共働きだから、どちらか一人になっても収入は残る。そう考えていても、住宅ローンや教育費、家事育児まで数字に置き換えると、思っていた家計とは違う姿が見えてくることがあります。
特に見落としやすいのは、夫婦が家計へ持ち込んでいるものが給与だけではないことです。一人がいなくなれば、残された配偶者の働き方が変わり、これまで家庭内で分担していた役割を外部サービスへ頼る必要が出てくるかもしれません。住宅ローンの残り方や受けられる公的保障も、夫死亡時と妻死亡時では同じとは限らないでしょう。
必要保障額を考える目的は、不安をそのまま大きな保険金額へ置き換えることではありません。「夫がいなくなったら家計の何が変わるのか」「妻がいなくなったら今まで当たり前に回っていた生活のどこが苦しくなるのか」を一つずつ数字へ変えていくことです。
数字が見えてくれば、それまで「何となく心配」としか言えなかったものが、「住宅ローンが残るから」「働く時間を減らすかもしれないから」と具体的な理由へ変わります。
この記事では必要保障額の考え方全体を整理したうえで、計算例ではその一部として、末子が22歳になるまでの17年間に生じる累計不足額を試算します。夫死亡時と妻死亡時を分けながら、自分たちの家計では何を確認し、どの数字を足し引きすればよいのかを見ていきましょう。
共働き夫婦の必要保障額は夫と妻を分けて考える
「夫の方が年収は高いから、夫の死亡保障を大きくしておけばよいだろう」
そう考えるのは自然です。確かに収入の大きさは、万一後の家計へ大きな影響を与えます。
ただし、共働き家庭で夫婦が支えているものは給与だけではありません。
たとえば夫が保育園の迎えを担当し、妻が朝の送りや学校への対応を担っている家庭なら、一人になった後は、それまで二人で分けていた時間を残された配偶者が引き受けることになります。
勤務時間を短くすれば収入が減る可能性があり、学童や家事代行、病児保育などを利用すれば新しい支出も生まれるでしょう。これまで家計簿には金額として表れていなかった役割が、一人になった途端に「収入減」や「支出増」として現れるわけです。
住宅ローンについても、夫死亡時と妻死亡時で状況が同じとは限りません。
夫に万一があった場合には団体信用生命保険によって対象となる住宅ローンが弁済されても、妻死亡時には夫自身の借入れがそのまま残る家庭があります。
団信には契約ごとの違いがあり、住宅金融支援機構では、夫婦が連帯債務者となる場合に二人で加入できる「デュエット」と呼ばれるペア連生団信も用意されています。
したがって、「団信へ入っているから住宅ローンは大丈夫」と一括りにするのではなく、誰が債務者なのか、誰が保障対象なのか、どちらか一人が亡くなったときにどの債務が残るのかまで確認する必要があります。
共働き夫婦の必要保障額では、その人がいなくなった後に家計全体がどう変わるのかを夫婦それぞれについて見ることが出発点です。
必要保障額の基本式とこの記事の計算範囲
必要保障額の基本となる考え方は、次の式で整理できます。
必要保障額 = 支出見込額 - 収入見込額
収入見込額が支出見込額を上回り不足が生じない場合は、死亡保障としての不足額は0円として考えます。
生命保険文化センターでも、万一後に必要となる支出見込額から将来期待できる収入見込額を差し引き、その不足分を必要保障額の目安とする考え方が示されています。
たとえば生活費や教育費、住居費などで6,000万円必要になり、配偶者の就労収入、公的保障、勤務先保障、すでに計算へ入れた金融資産などを合わせて5,000万円見込めるなら、不足額は1,000万円です。
ただし、その1,000万円を見て「では1,000万円の生命保険へ加入しよう」とすぐ結論付けるわけではありません。
まだ計算へ反映していない使える金融資産があるなら収入見込額へ加えて再計算できますし、子どもの成長後に働き方を戻すことで収入が回復する可能性もあります。大切なのは、何が原因で不足しているのかを理解し、同じ資産を二重に差し引かないことです。
この記事では、こうした必要保障額全体の考え方を整理します。
一方、後半の具体的な計算例では、末子が5歳から22歳になるまでの17年間だけを切り取り、その期間の支出と収入を累計した不足額を確認します。
したがって、計算例で登場する504万円や1,104万円は、生涯を通じた必要保障額ではありません。17年後以降の生活費や就労収入、退職金、老齢年金などは含めていないため、必要保障額を考えるための計算方法と、子育て期17年間の累計不足を見る練習例として位置付けます。
さらに17年間の累計不足額だけでは、大学進学など支出が集中する年度に現金が足りるかまでは分かりません。途中年度の資金繰りについては、教育費などを年表へ置き換えて別に確認します。
STEP1 現在の家族構成と家計を整理する
最初に確認するのは、保険証券ではなく現在の家計です。
夫婦それぞれの年齢、手取り収入、勤務形態、子どもの人数と年齢、生活費、住宅費、金融資産などを書き出します。額面年収より、実際に家計へ入っている手取り収入で整理した方が、その後の支出との比較はしやすくなるでしょう。
