住宅を買いたい気持ちはある。子どもの進学も、できるだけ応援したい。それでも老後の生活まで考え始めると、「全部をかなえようとして本当に大丈夫なのだろうか」と心配になることがあります。
キャッシュフロー表はFPに作成を依頼できます。ただし、本当に知りたいのは表の作り方ではなく、住宅や教育、老後を含めた自分たちの暮らしが無理なく続くかどうかではないでしょうか。
この記事では、FPにキャッシュフロー表の作成を依頼すると何が分かるのか、必要な資料や費用、自分で作る場合との違いを整理します。さらに具体的な家計を設定し、住宅価格や教育費、退職時期などの条件を変えると将来の金融資産残高がどう動くのかまで確認していきます。
キャッシュフロー表とは将来の家計を年単位で見る表
今月の家計が黒字で、毎月少しずつ貯蓄もできていると、「このままなら大丈夫そうだ」と感じるものです。
ところが、住宅購入を具体的に考え始めると状況が変わります。住宅ローンを払いながら子どもを大学まで進学させ、その後には自分たちの老後資金も残したいと考えると、急に先が見えなくなることがあります。
これは、現在の家計簿だけでは将来の支出が重なる時期まで見えないからです。
キャッシュフロー表は、家族の年齢やライフイベント、収入、生活費、住宅費、教育費などを年単位で整理し、年間収支と金融資産残高がどのように変化するのかを確認する表です。
日本FP協会では、家計の収支表とライフイベント表を基に、20〜30年程度を一つの目安としてキャッシュフロー表を作成する方法を案内しています。PDF版だけでなくExcel版も公開されており、人生の状況に応じて柔軟に見直すことも示されています。
ここで重要なのは、30年後の金融資産残高が正確に予言されるわけではないことです。
収入も変わります。物価や金利、家族の希望も同じ状態が続くとは限りません。
そのため、キャッシュフロー表は「未来を当てる表」ではなく、この前提条件で生活した場合に家計がどのように動くのかを確認するシミュレーションとして使います。
未来が分からないから意味がないのではありません。
分からない未来を、今考えられる範囲まで具体化するところに意味があります。
FPにキャッシュフロー表の作成を依頼すると分かること
「住宅を買っても大丈夫でしょうか」
FPへ相談するとき、最初はそんな一つの質問から始まることがあります。
しかし、その言葉の奥には別の気持ちが隠れているかもしれません。
家を買った後も家族旅行は続けたい。子どもには、お金を理由に進路を諦めさせたくない。老後になってから子どもへ生活費の援助を頼むことも避けたい。
そう考えると、本当に確認したいのは住宅ローンの返済可否だけではなく、「家を買った後も自分たちらしい生活を続けられるか」ということです。
ライフプラン相談では、こうした希望や不安を確認しながら、現在の収入や支出、資産、負債と将来の予定を整理し、キャッシュフローを分析していきます。相談者の希望や守りたい暮らしを無視して数字だけを整えるのではなく、判断できる状態をつくることが重要です。
たとえば表を作った結果、65歳以降に金融資産が急速に減ると分かったとします。
「老後資金が不足します」という一言だけでは、不安が一つ増えただけでしょう。
ところが原因を確認すると、教育費そのものではなく、退職後にも住宅ローンが残り、収入が下がった後の生活費とのバランスが崩れていることが分かる場合があります。
原因が分かれば、考える内容も変わります。
住宅価格を変更した場合はどうなるのか。退職時期を変えるほうが影響は大きいのか。教育費ではなく生活費を少し調整したほうが効果があるのか。
こうして一つずつ条件を動かすことで、漠然としていた不安が具体的な問いへ変わっていきます。
FPへキャッシュフロー表の作成を依頼する価値は、人生の正解を決めてもらうことではありません。
何が問題なのかを整理し、自分たちが納得して選べる状態をつくることにあると考えられます。
FPに依頼すると作ってもらえる主な成果物
キャッシュフロー表作成といっても、提供される内容はFPによって異なります。
簡易的な表のみを作成するサービスもあれば、初回ヒアリングから現状分析、複数条件の比較、改善案まで含めたライフプラン相談として提供する場合もあります。
詳細な相談では、家族の年齢や予定を整理したライフイベント表、年ごとの収入と支出をまとめたキャッシュフロー表、金融資産残高の推移を示すグラフなどが成果物になることがあります。
さらに、住宅ローンや保険などの明細、計算に使った前提条件、基本ケースと改善ケースの比較、今後の実行内容などが提案書へ整理される場合もあるでしょう。
FPの提案書を考えるうえでは、結果だけでなく、相談目的や計算の前提、現状の家計、将来見通し、課題、改善案、シナリオ比較、実行計画まで一体で確認できることが重要です。
たとえば「65歳で金融資産が2,000万円残ります」という結果だけを見ても、その数字が安心材料になるとは限りません。
給与が何歳まで増える設定なのか。生活費は物価変動を考慮しているのか。年金はいくらで計算しているのか。運用利回りを何%と置いているのか。
前提が分からなければ、結果を判断できないからです。
