独立系FPとして相談件数が増えてくると、「仕事はあるのに安心できない」という感覚を持つことがあります。今月の予定表は埋まっていても、翌月の予約欄には空白があり、目の前の相談に集中したい一方で、「来月の売上はどうなるだろう」と集客のことが頭から離れないからです。
そこで顧問契約を検討する人は少なくありませんが、単発相談を月額制や年額制へ変更すれば、自動的に安定した継続収入が生まれるわけではありません。先に考えたいのは、顧客に時間をまたいで管理すべき課題があるのか、その支援に継続して料金を払う理由があるのか、そしてFP側にも無理なく利益が残るのかという三つの条件です。
顧問契約は、継続課金の仕組みから先に作るのではなく、顧客の必要性を確認し、継続支援の価値を設計し、FP側の採算と業務範囲を確かめたうえで提供方法を決めるという順番で考えると整理しやすくなります。
この記事では顧問契約の導入そのものを勧めるのではなく、自分の顧客と事務所に継続支援が合っているのかを、自分で判断できるところまで考えていきます。
独立系FPの顧問契約とは
独立系FPにおける顧問契約とは、一度の相談で関係を終えるのではなく、半年や一年など一定期間にわたり、家計、資産状況、ライフプランなどの変化を確認しながら継続的に支援する契約を指します。
ただし、ここでいう「顧問契約」と、金融商品取引法上の「投資顧問契約」は区別して考える必要があります。この記事で扱う顧問契約は、家計管理やライフプランなどを含む継続的なFP支援を便宜上そう呼ぶものであり、法律上の投資顧問契約と同義ではありません。
金融商品取引法上では、有価証券の価値等や金融商品の価値等の分析に基づく投資判断について助言することを約し、その助言に対して報酬を支払う契約が投資顧問契約として扱われ、その契約に基づく助言を業として行う投資助言・代理業には登録が必要です。金融庁は、助言内容がマーケット等に係る一般的な情報提供にとどまる場合や、投資助言業務に対する実質的な報酬が支払われない場合などには、登録が不要となる可能性も示していますが、これは代表的な考え方であり、実際の業務内容に応じて判断する必要があります。
したがって、家計相談の年間契約を「顧問契約」と呼んだから、それだけで投資助言・代理業になるわけではありません。一方で、サービス名を「家計顧問」や「年間FPサポート」としていても、その中で有償の投資助言に該当する行為を行うのであれば、名称ではなく実際の業務内容を基準に登録の要否を確認しなければなりません。
ライフプランは作った時点の前提で成り立っている
ある家庭が30代後半でライフプランを作ったとします。その時点では夫婦共働きで子どもは一人、5年後に住宅を購入し、夫婦とも65歳まで働く予定でした。
現在の収入や支出、教育方針、住宅予算を前提にキャッシュフローを確認すると、教育費や老後資金にも大きな問題は見当たりません。相談を終えたときには、本人たちも「これなら将来の見通しが立った」と安心するでしょう。
ところが2年後に二人目の子どもが生まれ、片方が時短勤務へ変わったとします。その翌年には親の介護について家族で考える必要が出てきて、住宅購入についても「今の働き方なら、少し予算を下げた方が安心ではないか」と迷い始めました。
最初に作ったライフプランが間違っていたわけではありません。計画を作った時点の前提が、その後の生活の中で変化したのです。
お金に関する問題には、一度答えを出せば完了するものと、時間の経過によって見直す意味が生まれるものがあります。家族構成、仕事、収入、支出、資産、住宅、制度などが変われば、以前の判断が今の生活にも合っているのかを確認し直す必要が出てきます。
日本FP協会の現行の「ファイナンシャル・プランニング業務基準規程」では、ファイナンシャル・プランニング業務を、顧客のデータを集めて現状分析を行い、各分野のプランをライフプランに沿って立案するだけでなく、その実行を支援する業務まで含めて定義しています。この規程は2025年11月11日に制定され、2026年7月1日に施行されたもので、対象は日本FP協会に所属する個人会員です。FPという職業全体へ直接適用される法律ではなく、資格や登録が必要な業務については、それぞれの法令による判断が別途必要になります。
顧問契約の価値は、「いつでも質問できる」という相談回数の多さだけにあるわけではありません。以前どのような事情からその判断をしたのかを知るFPが、その後の変化を確認し、計画と現実のずれを修正できることに、継続支援ならではの意味があります。
まず顧問契約が必要な顧客かを判断する
顧問サービスを作ろうとすると、月額料金や年間の面談回数から考えたくなるかもしれません。しかし、その前に確認したいのが、「この顧客には時間をまたいで管理する課題があるのか」という点です。
FP側に毎月の売上を安定させたいという事情があっても、顧客の問題が一回の相談で整理でき、その後は本人が自分で管理できるのであれば、年間契約を続ける理由は強くありません。顧客側の必要性が薄いまま契約だけを継続させようとすれば、いずれ「自分は何のために料金を払っているのだろう」と感じられる可能性があります。