さらに共働き家庭では、夫婦が家庭内で何を担っているのかも横に書いてみます。
必要保障額の家計整理表
| 確認項目 | 夫 | 妻 |
|---|---|---|
| 年齢 | 38歳 | 36歳 |
| 手取り年収 | 例 500万円 | 例 330万円 |
| 勤務形態 | 正社員 | 正社員 |
| 家事育児の主な役割 | 保育園送迎など | 家事と学校対応など |
| 勤務先の死亡保障 | 要確認 | 要確認 |
| 現在の死亡保障 | 要確認 | 要確認 |
| 万一後の働き方 | 要検討 | 要検討 |
「家事育児まで書く必要があるのだろうか」と感じるかもしれません。
しかし、妻に万一があった後、夫が毎日早く帰宅するため残業を減らせば、年収そのものが変わる可能性があります。反対に夫が亡くなり、妻が送迎や学校対応を一人で担うことになれば、現在と同じ勤務時間を維持するのが難しくなるかもしれません。
家事を一つずつ金額換算する必要はありません。それより、一人になった後に働き方や支出がどう変わるのかを見る方が、家計への影響を捉えやすくなります。
分からないところには無理に数字を入れず、「要確認」と残しておきましょう。
STEP2 万一後の生活費を計算する
現在の家計が整理できたら、万一後の生活費を考えます。
現在の生活費をそのまま17年分掛けると、不足額を大きく見積もりすぎる可能性があります。一人分の食費や被服費などが減り、世帯全体の支出も変化するためです。
生命保険文化センターの共働きモデルでは、末子独立までの生活費を現在額の70%、独立後を50%として試算しています。
ただし、70%や50%はすべての家庭へ当てはまる基準ではなく、あくまでモデル計算の前提です。
たとえば住宅費と教育費を除いた現在の基本生活費が月30万円なら、70%を仮置きすると月21万円になります。
末子が5歳で、22歳までの17年間を対象にすると、
21万円 × 12か月 × 17年 = 4,284万円
です。
4,000万円を超える数字を見ると、「生活費だけでそんなに必要なのか」と急に不安になるかもしれません。しかし、この段階では支出しか計算していません。
後から配偶者の収入や公的保障、金融資産などを差し引くため、4,284万円をそのまま生命保険で準備するわけではありません。
さらに、自分たちの家庭で生活費が本当に70%になるのかも振り返ります。
車を2台から1台へ減らせるなら支出は下がるでしょうし、家事代行や宅配サービスの利用が増えれば、想像ほど生活費が減らない可能性があります。
最初はモデルを借り、そこから自分たちの暮らしへ近づけていく方が、無理なく数字を作れます。
STEP3 教育費は残額と支出時期を確認する
教育費を調べると、「子ども一人に総額○○万円」といった数字が目につきます。
必要保障額で確認したいのは、生まれてから独立するまでに使う総額より、今日から先にあといくら必要なのかです。
8歳の子どもと5歳の子どもでは、残っている教育費も違えば、お金が大きく出ていく時期も異なります。
文部科学省の「子供の学習費調査」では、幼稚園から高等学校までについて、公立と私立の学校種別に学習費が示されています。大学は同調査の対象ではないため、大学進学費用は別の資料で確認します。令和5年度調査については数値の誤りが確認され、2026年1月16日に訂正と資料の差し替えが行われています。
簡易試算では、まず今後必要になる教育費を合計して使います。
ただし、その後には長男の大学進学や次男の高校進学などを年表へ置き換え、支出が集中する時期も確認しておくとよいでしょう。
17年間の累計では不足が小さくても、入学金や授業料が同じ年度に集中すれば、その年だけ手元資金が足りなくなる可能性があります。
教育費は、総額を累計不足額の計算に使い、支出時期を資金繰りの確認に使うと分けて考えると整理しやすくなります。
すでに教育専用として500万円を準備しているのであれば、その資金も忘れずに反映してください。
STEP4 住宅ローンと団信の保障範囲を確認する
住宅費は、夫死亡時と妻死亡時の不足額を大きく変える項目です。
住宅ローンがある場合には、残高だけでなく団信の保障範囲を確認します。
死亡した人の住宅ローンが団信によって弁済される契約なら、その債務は万一後の支出から外せます。一方、夫婦それぞれが債務を負っている場合には、残された配偶者自身の借入れが続く可能性があります。
住宅金融支援機構では、夫婦が連帯債務者となる場合に二人で加入できる「デュエット」というペア連生団信も用意されていますが、すべての団信が同じ保障内容ではありません。
契約書類を確認し、誰が債務者なのか、誰が保障対象なのか、死亡時にどの債務が弁済されるのかを整理します。
また、団信によって住宅ローンがなくなっても住居費そのものが0円になるわけではありません。
固定資産税、火災保険、マンションの管理費や修繕積立金、戸建ての修繕費などは残るため、万一後にも続く住宅関連費を支出へ入れます。
STEP5 葬儀費用と一時資金を整理する
毎月の生活費とは別に、万一の直後にはまとまったお金が必要になる場合があります。
葬儀や納骨、住まいや遺品の整理などについて、自分たちの家庭ではどの程度を想定しておきたいのかを考えます。
