や裁判例ではなく、支援を担当したマンション管理士事務所が公開している実務事例です。
それでも、駐車場問題では制度だけを変えれば終わるとは限らないことがわかります。
「ずっと我慢してきた」「今まで認められていたのに」という住民の気持ちまで整理しなければ、新しい制度をつくっても不満が残る可能性があります。
対策3 2台目利用と来客利用を検討する
外部貸しへ進む前に、マンション内部でまだ活用できる需要が残っていないかを確認します。
代表的なのが2台目利用です。
1住戸1台を基本としているマンションでも、空き区画が長期間続いているのであれば、空いている期間に限って2台目契約を認める方法があります。
ただし、新たに1台目を必要とする住民が現れた場合の扱いは、契約前に決めておかなければなりません。
新規入居者が車を所有していたり、これまで車を持っていなかった住民が購入したりしたときに、2台目利用ですべて埋まっていれば、本来優先したい住民需要を取りこぼします。
そこで、1台目希望者が現れた場合には一定の予告期間を設け、2台目契約を終了できる仕組みを検討します。
返還条件や通知期間を使用細則や契約内容へ明記しておけば、後から「突然返してほしいと言われた」というトラブルも防ぎやすくなるでしょう。
来客用駐車場として一部区画を活用する方法もあります。
親族や友人の訪問だけでなく、訪問介護や工事業者など、一時的な駐車需要があるマンションでは住民の利便性向上につながる可能性があります。
一方で、予約や料金徴収などの管理負担も増えます。
最初から多くの区画を変更するのではなく、一部から始めて利用件数と管理負担を確認する方法が現実的です。
対策4 外部貸しを検討する
区画や料金を見直し、2台目利用などの内部改善を行っても空きが残る場合には、外部貸しを具体的な選択肢として比較します。
ここで大切なのは、単に「空いているから貸せばよい」と考えないことです。
外部貸しを検討するときは、自マンションの管理規約を確認し、その後で税務と管理負担、防犯について整理します。
収入だけを先に見ると、始めた後に「思っていたより複雑だった」と感じる可能性があります。
外部貸しは実質的な手取りで比較する
仮に5区画を月額15,000円で貸せれば、表面上の年間収入は90万円です。
この数字だけなら魅力的に見えるでしょう。
しかし、実際には募集や契約管理のための費用、事業者へ支払う手数料、税務対応、防犯対策などが発生する可能性があります。
管理組合が直接契約するのか、事業者へ募集や管理を委託するのかによっても条件は変わります。
したがって、想定賃料をそのまま利益と考えず、必要な費用と管理負担を差し引いたうえで、どの程度の効果が残るのかを確認します。
対策5 機械式駐車場の一部停止と撤去と平面化を検討する
内部需要を確認しても利用者が戻らず、周辺にも十分な外部需要を期待できない場合には、機械式駐車場を現在の台数のまま残す必要があるのかを検討します。
ここでも、空き率だけを撤去基準にしてはいけません。
国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインにおける除却検討は、駐車場数が住戸数の100%未満であり、駐車場使用料で点検や修繕費を賄えない場合という前提から始まっています。そのうえで、値上げによる改善が難しく、稼働率低下が恒常的で使用料収入の回復を見込みにくい場合には、機械式駐車場の除却も検討するという構造です。
つまり、「空きが何台になったら撤去」という全国共通の基準ではありません。
自分たちのマンションで今後どの程度の費用が必要になり、将来何台が必要なのかを比較して判断します。
機械式駐車場は長期コストで比較する
現在の設備を残す案では、日常的な保守点検だけでなく、将来予定される修繕や設備更新まで含めて費用を考えます。
一部を停止または撤去する案では、初期工事費に加え、その後に残る設備の保守や修繕に必要な費用を試算します。
全面的な平面化を検討する場合も、撤去や平面化に必要な工事費だけを見るのではなく、機械設備を減らしたことで将来どの程度の支出を抑えられるかまで確認します。
20年や30年といった長期間で比較する方法は有用ですが、30年で比較すること自体が法的に決められた基準ではありません。
自分たちの長期修繕計画と設備更新時期を踏まえ、複数案を同じ期間で比較します。
短期では撤去案の費用が大きく見えても、長期間では維持費や更新費の削減によって有利になる可能性があります。
反対に、将来の駐車需要が十分残るのであれば、設備を減らし過ぎることで後から困る可能性もあります。