単発相談と顧問契約の違い
単発相談と顧問契約の大きな違いは、一回払いか月額払いかという料金方式だけではありません。どの時間軸まで支援対象にするかという点が異なります。
| 比較項目 | 単発相談 | 顧問契約 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 現在の課題を整理して判断する | 計画の実行状況を確認して必要に応じて修正する |
| 支援期間 | 一回から数週間程度 | 半年や一年など一定期間 |
| 顧客との接点 | 相談時を中心とする | 定期面談と必要時の確認 |
| 家計データ | 相談時点の情報が中心 | 状況の変化に応じて更新する |
| ライフプラン | 作成や診断が中心 | 進捗確認や再設計まで行う |
| FP側の収益 | 相談の都度発生する | 契約期間中に継続して発生する |
| FP側の業務 | 面談前後に集中しやすい | 面談外の管理業務も発生しやすい |
| 顧客側の費用 | 必要なときに発生する | 利用が少ない期間にも発生する |
| 向きやすい状況 | 課題が明確で限定されている | 継続的に確認すべき変化がある |
たとえば「住宅ローンの借入額が家計に対して適切か確認したい」という相談で、必要な情報を整理した後は本人が自分で管理できるなら、単発相談で十分な場合があります。そこで年間契約を提案しても、半年後に確認することがほとんどなければ、顧客は継続費用を負担する意味を感じにくいでしょう。
反対に、5年後に退職を控え、退職金、公的年金、自宅の売却、親から引き継いだ資産、金融資産の取り崩しなどを段階的に考えなければならない人なら、一つの問題が終わるたびに別の相談を申し込むより、同じFPが全体の経緯を追った方が整理しやすい可能性があります。
顧問契約が向いているかを見るときには、まず顧客の問題に時間軸があるかを考えます。FP側が継続契約を欲しいかではなく、顧客側に継続して確認する理由が存在するかを先に見ることが重要です。
継続して料金を払う理由と続きにくくなる条件を考える
顧問料はFP側から見れば継続収入ですが、顧客側から見れば毎月または毎年発生する継続支出です。
月額1万円なら、一年間では12万円になります。FPが「月1万円でいつでも相談できます」と考えていても、顧客は「一年間で12万円を払うほど利用するだろうか」と考えるかもしれません。
相談回数だけを価値にすると、質問しなかった月ほど料金を無駄にしたように感じる人もいるでしょう。そのため、顧問契約では「何回相談できるか」とは別に、契約期間を通じてどのような価値を提供するのかを考える必要があります。
複数の判断材料を整理する負担を軽くする
ある人が定年を迎える時期には、退職金をどのように受け取るか、公的年金をいつから受給するか、住宅ローンを返済するか、生活資金をいくら現金で残すか、金融資産をどの程度運用し続けるかといった判断が重なることがあります。
個々の制度について調べることは可能です。しかし、情報を集めるほど「自分の場合は結局どう考えればよいのか」と迷い、すべての選択肢を自分だけで比較することに負担を感じる人もいるでしょう。
これまでの家計や資産だけでなく、本人が何を大切にしてきたのかまで知るFPと一緒に整理できれば、自分だけで複数の条件を処理する負担を軽減できる可能性があります。
顧客が料金を払う対象は、情報そのものだけとは限りません。自分に関係する情報を選び、複数の問題を一つの生活設計として整理する支援にも価値を感じる人がいます。
反対に、制度改正があるたびに大量の資料だけを送り、「あなたの場合に何を確認する必要があるのか」を整理しなければ、顧客にとって情報量そのものが負担になる可能性もあります。情報を多く持っていることと、その人の意思決定を支えられることは同じではありません。
計画を実行する節目を作る
相談の場では納得していたのに、実際には行動へ移せないことがあります。
ある人が「固定費を見直し、毎月5万円を積み立てる」と決めたとしても、三か月後には何も変わっていないかもしれません。保険会社への連絡を後回しにしていたり、手続き画面の途中で分からなくなったり、「本当に変更して大丈夫だろうか」と迷ったまま時間が過ぎたりすることがあります。
こうしたとき、定期面談があれば「何ができたか」「どこで止まったか」を確認する節目になります。定期面談があれば必ず行動できると断定することはできませんが、一人で管理するより、一定の時期に計画を振り返る機会を持つことが役立つ人はいるでしょう。
資産運用でも同様です。相場が大きく下落すると不安から計画を変えたくなり、反対に上昇が続くと予定以上のリスクを取りたくなる人もいます。
そのような場面で、当初の目的や資金を使う時期へ戻って考える相手がいることに意味を感じる顧客もいます。ただし、FPがライフプランを作成して終わり、実行状況をほとんど確認しないのであれば、「継続契約なのに初回相談と何が違うのか」と感じられる可能性があります。
過去の経緯を説明し直さなくてよい
長期的な関係には、数字では表しにくい価値もあります。
