業務改善

良い経営コンサルタントの特徴とは? 「もっと営業しましょう」で終わらない8つの判断基準

「もっと営業しましょう」「SNSを活用しましょう」と助言され、言っていることには納得できたのに、会社へ戻った途端に何を変えればよいのか分からなくなった。そんな経験がある経営者もいるのではないでしょうか。

経営コンサルティングで重要なのは、正しい方向性を示すことだけではありません。誰が、いつまでに、何をして、どの数字をどこまで改善するのかという水準まで提案が具体化され、現場が実際に動ける状態になっているかが重要です。

この記事では、良い経営コンサルタントを見極めるうえで特に重要な「提案の実行可能性」を、現状、問題、原因、施策、担当者、期限、KPI、検証という8つの判断基準から確認します。この8基準は良いコンサルタントの全条件ではありませんが、「この提案なら自社が本当に動けるのか」を判断する物差しとして活用できます。

TABLE OF CONTENTS
目次

良い経営コンサルティングは正しいことを言うだけではない

中小企業の経営改善では、「売上を増やすために営業を強化しましょう」「認知度を上げるためにSNSを活用しましょう」「利益を安定させるためにリピーターを増やしましょう」といった提案を受けることがあります。

これらの方向性そのものが間違っているとは限りません。新規顧客が不足しているのであれば営業活動を見直す意味がありますし、認知不足が課題なら情報発信を強化する選択肢も考えられるでしょう。

しかし、中小企業の経営者が困っているのは、こうした正論をまったく知らないからではないことがあります。

「営業を増やしたほうがよいことくらい、自分でも分かっている」と感じながらも、人手には限りがあり、既存顧客への対応も続けなければなりません。営業担当者へ新しい仕事を追加すれば、別の重要な業務にしわ寄せが出る可能性もあります。

資金にも限界があります。広告費を増やす、採用する、新しいシステムを導入すると言われても、「その費用と時間をどこから捻出するのか」という現実的な問題は残るでしょう。

経営の現場には、理屈として正しいことと、現実に実行できることの間に深い溝があります。

だからこそ経営者が本当に知りたいのは、「何をすべきか」という方向性だけではありません。なぜ今それを行うのか、現在の仕事をどう調整するのか、誰が担当し、いつまで続け、何が変わったら前進したと判断するのかまで見える必要があります。

そこまで決まっていなければ、経営会議で全員が納得しても、翌朝には以前と同じ仕事の流れへ戻ってしまうかもしれません。社員へ「営業をもっと増やそう」と伝えたところで、「具体的には何を変えるのですか」と聞かれた瞬間、経営者自身が答えに詰まることもあるでしょう。

すると、費用をかけて外部専門家へ依頼したにもかかわらず、現場には「結局また頑張れという話なのか」という疲労感が残ります。

これは必ずしも、経営者や社員の意欲が低いから起きることではありません。施策を実行するための設計が不足しているという可能性があります。

良い経営コンサルタントの価値は、知識量の多さだけで決まるものではありません。人員、資金、顧客、組織体制といった企業固有の条件を踏まえ、改善策を現場が実行できる単位まで具体化できるかも重要な判断材料になります。

だからこそ、コンサルタントから提案を受けたときには「内容が正しいか」に加えて、「この内容なら明日から会社が動けるか」という視点を持つ必要があるでしょう。

良い経営コンサルティングの8つの判断基準

コンサルタントの実力を、肩書や話し方だけから判断するのは容易ではありません。実績が豊富でも自社の課題に合うとは限らず、説明が上手でも実行段階まで設計できるとは限らないからです。

そこで役立つのが、実際に提示された提案を見る方法です。

ここから紹介する8項目は、良い経営コンサルタントの人格や能力を採点するための条件ではありません。あくまで、その提案が実行可能な水準まで設計されているかを確認するための基準です。

提案書や打ち合わせメモを手元に置き、現状から検証まで一本の線でつながっているかを見ていくと、これまで「何となく具体性がない」と感じていた理由も見えやすくなるでしょう。

良い経営コンサルティングの8つの判断基準 現状 問題 原因 施策 担当者 期限 KPI 検証
提案書や打ち合わせメモを手元に置き、現状から検証まで一本の線でつながっているかを見ていくと、これまで「何となく具体性がない」と感じていた理由も見えやすくなるでしょう。

1 現状が数字で把握されている

経営改善の出発点は、現在地をできる限り客観的に把握することです。

「営業に勢いがない」「最近問い合わせが少ない」「リピーターが減った気がする」といった経営者の感覚にも重要な情報は含まれています。しかし、その感覚だけでは、どこを改善すべきなのか正確に判断できません。

たとえば「新規営業が弱い」という同じ悩みでも、月20件しかアプローチしていない会社と、月500件アプローチしている会社では状況が大きく異なります。

営業活動量そのものが少ないのであれば、行動量の不足が原因という可能性があります。一方、十分な件数へ営業しているのに商談へ進まないのであれば、ターゲット企業、接触方法、最初の会話、接触する時間帯などを確認する必要があるでしょう。