依頼前には、キャッシュフロー表そのものを受け取れるのかに加えて、前提条件が明記されるのか、金融資産残高のグラフがあるのか、条件を変えた再シミュレーションに対応しているのかも確認しておくとよいでしょう。
キャッシュフロー表に入れる主な項目
キャッシュフロー表を初めて見ると、数字がずらりと並び、「30年分の家計簿を作らなければならないのか」と身構えるかもしれません。
実際には、毎日の支出を一件ずつ予測するものではありません。
家計へ大きく影響する項目を年間額として整理し、必要に応じて将来の変化を設定します。
収入
収入では、世帯主と配偶者の給与、賞与、公的年金などを確認します。
会社員の場合は、額面の年収ではなく、所得税や住民税、社会保険料などを差し引いた後に家計で使える可処分所得を基準にする方法があります。
日本FP協会でも、会社員の可処分所得を確認する際には、源泉徴収票や給与明細などを利用する方法が案内されています。
もう一つ大切なのが、現在の収入を30年間固定しないことです。
昇給する場合もあれば、役職定年や再雇用によって収入が減る可能性もあります。子育てを終えた配偶者が勤務時間を増やし、世帯収入が上がる家庭もあるでしょう。
現在の年収だけではなく、教育費や住宅費が大きくなる時期にどの程度の収入が見込めるのかを考えます。
生活費
生活費には、食費、水道光熱費、通信費、日用品費、娯楽費などを入れます。
現在の支出を基に年間生活費を確認し、将来の変化も必要に応じて設定します。
たとえば現在の生活費が年間360万円だからといって、30年後まで360万円で生活できるとは限りません。
とはいえ、20年後の食料品価格を正確に予測することも難しいでしょう。
そこで「現在360万円で、毎年1%増加する前提」のように条件そのものを決めます。
正しい未来を装うより、どの数字を仮定したのかを後から確認できる状態にしておくことが重要です。
住宅費
賃貸の場合は家賃や更新費用などを入れます。
住宅を購入する場合には、住宅ローン返済だけでなく、購入時の諸費用、固定資産税、火災保険、修繕費なども考えます。
マンションなら管理費や修繕積立金も必要ですし、戸建てでも設備交換や外壁、屋根などの修繕に備える必要があるでしょう。
住宅を探していると、気持ちは少しずつ物件へ引っ張られます。
「あと300万円なら何とかなるかもしれない」「35年で考えれば月々の差は小さい」と、気に入った住宅が見つかるほど、当初決めていた予算を上げる理由を探したくなることがあります。
住宅購入では、借りられる金額と長期間持ち続けられる金額を分けて考えることが重要です。ローン返済以外の所有コストも含め、教育費や退職後まで家計をつなげて判断する必要があります。
住宅に思い入れを持つこと自体が問題なのではありません。
その気持ちとは別に、将来の暮らしまで守れる価格なのかを確認するためにキャッシュフロー表を使います。
教育費
教育費は家庭による差が大きくなりやすい項目です。
公立中心なのか私立も考えているのか、大学では自宅から通うのか、自宅外通学になる可能性があるのかによって必要額が変わります。
文部科学省は「子供の学習費調査」を公表しており、令和5年度調査については2026年1月16日に数値の訂正と資料の差し替えが行われています。教育費を設定するときは、訂正後の資料を確認することが重要です。
教育費を考えると、親として割り切れない気持ちも出てきます。
「子どもには好きなことを学ばせたい」
そう願うほど、教育費を減らす話には抵抗を感じるかもしれません。
しかし、教育資金の相談では、子どもの希望を支えながら、親自身の生活や老後資金も守る視点が必要です。親が負担する部分と本人が負担する部分、制度を利用する部分を分けて考えることも一つの方法になります。
教育費を考えることは、子どもへの愛情を金額で測ることではありません。
家族全体の生活を守りながら、どこまで支えたいのかを具体化する作業でもあります。
保険料
生命保険や医療保険、個人年金保険などへ加入している場合は、年間保険料を反映します。
金額と同時に確認したいのが、いつまで支払うのかです。
60歳で払込みが終わる保険なら、その後の支出は下がります。一方で終身払いなら、退職後にも保険料が続きます。
また、住宅購入によって団体信用生命保険へ加入した場合には、既存の死亡保障を見直せる可能性もあるでしょう。
毎月の保険料だけでは見えにくい負担を、時間軸で見ることが大切です。
車や旅行などの特別支出
車の買い替え、住宅の修繕、大型家電、旅行、冠婚葬祭など、毎月発生しない支出も考えます。
こうした費用を入れないと、将来の金融資産残高が実際より多く見える可能性があります。
だからといって、旅行を最初からゼロにする必要はありません。
年に一度の家族旅行を大切にしたいなら、それもライフプランの条件です。
キャッシュフロー表は、生活の楽しみを削って黒字を作るための表ではありません。
大切にしたい支出を残す代わりに、どの部分なら調整できるのかを考えるためにも使えます。
年間収支
年間収支は、その年の収入と支出との差額です。
プラスなら金融資産を増やす方向へ働き、マイナスなら預貯金などから不足分を補います。