顧客が相談のたびに事情を最初から説明し直さなくてよいことです。新しい専門家へ相談するたびに、家族構成、収入、住宅ローン、教育方針、親の状況、保有資産、過去の投資経験などを説明するのは、負担になる場合があります。
長く関わっているFPなら、「三年前は住宅購入を優先した」「昨年は教育費の前提を変更した」という過去の判断を踏まえて現在の問題を考えられます。
ここでは現在の資産額だけでなく、なぜ現在の状態になっているのかという経緯を共有していることが価値になります。
ただし、契約期間中にFPから何の確認もなく、顧客から問い合わせが来たときだけ対応する状態では、この継続性は見えにくくなります。「何かあれば連絡してください」という待ち方だけでは、顧客自身が何を確認すべきか忘れてしまうこともあるでしょう。
そこで、「前回検討していた住宅購入はどうなりましたか」「今年は進学時期なので教育費の前提を更新しましょう」とFP側から適切な時期に確認すれば、過去から状況を追っていることの意味を示しやすくなります。
問題がなくなったときにも価値を説明できるか
顧問契約の初期には、改善できる項目が多くあります。
固定費を整理し、保険を見直し、積立を始め、家計管理の方法まで整えば、数か月後には大きな問題がなくなることがあります。これは支援がうまく進んだ結果であり、本来は望ましい状態です。
しかし顧客側では、「最近は特に相談することがないのに料金を払い続けている」と感じる可能性があります。
そこで、「特に問題ありませんでした」で終えるのではなく、「教育費の前提を増額しましたが、現在の貯蓄計画なら老後資金への影響はこの範囲に収まっています」「資産価格は大きく変動しましたが、使用時期と現在の配分を確認した結果、今回は変更しない方針です」というように、何を確認し、なぜ変更しなかったのかまで伝えます。
何もしないという結論にも、確認と判断の過程があります。
その過程が見えなければ、FPは一定の作業をしていても、顧客には「何もしていないように見える」ということが起こり得ます。
継続課金を伴う支援形態そのものが合っているか
どれほど継続支援に意味があっても、顧問料によって家計が圧迫されるなら、契約形態そのものを見直す余地があります。
家計改善を目的としている人が、毎月の顧問料によって本来増やしたかった貯蓄を減らしているなら、半年後の単発レビューや年一回の点検の方が適しているかもしれません。
また、自分で調べたり家計を管理したりすることが好きで、難しい問題が起きたときだけ専門家に確認したい人もいます。その人にとっては常にFPと契約していることより、必要なときだけ利用できる方が心理的にも経済的にも合う場合があります。
顧問契約を続けてもらう方法を考える前に、その顧客に継続課金を伴う支援形態そのものが合っているかまで確認する必要があります。
顧問サービスの内容を設計する
顧客に継続支援が必要だと判断したら、次に一年間で何を提供するのかを設計します。
この段階で、家計、投資、保険、住宅、教育、年金、相続まで何でも盛り込みたくなるかもしれません。しかし「何でも相談できます」という表現は、一見便利そうでありながら、顧客にもFPにも境界が分かりにくくなります。
まずは現在の相談業務を可視化し、単発相談のどこから先に継続支援の必要が生まれているのかを確認すると整理しやすくなります。
自分の相談工程を図にする
一人の顧客と接点を持ってから相談終了までの流れを、たとえば次のように整理します。
この工程を見ると、自分の単発相談がどの地点で終わっているのかが分かります。
現在は改善案を提示した段階で終了しているものの、その後に「まだ手続きできていません」「半年たって状況が変わりました」という相談が繰り返されているなら、実行支援や定期レビューに需要がある可能性があります。
反対に、相談後の問い合わせがほとんどなく、多くの顧客が自力で実行できているのであれば、現在の顧客層に年間顧問を設ける必要性はそれほど高くないかもしれません。
相談工程図は、顧問契約へ誘導するための図ではありません。単発相談の後に本当に支援が必要な場所が残っているのかを確認するための図として使います。
最初は現在地と価値観を確認する
顧問支援を始める場合、資産、負債、年間収支、加入保険、年金見込み、住宅、教育、老後などの基礎情報を整理します。ただし、数字だけでは支援方針を決められません。
同じ金融資産2,000万円でも、「多少資産を使っても早く仕事を辞めたい」と考える人と、「自分たちは質素に暮らしてでも子どもへ多く残したい」と考える人では、同じ資産額でも選択肢が変わります。
何を実現したいのか、何を守りたいのか、どこなら変更できるのかまで確認することで、家計の数字と本人の生活がつながります。
FPが数字だけを見て合理的だと思う計画でも、本人が大切にしたいものを失う計画であれば、長く続けることは難しいでしょう。
実際に行動できる形へ落とす
現状を整理した後は、貯蓄額、必要資金、資産運用の考え方、保障などについて基本方針を作り、実際の行動まで具体化します。