さらに、商談数は確保できているのに受注へ結び付かないなら、価格、提案内容、競合との差、意思決定者への説明方法など、別の場所を見る必要があります。

そのため、売上高や営業利益だけではなく、問い合わせ件数、架電件数、商談件数、成約率、客単価、再購入率など、課題に関係する業務プロセスも必要に応じて数値化します。

もちろん、何でも数字へ置き換えればよいわけではありません。数字は社員を責めるための材料ではなく、「どこで流れが止まっているのか」を探すための手掛かりです。

良い経営コンサルタントであれば、経営者の感覚を否定するのではなく、その感覚がどの数字に表れているのかを一緒に確認していくでしょう。

2 問題が明確になっている

現状を確認した後は、何が問題なのかを特定します。

ここで注意したいのが、「売上が低い」「利益が出ない」「営業が弱い」といった大きな言葉だけで終わらせないことです。

ある会社で前年同月と比べて売上が15%減少していたとします。経営者から見れば、「売上が15%減ったこと」が最大の問題に感じられるでしょう。

しかし数字を分解すると、新規顧客数にはほとんど変化がなく、既存顧客の購入頻度だけが大幅に低下しているかもしれません。別の会社では、顧客数や購入回数には大きな変化がない一方、平均客単価が下がっているという可能性もあります。

同じ売上減少でも、改善すべき場所は異なります。

問題とは、単に困っている状態へ名前を付けたものではありません。本来目指している状態と現在の状態を比較し、どこに重要な差が生じているのかを特定したものです。

営業であれば、「新規営業が弱い」と表現するより、「月15件必要な商談に対して5件しか獲得できておらず、毎月10件不足している」と整理したほうが、議論する対象は具体的になります。

良いコンサルティングでは、経営者が口にした悩みを聞いてすぐ施策へ進むのではなく、本当に改善すべき問題がどこにあるのかを確認します。ここが曖昧なままでは、その後どれほど詳細な計画を作っても方向がずれる可能性が残るからです。

3 問題の原因まで掘り下げている

問題が明確になったら、次は「なぜその状態が起きているのか」を掘り下げます。

問題と原因は似ていますが、同じものではありません。

たとえば「月15件必要な商談が5件しか取れていない」という状態は問題です。しかし、その原因には、営業件数が不足している、決裁者へ接触できていない、対象企業が適切ではない、最初の会話で断られているなど複数の可能性があります。

もし主な原因が決裁者との接触率の低さなのに、「営業件数を倍にしましょう」とだけ指示したらどうなるでしょうか。

社員はこれまで以上に電話をかけることになりますが、受付で断られる割合が変わらなければ、業務負担だけが増えるかもしれません。一生懸命に取り組んでいるのに数字が動かなければ、「これを続けて何になるのだろう」という気持ちが現場に生まれることもあります。

それでも成果が出ない理由を「営業担当者の努力不足」と判断すれば、本当の問題からさらに遠ざかるでしょう。

見るべきなのは根性ではなく、なぜ期待した結果につながっていないのかという構造です。

良い経営コンサルタントは、表面に見えている症状をそのまま原因とは考えません。データ、業務フロー、顧客属性、組織体制、過去の意思決定などを確認しながら、問題を生み出している背景を掘り下げます。

この工程を飛ばさないことが、単なる対症療法と本質的な改善を分ける重要なポイントになります。

4 原因に対応した施策になっている

原因を確認した後に、初めて具体的な施策を考えます。

ここで見るべきなのは、提案された施策が目新しいか、有名な手法か、他社で成功したかということだけではありません。「その施策を行うことで、特定した原因が変わるのか」という論理的なつながりが重要です。

たとえば、決裁者へ接触できていないことが商談不足の主な原因だと考えられるのに、営業資料のデザインだけを全面的に変更しても、受付段階で会話が終わる状態は変わらないでしょう。

一方、過去の接触履歴から決裁者につながりやすい条件を確認する、対象企業の役職情報を整理する、受付での説明方法を変更して反応を比較するといった施策であれば、原因との関係があります。

SNSについても同じように考えられます。

「SNSを活用しましょう」と提案されたときには、何を改善するためにSNSを使うのかまで確認することが大切です。認知度を高めたいのか、見込み客との接点を増やしたいのか、既存顧客との関係を維持したいのかによって、発信内容も確認する数字も変わります。

流行しているから取り入れるのではなく、自社で特定した原因へ作用すると考えられるから実行する。このつながりを説明できることが、提案の実行可能性を見る重要な判断材料になります。

5 誰がやるか決まっている

原因に対応した施策が決まっていても、実行する担当者が不明確なら、計画は止まりやすくなります。

「営業部で取り組む」「全社で推進する」という表現は、一見すると役割分担が決まっているように見えるでしょう。しかし、会議で全員が賛成した一週間後に確認すると、誰も最初の作業へ着手していないことがあります。

そんなとき、「社員の当事者意識が足りない」と考える前に、誰が最初に動くのかまで決まっていたかを振り返る必要があります。

ターゲット企業を抽出する人、営業スクリプトを修正する人、結果を集計する人、最終的な方針変更を判断する人は、それぞれ異なる場合があります。そのため、必要に応じて推進責任者と実務担当者を役職や個人単位まで明確にします。

さらに、担当者を決めるだけでは十分ではありません。すでに業務量が限界に近い社員へ新しい仕事を割り当てるのであれば、既存業務を減らすのか、別の社員へ移すのかまで考えなければ、計画上は担当者がいても現実には動けないでしょう。

良い経営コンサルタントは、「誰にやらせるか」だけではなく、その担当者が実際に実行できる状態になっているかまで確認します。

担当者設定とは責任を押し付けるための作業ではなく、施策を日常業務の中へ着地させるための実行設計です。

6 いつまでにやるか決まっている

「なるべく早く対応する」「今期中に改善する」といった表現だけでは、忙しい現場の中で施策が後回しになることがあります。

中小企業では、一人が営業、顧客対応、資料作成、見積もり、トラブル対応などを兼務していることも珍しくありません。朝は新規営業をする予定だったのに既存顧客から連絡が入り、午後には急ぎの見積もりが発生し、気付けば一日が終わっていたということもあるでしょう。