ここで世間の平均額をすべて積み上げると、必要保障額は簡単に大きくなります。
たとえば平均的な結婚式費用が高額だからといって、子どもの結婚費用をすべて死亡保障として残す必要があるとは限りません。
「一般的にはいくら必要か」だけではなく、「自分たちは何を残したいのか」を基準に数字を置く方が、その家族に合った試算になります。
STEP6 配偶者の将来収入を現実的に見積もる
共働き家庭では、残された配偶者の就労収入が不足額へ大きく影響します。
しかし、現在の手取り年収をそのまま17年間掛ければよいとは限りません。
夫に万一があった後、妻が子どもの送迎や学校対応を自分で担うため時短勤務を選べば、収入が下がる可能性があります。その後、子どもが成長して通常勤務へ戻れば、収入も再び増えるでしょう。
そこで使いたいのは、現在の年収より、万一後に現実的に続けられそうな手取り収入です。
実際の家計では、時短勤務を続ける期間と通常勤務へ戻った後など、収入が変わる時期を分けて計算した方が現実に近づきます。
ここには、数字だけでは表しにくい家族の気持ちも関係します。
「子どもが小さい間くらいは、収入が少し下がっても一緒に過ごす時間を残したい」と思うのであれば、現在と同じ働き方を続ける前提が、本当に守りたい生活と合っているとは限りません。
収入減と家事育児代替費の二重計上
働き方を変えることによる収入減と、家事代行などの外部サービス費を両方計上すること自体は問題ありません。
ただし、同じ家事育児負担を二度数字にしないことが重要です。
たとえば夕方の送迎を自分で行うために時短勤務を選び、その影響を収入減として計算したのであれば、同じ夕方の送迎を外部サービス費としてもう一度加えるのは二重計上になります。
一方、送迎は時短勤務で対応し、掃除や食事準備、病児保育など別の役割を外部サービスへ任せるのであれば、収入減と代替費を両方入れて構いません。
金融資産と同じように、一つの影響は一度だけ数字へ入れると考えると整理しやすくなります。
STEP7 遺族年金などの公的保障を確認する
公的保障は必要保障額を大きく左右しますが、ほかの項目より扱いが少し複雑です。
日本年金機構によると、2026年度の遺族基礎年金は、昭和31年4月2日以後生まれの「子のある配偶者」の場合、年額84万7,300円に子の加算額が加わります。1人目と2人目の子の加算額は、それぞれ年24万3,800円です。
ただし、対象となる子には年齢要件があるため、現在の年額をそのまま17年間掛ければよいわけではありません。
さらに、2026年時点の遺族厚生年金には夫と妻で受給要件の違いがあります。
夫が妻の死亡による遺族厚生年金を本人として受けるには、原則として妻の死亡時に夫が55歳以上であることが必要で、支給開始も原則60歳からです。ただし、夫が遺族基礎年金をあわせて受給できる場合には、55歳から60歳になるまでの間でも遺族厚生年金を受給できます。
また、夫本人が年齢要件を満たさなくても、要件を満たす子が遺族厚生年金の受給対象となる場合があります。
今回後半で使う夫38歳、妻36歳、子ども8歳・5歳という設定で、仮に2026年時点で妻が死亡した場合、38歳の夫本人は遺族厚生年金の55歳以上という年齢要件を満たしません。一方、子どもは年齢上、遺族厚生年金の受給対象となり得るため、妻死亡時の公的保障を夫の年齢だけで0円と判断することもできません。
そのため夫死亡時と妻死亡時では、世帯全体で誰がどの遺族年金を受け取れるのかを分けて確認する必要があります。
なお、遺族厚生年金については2028年4月から制度の見直しが予定されています。
厚生労働省は、すでに遺族厚生年金を受給している人は見直しの影響を受けないことや、18歳年度末までの子どもを養育している間の給付内容など、見直しの影響を受けないケースを示しています。
したがって、現在の家族について「今万一が起きた場合」を考えるなら現行制度を確認し、将来の死亡時点を想定する場合には、その時点で適用される制度を確認するという分け方が必要です。
公的保障を計算表へ入れる方法
公的保障については、現在の年額を単純に17倍するのではなく、世帯の誰がいつまでいくら受給できるのかを期間ごとに確認して合計すると考えます。
遺族基礎年金では、子どもの年齢によって加算対象となる人数が途中で変わる場合があります。遺族厚生年金についても、配偶者本人が受給する場合と、要件を満たす子が受給対象となる場合を混同しないようにします。
就労収入と同じように、金額が途中で変わるものは本来、期間を分けて考える方が実態に近づきます。
正確な数字が分からない段階では、無理に金額を作らず「要確認」として構いません。
この記事では、複雑な年金制度を完全に自力計算できることより、必要保障額を出すために何を確認すればよいのかが分かることを一つの到達点とします。
STEP8 預貯金は使える金額だけを差し引く
預貯金が1,000万円あるからといって、その全額を不足額から差し引いてよいとは限りません。
500万円は生活防衛資金として残し、200万円は教育費、100万円は住宅修繕用として確保している家庭もあるでしょう。