「老後資金を増やしましょう」と言われても、相談が終わった後に何をすればよいか分かりません。一方で、「給与日の翌日に5万円を別口座へ移す」「3年以内に使う住宅資金300万円は長期運用資金と分けて管理する」というところまで具体化すれば、次に取る行動が見えます。
さらに、計画を実行してみると、作成時には分からなかった問題が見えることがあります。
計算上は毎月8万円を積み立てられるはずでも、実際に始めると生活に余裕がなくなり、「この状態を20年間続けるのは苦しい」と感じるかもしれません。
そこで計画どおり続けることだけを求めれば、数字は整っていても生活には合っていません。計画を守らせることより、実際に続けられる計画へ修正することに、継続支援の意味があります。
年間面談スケジュールの例
一年間の支援では、毎回同じ家計表を見るだけでは面談の目的が分かりにくくなります。時期ごとに確認テーマを設定しておけば、その面談で何を判断するのかも明確になります。
| 時期 | 主なテーマ | 確認する内容 | FP側の準備例 |
|---|---|---|---|
| 4月 | 年間家計計画 | 前年収支 新年度予算 特別支出 教育費 | 収支データ更新 キャッシュフロー修正 |
| 7月 | 資産状況 | 金融資産 貯蓄進捗 資産配分 | 資産一覧更新 配分確認 |
| 10月 | リスクと制度 | 保障 大型支出 制度変更の影響 | 保険一覧 関連制度の確認 |
| 1月 | 年次レビュー | 目標達成状況 翌年計画 継続支援の必要性 | 年間レポート 次年度案 |
年4回が適切とは限りません。生活が安定している家庭なら半年に一回で十分な場合がありますし、住宅購入や退職など重要な判断が集中する時期なら、短い間隔で確認する意味があるでしょう。
面談回数を増やしてサービスを豪華に見せるのではなく、顧客が判断を必要とする時期に適切な接点を設けられるかを基準に考えます。
顧問料を決める前にFP側の採算を計算する
顧客に継続支援が必要であっても、FP側の採算が成立しなければ事業として続けることはできません。
単発相談中心の場合、一件3万円の相談を月20件受ければ、その月の相談売上は60万円です。しかし翌月の予約がなければ、その相談業務から翌月の売上が自動的に生まれるわけではありません。
翌月以降も単発相談の売上を維持するには、新規相談や既存顧客からの再相談を継続して獲得する必要があります。そのため、今月は忙しく働いたのに、翌月の予約状況を見ると「また集客しなければ」と落ち着かなくなる人もいるでしょう。
一定期間の顧問契約があれば、契約期間中の売上をある程度把握しやすくなるという経営上の特徴があります。ただし、顧問契約を増やせば自動的に利益が安定するわけではありません。
一人の顧客に何時間使うのか、獲得にいくらかかるのか、どの程度継続するのかまで見なければ、契約件数だけ増えて利益が残らない可能性があります。
面談時間だけで採算を判断しない
あるFPが一回3万3,000円の単発相談を提供しているとします。
面談が90分なら、「90分で3万3,000円なので十分な価格ではないか」と感じるかもしれません。しかし、実際の仕事は面談時間だけでは終わりません。
| 業務 | 所要時間例 |
|---|---|
| 事前ヒアリング確認 | 30分 |
| 家計や資産の分析 | 90分 |
| 面談 | 90分 |
| 提案資料の整理 | 90分 |
| 面談後のフォロー | 30分 |
| 合計 | 5時間30分 |
3万3,000円を5.5時間で割ると、単純な時間あたり売上は6,000円です。
ここから決済手数料、システム利用料、広告費、オフィス費用などが発生します。さらに、問い合わせへの返信、経理、ホームページ更新、集客、専門知識を維持するための学習など、顧客へ直接請求しにくい業務にも時間を使います。
「90分で3万3,000円」と考える場合と、「顧客一人に5時間30分を使って3万3,000円」と考える場合では、同じ相談料金でも見える採算が変わります。
年間顧問契約も総投入時間で見る
年間12万円の顧問サービスを作り、四半期に一回面談するとします。一回のサイクルに必要な時間が次のようになったとしましょう。
| 業務工程 | 一回あたりの時間例 |
|---|---|
| 面談前のデータ確認と準備 | 2時間 |
| 面談 | 1.5時間 |
| 議事録と更新作業 | 1.5時間 |
| 期間中のメールやチャット対応 | 1時間 |
| 合計 | 6時間 |
年4回であれば、年間の総投入時間は24時間です。
説明を単純にするため直接経費を除いて計算すると、120,000円 ÷ 24時間 = 5,000円/時間となります。
年間12万円という金額だけを見ると、それほど低く感じないかもしれません。しかし、一人の顧客に年間24時間を使い、さらに集客や事務作業の時間が必要であれば、その料金で事務所の固定費や必要な利益まで確保できるのかを確認する必要があります。
月額1万円という価格の見え方と、年間24時間を使う事業としての見え方は違います。価格を決めるときには、顧客が払いやすい金額だけでなく、自分がその仕事を無理なく続けられる金額かという視点も欠かせません。