改善活動が「時間ができたら取り組む仕事」になれば、その時間はなかなか訪れません。

そこで、施策には具体的な期限を設定します。

たとえば、「10日までに対象企業100社を抽出し、11日から新しい条件で営業を開始して、25日までに検証に必要なデータを集め、月末に一次評価を行う」という形です。

一定期間にわたる施策なら、最終期限だけでなく、途中の進捗を確認できるマイルストーンも設けます。

期限は人を急かすためだけの仕組みではありません。改善活動を「余裕があるときに行う仕事」から「会社として実行すると決めた仕事」へ変える役割があります。

良い提案かどうかを判断するときには、締め切りが書かれているかだけでなく、その期限が現在の業務量を踏まえて実行可能なものになっているかまで確認するとよいでしょう。

7 KPIが設定されている

施策を実施した後、その取り組みが前進しているのかを判断するには、確認する数字が必要です。

そこで使われるのがKPIです。KPIはKey Performance Indicatorの略で、日本語では重要業績評価指標と呼ばれ、最終的な成果へ向かう途中の状態を確認するために使われます。

たとえば、営業改善の最終目標が売上増加だったとしても、売上だけを見ていては、新しい営業方法のどこが機能したのか分からない場合があります。

架電件数、決裁者接触率、商談化率、提案率、受注率など、売上へ至る途中の数字を確認すれば、どの段階で改善が起きているのか把握しやすくなるでしょう。

重要なのは、KPIという名前の数字を何か一つ置けばよいわけではないことです。

たとえば、決裁者へ接触できていないことが主な原因だと考えて施策を行うのであれば、決裁者接触率は原因に近い指標になります。一方、営業資料の内容改善を行うのであれば、決裁者接触率よりも提案後の反応率や商談継続率など、別の指標を見るほうが適切という可能性があります。

良い経営コンサルタントは、売上などの最終結果だけではなく、施策と原因の関係を確認できる指標を考えます。

さらに、「改善する」という表現だけで終わらず、現在値と目標値を設定できる状況であれば、どの程度の変化を目指すのかまで明確にすると、施策の成否を判断しやすくなるでしょう。

8 結果を検証して次の施策につなげている

ここまでの7項目が具体的でも、実行後の検証がなければ経営改善は途中で止まります。

経営施策には不確実性があるため、事前に立てた原因仮説や施策が必ず正しいとは限りません。そのため、良いコンサルティングでは「この施策をやりましょう」で完了するのではなく、どの数字をどの程度の頻度で確認し、どのような変化なら施策を継続し、どの状態になったら原因仮説そのものを見直すのかまで考えます。

たとえば、決裁者接触率を10%から18%へ改善する施策を行い、結果が15%だったとします。

目標の18%には届いていませんが、以前の10%から15%へ変化しているのであれば、施策の一部には効果があったという可能性があります。さらにデータを分けて確認したところ、午前中の接触率は12%だった一方、夕方は20%だったなら、翌週は夕方の活動比率を増やして再度確認する方法が考えられるでしょう。

反対に、対象企業や時間帯を変えても10%前後からほとんど動かないのであれば、「時間帯が主な原因だった」という仮説そのものを見直す必要があります。

ここで重要なのは、結果が出なかったときに「社員の頑張りが足りなかった」と結論づける前に、仮説と施策を再検討できることです。

また、不確実性の高い施策では、最初から会社全体を大きく変える必要はありません。一つの営業チーム、一定数の顧客、一つの業務工程など、影響を管理できる範囲から試し、結果を見て対象を広げる方法があります。

このときも、施策を行った後で都合よく成功基準を変えるのではなく、事前に何を確認して次の判断を行うのかを決めておくことが大切です。

経営改善の目的は、最初に立てた計画を最後まで守り抜くことではありません。現実の数字から学び、必要であれば原因の捉え方や施策を修正し、会社の状態を改善していくことです。

この検証まで提案に組み込まれているかを見ることで、「提案を出して終わる支援」と「改善が回るところまで考えられた支援」の違いも見えやすくなるでしょう。

表層的な提案と実行できる提案の違い

ここまでの8基準を並べて比較すると、一般論にとどまる提案と、実行を意識した提案の違いが整理しやすくなります。

判断基準 表層的な提案 実行を意識した提案
現状把握 営業の勢いがないなど印象だけで判断する 業務プロセスの数値を確認して現在地を把握する
問題特定 売上が足りないなど結果だけを見る 目標と現状の差がどこで生じているかを特定する
原因分析 個人の努力や能力だけに原因を求める 業務手順や顧客属性や組織体制まで確認する
施策立案 営業量を増やすなど方向だけを示す 特定した原因へ作用する具体策を設計する
担当責任 営業部や全社という単位だけで決める 推進責任者と実務担当者を明確にする
期限設定 早急にや今期中など曖昧に決める 中間期限を含めて実施時期を明確にする
KPI 売上など最終結果だけを見る 原因や施策に近い途中の数字も確認する
検証体制 実施後は現場へ任せる 定期的に結果を確認して仮説や施策を修正する