現在だけでなく、将来の暮らしまで想像して判断することが重要です。
機械式駐車場の平面化方法を比較する
| 方法 | 主な仕組み | 検討できる特徴 | 主に確認したいこと |
|---|---|---|---|
| 鋼製平面化 | ピット上部へ鋼製床などを設ける | ピットを残したまま平面利用できる場合がある | 構造強度や耐久性や排水 |
| 埋め戻し | ピットへ砕石などを充填して舗装する | 機械設備を撤去して構造を単純化できる場合がある | 地盤や排水や将来変更 |
| 軽量材による充填 | EPSなどを利用して平面化する | 荷重条件に応じて採用できる場合がある | 設計条件や材料特性 |
| 一部休止 | 一部設備や段の使用を停止する | 大規模工事前の暫定策になる場合がある | 安全管理と残存設備の保守 |
| 縮小更新 | 必要台数へ減らして設備を更新する | 大型車対応などを改善できる場合がある | 更新費と将来需要 |
実際の工事費は、ピットの深さや構造、排水設備、施工スペースなどによって大きく変わります。
「1台当たり○万円」といった一般的な相場だけで計画を決めず、複数事業者から同じ条件で提案と見積もりを受け、工事後の維持方法まで比較することが大切です。
外部貸しを選ぶ場合の規約と税務と防犯
ここからは、外部貸しを具体的な候補へ絞り込んだ管理組合が確認したい詳細です。
まだ内部対策を検討している段階であれば、すべてを最初から深く調べる必要はありません。
外部貸しを実施候補まで進めた段階で、規約、税務、防犯という順に確認すると整理しやすくなります。
外部貸し前に管理規約と使用細則を確認する
国土交通省が公表するマンション標準管理規約は、各マンションが管理規約を作成または改正するときに参考とするためのひな型です。自分たちのマンションが現在使用している管理規約そのものではありません。国土交通省は2025年10月17日に標準管理規約を改正しており、改正区分所有法は2026年4月1日に施行されていますが、それぞれのマンションで現行規約の見直し状況は異なります。
令和7年改正マンション標準管理規約第15条本文では、駐車場を特定の区分所有者へ駐車場使用契約によって使用させる形になっています。また、第16条第2項の一般的な第三者使用規定からは、駐車場と専用使用部分が除外されています。
そのため、第16条第2項だけを外部貸しの直接の根拠として扱うことはできません。
一方、第15条コメントでは、駐車需要が減少して空き区画が生じている状況を踏まえ、修繕積立金不足への対策などの観点から、組合員以外へ使用料を徴収して使用させることも考えられるとされています。さらに、具体的な手続や使用者が守る事項について駐車場使用細則を定め、駐車場使用契約の内容も細則へ位置付けたうえで、あらかじめ総会で合意しておくことが望ましいとされています。
したがって、「標準管理規約だから外部貸しできる」「標準管理規約だから外部貸しできない」という単純な二択ではありません。
自分たちのマンションにある第15条相当の規定と駐車場使用細則を確認し、実施しようとする外部使用に必要な規約整備や契約ルールを検討します。
外部貸しの法人税は3つのモデルで確認する
国税庁は2012年の文書回答で、マンション管理組合による外部貸しについて3つのモデルを示しています。
| モデル | 主な運用 | 収益事業の整理 |
|---|---|---|
| ケース1 | 区分所有者と外部利用者を同じ条件で扱う | 駐車場使用全体が収益事業 |
| ケース2 | 区分所有者を優先して余剰区画だけ外部へ貸す | 外部使用部分のみが収益事業 |
| ケース3 | 積極募集を行わず短期間だけ一時使用させる | 示された条件では全体が収益事業に該当しない |
ケース1では、区分所有者と外部利用者を同じ条件で募集し、区分所有者に優先性を設けません。
この場合、市中の有料駐車場と同様の事業に近いと考えられ、駐車場使用全体が収益事業に該当すると整理されています。
ケース2では、まず区分所有者の需要を優先し、余った区画だけを外部へ貸します。その後、区分所有者から利用希望が出た場合には、外部利用者へ一定期間後の明渡しを求める条件を設けます。このモデルでは、外部使用部分だけが収益事業になるという整理です。
ケース3は、積極的な外部募集を行わず、たまたま生じた空き区画を近隣工事業者へ約2週間使用させるという限定的な事例です。この事実関係では、外部利用を含めた駐車場使用全体が収益事業に該当しないと整理されています。
ただし、これらは示された条件を前提としたモデルです。