その状態で1,000万円すべてを収入側へ入れると、別の役割を持つ資金まで万一後の生活へ使う計算になります。
そこで、現在の金融資産と、万一後の家計へ充ててもよい金融資産を分けます。
預貯金1,000万円のうち500万円までなら使えると考えるなら、収入見込額へ入れるのも500万円です。
また、教育専用資金500万円をSTEP3ですでに教育費から差し引いているなら、その500万円を金融資産としてもう一度差し引いてはいけません。
ここでも原則は同じです。一つのお金は一度だけ計算へ反映します。
STEP9 勤務先の死亡退職金と保障制度を確認する
勤務先の制度も、万一後に受け取れるお金として確認します。
会社によっては死亡退職金や弔慰金、企業独自の死亡保障制度などが用意されていることがあります。
「会社員だから何かあるだろう」と曖昧な金額を入れるのではなく、就業規則や福利厚生資料で確認しましょう。
思っていたより保障が厚ければ民間保険で補う不足は小さくなる可能性がありますし、反対に制度がほとんどなければ、その事実を知ったうえで別の備えを考えられます。
STEP10 夫死亡時の17年間累計不足額を計算する
ここから、ある共働き家庭を使って足し引きの手順を確認します。
夫38歳、妻36歳、長男8歳、次男5歳とし、住宅費と教育費を除いた基本生活費は月30万円とします。
計算例を読む前の3つの前提
この計算例では、最初に次の3点を押さえてください。
- 計算対象は末子22歳までの17年間であり、生涯の必要保障額全体を算出するものではありません。
- 遺族年金などの公的保障額は制度から算定した実額ではなく、計算手順を示すための制度未反映の仮置き値です。
- 504万円と1,104万円はこの家庭の実際の必要保障額ではなく、支出と収入をどう足し引きするかを見るための結果です。
子どもの誕生日や死亡月、厚生年金の加入期間、標準報酬などを設定していないため、この家族の実際の遺族年金総額は算定できません。
また、配偶者の就労収入についても、この練習例では計算を追いやすくするため17年間を同じ年収で固定します。実際には、時短勤務をする期間や通常勤務へ戻った後など、収入が変わる時期を分けて計算する方が家計の実態に近づきます。
ここからは数字そのものより、どの項目を支出へ入れ、どの項目を収入へ入れるのかに注目してみてください。
夫死亡時の支出見込額
夫死亡後の基本生活費を現在の70%にあたる月21万円と仮定します。
17年間では、
21万円 × 12か月 × 17年 = 4,284万円
です。
子ども二人の今後の教育費は合計1,800万円と仮定します。
住宅ローンについては夫が債務者となっており、死亡時に団信の支払条件を満たすことで対象ローンが弁済されるものとします。
ただし固定資産税や修繕などは残るため、住宅維持費として年間40万円を見込み、17年間で680万円とします。
さらに葬儀などの一時資金200万円と、夫が担っていた家事育児のうち、妻の時短勤務では対応しない部分を外部サービスで補う費用300万円を加えます。
この例では、妻の収入減は送迎や学校対応のため勤務時間を短縮する影響、300万円の代替費は掃除や食事準備、病児保育など別の役割を補う費用として分けています。
| 夫死亡時の支出 | 仮の金額 |
|---|---|
| 基本生活費 | 4,284万円 |
| 残りの教育費 | 1,800万円 |
| 住宅維持費 | 680万円 |
| 葬儀などの一時資金 | 200万円 |
| 家事育児の代替費 | 300万円 |
| 支出見込額合計 | 7,264万円 |
支出だけを見ると7,000万円を超えるため、「そんなに大きな保障が必要なのか」と不安になるかもしれません。
しかし、必要保障額は支出だけでは決まりません。次に、17年間で見込む収入を差し引きます。
夫死亡時の収入見込額
妻は仕事を続けますが、送迎や学校対応を自分で担うため勤務時間を短くすると仮定し、手取り年収を280万円とします。
この練習例では計算を単純にするため、17年間を通じて手取り280万円が続くと仮定します。実際には、時短勤務をする期間と通常勤務へ戻った後など、収入が変わる期間を分けて計算します。
そのため、この例では、
280万円 × 17年 = 4,760万円
です。
さらに、公的保障は制度未反映の仮置き値として1,300万円、万一後の生活へ使う金融資産を500万円、夫の勤務先保障を200万円と仮定します。
| 夫死亡時の収入 | 仮の金額 |
|---|---|
| 妻の手取り収入 | 4,760万円 |
| 遺族年金など 制度未反映の仮置き | 1,300万円 |
| 使用できる金融資産 | 500万円 |
| 勤務先保障 | 200万円 |
| 収入見込額合計 | 6,760万円 |
以上の例示条件を使うと、
7,264万円 - 6,760万円 = 504万円
となります。
この例で確認したいのは504万円という数字そのものではなく、支出見込額を積み上げた後、配偶者収入、公的保障、金融資産、勤務先保障などを差し引いて不足額を見るという流れです。