顧客獲得費と継続期間も含める
一人の顧客を契約まで獲得するためには、広告、セミナー、無料相談、記事作成、問い合わせ対応などが必要になる場合があります。
広告費として現金が出ていなくても、FP本人が何時間も使っているなら、その時間を無視すると実際の採算は見えません。
たとえば一人の顧客を獲得するために5万円相当のコストがかかり、その人が一年で契約を終了するなら、その顧客から得る利益の中で獲得費も回収する必要があります。
同じ人が三年間継続する場合には、一度発生した獲得費をより長い期間で考えられます。そのため、少なくとも年間顧問料 − 年間サービス提供コスト − 顧客獲得費の配賦額 = 顧客一人あたりの利益という形で把握しておくとよいでしょう。
さらに平均的な継続期間や解約状況が分かれば、一人の顧客との関係全体でどの程度の売上と利益を生んでいるのかも見えるようになります。
顧問契約の件数を増やす前に、一人あたりの採算を見ることが重要です。予定表が埋まることと、利益が残ることは同じではありません。
契約範囲と業際を確定する
顧客側の必要性があり、提供内容と採算も整理できたら、「どこまでを自分の業務として引き受けるか」を確認します。
顧問契約では関係が長くなるため、相談内容も広がりやすくなります。最初は家計相談だった顧客から、「この投資信託を売った方がよいですか」「父の相続税はいくらになりますか」「兄との遺産分割をどうしたらよいですか」と相談されることも考えられます。
信頼しているFPだからこそ何でも聞きたいという顧客の気持ちは自然です。しかし、FP資格を持っていることと、あらゆる専門業務を行えることは別です。
契約書で業務範囲を明確にする
日本FP協会の業務基準規程では、同協会の個人会員が業務を受任するとき、提供する業務の具体的内容、報酬や費用負担、双方の責任範囲、顧客情報の保護、契約関係を終了する手順などを明示した契約書等によって、合意内容を明確にすることを求めています。さらに、法律上必要な資格や認可を取得せずに対象業務を行わないこと、自身が十分な知識や能力を持たない分野では、適切な資格を持つ専門家へ相談するか、顧客を紹介することも定めています。
実際の顧問契約でも、面談回数、一回の面談時間、メールやチャットへの対応方法、返信までの目安、資料更新の範囲、追加料金が必要になる条件、契約期間、更新、解約などを明確にしておいた方がよいでしょう。
「メール相談はいつでも可能」とだけ決めると、顧客はどこまで質問してよいのか迷い、FP側も大量の問い合わせが来たときに、どこまで顧問料の範囲で対応するのか判断しにくくなります。
業務範囲を決めることは、顧客との距離を遠ざけるためではありません。長く付き合うために、双方が期待しているサービスの範囲を先に合わせるためです。
投資助言は契約名ではなく実際の業務内容を見る
金融商品に関する支援を含める場合には、特に注意が必要です。
金融庁は、投資顧問契約に基づき、有価証券の価値等や金融商品の価値等の分析に基づく投資判断について助言を行い、その投資助言業務に関して報酬を受ける場合には、投資助言・代理業の登録が必要になると説明しています。
一方で、助言の内容がマーケット等に係る一般的な情報提供にとどまる場合や、投資助言業務に対する実質的な報酬が支払われない場合などには、登録が不要となる可能性も示されています。ただし、登録の要否は実際の業務内容によって判断する必要があり、「一般的な情報」という言葉だけで安全な範囲を決められるわけではありません。
そのため、「この投資信託を今買うべきです」「この株式を売却して別の商品へ変更してください」といった具体的な投資判断への有償助言をサービスへ含める場合には、FP資格だけで行えると考えず、具体的な業務内容について登録の要否を確認する必要があります。
顧客から頼られるほど「ここまで相談してくれたのだから答えたい」と感じる場面もあるでしょう。それでも、信頼関係を長く守るためには、答えることより適切に境界を示す方が重要な場合があります。
税務相談は税理士法上の範囲を確認する
税務についても、「個別の話だからすべて不可」と広く考えるのではなく、税理士法上の税務相談が何を指すのかを確認する必要があります。
国税庁は、税務代理、税務書類の作成、税務相談を税理士業務として示しています。税務相談については、申告等や申告書等の作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずることとされ、具体的な質問に対して答弁、指示または意見を表明することと説明されています。また、「業とする」ことについては、反復継続して行う場合だけでなく、その意思を持って行う場合を含み、必ずしも有償であることを要しないとされています。
したがって、税制の一般的な仕組みを説明する場面と、個別事情に基づいて税額計算や申告判断など、税理士法上の税務相談に該当する対応を行う場面は区別する必要があります。
後者の対応が必要になれば、税理士へつなげられる体制を持っておくことで、FPが無理に自分の業務範囲を広げずに顧客を支援できます。