この表は、すべてのコンサルティング契約に8項目が必ず含まれていなければならないという意味ではありません。

戦略立案や市場調査までを依頼し、実行管理は自社で行う契約もあります。自社に十分な実行体制があり、専門的な分析や第三者の視点だけを求めているのであれば、担当者設定や日常的な進捗管理をコンサルタントへ任せる必要はないでしょう。

一方、「方向性は分かっているが、いつも現場へ落とし込むところで止まる」という会社であれば、提案だけでは同じ状態を繰り返す可能性があります。

つまり、8つの判断基準は良いコンサルタントを機械的に採点するためのものではありません。自社が必要としている支援水準と、実際に提示されている提案の具体性が一致しているかを見るための物差しです。

もっと営業しましょうを具体化するとどうなるか

ここからは、「もっと営業しましょう」という一言が、8つの基準を通すことでどのように変わるのかを確認します。

以下の数値は考え方を説明するために置いた一例であり、業種や商材ごとの標準値や適正値を示すものではありません。

ある会社では、新規営業の成果が伸びず、経営者も営業担当者も悩んでいました。

営業担当者は毎日電話をかけていますが、必要な商談数には届きません。そこで外部の専門家から「競合に負けないためにも、新規営業をもっと増やしましょう」と提案されたとします。

方向性そのものが間違っているとは限りません。

しかし営業担当者からすれば、「今でも時間いっぱい動いているのに、さらに何を削って電話を増やせばよいのだろう」と感じるでしょう。経営者も社員が怠けているとは思っていませんが、別の方法が見えなければ「もう少し件数を増やしてみよう」と言うしかなくなります。

この状態が続けば、経営者も社員も努力しているのに結果だけが変わらないという、重たい閉塞感が生まれます。

そこで、「もっと営業する」という言葉を8つの基準へ落とし込みます。

営業改善の現状把握

過去3か月の営業実績を調べたところ、月間のアウトバウンド架電数は平均100件で、そのうち商談へ進んでいる件数は5件でした。

単純計算では商談化率は5%となり、まず「営業活動そのものをまったくしていない会社ではない」という現在地が見えてきます。

営業改善の問題特定

会社が安定した受注を確保するために必要な商談数を月15件としている一方、現在は5件しか獲得できていません。

そこで問題を「営業担当者がもっと頑張る必要がある」と定義するのではなく、「必要な商談15件に対して月10件不足している」と整理します。こうすれば、社員の意欲ではなく、商談へ進むプロセスのどこで不足が生じているのかを考えられるようになります。

営業改善の原因分析

営業履歴を確認すると、架電後に担当者や決裁者へ接触できないケースが多く、決裁者へ接触できている割合が10%でした。

この結果から、架電件数そのものより、決裁者へ届く割合の低さが商談不足を生んでいる有力な要因と考えられています。ただし、この時点で原因を断定するのではなく、業種、企業規模、時間帯、受付での断り理由なども確認します。

営業改善の対応施策

決裁者との接触率を改善するため、過去の営業履歴から接触しやすかった企業属性や時間帯を調べ、対象企業の選び方と連絡条件を変更します。

さらに、受付で会話が終わるケースが多いのであれば、最初の説明方法も変更して反応を比較します。ここで重要なのは、「営業件数が不足している」と決めつけて電話本数だけを増やすのではなく、原因として考えている部分へ施策を当てることです。

営業改善の担当者

営業主任Aを推進責任者とし、対象企業の整理と数値集計を担当します。

実際の営業活動は主任Aと営業担当者2名で分担し、誰がどの企業へ連絡するのかを明確にします。また、既存業務との重複が大きい場合には、新しい施策を上乗せするだけではなく、既存業務の調整も検討します。

営業改善の期限

10日までに新しい対象企業リストと営業スクリプトを整理し、11日から25日まで新しい方法を試します。

その後、月末までに一次検証を行う予定を設定しておけば、「今月中に何とかする」という曖昧な計画より、どこまで進んでいるのかを判断しやすくなります。

営業改善のKPI

最終的な目標は月15件の商談獲得ですが、原因に近い指標として決裁者接触率も確認します。

現在10%である接触率を18%まで改善するという目標を置き、同時に架電件数や商談化率も記録します。これによって、「活動量は維持できているのに接触率が改善した」といった途中の変化を把握できます。

営業改善の検証

毎週金曜日に営業履歴を確認し、架電件数だけではなく、時間帯別の決裁者接触率、商談化率、主な断り理由を比較します。

仮に夕方の接触率だけが改善しているなら翌週は夕方へ比重を移し、どの条件でも数字が変わらないのであれば、時間帯以外の原因仮説を見直します。このように、確認する数字と頻度、仮説を見直す条件までつながっていれば、検証が単なる反省会になりにくいでしょう。

ここまで具体化すると、「もっと営業しましょう」という言葉は、単純に電話本数を増やす指示ではなくなります。

どこで営業活動が止まり、なぜ商談へ進まないのかを確認し、その原因へ働きかけ、結果によって次の方法を変える改善計画へ変わります。

プロセス 表層的な指示 8つの基準で具体化した例
現状把握 営業電話が足りない 月100件の架電に対して商談は5件
問題特定 新規開拓が弱い 必要な商談15件に対して月10件不足
原因分析 営業担当者の話し方が悪い 決裁者接触率が10%と低い
対応施策 電話の本数を増やす 対象企業や接触条件を変更して比較する
担当責任 営業部全員で取り組む 営業主任Aを推進責任者として役割を分ける
期限設定 今月中に成果を出す 10日まで準備し11日から25日まで試す
KPI 売上を増やす 決裁者接触率10%から18%を目標にする
検証体制 月末に結果だけを見る 毎週数字を確認して翌週の方法を修正する