実際の家計では、公的保障だけでなく配偶者収入についても、働き方が変わる期間ごとに自分の数字へ置き換えて計算します。
STEP11 妻死亡時の17年間累計不足額を計算する
次に妻死亡時を考えます。
妻の手取り年収は夫より低い設定ですが、それだけで不足額も小さくなるとは限りません。
この家庭では住宅ローンの債務者が夫であるため、妻が亡くなっても夫自身の住宅ローンは残ります。
さらに妻が家事や学校対応を多く担っていたことから、夫の働き方も変わるという前提を置きます。
妻死亡時の支出見込額
基本生活費と教育費は夫死亡時と同じ条件を使います。
住宅ローン返済を年間150万円と仮定すると、17年間では2,550万円です。
そこへ住宅維持費680万円、葬儀などの一時資金200万円、家事育児の代替費600万円を加えます。
この例では、夫の収入減は学校対応などのため残業や勤務時間を減らす影響として計算し、600万円の代替費は日常家事や病児保育など、夫が勤務時間を減らしても自分では担わない部分を外部へ頼む費用として分けています。
| 妻死亡時の支出 | 仮の金額 |
|---|---|
| 基本生活費 | 4,284万円 |
| 残りの教育費 | 1,800万円 |
| 住宅ローン返済 | 2,550万円 |
| 住宅維持費 | 680万円 |
| 葬儀などの一時資金 | 200万円 |
| 家事育児の代替費 | 600万円 |
| 支出見込額合計 | 10,114万円 |
夫死亡時より支出が大きくなっています。
妻死亡時には夫名義の住宅ローンが残り、さらに家事育児を補う支出も多く見込んでいるためです。
妻死亡時の収入見込額
夫の現在の手取り年収を500万円としますが、学校対応などによって残業や勤務時間を減らす影響を考え、万一後の手取り年収は430万円と仮定します。
ここでも計算を単純にするため、17年間を通じて手取り430万円が続くという簡略モデルにしています。実際には、子どもの成長に伴って通常勤務へ戻る場合など、収入が変わる期間を分けて確認します。
この例では、
430万円 × 17年 = 7,310万円
です。
公的保障については、STEP10で示したとおり、制度から算定した実額ではなく制度未反映の仮置き値として1,100万円を置きます。
今回の夫38歳という設定では、2026年時点の現行制度上、夫本人は妻死亡時の遺族厚生年金について原則的な55歳以上という年齢要件を満たしません。ただし、要件を満たす子が遺族厚生年金の受給対象となる場合があるため、夫が55歳未満という理由だけで世帯全体の遺族厚生年金を0円と判断することもできません。
実際に計算するときは、夫が受け取る遺族基礎年金や、子が受給対象となる可能性のある遺族厚生年金なども含め、世帯全体で受給できる公的保障を確認して置き換えます。
さらに、使える金融資産500万円、妻の勤務先保障100万円を加えます。
| 妻死亡時の収入 | 仮の金額 |
|---|---|
| 夫の手取り収入 | 7,310万円 |
| 遺族年金など 制度未反映の仮置き | 1,100万円 |
| 使用できる金融資産 | 500万円 |
| 勤務先保障 | 100万円 |
| 収入見込額合計 | 9,010万円 |
以上の例示条件を使うと、
10,114万円 - 9,010万円 = 1,104万円
となります。
夫死亡時より妻死亡時の累計不足額が大きくなったのは、妻の年収が高いからではありません。
住宅ローンの残り方、夫の働き方、家事育児を補う費用、公的保障の受給条件など、妻がいなくなった後の家計構造が違うためです。
「年収が低い側なら死亡保障も小さくてよい」と単純に決めない理由が、ここにあります。
STEP12 前提を変えて不足額の動きを確認する
ここまでの計算例では、一組の例示条件を置きました。
しかし、必要保障額は一度計算して終わる数字ではありません。未来の収入や教育費を正確に当てることはできないからこそ、前提を少し変えて結果がどの程度動くのかを見ることに意味があります。
そこで、STEP10とSTEP11の例示条件を固定したまま、残された配偶者の収入が基本ケースより20%少なくなる場合を考えてみます。さらに、教育費が当初想定より20%増えたケースも重ねます。
| 試算条件 | 夫死亡時の17年間累計不足額 | 妻死亡時の17年間累計不足額 |
|---|---|---|
| 基本ケース | 504万円 | 1,104万円 |
| 配偶者収入20%減 | 1,456万円 | 2,566万円 |
| 収入20%減かつ教育費20%増 | 1,816万円 | 2,926万円 |
同じ家庭でも、前提を少し変えるだけで不足額は大きく動きます。
ここで1,816万円や2,926万円を「正しい保障額」と考える必要はありません。
むしろ確認したいのは、この家計では残された配偶者の収入が低下したとき、不足額が大きく増えやすいという特徴です。
その弱点が分かれば、死亡保険だけではなく、家事育児サービスを利用して仕事を続けやすくする方法や、生活防衛資金を増やしておく方法なども比較できるようになります。
ストレスケースの確認方法