保険募集と法律事務にも境界がある
保険や法律分野についても、自身が提供できる説明と、資格や登録が必要になる業務の境界を確認する必要があります。
日本FP協会は、保険募集人として登録されていない者は、保険契約締結の代理または媒介に当たる保険募集を行えないと説明しています。また、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で一定の法律事件に関する法律事務を取り扱ったり、その周旋を業としたりすることについて、弁護士法上の制限があることも案内しています。
顧問契約だから、FP一人ですべて解決する必要はありません。
「この税務判断は税理士と確認しましょう」
「この相続問題は弁護士へ相談した方がよいでしょう」
「保険募集に該当する部分は必要な登録を持つ担当者へつなぎます」
というように、自分の担当範囲を把握したうえで適切な専門家へ連携することも、顧客を継続的に支援する方法の一つです。
報酬構造と利益相反も分かるようにする
顧問料以外に、保険や金融商品などに関連した手数料を受け取る場合、その報酬構造によっては顧客との利益相反が生じる可能性があります。
特定の報酬方式だけが常に適切で、別の方式が常に問題になるという意味ではありません。大切なのは、顧客が「このFPは何のサービスについて誰からどのような報酬を受け取るのか」を理解できる状態にすることです。
日本FP協会の業務基準規程でも、同協会の会員に対し、顧客が負担する報酬等について、どのようなサービスの対価なのかを含めて十分理解できるよう開示することを求めています。また、利益相反を十分に回避できない場合には、その内容を顧客に分かりやすく情報提供し、同意を得ることとしています。
継続して関わる契約だからこそ、最初の時点で曖昧な部分を残さないことが、その後の信頼関係を守ります。
単発相談から継続支援へつなげる
顧客側の必要性、サービス内容、採算、業務範囲まで整理できた後で、初めて「どのように継続支援を提案するか」を考えます。
順番を逆にして、最初から「単発相談者の何%を顧問契約へ転換するか」と考えると、顧客の問題より自分の売上を優先したサービス設計になりやすいからです。
日本FP協会の業務基準規程は、対象となる同協会の個人会員に対して、顧客の利益を最優先に考え、誠実かつ公正に業務を行うことを求めています。
顧問契約は、初回面談の段階で必ず販売する商品ではありません。相談を進めた結果、「この問題は今日だけでは終わらず、今後も確認する意味がある」と分かった場合の選択肢として提示する方が、顧客の状況に沿った提案になります。
まず目の前の相談を解決する
住宅購入について相談に来た人へ、最初から年間顧問サービスの説明ばかりすれば、「自分の悩みより契約を取ることを優先しているのではないか」と感じられる可能性があります。
まずは住宅購入予算を整理し、現在の家計への影響や判断材料を明確にします。その日の相談で聞きたかったことを十分に理解できたという感覚があって初めて、「この先も相談したい」という気持ちが生まれる余地があります。
顧客が「今日知りたかったことを整理できた」と感じられるところまで支援することが先です。そのうえで将来もう一度確認した方がよい部分が見つかれば、初めて継続支援の話につながります。
今日終わる問題と将来確認する問題を分ける
目の前の課題を整理した後、その日に判断して終われることと、半年後や一年後にもう一度確認した方がよいことを分けます。
住宅購入なら、「現在の収支であれば、この借入額には一定の余力があります。ただし実際にローン返済を始めて半年ほど生活した段階で、生活費と貯蓄額が計画どおりか確認するとよいでしょう」と説明できます。
これなら、次回相談の理由はFP側の売上ではありません。住宅を購入した後も家計が計画どおり維持できているかという、顧客自身の確認事項になります。
顧問契約の提案が自然になるのは、「年間契約の商品があるから」ではなく、「将来もう一度確認する必要のある問題が見えているから」です。
自分で管理する選択肢も示す
継続確認が必要でも、顧問契約だけを提示する必要はありません。
「半年後にこの項目をご自身で確認してください。自分で管理することもできますし、一緒に確認したい場合には継続支援を利用できます」という伝え方もできます。
自分でできる方法と有料支援の両方を示せば、顧客自身が「どこまで自分で管理し、どこから専門家へ任せたいのか」を考えられます。
本人が必要性を理解したうえで選択できれば、少なくとも「勧められたから何となく契約した」という状態は避けやすくなるでしょう。長期的な契約では、契約を取ることより、なぜ契約するのかを顧客本人が理解していることの方が重要です。
一年契約の前に短い継続支援を置く
初回相談を受けたばかりのFPと、その場で一年契約を結ぶことに迷う人もいます。
その場合は、初回相談 → 3か月後の実行確認 → 半年後の再確認 → 必要なら年間支援という段階を設ける方法があります。
顧客側はFPとの相性や支援内容を確認してから長期契約を判断でき、FP側も実際に数回支援することで、どの程度の業務量が必要な顧客なのかを把握できます。