ただし、一年だけ赤字になったからといって、すぐに危険な家計というわけではありません。
住宅購入時には諸費用が発生しますし、大学進学時には一時的に教育費が増えるでしょう。
重要なのは、なぜ赤字なのかと、その赤字が何年続くのかです。
金融資産残高
キャッシュフロー表で特に重要なのが金融資産残高です。
年間収支を積み上げることで、預貯金などが何歳ごろに増え、どの時点から減少するのかを確認できます。
たとえば60歳で1,500万円残っていれば、十分に感じるかもしれません。
しかし、その後の年間赤字が400万円なら見方は変わります。
逆に教育費で一時的に大きく減っても、その後に年間収支が回復するのであれば、必要以上に不安になる必要はないでしょう。
現在の残高と同時に、これからどちらへ動いていくのかを見ることが大切です。
FPにキャッシュフロー表を依頼するときの必要資料
FPへ相談したいと思っても、「家計簿をきちんとつけていないから相談しづらい」と感じる人がいます。
けれども、最初から完璧な資料がそろっている必要はありません。
日本FP協会でも、FP相談へ行く際には家計簿や収支、貯蓄状況、ローン返済状況、保険証券など、家計の状態を確認できる資料を準備するとよいと案内しています。
主な資料を整理すると次のようになります。
| 確認する内容 | 主な資料 |
|---|---|
| 収入 | 源泉徴収票 給与明細 確定申告書 |
| 日常の支出 | 家計簿 通帳 クレジットカード明細 |
| 預貯金 | 通帳 ネット銀行の残高 |
| 投資資産 | 証券口座 NISAなどの残高資料 |
| 保険 | 保険証券 契約内容が分かる資料 |
| 住宅ローン | 返済予定表 借入残高資料 |
| その他の借入 | 自動車ローン 奨学金などの資料 |
| 年金 | ねんきん定期便 ねんきんネット |
| 将来の予定 | 住宅 教育 車 退職などの希望 |
資料を集める作業は、少し面倒に感じるでしょう。
それでも通帳やカード明細を見ていると、「こんなに固定費があったのか」「昔入った保険をほとんど確認していなかった」と、自分でも気づいていなかった現在地が見えてくることがあります。
キャッシュフロー表は未来を見るための道具ですが、その前に現在の自分を振り返る時間を作ってくれるものでもあります。
公的年金については、日本年金機構の「ねんきんネット」で将来の老齢年金見込額を試算できます。詳細な条件で試算する場合には、今後の加入制度、収入見込額、就業見込期間、年金の受給開始年齢などを設定できます。
FPによるキャッシュフロー表作成の流れ
FPへキャッシュフロー表の作成を依頼したからといって、いきなりExcelへ数字を入力して終わるわけではありません。
数字を作る前に、「何を確認したいのか」を整理する必要があります。
将来の希望と不安を整理する
最初に、相談するきっかけや将来の希望を確認します。
住宅を買いたいのか、教育費が心配なのか、65歳で退職できるかを知りたいのかによって分析する内容は変わります。
「何となく老後が不安」という状態でも構いません。
なぜ不安なのかを少しずつ振り返ると、残高が減ることが怖いのか、仕事を辞めた後に自由を失うことが怖いのか、それとも子どもへ負担をかけることが心配なのかが見えてきます。
理由が違えば、必要な対策も違います。
現在の家計を確認する
次に、収入や支出、金融資産、負債、保険などを整理します。
この段階で数字を良く見せる必要はありません。
「少しくらい生活費を低く書いてもいいか」と思ってしまうことがありますが、数字を小さくした分だけ将来の金融資産は多く表示されます。
それでは安心できる表は作れても、判断に使える表にはなりません。
現在の家計を責めるためではなく、選択肢を探すために実態を確認します。
キャッシュフロー表の前提条件を決める
収入増加率、生活費、住宅ローン、教育費、退職時期などを数字へ置き換えます。
「収入は少しずつ増える」ではなく、「59歳まで毎年0.5%増加」といった形で設定します。
「教育費は一般的な金額」ではなく、公立か私立か、自宅通学かなどの条件を決めます。
キャッシュフロー表は条件によって答えが変わるため、前提条件の透明性が重要です。
問題が発生する年と原因を分析する
完成した表では、最終年の残高だけを見るのではありません。
いつ年間赤字になるのか。どの年に金融資産が大きく減るのか。資金不足が発生するとすれば何歳なのか。
さらに、その理由まで調べます。
教育費のピークが原因なのか、住宅ローンが退職後まで続くことが原因なのか、生活費が大きいのかによって対策は異なります。
不安が「老後のお金が心配」という大きな塊のままでは、何をすればよいのか分かりません。
原因を分けることで、初めて行動を考えられます。
条件を変えて複数ケースを比較する
問題が見つかったら、一つの条件を変更して再計算します。
住宅価格を500万円下げた場合はどうなるのか。教育費を変更するとどの程度改善するのか。退職を2年延ばした場合には何歳まで資産が残るのか。
通常ケースだけを見るのではなく、条件を一つずつ変えたり、複数条件を組み合わせたりすることで、家計が何に弱いのかを確認できます。