国税庁も、この回答は照会された事実関係を前提とした一般的な回答であり、具体的な取引へ適用する場合には異なる課税関係が生じることがあると明記しています。
ケース2と似た契約書を作れば自動的に同じ税務処理になる、という意味ではありません。
外部貸しの具体的な募集方法や契約条件を作った段階で、税理士や所轄税務署などへ確認することが重要です。
賃貸住戸の居住者への貸付けは別に確認する
区分所有者から住戸を借りている占有者への駐車場貸付けについては、一般の近隣住民などへの外部貸しとは分けて確認します。
国税庁の質疑応答では、占有者への貸付けについて、区分所有者向けの共済的な貸付けとは別の独立した事業と認められるかを、貸付けの目的や規模、条件、募集方法、反復継続性などから総合的に判断する考え方が示されています。
この資料はマンション内の占有者への貸付けを扱ったものなので、一般の近隣住民や法人への外部貸し全般へそのまま広げて説明しないことが大切です。
外部貸しの消費税は課税対象と納税義務を分ける
法人税と消費税は別の論点です。
国税庁の「No.6213 駐車場の使用料など」では、駐車場として地面を整備したり、フェンスや区画、建物などを設けて駐車場として利用させる場合には、施設利用に伴う土地の使用として消費税が課されると説明されています。
ただし、取引が消費税の課税対象になることと、その管理組合に実際の納税義務が生じることは同じではありません。
国税庁の「No.6501 納税義務の免除」では、原則として基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合には納税義務が免除される一方、特定期間の判定や適格請求書発行事業者への登録などによって免除されない場合も示されています。
したがって、「今年の外部貸し売上が1,000万円を超えた瞬間に必ず納税する」という単純な説明にはなりません。
実際の外部貸しを具体化するときは、法人税上の収益事業判定と、消費税上の課税関係、さらに消費税の納税義務を分けて確認します。
外部貸しでは防犯と管理負担も確認する
外部貸しの数字が魅力的でも、住民が防犯面に強い不安を持てば合意形成は進みません。
「夜にも知らない人が敷地へ入ってくるのではないか」という声に対して、「大丈夫です」とだけ答えても安心にはつながらないでしょう。
外部利用者が住棟側へ移動できる構造なのか、ゲートリモコンを渡す必要があるのか、防犯カメラでどこまで確認できるのかを具体的に整理します。
さらに、本人確認や車両登録、リモコンの返却方法、契約違反時の解除条件などを事前に決めておきます。
住民が知りたいのは、絶対に問題が起きないという約束ではありません。
どのようなリスクを想定し、それをどのように管理するのかという具体的な対策です。
機械式駐車場を縮小する場合の決議と附置義務
機械式駐車場の縮小や撤去を具体的な選択肢へ入れた場合には、工事費だけでなく必要な手続も確認します。
「撤去だから4分の3」「3分の2でもできるらしい」と数字だけが先に一人歩きすると、理事会でも住民説明でも混乱します。
ここで最初に意識したいのは、マンション標準管理規約は国土交通省が示すひな型であり、自分たちのマンションの現行規約と同一とは限らないことです。国土交通省も、令和7年改正を踏まえて各マンションで管理規約の見直しを進めるよう案内しています。2026年4月1日以降に総会の招集手続きを行う場合には、施行済みの改正区分所有法に則った定足数や決議要件を満たす必要があるとしています。
そのため、標準管理規約の条文だけを読んで決議要件を確定するのではなく、自マンションの現行規約と工事内容、現在の法制度を照らして確認します。
規約変更と撤去工事の決議は別に確認する
令和7年改正マンション標準管理規約第47条第3項では、規約の制定や変更、廃止などについて、組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、そのうえで出席組合員とその議決権の各4分の3以上で決する規定になっています。
一方、撤去工事そのものについては、具体的な工事内容が敷地や共用部分等の形状または効用の著しい変更に当たるのかを別に確認します。
著しい変更に当たる場合には、令和7年改正標準管理規約では原則として同じ定足数のもと、出席組合員とその議決権の各4分の3以上で決する仕組みが示されています。
ただし、機械式駐車場に関する工事ならすべて自動的に同じ決議になるわけではありません。
どの設備をどのように撤去し、工事後にどのような状態へ変わるのかを具体化したうえで、必要な決議を確認します。