前提を比較するときは、最初からすべてを変えない方が原因を追いやすくなります。
まず配偶者収入だけを減らし、その次に教育費だけを増やすというように一項目ずつ動かせば、どの条件が家計へ強く影響しているのかを確認できます。
団信によって住宅ローンが弁済されない場合や、金融資産を不足補填へ使わない場合なども同じように試せるでしょう。
また、配偶者収入については「17年間すべて20%減」とするだけでなく、実際には「最初の5年間は時短」「その後は通常勤務」といった期間別の条件を置く方法もあります。
金額が途中で変わるものは期間を分ける。この考え方を使うと、簡易試算から実際の家計へ一段近づけられます。
年度別キャッシュフローの確認
17年間の累計不足額が分かったら、次に教育費などが大きくなる年度を確認します。
たとえば17年間全体の不足が小さくても、大学進学が重なる年にまとまった費用が必要になれば、その時点で使える現金が不足する可能性があります。
そこで、大学進学など支出の大きい年度について年間収入と年間支出を簡単に並べてみると、累計額だけでは見えなかった資金繰りを確認できます。
17年間全体で不足している問題と、特定年度だけ現金が不足する問題では対策が異なります。
累計で不足しているなら保障や収入そのものを考え直す必要があるかもしれませんが、一時的な資金不足であれば、教育資金を現金化する時期や預貯金の置き方を調整することで対応できる場合があります。
STEP13 現在加入している死亡保険を一覧化する
不足額の考え方が見えてきたら、現在の生命保険を確認します。
先に保険証券を見ると、「この保険を残すか」「解約するか」という商品中心の考え方になりやすいためです。
家計側の不足を先に整理しておけば、現在の保障がその不足をどこまで補っているのかという順番で確認できます。
| 保険会社 | 被保険者 | 保険種類 | 死亡保障額 | 保障期間 | 月額保険料 |
|---|---|---|---|---|---|
| A生命 | 夫 | 定期保険 | 1,000万円 | 60歳まで | 要確認 |
| B生命 | 夫 | 終身保険 | 500万円 | 終身 | 要確認 |
| C生命 | 妻 | 定期保険 | 1,000万円 | 55歳まで | 要確認 |
死亡保障額だけではなく、保障期間も確認しましょう。
子どもの独立まで17年あるのに、現在の保険が5年後に終了するのであれば、現在の保障額が大きくても必要な期間を十分にカバーできているとは限りません。
STEP14 現在の死亡保障と17年間累計不足額を比較する
ここでは計算方法を確認するため、STEP10で示した例示条件による結果と現在の死亡保障を並べます。
仮に現在の死亡保障が、夫1,500万円、妻1,000万円だったとしましょう。
| 項目 | 例示条件による17年間累計不足額 | 現在の死亡保障 |
|---|---|---|
| 夫死亡時 | 504万円 | 1,500万円 |
| 妻死亡時 | 1,104万円 | 1,000万円 |
基本ケースだけを見ると、夫の死亡保障は17年間累計不足額を上回り、妻については約104万円不足しています。
しかし、ここで夫の保険を減らしたり、妻の保険を104万円増やしたりすると決めるわけではありません。
この比較に使っている公的保障は制度未反映の仮置き値であり、配偶者収入についても17年間同額とした簡略モデルです。実際には遺族年金、団信、勤務先保障、使える金融資産、保障期間に加えて、収入が変化する時期も自分の家計へ置き換える必要があります。
特に妻死亡時については、夫本人の遺族厚生年金に年齢要件がある一方、要件を満たす子が受給対象となる場合があります。夫の年齢だけを見て判断せず、世帯全体で実際に受給できる遺族基礎年金や遺族厚生年金を確認しましょう。
この表は保険を増減する答えではなく、現在の保障と家計を比べたときに次に確認すべき項目を見つけるための表として使います。
必要保障額が0円になった場合の考え方
支出見込額より収入見込額が大きければ、死亡保障としての不足額は0円になります。
共働きで残された配偶者の収入が十分にあり、金融資産も多く、団信によって住宅ローンが弁済され、公的保障も見込める家庭なら、実際に不足が生じない場合もあるでしょう。
ただし、0円という結果だけで「生命保険は絶対に不要」と判断するのは早いと考えられます。
現在の収入を維持できることが大きな前提になっていないか、教育費が増えた場合にも不足しないのか、途中年度に資金が足りなくならないのかまで確認する必要があります。
重要なのは0円という数字ではなく、なぜ0円になったのかを説明できることです。
必要保障額の計算はシンプルな項目から始める
ここまで読むと、「自分ですべて確認するのは難しそうだ」と感じるかもしれません。
最初から完成した数字を出す必要はありません。
紙を一枚用意し、左側へ「万一後に出ていくお金」、右側へ「万一後に入ってくるお金」と書き、分かるところから埋めてみてください。
住宅ローン残高は分かるけれど団信の内容が分からないなら「要確認」、遺族年金の受給見込額が分からなければ、そこにも「要確認」と書いて構いません。