その結果、最も金融資産が多くなる案が必ずしも正解とは限りません。
住宅を買わない案が数字では有利でも、家族が住まいを大切にしているなら、住宅を買う前提で別の調整方法を探すこともできます。
実行内容と見直し方法を確認する
最後に、分析結果を基に何から着手するかを決めます。
ここでは具体策を一度に大量に決める必要はありません。
まず着手する内容を決め、実際の家計が変化したらキャッシュフロー表へ反映し、必要に応じてもう一度試算します。
詳しい実践方法は、後半のシミュレーションを確認した後に見ていきます。
キャッシュフロー表作成をFPに依頼する費用
FPへ相談したいと思ったとき、気になるのが費用です。
「表を一枚作ってもらうだけなら、それほど高くないのでは」と思う一方で、料金が明確に見えないと申し込むことをためらう人もいるでしょう。
FP相談の料金は全国一律ではありません。
日本FP協会では、有料相談の料金体系はFPがそれぞれ独自に設定しており、時間制のほか定額制や顧問制などがあると案内しています。また、ライフプラン提案書やキャッシュフロー表の作成が別料金になる場合もあります。
参考として、日本FP協会が現在掲載している「2021年度ファイナンシャル・プランナー実態調査」(無回答を除く)では、日本FP協会のCFP・AFP認定者が設定している1時間当たりの相談料は次のように示されています。
| 1時間当たりの相談料 | 割合 |
|---|---|
| 5,000円未満 | 14.2% |
| 5,000円以上1万円未満 | 47.3% |
| 1万円以上2万円未満 | 33.5% |
| 2万円以上 | 5.0% |
これは2021年度の調査結果であり、2026年現在の一律の相場を示すものではありません。日本FP協会も、具体的な金額や料金体系については申し込み前に直接確認するよう案内しています。
ここで注意したいのは、相談料金だけを見ることです。
たとえば1時間の相談料が安くても、詳細なキャッシュフロー表、住宅購入前後の比較、条件変更後の再シミュレーションがすべて別料金なら、最終的な費用は変わります。
反対に、ある程度まとまった料金でも、複数回の面談や前提条件の整理、シナリオ比較まで含まれていれば、自分が必要としている内容には合っているかもしれません。
申し込み前には、総額、面談回数、キャッシュフロー表の作成費、再シミュレーションの費用、成果物の形式まで確認しておくと安心です。
料金の高低だけではなく、自分が判断するために必要なところまで含まれているかを見ることが大切です。
FPに依頼する前に確認したいポイント
FPを探し始めると、無料相談や独立系、CFPやAFPなど、さまざまな言葉が目に入ります。
「資格を持っているから任せて大丈夫だろう」と、一つの条件だけで判断したくなることもあるでしょう。
しかし、相談分野や経験、料金体系はFPによって異なります。
日本FP協会では、自分に合ったFPを選ぶ際の確認事項として、FP資格、得意分野、相談したい分野の相談経験、相談料、専門家とのネットワークという5つのポイントを挙げています。
住宅購入について相談するなら、住宅ローンの商品知識だけでなく、教育費や老後資金まで含めたライフプラン相談の経験があるかを確認するとよいでしょう。
商品販売との関係も見ておきたいところです。
FPには相談料を受け取って助言する人もいれば、保険や金融商品などを扱う人もいます。
商品を扱うこと自体が問題なのではありません。
大切なのは、どのような立場から提案しているのかを相談者自身が理解できることです。相談と商品販売の関係や報酬源を確認し、商品を購入しない場合の方法も比較できる状態にしておくと判断しやすくなります。
さらに、成果物も確認します。
キャッシュフロー表を持ち帰れるのか。前提条件は残るのか。金融資産残高のグラフはあるのか。別条件で再計算してもらえるのか。
相談を受けることと、そこで提案された商品を契約することも分けて考えるほうがよいでしょう。
自分で作る場合とFPに依頼する場合の違い
キャッシュフロー表そのものは、自分でも作れます。
日本FP協会はExcel版のキャッシュフロー表を公開しており、自分で家計の収入や支出、ライフイベントを入力して確認することができます。
自分で作る場合とFPへ依頼する場合の主な違いは次のとおりです。
| 比較項目 | 自分で作る場合 | FPに依頼する場合 |
|---|---|---|
| 費用 | 無料で始めやすい | 相談料や作成料が必要 |
| 入力作業 | 自分で行う | ヒアリングを基に依頼できる |
| 前提条件 | 自分で設定する | FPと整理できる |
| 制度情報 | 自分で調べる | 相談範囲内で専門知識を活用できる |
| 条件比較 | 自分で再計算する | 複数ケースを依頼できる場合がある |
| 客観性 | 希望や不安が条件に入りやすい | 第三者と条件を確認できる |
| 成果物 | 自分で必要な形にする | 提案書やグラフが付く場合がある |
将来の予定が比較的シンプルなら、自作でも十分に役立ちます。