3分の2決議は限定された特例として確認する
同じ第47条第4項には、一定の変更について出席組合員とその議決権の各3分の2以上で決する類型があります。
しかし、これは一般的な駐車場空き対策として行う撤去工事について、管理組合が自由に選べる決議方法ではありません。
対象として示されているのは、敷地や共用部分等の設置または保存に瑕疵があり、他人の権利などへの侵害を防ぐために必要となる変更や、高齢者や障害者などの移動または施設利用に伴う身体的負担を軽減し、利便性や安全性を向上させるために必要となる変更など、限定された場合です。
したがって、「機械式駐車場を撤去するなら3分の2でもよい」と一般化することはできません。
具体的な工事目的と内容を整理したうえで、どの決議区分に該当するのかを確認します。
撤去前に自治体の附置義務を確認する
マンションの駐車場に空きが多いからといって、管理組合の判断だけで自由に台数を減らせるとは限りません。
駐車場法第20条に基づき、地方公共団体は条例によって一定の建築物やその敷地内へ駐車施設を設けることを義務付けることができます。
そのため、機械式駐車場の撤去を検討するときは、建築時の条件と所在地自治体の現在の条例を確認します。
ここは全国一律ではありません。
技術的には撤去可能でも、条例や建築時の条件によって必要な駐車台数を確保しなければならないケースがあります。
総会で合意した後に「台数を減らせない」と判明すれば、理事会としても住民としても徒労感が残るでしょう。
撤去を具体的な候補にした段階で、自治体の建築や都市計画などの担当部署へ確認しておくことが大切です。
マンション管理士など専門家へ相談したほうがよいケース
駐車場の空き台数を確認したり、周辺料金を調べたりする作業であれば、理事会でも進められます。
しかし、管理規約の変更や外部貸し、設備撤去まで進むと、税務や法律、設備、安全性など複数の専門分野が関係してきます。
さらに駐車場では、住民同士の利害が対立しやすいという難しさがあります。
便利な平置きを使っている人と、不便な機械式区画を利用している人では、料金制度を見たときの感じ方が違うでしょう。車を持たない住民からは、機械式駐車場へ多額の修繕費を使い続けること自体に疑問が出る可能性もあります。
理事会自身もその利害の中にいる場合、第三者であるマンション管理士が規約や経緯を整理し、それぞれの意見を聞きながら議論の土台を整える意味があります。
税務については税理士、具体的な法的紛争については弁護士、設備の構造や安全性については設計者や専門事業者へ相談します。
附置義務については所在地自治体へ確認し、機械式駐車場の改修や撤去についてはメーカーや設計者などから技術的な助言を得る必要もあるでしょう。
専門家へ結論を丸投げするのではありません。
理事会が誤った前提のまま大きな判断をしないために、必要な部分を専門家へ確認します。
理事会用マンション駐車場空き対策チェックリスト
次のチェックリストは、一度の理事会ですべてを終わらせるためのものではありません。
現状把握から内部改善、外部貸しや撤去の検討まで、重要な確認事項を取りこぼしていないかを見るために利用します。
- 現在契約可能な駐車区画数と契約台数を確認した
- 過去3年から5年程度の稼働状況を確認した
- 空きが特定の設備や区画へ偏っていないか確認した
- 車両サイズを理由として契約できなかった事例を調べた
- 過去の解約理由を可能な範囲で確認した
- 住民アンケートで2台目需要や将来需要を確認した
- 周辺月極駐車場の料金と空き状況と設備条件を調査した
- 駐車場使用料と現在の維持管理費を比較した
- 長期修繕計画で将来の修繕や設備更新を確認した
- 料金変更では契約台数だけでなく総収入を試算した
- 2台目利用では1台目希望者を優先する条件を検討した
- 内部対策を小規模に試して効果を確認した
- 対策後の収入と管理負担を確認した
- 外部貸し前に自マンションの管理規約と使用細則を確認した
- 標準管理規約が自マンションの現行規約そのものではないことを確認した
- 外部貸しでは法人税と消費税を分けて確認した
- 外部利用者の防犯ルールと契約管理方法を確認した
- 機械式駐車場では維持と縮小を長期費用で比較した
- 撤去前に自治体の附置義務を確認した
- 規約変更と工事そのものの決議要件を分けて確認した
- 第47条第4項の3分の2類型が限定的な特例であることを確認した
- 総会前に検討経緯と複数案を説明できる資料を作成した
- 実施後の結果を次年度の理事会へ引き継げるよう記録した