良い提案とは、細かい指示が大量に書かれた提案ではありません。

現状から問題、原因、施策、担当者、期限、KPI、検証までに論理的なつながりがあり、現場で働く人が「なぜこれを行うのか」「自分は何をすればよいのか」を理解できる提案です。

8つの判断基準だけでは見えない良いコンサルの条件

ここまでの8項目は、主に「提示された提案が実行可能な水準まで設計されているか」を見るための基準です。

一方、その前段階にある「そもそも何を問題として扱うべきなのか」を適切に設定するためには、数字や計画だけでは足りない場合があります。経営者が口にしている悩みと、本当に取り組む必要がある課題が同じとは限らないからです。

「売上が伸びない」「社員が方針どおりに動かない」「営業担当者が育たない」といった悩みには、数字だけでは見えにくい事情が隠れていることがあります。

経営者自身も、本当は問題の存在に気付いているものの、長年続けてきた事業や社員との関係が絡むことで、簡単には言葉にできない場合があるでしょう。「分かっているけれど、認めてしまうと今までの判断まで否定することになる気がする」という迷いが生まれることもあります。

ここで重要になるのが、対話と傾聴です。

中小企業庁は、伴走支援について、経営者等との「対話と傾聴」を通じて本質的な経営課題への気付きを促し、自己変革や行動変容につなげる課題設定重視の支援として説明しています。2023年版中小企業白書でも、課題設定段階から対話と傾聴によって本質的な経営課題への気付きを促す支援が重要な手法の一つとされています。

つまり、外部専門家が答えを知っていれば十分という話ではありません。

経営者自身が「なぜこの問題に取り組むのか」と腹落ちしなければ、計画上は正しい施策でも途中で止まりやすくなります。良いコンサルタントを見極めるときには、8つの実行基準に加え、その8項目へ入る前に、本当に取り組むべき課題を一緒に整理できているかを見る必要があるでしょう。

8基準と対話・傾聴は、どちらか一方を選ぶものではありません。

対話と傾聴によって取り組むべき課題を明確にし、その課題を実際に動かせる計画へ変換する際に8基準を使うという関係です。

自己変革を妨げる5つの壁と8基準の関係

中小企業庁の伴走支援に関する資料では、自己変革を妨げる典型的な障壁として「見えない」「向き合わない」「実行できない」「付いてこない」「足りない」という5つの状態が整理されています。2022年版中小企業白書でも「自己変革への5つの障壁」として示されており、経営者が独力で課題への腹落ちに至ることの難しさと、第三者支援の必要性が説明されています。

この5つの壁は、良いコンサルタントを見極める記事として、一つずつ詳しく覚える必要がある概念ではありません。重要なのは、会社が動かない理由を「知識が足りない」「社員の努力が足りない」という一つの原因だけで判断しないことです。

たとえば「見えない」は、現状が十分に把握されていない状態であり、8基準の現状把握と深く関係します。「実行できない」は、施策が分かっていても人員、時間、しがらみなどが妨げになる状態であり、担当者や期限を現実的に設計できているかという問題につながるでしょう。

一方、「向き合わない」のように、数字を見せるだけでは解決しにくい状態もあります。長年の成功体験や会社への思いが意思決定を止めているなら、計画を細かくする前に、経営者自身が何を変えにくいと感じているのかを対話によって整理する必要があります。

「付いてこない」についても、社員が怠けていると決めつけるのではなく、経営者が考える必要性が現場へ伝わっているか、自分の仕事とどうつながるのか理解できているかを確認することが大切です。「足りない」状態まで整理できて初めて、人材、知識、資金、ツールなど外部資源の導入が有力な解決策になる場合があります。

つまり、5つの壁が示しているのは、「会社が動かない理由は一つではない」ということです。

8つの判断基準で実行計画を確認しながら、その計画へ進む前の段階で何が会社を止めているのかも見られるコンサルタントであれば、単なる正論の提示より一段深い支援につながると考えられています。

自己変革を妨げる5つの壁と8基準の関係 見えない 現状が十分に把握されていない状態 8基準の現状把握と深く関係します 実行できない 施策が分かっていても 人員、時間、しがらみなどが妨げになる状態 担当者や期限を現実的に設計できているか 向き合わない 数字を見せるだけでは解決しにくい状態 経営者自身が何を変えにくいと感じているのかを 対話によって整理する必要があります 付いてこない 経営者が考える必要性が現場へ伝わっているか 自分の仕事とどうつながるのか 理解できているかを確認することが大切です 足りない 人材、知識、資金、ツールなど 外部資源の導入が有力な解決策になる場合があります
つまり、5つの壁が示しているのは、「会社が動かない理由は一つではない」ということです。

提案の具体性チェックシート

ここまで読んで、「考え方は分かったが、今もらっている提案が良いのか判断したい」と感じる方もいるでしょう。

その場合は、実際の提案書や打ち合わせメモを手元に置き、次の8項目を確認してみてください。

確認項目 判定 評価の着眼点
現状が数値化されているか ○ / × 感覚だけでなく課題に関係する実績データが確認されているか
問題が特定されているか ○ / × 目標と現状の差が具体的に示されているか
原因まで分析されているか ○ / × なぜ問題が起きているのかまで掘り下げられているか
具体的な施策があるか ○ / × 特定した原因へ作用する行動になっているか
担当者が決まっているか ○ / × 推進責任者と実務担当者が明確になっているか
期限が決まっているか ○ / × 最終期限や必要な中間期限が設定されているか
KPIが決まっているか ○ / × 施策の効果を途中で確認できる指標が設定されているか
検証方法が決まっているか ○ / × 確認頻度や見直し条件まで含めて検証方法が決まっているか