たとえば住宅購入予定がなく、まず現在の貯蓄ペースと老後までの大まかな流れを知りたい程度なら、無料のExcel表から始めてもよいでしょう。
一方、住宅購入と子ども2人の教育費が重なり、退職時期まで含めて条件を比較したい場合には、設定する項目が増えていきます。
この段階では「FPへ頼んだほうがよい」と決める必要はありません。
具体的なシミュレーションを見ると、どこから専門家による分析の価値が出てくるのかが分かりやすくなります。
35歳で金融資産500万円から住宅を購入するキャッシュフロー例
ここからは架空の家庭を使って、条件を変更すると家計の将来がどのように変わるのかを確認します。
これは実在する家庭のデータではありません。
また、以下の結果は将来の資産額を保証するものではなく、すべてこの前提条件で試算した場合の比較用モデルです。
シミュレーションの基本条件
夫は35歳、妻は30歳、子どもは6歳と3歳です。
現在の金融資産は500万円とします。
主要な条件をまとめると次のようになります。
| 項目 | 前提条件 |
|---|---|
| 夫 | 35歳 |
| 妻 | 30歳 |
| 子ども | 6歳と3歳 |
| 開始時金融資産 | 500万円 |
| 金融資産運用利回り | 0% |
| 35歳の世帯可処分所得 | 720万円 |
| 35歳から59歳の収入 | 毎年0.5%増加 |
| 60歳から64歳の世帯可処分所得 | 年600万円 |
| 65歳以降の世帯可処分所得 | 年360万円 |
| 35歳時点の生活費 | 年360万円 |
| 生活費増加率 | 毎年1% |
| 35歳から39歳の住居費 | 家賃年120万円 |
| 住宅購入 | 夫40歳 |
| 住宅価格 | 3,500万円 |
| 住宅ローン | 3,500万円 |
| 比較用住宅ローン金利 | 年3.14%の全期間固定 |
| 返済期間 | 35年 |
| 返済方法 | 元利均等返済・ボーナス返済なし |
| 年間返済額 | 約165万円 |
| 購入後の税金や修繕準備 | 年30万円 |
| 購入時諸費用 | 200万円 |
| 保険料 | 59歳まで年24万円 60歳以降年12万円 |
| 通常の特別支出 | 年20万円 |
| 車の買い替え | 夫45歳と55歳に各200万円 |
| 金融資産残高 | 年初残高に年間収支を加減した年末残高 |
住宅ローンの年3.14%は、モデル同士を比較するために固定した仮定です。
住宅金融支援機構の「借入金利の推移」では、2026年7月資金受取分について、返済期間21年以上35年以下かつ融資率9割以下のフラット35金利は年3.14%〜5.40%でした。
今回のモデルでは住宅価格3,500万円に対して借入額も3,500万円としているため、融資率9割以下という条件には当てはまりません。
したがって、年3.14%はこの家庭が実際に利用できるフラット35の適用金利を示すものではなく、比較計算のために設定した金利です。
また、年間返済額約165万円は、3,500万円を年3.14%の全期間固定、35年、元利均等返済、ボーナス返済なしとして計算した比較用の金額です。
実際にFPへキャッシュフロー表の作成を依頼するときは、頭金、借入額、融資率、返済方法、金利タイプ、利用する金融機関の商品などを確認し、その時点の条件へ差し替える必要があります。
教育費シミュレーションの具体条件
教育費についても、結果を追えるように年齢別の条件を明示します。
今回のモデルでは、公的統計の平均値をそのまま当てはめるのではなく、ケース比較を行うための簡易条件として、子ども一人当たり次の金額を設定します。
| 子どもの年代 | 年間教育費 |
|---|---|
| 3歳から5歳 | 25万円 |
| 小学校年代 | 35万円 |
| 中学校年代 | 55万円 |
| 高校年代 | 60万円 |
| 大学初年度 | 118万円 |
| 大学2年目から4年目 | 年90万円 |
たとえば夫35歳の年には、6歳の子どもを35万円、3歳の子どもを25万円として、教育費は合計60万円です。
夫40歳の年には子どもが11歳と8歳になるため35万円ずつで70万円、45歳では16歳と13歳となるため60万円と55万円で115万円になります。
50歳時点では、上の子を大学4年目の90万円、下の子を大学初年度の118万円として合計208万円です。
このように条件を開示しておけば、「教育費を20%変えたケース」が何を基準に計算されているのかを後から確認できます。
なお、この金額は全国平均や将来の実際の教育費を示すものではありません。
実際のシミュレーションでは、希望する進路と最新の公的統計、学校ごとの費用などを確認して設定する必要があります。
老後収入の設定
65歳以降の世帯可処分所得は年360万円と仮定します。
これは夫婦それぞれの年金受給額を個別に計算した数字ではなく、比較用として老後の世帯収入を一括設定したものです。
実際の年金見込額は加入記録や働き方、受給開始年齢などによって変わります。
日本年金機構の「ねんきんネット」では、今後の加入制度や収入見込額、就業見込期間、受給開始年齢を変えながら試算できます。
基本ケースのキャッシュフロー表
主要な年だけを抜き出すと、次のようになります。