チェックが付かない項目があっても、それだけで問題という意味ではありません。
「まだ何を確認していないのか」が見えるようになれば、次に取り組むべき作業を決めやすくなります。
マンション駐車場空き対策のFAQ
- 空き駐車場を住民以外へ貸してもよいですか
-
外部貸しは検討対象になり得ますが、最初に対象マンション自身の管理規約と駐車場使用細則を確認します。
現行の令和7年改正マンション標準管理規約では、第15条本文が特定の区分所有者への駐車場使用を定め、第16条第2項の一般的な第三者使用規定からは駐車場が除外されています。したがって、第16条第2項だけを外部貸しの直接の根拠にはできません。
一方、第15条コメントでは、空き駐車場を組合員以外へ有償使用させることも検討対象になり得るとされています。
標準管理規約はひな型なので、自マンションの第15条相当規定や使用細則を確認し、必要な規約整備や契約ルールを検討します。
- 外部貸しすると税金はかかりますか
-
一般の外部第三者への貸付けについては、国税庁が2012年に示した3つのモデルが参考になります。
区分所有者と外部利用者を同じ条件で扱う場合と、区分所有者を優先して余剰区画だけ外部へ貸す場合では、法人税上の収益事業として扱われる範囲が異なります。限定された短期間の一時利用について、示された条件のもとでは全体が収益事業に該当しないモデルもあります。
また、法人税と消費税は別に確認する必要があります。
具体的な募集方法や契約条件を決めた段階で、税理士や所轄税務署などへ確認するとよいでしょう。
- 賃貸住戸の居住者への貸付けも同じですか
-
区分所有者から住戸を借りている占有者については、一般の近隣住民や外部法人への貸付けとは分けて確認します。
占有者への貸付けについては国税庁が別の質疑応答を示しており、貸付けの目的や規模、条件、募集方法、反復継続性などを踏まえて判断する考え方が示されています。
一般の外部貸しでは2012年の3モデルを基本資料とし、占有者への貸付けは別資料として確認するのが適切です。
- 管理規約を変更する必要がありますか
-
現在の管理規約と、実施しようとする外部貸しの内容によって異なります。
国土交通省のマンション標準管理規約はひな型であり、自分たちのマンションの現行規約そのものではありません。
そのため、標準管理規約の一部分だけを見て「必ず変更する必要がある」「変更しなくてもよい」と一律に判断することはできません。
自マンションの駐車場規定と使用細則が外部利用へ対応しているかを確認し、必要な整備を行います。
- 駐車場料金を下げるのと外部貸しはどちらが先ですか
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住民需要が残っているのであれば、料金や区画などマンション内部の問題を先に確認するほうが合理的でしょう。
周辺相場より高いことが原因で住民が外部駐車場へ流れているなら、料金見直しによって内部需要を取り戻せる可能性があります。
内部で解決できれば、外部貸しに伴う税務や防犯、契約管理などの負担を増やさずに済みます。
反対に、住民需要そのものが弱いのであれば、値下げしても十分な改善が見込めない可能性があります。
料金を下げるか外部へ貸すかという二択から始めず、空きの原因を確認してから選ぶことが大切です。
- 機械式駐車場は空きが何台になったら撤去すべきですか
-
全国共通の台数基準や空き率基準はありません。
空きが恒常的か、駐車場使用料で必要な費用を賄えているか、料金見直しによる改善が可能か、将来需要がどの程度残るかなどを組み合わせて判断します。
国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでも、特定の空き率を撤去基準としているわけではなく、一定の収支条件を前提として、値上げが難しく稼働率低下が恒常化している場合などに除却を検討する考え方が示されています。
「何台空いているか」だけではなく、「これから何台必要で、その設備を残すためにどの程度の費用が必要か」を考えることが重要です。
- 機械式駐車場撤去には必ず4分の3決議が必要ですか
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一律には言えません。
まず、管理規約そのものを変更する必要があるのかという論点と、撤去工事そのものについてどのような決議が必要なのかを分けて確認します。
令和7年改正マンション標準管理規約第47条第3項では、規約変更や形状または効用の著しい変更を伴う敷地及び共用部分等の変更について、組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員とその議決権の各4分の3以上で決する規定が示されています。