配偶者収入についても、いきなり17年間を精密に予測する必要はありません。まず「子どもが小さい間」と「通常勤務へ戻った後」のように大きく二つへ分けるだけでも、現在の年収を一律に掛けるより家計の姿を考えやすくなります。
昨日まで「何となく不安」としか見えていなかったものが、「団信を確認する」「遺族年金を調べる」「時短勤務を何年続けるか考える」という具体的な作業へ変われば、家計はすでに少し見えやすくなっています。
この記事だけで複雑な公的保障や将来収入まで完全に算定することより、自分の不足額を出すために何を調べればよいのかが分かることを、まず一つの到達点にしてください。
STEP15 ライフステージが変わったら再計算する
必要保障額は、一度計算した数字を何十年も使い続けるものではありません。
子どもが成長すれば残りの教育費は減り、住宅ローン残高も小さくなります。預貯金が増えれば、家計自身で不足を受け止められる範囲も広がるでしょう。
一方で、出産や転職、住宅購入などによって家計条件が変わり、不足が大きくなる可能性もあります。
家族構成や働き方が大きく変化したときには、夫死亡時と妻死亡時をもう一度計算してみましょう。
目的は保険を頻繁に変更することではありません。現在の家計と昔の保障設計が、知らないうちにずれたままになっていないかを確認することです。
共働き夫婦の必要保障額で見落としやすいこと
計算の最後には、同じ影響を二度数字へ入れていないか確認します。
教育専用資金500万円を教育費から差し引き、その同じ500万円を金融資産としてもう一度収入側へ入れれば、一つのお金を二度使った計算になります。
同じように、子どもの送迎を行うため勤務時間を短縮し、その影響を収入減へ反映しているのに、同じ送迎を外部サービス費としてもう一度支出へ加えれば、家事育児負担を二重に見積もることになります。
さらに、収入を計算するときには「今の時短年収が末子独立まで続く」と自動的に考えないことも大切です。働き方が変わる予定があるなら、その期間ごとに収入を分けます。
金融資産でも家事育児でも就労収入でも、考え方は同じです。
同じものを二度数えず、途中で条件が変わるものは期間を分ける。
この原則を最後に確認するだけでも、必要保障額を必要以上に大きくしたり、小さくしたりするリスクを減らせます。
共働き夫婦の必要保障額に関するよくある質問
- 必要保障額と17年間累計不足額
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この記事では必要保障額の考え方全体を整理し、具体的な計算例では、そのうち末子22歳までの17年間に生じる累計不足額を試算しています。
そのため504万円や1,104万円は、生涯を通じた必要保障額ではありません。
生涯ベースで確認する場合には、17年後以降の生活費だけではなく、就労収入、退職金、老齢年金、金融資産なども同じ期間で考える必要があります。
- 計算例の504万円と1,104万円
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この家庭の実際の必要保障額ではありません。
STEP10で示したとおり、公的保障については現行制度から算定した数字ではなく、計算手順を示すための制度未反映の仮置き値を使い、配偶者収入についても17年間同額とする簡略モデルを採用しています。
実際の必要保障額を確認するときは、自分の遺族年金、団信、勤務先保障、金融資産、働き方が変わる時期などへ置き換えて再計算します。
- 配偶者収入が途中で変わる場合
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時短勤務や休職などによって収入が変わる期間があるなら、期間を分けて計算します。
たとえば最初の5年間は手取り280万円、その後12年間は通常勤務へ戻って手取り330万円という想定なら、それぞれの期間を別に掛けて合計します。
計算例のように17年間同額とする方法は、手順を理解しやすくするための簡略化です。
- 収入減と家事育児代替費
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両方を計算へ入れることはできますが、同じ負担を二重に計上しないようにします。
たとえば送迎を自分で担うため時短勤務を選び、その影響を収入減へ入れたのであれば、同じ送迎を外部サービス費としてもう一度支出へ加えません。
時短で対応する役割と外部へ任せる役割を分けてから、それぞれの影響を数字にすると整理しやすくなります。
- 累計不足額が0円の場合の資金繰り
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17年間全体で不足がなくても、途中でお金に困らないとは限りません。
大学進学など大きな支出が集中する年度には、手元資金が不足する可能性があります。
そのため教育費などが大きくなる年度については、年間収支も別に確認しておくとよいでしょう。
- 公的保障の計算表への入れ方