金額は万円単位で四捨五入しています。
| 夫の年齢 | 世帯収入 | 生活費 | 住宅費 | 教育費 | 保険と特別支出 | 年間収支 | 年末金融資産 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 35歳 | 720 | 360 | 120 | 60 | 44 | 136 | 636 |
| 40歳 | 738 | 378 | 195 | 70 | 244 | ▲149 | 1,011 |
| 45歳 | 757 | 398 | 195 | 115 | 244 | ▲195 | 913 |
| 50歳 | 776 | 418 | 195 | 208 | 44 | ▲89 | 710 |
| 55歳 | 796 | 439 | 195 | 0 | 244 | ▲83 | 830 |
| 60歳 | 600 | 462 | 195 | 0 | 32 | ▲89 | 1,207 |
| 65歳 | 360 | 485 | 195 | 0 | 32 | ▲352 | 453 |
| 66歳 | 360 | 490 | 195 | 0 | 32 | ▲357 | 96 |
| 67歳 | 360 | 495 | 195 | 0 | 32 | ▲362 | ▲266 |
| 70歳 | 360 | 510 | 195 | 0 | 32 | ▲377 | ▲1,381 |
| 75歳 | 360 | 536 | 30 | 0 | 32 | ▲238 | ▲3,178 |
40歳は住宅購入に伴う諸費用によって年間赤字になっています。
45歳には車の買い替えが入り、50歳には子ども2人の大学費用が重なっています。
ここだけを見ると、「やはり教育費が家計を苦しくしているのだろう」と感じるかもしれません。
ところが、60歳時点では金融資産が約1,207万円残っています。
本当に大きな変化が起きるのは、その後です。
65歳以降は世帯収入を年360万円としている一方、生活費と住宅費は続きます。その結果、年間赤字が大きくなり、66歳末には金融資産残高が約96万円まで減少します。
この前提条件を用いたモデルでは、67歳に累積の資金不足が発生すると予測されています。
なお、金融資産残高をマイナスで表示した部分は、実際に銀行口座がそのまま負の残高になるという意味ではありません。
現在設定した生活を維持するためには、追加収入や借入れ、資産売却、支出削減などで補う必要がある累積資金不足額を示しています。
金融資産残高から見える問題の背景
主要年齢の残高だけを見ると、35歳では636万円、40歳では1,011万円となり、45歳は913万円、50歳は710万円です。その後55歳には830万円まで持ち直し、60歳には1,207万円まで増えています。
しかし65歳では453万円となり、66歳には96万円、67歳には累積資金不足へ転じます。
教育費のピークで資産は減っていますが、そこで資金が尽きたわけではありません。
むしろ、この家計で強く影響しているのは、60代に入ってからの収入減少と、退職後にも続く住宅費や生活費です。
「子ども2人を大学へ進学させるから無理なのだろう」と思っていたのに、数字へ置き換えてみると違う原因が見えてくることがあります。
ここで、漠然とした「老後が怖い」という気持ちは少し形を変えます。
65歳以降の年間赤字をどう小さくするか。
問いが具体的になれば、試せる方法も増えていきます。
住宅価格を500万円下げた場合
まず、住宅価格と住宅ローン借入額を3,500万円から3,000万円へ変更します。
その他の条件は基本ケースと同じです。
この前提条件を用いたモデルでは、65歳時点の金融資産残高が基本ケースの約453万円から約1,066万円へ増え、累積資金不足が発生する時期も後ろへずれると予測されます。
500万円という金額は、住宅を探しているときには違って見えることがあります。
「この物件なら希望の学区に入れる」「駅まで歩いて行ける」と思えば、500万円の予算超過にも意味を感じるでしょう。
だから、単純に安い家へ変更すればよいという話ではありません。
見たいのは、その500万円を住宅へ使った場合に、将来の金融資産をどの程度減らすのかです。
その影響を知ったうえで「それでもこの家を選びたい」と思うのであれば、それも一つの判断になります。
キャッシュフロー表は、希望を否定するためではなく、希望に必要な代償まで見えるようにするものです。
教育費を20%抑えた場合
次に、先ほど示した教育費モデルの年間支出を一律20%下げたケースを計算します。
ここで変更しているのは、家計から最終的に出ていく教育費の総額です。
たとえば自宅から通える進学先を含めて検討する、利用できる給付型の支援制度などで自己負担が減る、親が負担する費用の範囲を決めるといったケースが考えられます。
この前提条件では、65歳時点の金融資産残高が約846万円となり、基本ケースより改善します。
ただし、教育費だけを変えても長期的な資金不足は残ります。
「もっと教育費を削ればいい」と考える必要はありません。