一方、第47条第4項の3分の2類型は、瑕疵除去や高齢者や障害者などの利便性と安全性向上に必要な変更など、限定された特例です。通常の駐車場空き対策として行う撤去へ当然に適用されるものではありません。
さらに、標準管理規約はひな型であり、自マンションの現行規約が令和7年改正版へ対応しているとは限りません。2026年4月1日には改正区分所有法が施行されているため、具体的な工事内容と自マンションの規約、現在の法制度を照らして確認します。
- マンション管理士にはどこまで相談できますか
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マンション管理士には、現状整理や管理規約の確認、住民アンケートの設計、理事会での検討方法、総会議案、住民間の合意形成などについて相談できます。
特に駐車場では、平置きを利用する人と機械式を利用する人、車を所有する人と所有しない人など、住民の立場によって利益や負担の感じ方が異なります。
理事会だけでは意見を整理しにくい場合に、第三者の立場から論点を整理してもらうことには意味があるでしょう。
一方、具体的な税務は税理士、法的紛争は弁護士、設備の安全性や工事方法については専門技術者や事業者へ確認します。
問題ごとに適切な専門家を使い分けることが大切です。
まとめ マンション駐車場の空き対策は判断の順番が重要
マンションの駐車場に空きが増えると、「早く収入を戻さなければ」と焦ります。
その気持ちがあるからこそ、最初から外部貸しや機械式駐車場の撤去へ飛びつかないことが大切です。
まず現在の空き方と収支を確認し、これまでの運用を振り返ります。そのうえで住民需要と周辺市場を調べ、車両サイズや区画配置、料金、2台目利用などマンション内部で改善できることを試します。
実施後には、契約数だけでなく収入や管理負担の変化まで確認します。
それでも恒常的な空きが残る場合に、外部貸しや機械式駐車場の縮小を比較します。
外部貸しなら自マンションの管理規約を確認したうえで税務と防犯を整理し、機械式駐車場の縮小なら維持した場合と撤去した場合の長期費用、必要台数、附置義務、決議要件まで確認します。
大切なのは、空き率という一つの数字だけで結論を出さないことです。
空きが続いている理由と設備の状態、周辺市場、住民需要、収支を組み合わせながら、自分たちのマンションで何が起きているのかを考えます。
状況を確認し、これまでを振り返り、原因を分析して、適切な方法を小さく実践する。その結果を確かめながら次の判断へ進めば、駐車場の空きは単なる収入減ではなく、これからのマンション管理を考える材料になります。
将来の理事会が議事録を読み返したとき、「なぜこの判断をしたのかわかる」と思える検討過程を残しておくことにも意味があります。
目の前の空き区画を埋めるだけではなく、これから何台必要で、どの設備をどのように残すのかまで考えること。
それが、マンション駐車場の空き対策を一時的な穴埋めで終わらせないための主軸です。
参考資料
国土交通省の「マンション標準管理規約」は、管理規約を作成または改正するときのひな型です。令和7年改正単棟型の第15条、第16条、第47条とコメントが、本記事の規約関係の主な基礎資料です。
国土交通省 マンション標準管理規約
機械式駐車場の収支見直しと除却検討については、国土交通省の長期修繕計画作成ガイドライン関係資料を参照しています。除却の記述は、駐車場数が住戸数の100%未満で、駐車場使用料で点検や修繕費を賄えない場合という前提を含めて確認する必要があります。
国土交通省 長期修繕計画作成ガイドライン関係資料
一般の外部第三者へマンション駐車場を使用させる場合の法人税については、国税庁が2012年に示した3つのモデルケースが基本資料になります。
国税庁 マンション駐車場外部使用の収益事業判定
消費税上の駐車場利用の基本的な取扱いについては、国税庁の「No.6213 駐車場の使用料など」で確認できます。
国税庁 No.6213 駐車場の使用料など
消費税の納税義務については、基準期間や特定期間、適格請求書発行事業者への登録などを含めて確認する必要があります。
国税庁 No.6501 納税義務の免除
実際に外部貸しや機械式駐車場の撤去を行う場合には、これらの一般資料だけで一律に結論を出さず、対象マンション自身の現行管理規約と使用細則、具体的な契約条件や工事内容、所在地自治体の条例を確認することが重要です。