ここで「×」があるから、そのコンサルタントは良くないと即断する必要はありません。

原因分析の途中なら、具体的な施策やKPIがまだ決められないこともあります。新しい事業では妥当な目標値そのものを、実際のデータを集めながら探す場合もあるでしょう。

重要なのは、空欄が存在すること自体ではありません。

なぜ今は決められないのか、何を確認すれば判断できるのか、どの段階まで進めば具体化する予定なのかという道筋が説明されているかを見ることです。

また、この8項目は契約範囲によって使い方を変える必要があります。

戦略提案までの契約なのに、「担当者まで決めてくれないから悪いコンサルタントだ」と評価するのは適切ではありません。一方、自社が実行支援まで必要としているにもかかわらず、数か月たっても「売上を伸ばしましょう」「営業を強化しましょう」という方向だけが繰り返され、具体的な実行計画へ進まないのであれば、支援範囲や進め方を確認する意味があります。

これまで「何となく具体性がない」と感じていた提案も、このチェックシートを使えば、「原因の裏付けが弱い」「担当者が決まっていない」「検証方法が見えない」という確認可能な論点へ変えられます。

感情的に「このコンサルは役に立たない」と判断する前に、何が不足しているのかを言葉にできれば、コンサルタントとの話し合いも具体的になるでしょう。

契約前に確認したい7つの質問

良い経営コンサルタントを選ぶとき、実績や料金だけを聞いても、実際の支援方法までは十分に分かりません。

「売上を改善した実績があります」「多数の企業を支援しています」という説明が事実だったとしても、自社でどのように課題を整理し、どこまで実行へ関わるのかは別の問題です。

契約前には、華やかな実績だけを見るのではなく、支援プロセスが見える質問を投げかけると、契約後の姿を想像しやすくなります。

1 KPIはどの段階で何を根拠に決めますか

最初の面談ですべてのKPIが決まっている必要はありません。

むしろ、自社のデータを十分に確認していない段階で「この業界ならこの数字です」と断定された場合には、その根拠を確認したほうがよいでしょう。

知りたいのは、現状分析のどの段階で指標を設定し、現在値と目標値を何から判断するのかという考え方です。この回答から、KPIを単なる管理数字として置くのか、それとも原因と施策の関係を確認するために使うのかが見えやすくなります。

2 施策の担当者や業務分担まで一緒に決めますか

コンサルティング会社によって支援範囲は異なります。

経営戦略や改善案の提示までを担当する会社もあれば、担当者設定、業務フロー変更、会議運営、進捗確認まで関わる会社もあります。

どちらが常に優れているという話ではありません。

自社に十分な実行能力があるなら提案型の支援で足りる場合がありますが、「計画は作れるのに現場で止まる」という課題を抱えている会社なら、実行支援の範囲を契約前に確認する必要があります。

3 想定した結果が出なかった場合はどう検証しますか

経営改善では、最初に置いた原因仮説や施策が外れることがあります。

だからこそ、「必ず成果を出します」という言葉だけではなく、結果が想定と異なった場合に何を確認するのかを聞くことが重要です。具体的には、確認する数字、その数字を見る頻度、施策を継続する条件、原因仮説そのものを見直す時期まで、一つの検証プロセスとして説明できるかを確かめます。

この回答が具体的なら、コンサルタントが一度決めた施策へ固執するのではなく、現実のデータから修正する考え方を持っているか判断しやすくなるでしょう。

4 定例ミーティング以外ではどのように連携しますか

月1回の面談だけで十分な支援もあれば、実行段階では会議と会議の間にも確認が必要な支援があります。

日常的な疑問が出た場合の相談方法や担当者との連絡手段、重要な問題が起きた場合の対応方法などを確認しておけば、「次の定例会まで一か月止まる」という状態も避けやすくなります。

ただし、連絡頻度が多ければ良いコンサルタントという意味ではありません。重要なのは、自社が必要としている関与度と、契約で提供される支援の形が一致していることです。

5 過去の類似支援では何に時間を使いましたか

「過去の成功事例を教えてください」と尋ねると、売上増加率や導入企業数など結果の説明に偏ることがあります。

そこで、実際の支援では何に時間を使ったのかを聞いてみます。経営者へのヒアリング、営業データの整理、現場同行、会議の進行、営業スクリプトの共同作成など、具体的な行動を聞けば、そのコンサルタントがどの程度まで現場へ関与するのかを判断しやすくなるでしょう。

結果だけではなく、そこへ至った過程を見ることが大切です。

6 支援終了後に何が会社へ残りますか

支援期間中だけ改善が進んでも、コンサルタントが離れた後に以前の状態へ戻れば、長期的な意味は小さくなります。

KPI管理表、会議の進め方、業務手順、営業プロセス、判断ルールなど、自社だけでも改善を続けるための仕組みが残るのかを確認するとよいでしょう。

中小企業庁の2022年版中小企業白書では、経営者が課題へ腹落ちし、当事者意識を持って能動的に行動することで、最終的に自走化や自己変革力へつながる考え方が示されています。