子どもの進路を大切にしたいという思いを残しながら、住宅費や働き方など別の条件も比較できるからです。
なお、教育資金を早くから積み立てることは、今回の「教育費20%減」とは別の考え方です。
早めに100万円を準備しても、大学へ100万円支払うなら教育費の総額自体は100万円のままです。
早期準備は、教育費が実際に発生する前に必要な資金を確保しておく方法です。教育費そのものの総額を減らすものではありません。
今回のモデルのように預貯金などを金融資産として一括管理し、運用利回りを0%としている場合、教育資金として別口座へ取り分けても、世帯全体の金融資産残高そのものが増えるわけではありません。
それでも、支払時期までに必要額を確保できているかを確認することには意味があります。
支出額を減らす方法と、必要な資金を事前に確保する方法は分けて考える。
この区別をすると、キャッシュフロー表の条件設定がより分かりやすくなります。
退職を67歳へ延ばした場合
続いて、65歳で退職する条件を67歳へ変更します。
比較を分かりやすくするため、65歳と66歳も就労を続け、世帯可処分所得は60歳から64歳と同じ年600万円、67歳以降は年360万円と設定します。
この前提条件では、65歳時点の金融資産残高が約693万円となり、基本ケースより金融資産の取り崩し額が小さくなり、資金不足が発生する時期も後ろへずれます。
働く期間を延ばす効果は、単純に2年分の収入が増えることだけではありません。
60歳以降は基本ケースでも年間収支が赤字になっているため、金融資産の取り崩し自体は始まっています。それでも、65歳と66歳に年600万円の世帯可処分所得があることで、その期間の赤字を基本ケースより小さくできます。
その結果、金融資産が減る速度を緩やかにし、資金不足へ到達する時期を後ろへずらせるという考え方です。
とはいえ、「お金が足りないなら67歳まで働けばいい」と簡単には言えないでしょう。
65歳を過ぎても今と同じ働き方を続けたいのか。体力はどう変わるのか。勤務時間を減らしながら収入を得る方法もあるかもしれません。
老後資金は残高だけではなく、本人が望む暮らしや働き方、健康なども含めて考える必要があります。
キャッシュフロー表で数字を確認し、その生活を本当に選びたいかは自分自身で考えます。
生活費を5%見直した場合
基本ケースの生活費を5%低い水準から始めるケースも確認します。
35歳時点なら年間360万円から342万円となり、月額では約1万5,000円の差です。
この前提条件では、65歳時点の金融資産残高が約1,104万円となり、基本ケースより大きく改善します。
住宅価格のような一度の大きな支出とは異なり、生活費は毎年発生します。
そのため、一年間では小さな差に見えても、20年や30年続くと金融資産への影響が大きくなる可能性があります。
だからといって、「毎日もっと我慢しなければ」と考える必要はありません。
食事や家族の楽しみを減らす前に、使っていないサービスや通信費、保険料など、満足度への影響が比較的小さい支出を探す方法があります。
無理な節約で表だけを黒字にしても、その生活が続かなければ意味がありません。
複数条件を少しずつ調整した場合
一つの方法だけで資金不足を解決しようとすると、その部分へ大きな負担がかかります。
住宅だけを大幅に妥協する。教育費だけを削る。老後もずっと働き続ける。
数字は改善しても、どこかに強い不満が残る可能性があります。
そこで、住宅価格を500万円下げ、教育費を10%抑え、生活費を5%見直し、退職時期を67歳へ変更するケースを考えます。
一つを大きく犠牲にするのではなく、変更できる条件を少しずつ組み合わせたケースです。
| ケース | 65歳時点 | 70歳時点 | 75歳時点 | 累積資金不足が始まる年齢 |
|---|---|---|---|---|
| 基本ケース | 453万円 | ▲1,381万円 | ▲3,178万円 | 67歳 |
| 住宅価格500万円減 | 1,066万円 | ▲651万円 | ▲2,354万円 | 69歳 |
| 教育費20%減 | 846万円 | ▲989万円 | ▲2,786万円 | 68歳 |
| 67歳退職 | 693万円 | ▲901万円 | ▲2,698万円 | 68歳 |
| 生活費5%減 | 1,104万円 | ▲606万円 | ▲2,272万円 | 69歳 |
| 複数条件を調整 | 2,153万円 | 801万円 | ▲771万円 | 73歳 |
複数条件を調整したモデルでは、70歳時点でも約801万円の金融資産が残ると予測されます。
一方で、73歳には累積資金不足が始まります。
したがって、この結果を見て「もう安心です」と断定することはできません。
今回のモデルでは医療費や介護費、想定を超える住宅修繕などを十分に設定していませんし、75歳以降も生活は続きます。
それでも、基本ケースを見た直後とは少し印象が違うのではないでしょうか。
最初に67歳で資金不足になる結果だけを見ると、「家を買うのは無理かもしれない」と感じます。
ところが条件を一つずつ動かすと、住宅購入を完全に諦める以外にも選択肢があることが分かります。