顧問契約は、一度販売したら完了するサービスではありません。長く関わる可能性があるからこそ、契約前に双方が相性や必要性を確認する時間にも意味があります。
顧問契約以外の継続モデルも比較する
単発相談中心の売上に不安があるとしても、個人向け年間顧問だけが選択肢ではありません。
顧客が必要とする支援頻度や、自分の事務所が提供しやすい価値によっては、別の方式の方が自然に成立する場合があります。
年次レビュー型
日常的な相談までは必要ないものの、一年に一度は家計やライフプランを確認したい人には、年次レビューという方法があります。
前年の収支、金融資産、住宅ローン、教育費、今後の大型支出、老後計画などを確認し、変化した部分だけ更新します。
顧客は毎月顧問料を払わずに済み、FP側は既存顧客と定期的な接点を持てます。毎月の支援は過剰でも、数年間まったく見直さないことには不安を感じる人にとっては、中間的な利用方法になるでしょう。
必要時の再相談型
最初のライフプラン作成後はいったん契約を終了し、問題が生じたときだけ既存顧客向け相談を予約できる方式もあります。
毎月の継続収入にはなりませんが、一度関係を築いた顧客が再び相談しやすい仕組みを作れば、毎回すべての相談者を新規に獲得するモデルとは異なってきます。
日常的にFPへ相談するほどではなくても、「大きな判断をするときには事情を知っている同じ人に相談したい」と感じる顧客には、この距離感の方が合う可能性があります。
法人向けの継続支援
企業と契約して、従業員向けマネー相談や金融教育などを継続的に提供する方法もあります。
企業型DCに関する継続教育や従業員向けライフプラン相談など、自分の専門分野と企業側の課題が一致する場合には、一つの継続サービスとして検討できます。
ただし、契約相手が法人になれば簡単に高額契約が成立するというわけではありません。企業側にも、「なぜ毎年このサービスへ費用を払うのか」という理由が必要な点は、個人向け顧問と同じです。
会員型サービス
一対一の面談とは別に、オンライン勉強会、ニュースレター、家計管理ツールなどを複数の会員へ提供する方式もあります。
共通する情報を複数人へ提供できれば、一対一の相談より一人あたりの提供時間を抑えられる可能性があります。
ただし、「会員制」という名称にすれば金融関連規制の対象外になるわけではありません。個別の有価証券等について有償で投資判断を助言するなど、実際の提供内容が投資助言・代理業に該当する場合には登録の要否を確認する必要があります。金融庁の監督指針でも、不特定多数向けの情報提供であっても、情報通信技術を使って個別性や相対性の高い投資情報を提供する場合などには、登録が必要となる点へ留意するよう示されています。
重要なのは、継続課金できる仕組みを探すことではありません。継続して提供できる価値を見つけ、その価値が必要とされる頻度に料金体系を合わせることです。
自分の事務所に顧問契約が合うか判断する
ここまで考えると、「独立系FPなら顧問契約を導入するべき」という一つの答えにはなりません。
実際に導入を検討するなら、料金表を作る前に、過去の相談案件を振り返る方が先です。
直近10件から20件ほどの相談について、「半年後や一年後にも確認したかった問題は何だったか」「その後どのような再相談があったか」「相談後に無料でどのような対応をしたか」「その対応に何時間使ったか」を確認してみます。
住宅購入後の家計確認が何度も発生しているなら、住宅購入後の継続支援に需要がある可能性があります。退職前の相談者から、年金、退職金、金融資産の取り崩しについて数年間にわたって相談されているなら、退職前後に特化した継続サービスを考えられるでしょう。
反対に、相談の大半が一つの問題で完結し、その後の問い合わせもほとんどないなら、現在の顧客層へ年間顧問を作っても利用場面が少ない可能性があります。
特に確認したいのが、すでに無料で行っているアフターフォローです。
「相談後もメールが来るので答えている」「半年後に頼まれれば無料でキャッシュフローを更新している」という仕事が繰り返し発生しているなら、継続支援として切り出せる業務が、すでに発生している可能性があります。
そこで実際の時間を測れば、自分がどの仕事に時間を使い、顧客がどこで再び支援を求めているのかが少しずつ見えてきます。
最後に、一人の顧客を思い浮かべて、次の問いへ答えてみてください。
「この人はなぜ一年後も私に相談する必要があるのか」
「何でも聞けるから」という答えだけでは、まだ支援内容が曖昧かもしれません。
「退職までの5年間に毎年資産取り崩し計画を更新するため」
「住宅購入から子どもの進学まで年二回家計の余力を確認するため」
「独立後の収入変動に合わせて毎年家計と保障を見直すため」
というように、誰を、どの期間、何のために支援するのかまで説明できれば、顧問サービスとして設計する意味が見えてきます。
そこまで説明できない段階であれば、料金や面談回数を先に決めるのはまだ早いでしょう。
よくある質問
- FPの顧問契約では何をする?