コンサルタントへ依存する状態を長く作ることより、支援がなくても考え、実行し、検証できる会社へ近づけるかという視点も重要です。

7 業務範囲と追加費用や解約条件はどうなっていますか

支援内容が良くても、契約範囲への認識がずれていれば、後から「そこまで対応してもらえると思っていた」という不満が生まれます。

どこまでが基本料金に含まれるのか、追加業務にはどのような費用が発生するのか、担当者変更の扱いや途中解約の条件はどうなっているのかなど、重要な点は契約前に確認しておく必要があります。

こうした契約条件を質問することは、相手を疑う行為ではありません。双方が何を担当し、どこまで期待してよいのかを事前にそろえることで、支援開始後の認識違いを減らすための確認です。

7つの質問を、面接のように一つずつ読み上げる必要はありません。

話を終えたときに、「このコンサルタントへ依頼したら、来月から自社が何をすることになるのか」が具体的に想像できるかを確認してください。それが見えないのであれば、契約前にもう一段具体化してもらう意味があります。

良いコンサルでも成果が出るとは限らない

ここまで紹介した8基準を満たし、対話や課題設定を丁寧に行うコンサルタントであっても、必ず経営成果が出るとは言えません。

経営には不確実性があり、競合企業の動き、顧客ニーズ、原材料価格、人材の退職、取引先の事情など、自社とコンサルタントだけでは制御できない要因が存在します。

さらに、提案内容が適切でも、会社側で実行されなければ数字は変わりません。

コンサルタントが営業プロセスを整理しても、担当者が日常業務で手いっぱいなら施策を実施できないでしょう。必要なデータが社内から提供されなければ、現状認識や原因分析の精度も下がります。

また、経営者の判断が必要な場面で意思決定が何週間も止まれば、その間プロジェクトも進められません。

ここでは、良いコンサルタントを選ぶことと、コンサルティングから成果を得ることを分けて考える必要があります。

主体的な関与と満足度の関連を示した民間調査

株式会社Groovementが2025年に公表した「コンサルティング活用実態調査」では、自社の関与度が高いグループのプロジェクト満足度が47%だった一方、関与度が低いグループでは14%だったと報告されています。

ただし、この結果から「企業が主体的に関与すれば成果が上がる」という因果関係まで確認できるわけではありません。公開されている調査から確認できるのは、調査対象者の中で、プロジェクトへの関与度と満足度との間に差が見られたという点です。

また、この調査は中小企業を対象としたものではありません。

調査対象は、従業員1,000名以上の企業に所属し、自身の権限でコンサルティング会社への発注経験を持つ課長相当職以上180名です。そのため、47%と14%という数値を中小企業全般へそのまま当てはめることはできません。

それでも、外部の専門家へ全面的に任せる場合と、自社もプロジェクトへ関与する場合で満足度に違いが見られた一例としては参考になるでしょう。

「費用を払ったのだから、あとは専門家が何とかしてくれるだろう」と考えたくなる気持ちもあります。経営者にはすでに多くの仕事があり、その負担を軽くしたいからこそ外部へ依頼する面もあるためです。

それでも、会社の意思決定や社内での実行まで完全に外部へ移すことはできません。

企業側に必要な3つの受入体制

コンサルタントを有効に活用するため、企業側でも大きく三つの条件を確認しておく必要があります。

一つ目は、必要な場面で意思決定できる体制です。商品、価格、取引条件、組織、人員配置などを変更する必要がある場合、最終的な判断を行うのは企業側になります。

「方向は正しいと思うけれど、もう少し様子を見よう」という状態が長く続けば、どれほど詳細な計画があっても進みません。

二つ目は、分析に必要な情報を共有できることです。

売上データ、顧客情報、営業履歴、原価、社員の状況などが不足していれば、外部専門家であっても現状を正確に捉えることは難しくなります。

都合の悪い数字ほど共有しにくいものですが、「利益が出ていない取引先がある」「営業会議が形だけになっている」といった情報ほど、原因を見つける重要な手掛かりになることがあります。

三つ目は、社内の推進担当者を決めることです。

コンサルタントと経営者だけで計画を作り、完成後に現場へ渡した場合、「また上から新しい仕事が降りてきた」と受け取られる可能性があります。早い段階から実際に動く担当者を巻き込み、業務量や現場の事情を踏まえて実行可能かを確認することが大切です。

つまり、良いコンサルタントを選ぶことと、企業側が受け入れる準備を整えることは両方必要になります。

良いコンサルタントを選ぶことと、 企業側が受け入れる準備を整えることは両方必要になります。 良いコンサルタントを選ぶこと 企業側が受け入れる 準備を整えること 両方必要になります
つまり、良いコンサルタントを選ぶことと、企業側が受け入れる準備を整えることは両方必要になります。

ここまでを理解しておけば、「成果が出ないのはすべてコンサルタントの責任」「会社が動かなかったから仕方がない」という二択に陥らず、どの段階に改善余地があるのかを確認できるでしょう。

良い経営コンサルタントに関するよくある質問

良い経営コンサルタントの一番重要な特徴は何ですか

一つの条件だけで良し悪しを決めることはできませんが、企業が実際に行動できるところまで提案を具体化できることは、重要な判断材料と考えられています。

特に提案の実行可能性を見る場合には、現状、問題、原因、施策、担当者、期限、KPI、検証が一本につながっているかを確認するとよいでしょう。一方、本当に取り組むべき課題を設定する前段階では、経営者との対話や傾聴、業界や会社への理解も重要になります。