住宅予算や生活費、教育費、60代の働き方をそれぞれ現実的な範囲で調整すれば、結果は変わる可能性があります。
キャッシュフロー表は「できるかできないか」を判定するだけの表ではありません。
どうすれば希望を残せるのかを探すための表でもあるのです。
キャッシュフロー表を使って小さく実践する方法
シミュレーションで問題が見つかると、「生活を全部変えなければ」と焦ることがあります。
けれども、いきなり何十年分の暮らしを変える必要はありません。
住宅価格の影響が大きいと分かったなら、まず現在の希望価格より500万円低い価格帯で物件を一度検索してみます。
そこで希望する地域や広さを満たす物件が全くないなら、「住宅予算を下げる」という対策は自分たちには合わないかもしれません。
生活費なら、毎日の食事を削る前に固定費を確認します。
教育費については、進路を今決める必要はなく、「親として大学費用をどこまで負担したいか」を夫婦で話すだけでも十分な一歩です。
こうした小さな行動を実際に行い、その後でもう一度条件を見直します。
やってみたら想像ほど苦しくなかったということもあれば、「この節約は続けたくない」と分かる場合もあるでしょう。
数字だけでは、その感覚までは分かりません。
条件を少し動かし、実際の暮らしで確かめ、その結果と気持ちの変化をもう一度表へ戻す。この循環を繰り返すことで、机上のライフプランから、自分たちが実際に続けられる計画へ近づいていきます。
キャッシュフロー表は一度作って終わりではない
キャッシュフロー表が完成すると、「これで老後まで見通せた」と少し安心するかもしれません。
それでも、人生が表のとおりに進むとは限りません。
転職によって収入が変わる可能性があります。子どもの進路が想定と違うこともあるでしょうし、年齢を重ねるにつれて家や仕事に対する価値観が変わることもあります。
日本FP協会でも、キャッシュフロー表は20〜30年程度を目安に作成しながら、夢や目標の変化に応じて柔軟に見直すことが案内されています。
住宅を購入したとき、子どもの進路が具体化したとき、転職したとき、退職が近づいてきたときなどは見直すきっかけになります。
そして、大きな出来事がなくても「最近また将来のお金が気になってきた」と感じたら、以前作ったキャッシュフロー表と現在の家計を比べてみてもよいでしょう。
数年前には海外旅行を優先したかった人が、今は働く時間を減らしたいと思っているかもしれません。
35歳で考えた老後と、55歳で望む老後が同じである必要もありません。
人生が変わったら、表のほうを変えます。
キャッシュフロー表は、一度決めた人生を守らせるものではありません。
変化した現在地から、次にどちらへ進むのかを考えるための地図です。
キャッシュフロー表を自分で作るかFPに依頼する判断基準
ここまで具体的なシミュレーションを見ると、自分で作る場合とFPへ依頼する場合の境目が見えやすくなります。
まず将来のお金を大まかに確認したいだけなら、自分で簡易的なキャッシュフロー表を作る方法があります。
日本FP協会が公開しているExcel版などを利用し、住宅や教育、退職などの予定を入れてみるだけでも、現在の家計について多くの気づきが得られるでしょう。
そこで結果を見て、「この条件なら自分でも判断できそうだ」と思えるなら、自作で十分な可能性があります。
ところが、表を作ることで疑問が増えることもあります。
住宅価格をいくら下げればよいのか。教育費を変更するのと働く期間を延ばすのでは、どちらの効果が大きいのか。年金をいくらで設定すればよいのか。
複数の条件が絡み始めると、数字を作ることより、その数字をどう解釈するかが難しくなります。
判断の目安は、キャッシュフロー表を自分で作れるかどうかではありません。
表を見た後に、自分で次の判断までできるかどうかです。
自分で条件を変えながら結論を出せるなら、そのまま自作を続けてもよいでしょう。
一方、どの前提を採用すればよいか分からない、複数案を客観的に比較したい、住宅購入と教育と老後をまとめて考えたいという場合には、FPへ詳細なキャッシュフロー表作成を依頼する価値が高まります。
最初から自作かFPかを二者択一にする必要もありません。
まず自分で現在地を確認し、判断が難しくなった部分から専門家を利用する方法もあります。
まとめ
キャッシュフロー表は、住宅、教育、生活費、退職後の収入などを同じ時間軸へ置き、年間収支と金融資産残高の変化を確認するためのシミュレーションです。
簡易的な内容なら自分でも作成できますが、住宅購入や教育費、老後資金など複数の条件を比較したい場合には、FPへキャッシュフロー表の作成を依頼する方法があります。
FPへ依頼するときは、相談料だけでなく、キャッシュフロー表作成費、前提条件の明示、金融資産残高のグラフ、再シミュレーションの範囲まで確認しておくと判断しやすくなります。
そして最も大切なのは、「この家計なら絶対に大丈夫」という答えをもらうことではありません。
この前提条件では何が起こるのかを知り、自分たちが大切にしたい暮らしを残すために何を変えられるのかを考えることです。
漠然としていた不安が、「まずここを確認してみよう」という小さな行動へ変われば、キャッシュフロー表を作る意味は十分にあるでしょう。