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現在の年額を単純に17倍するのではなく、世帯の誰が、いつからいつまで、いくら受給できるのかを確認し、対象期間分を合計します。
遺族基礎年金では子どもの年齢によって加算人数が変わる場合があり、遺族厚生年金では配偶者本人と子どもで受給要件が異なる場合があります。
正確な数字が分からない段階では「要確認」として構いません。
- 妻死亡時の遺族厚生年金
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2026年時点の現行制度では、夫死亡時と同じではありません。
夫が妻の死亡による遺族厚生年金を本人として受ける場合には、原則として妻の死亡時に夫が55歳以上という年齢要件があり、支給は原則60歳からです。ただし、夫が遺族基礎年金をあわせて受給できる場合には、55歳から60歳になるまでの間でも遺族厚生年金を受給できます。
また、夫本人が55歳未満で受給できなくても、要件を満たす子が遺族厚生年金の受給対象となる場合があります。
そのため、夫死亡時の公的保障額を妻死亡時へそのまま流用することも、夫が55歳未満という理由だけで妻死亡時の遺族厚生年金を0円とすることも避け、世帯全体で誰が受給できるのかを確認します。
- 2028年の遺族厚生年金見直し
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厚生労働省は、すでに遺族厚生年金を受給している人については見直しの影響を受けないと説明しています。
また、18歳年度末までの子どもを養育している間の給付内容など、見直しの影響を受けないケースもあります。
将来の死亡時点を試算する場合には、その時点で適用される制度を確認する必要があります。
- 預貯金を差し引く範囲
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預貯金の全額を不足補填へ回す必要はありません。
生活防衛資金、教育資金、住宅修繕費、老後資金などとして残したい分を除き、万一後の生活へ使ってよい金額だけを収入側へ入れます。
また、すでに別の支出項目から差し引いた資産を再び差し引かないようにします。
- 妻死亡時の計算
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共働きなら、夫死亡時とは別に確認しておく意味があります。
妻の収入だけではなく、住宅ローンの残り方、家事育児の分担、夫の働き方、公的保障の受給条件などが夫死亡時とは異なる可能性があるためです。
- 団信と住宅ローン残高
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団信があっても、必ず住宅ローンや住居費がすべて0円になるわけではありません。
死亡した人の債務が団信の保障対象となり、支払条件を満たして弁済される場合には、その部分を万一後の住宅ローン返済から外せます。
ただし、残された配偶者自身の債務や固定資産税、修繕費などが残る場合もあるため、契約内容と万一後の住居費を分けて確認します。
- 必要保障額が0円の場合
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不足額が0円という結果だけで生命保険の解約を決めるのは避けた方がよいでしょう。
収入減少ケースや教育費増加ケース、保障期間、途中年度の資金繰りなども確認したうえで、現在の契約をどうするか判断します。
まとめ 共働き夫婦の必要保障額は夫婦別の家計から考える
共働き夫婦の必要保障額では、年収の高い人だけに注目するのではなく、夫死亡時と妻死亡時の家計を別々に作ることが出発点です。
生活費、教育費、住宅ローンと団信、残された配偶者の働き方、公的保障、金融資産、勤務先保障まで整理すると、その人がいなくなった後に何が変わるのかが見えてきます。
この記事では必要保障額全体の考え方を整理し、具体例では末子22歳までの17年間に生じる累計不足額を使って計算手順を確認しました。
504万円と1,104万円は、生涯の必要保障額でも、この家庭の実際の必要保障額でもありません。公的保障は制度未反映の仮置き値であり、配偶者収入も計算を単純にするため17年間同額としています。
実際に必要保障額を確認するときは、遺族年金、団信、勤務先保障、使える金融資産などを個別に確認するとともに、時短勤務から通常勤務へ戻る場合など、金額が変わる項目は期間を分けて自分の家計へ置き換えます。
その際には、同じ資産や同じ家計変化を二度計算しないことも大切です。時短による収入減と外部サービス費を両方入れるなら、それぞれが別の家事育児負担を表しているか確認してください。
最初から完璧な数字を出せなくても構いません。
「夫がいなくなったら何が変わるだろう」「妻がいなくなったら何に困るだろう」と二つの家計を書き始め、分からない項目へ「要確認」と記していけば、漠然とした不安は少しずつ具体的な課題へ変わっていきます。
必要保障額を計算する価値は、数字そのものより、その数字が生まれる理由を家族で理解できるようになるところにあります。