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家計収支や資産状況の定期確認、ライフプランの更新、住宅や教育など大型支出の確認、決めた行動の進捗確認などが考えられます。
ただし、すべてを提供する必要はありません。対象とする顧客に継続して起こる問題を基準に支援内容を決め、自身の資格や登録で対応できない業務については、必要に応じて適切な専門家へ連携します。
顧問契約は「相談できる項目をできるだけ増やすこと」ではなく、顧客に継続して起こる課題へ、どのような周期と方法で対応するのかを決めることが重要です。
- 月額と年額のどちらがよい?
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一律にどちらが優れているとはいえません。
月額払いは一回の支払額を小さくできる一方、顧客が毎月の費用を意識しやすくなります。年額払いは一年間の支援プログラムとして設計しやすいものの、契約開始時の支払負担が大きく感じられる場合があります。
年間契約を前提にしながら、支払いだけ月ごとに分ける方法も考えられます。
支払回数だけではなく、契約期間、途中解約、返金、更新条件、サービス内容まで含めて設計し、「何に対していくら払っているのか」を顧客が理解できる状態にすることが重要です。
- 単発相談から顧問契約へ変更できる?
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単発相談を進める中で継続して確認すべき課題が見つかったのであれば、選択肢として提案できます。
ただし、「顧問契約をしなければ危険です」と不安をあおる必要はありません。
初回相談で解決できたことと、半年後や一年後にもう一度確認した方がよいことを分け、自分で管理する方法とFPへ依頼する方法の両方を示せば、顧客自身が必要性を判断できます。
顧問契約へ変更すること自体ではなく、「なぜ継続して確認する必要があるのか」を顧客自身が理解できる状態を作ることが先です。
- 顧問契約が向いていない顧客は?
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一回の相談で課題が解決し、その後に継続管理する問題が少ない人には、顧問契約が過剰なサービスになる可能性があります。
また、自分で家計や資産を管理することを好み、難しい場面だけ専門家へ確認したい人には、単発相談や年次レビューの方が合うでしょう。
顧問料自体が家計を圧迫する場合も、サービス価値とは別に契約形態を見直す必要があります。顧客に継続支援が必要であることと、毎月または毎年料金を払う契約が適していることは同じではありません。
- 顧問サービスの範囲はどこまで決めるべき?
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顧客が契約内容を読んだとき、「何が含まれているか」「どこから追加料金になるか」「何は依頼できないか」を判断できる程度まで明確にすることが望まれます。
面談回数、面談時間、連絡方法、返信の目安、資料更新、追加相談、契約期間、更新、解約などに加え、金融商品、税務、保険募集、法律事務など、資格や登録との境界がある分野についても自身の対応範囲を確認する必要があります。
境界を明確にするとサービスが狭く見えるのではないかと不安になるかもしれません。しかし、長く関係を続ける契約だからこそ、「何を任せられるのか」がはっきりしている方が、顧客もFPも安心して利用しやすくなります。
まとめ
独立系FPの顧問契約は、単発相談を月額制へ変更するだけのビジネスモデルではありません。
最初に確認するのは、顧客に時間をまたいで管理する課題があるかどうかです。そのうえで、顧客が継続して料金を払う理由を考え、実際に半年や一年の中でどのような支援を提供するのかを設計します。
次に、面談時間だけではなく、準備、資料更新、問い合わせ対応、顧客獲得に必要な時間や費用まで含めてFP側の採算を確認します。さらに、実際に提供する業務と資格・登録との境界を整理し、契約内容を明確にしたうえで、必要な顧客へ継続支援を提案します。
この条件が合わないのであれば、無理に顧問契約へ移す必要はありません。年次レビュー、必要時の再相談、法人向け支援など、顧客にも事務所にも合う別の形があります。
顧問契約そのものを目的にすると、「どうすれば契約を続けてもらえるか」という発想から始まりやすくなります。しかし、先に見るべきなのは顧客の生活であり、その後に事業として成立する条件を確認する順番です。
売上を継続させるために顧客を契約へ残すのではなく、顧客に継続して必要な支援があり、その支援に対価を払う理由がある結果として契約も続いていく。
まずは過去の相談を振り返り、「一度の相談では終わらなかった問題は何だったか」「その後の支援に実際どれだけの時間を使っているか」を確認するところから始めると、自分の事務所に顧問契約が必要なのかを具体的に判断しやすくなるでしょう。
参考資料
日本FP協会「ファイナンシャル・プランニング業務基準規程」
FP業務の定義や契約内容 利益相反 資格等に関する業務基準を確認する
日本FP協会「FP業務に関連する法令などについて」
金融商品取引法 保険業法 税理士法 弁護士法などとの業際を確認する
金融庁「投資運用業等 登録手続ガイドブック」
投資助言・代理業の登録要否と代表的な事例を確認する
国税庁「税理士の業務」
税務代理 税務書類の作成 税務相談の範囲を確認する