つまり「8つだけ見ればよい」ということではありません。適切な課題設定ができていることを前提として、提案を実行可能な形へ落とし込めているかを8基準で確認する考え方です。

経営コンサルティングではKPIが必要ですか

施策の効果を客観的に確認するため、KPIは有効です。

ただし、すべての案件で契約開始時から詳細なKPIを確定させる必要があるとは限りません。原因分析の途中であれば、どの指標を見るべきかがまだ分からないという可能性がありますし、新規事業などでは目標水準そのものを検証しながら探す場合もあるでしょう。

重要なのは、KPIが最初から決まっているかではありません。

いつ、何を根拠に決め、どの数字を使って施策の成否を検証するのかが説明されていることです。

提案型と実行支援型のコンサルタントは何が違いますか

一般的には、提案型では現状分析、課題整理、戦略や施策の提案を中心に支援し、実行支援型ではその後の実施、進捗確認、業務への定着、検証などにも関与するという違いがあります。

ただし、実際の支援範囲はコンサルティング会社や契約内容によって異なります。

自社に十分な実行体制があり、専門的な分析だけを求めている会社であれば提案型が適する場合もあるでしょう。一方、「計画はできても実行段階でいつも止まる」という会社であれば、担当者設定や進捗確認などがどこまで支援範囲に含まれているかを契約前に確かめる必要があります。

コンサルタントを入れても成果が出ない原因は何ですか

原因は一つではなく、コンサルタント側と企業側の双方に生じる可能性があります。

コンサルタント側では、問題設定がずれている、原因分析が浅い、施策と原因がつながっていない、現場の業務量を考慮していないといった理由が考えられます。企業側では、実行担当者が決まらない、必要なデータを提供できない、経営判断が止まる、現場への説明が不足するといった事情もあるでしょう。

したがって、「コンサルタントが悪い」「会社が悪い」と単純に分けるのではなく、現状把握から検証までのどの段階で流れが止まっているのかを確認することが重要です。

契約前にはどんな質問をすればよいですか

契約前には、実績の大きさだけではなく、支援プロセスが見える質問をすることが有効です。

たとえば、KPIをいつ何を根拠に決めるのか、施策の担当者設定まで関わるのか、想定した結果が出なかった場合にどのような数字を使って検証し、どの条件で施策や原因仮説を見直すのかを確認するとよいでしょう。

さらに、過去の類似支援で実際にどのような業務へ時間を使ったのか、支援終了後にどのような仕組みが会社へ残るのか、追加費用や解約条件はどう定められているのかも確認すると、契約後の認識違いを減らせます。

まとめ 良いコンサルは会社が動ける状態まで具体化する

良い経営コンサルタントを見極めるとき、肩書や話のうまさだけでは十分に判断できません。

「もっと営業しましょう」「SNSを活用しましょう」という方向性が正しくても、それだけでは会社が実際に動けないことがあります。

提案の実行可能性を見るときには、現状が数字で把握され、問題と原因が分けて整理され、その原因へ対応する施策が設計されているかを確認します。さらに、担当者、期限、KPI、検証までつながっていれば、会社として何をすればよいのかが見えやすくなるでしょう。

一方、8つの基準は良い経営コンサルタントのすべてを表す条件ではありません。本当に取り組むべき課題を見つける前段階では、経営者や現場との対話や傾聴も重要です。

最終的に確認したいのは、「誰が、いつまでに、何をして、どの数字をどこまで変え、その結果をどのように次の判断へつなげるのか」が見えているかどうかです。

もし答えが曖昧なら、すぐに提案を否定する必要はありません。「この提案を実際に動けるところまで具体化すると、どのような計画になりますか」と確認すれば、コンサルタントの考え方や支援範囲が見えてきます。

外部専門家の価値は、経営者の代わりにすべての答えを出すことだけではありません。自社が現状を確認し、問題の原因を考え、施策を実行し、数字を見ながら次の判断を行える状態へ近づけることにもあります。

まとめ 良いコンサルは会社が動ける状態まで具体化する 自社が現状を 確認し 問題の原因を 考え 施策を 実行し 数字を見ながら 次の判断を 行える状態
外部専門家の価値は、経営者の代わりにすべての答えを出すことだけではありません。自社が現状を確認し、問題の原因を考え、施策を実行し、数字を見ながら次の判断を行える状態へ近づけることにもあります。

良い経営コンサルタントを探すときには、耳あたりの良い正論だけで判断せず、「この提案なら自社が本当に動けるか」という視点を最後まで持つことが大切です。

参考資料

本記事の主軸となる、対話と傾聴、本質的な課題設定、自己変革への障壁、自走化については、中小企業庁の2022年版中小企業白書と2023年版中小企業白書で確認できます。特に2022年版では「自己変革への5つの障壁」と第三者支援の必要性、2023年版では課題設定段階からの「対話と傾聴」を重視した伴走支援が説明されています。

中小企業庁 2022年版中小企業白書 第3節 経営力再構築伴走支援などの中小企業に対する支援の在り方

中小企業庁 2022年版中小企業白書

中小企業庁 2023年版中小企業白書 第3節 支援機関における能力向上と連携 経営力再構築伴走支援

中小企業庁 2023年版中小企業白書

主体的関与に関する47%と14%の数値については公的統計ではなく、従業員1,000名以上の企業に所属する発注経験者180名を対象とした民間調査です。本記事では成果との因果関係を示す根拠としてではなく、関与度とプロジェクト満足度との間に差が見られた一例として使用しています。

株式会社Groovement コンサルティング活用実態調査

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