社員が増え、部門が分かれ、社長が直接知らない仕事が増えてくると、以前なら自然に見えていた会社の状態が少しずつつかみにくくなります。「売上は悪くないのに、なぜか安心できない」と感じるようになったなら、経営者の感覚が鈍ったのではなく、会社を見る方法を変える時期に入ったのかもしれません。
月次経営会議で必要なのは、集められる数字を片っ端から並べることではありません。会社の現在地を捉え、少し先の異変に気づき、その数字を見た結果として何を変えるのかまで決められる指標を選ぶことです。
この記事では、月次経営会議で確認候補となる8つの数字を軸に、結果と先行の違い、予算や前年との比較方法、数字が悪化した場合の原因分析、具体的な行動への落とし込みまで整理します。8つ全部を機械的に採用するのではなく、自社の結果と原因をつなげられる数字を選び、来月の経営会議から実際に使える状態を目指します。
会社が大きくなると社長の頭の中だけでは管理できなくなる
創業して間もない頃は、社長自身が営業へ出向き、見積書を確認し、採用面接にも参加しながら、銀行口座の残高まで把握している会社も少なくありません。主要顧客の動向や社員の様子も日常の会話から入ってくるため、正式な資料がなくても「今月は少し厳しそうだ」「この顧客は追加発注につながりそうだ」と会社の状態を肌で捉えられます。
この段階では、社長の頭の中そのものが一種の経営ダッシュボードとして機能しているともいえるでしょう。
ところが社員が増え、営業、製造、管理などへ役割が分かれ始めると、同じ方法では少しずつ追いつかなくなります。営業責任者が把握している商談状況を経理担当者は知らず、経理担当者が気づいている粗利益率の変化を営業側が十分に認識していないなど、組織の中で情報が分散し始めるからです。
経営者自身も「以前ならだいたい分かっていたのに、最近は聞かないと分からないことが増えた」と戸惑うでしょう。しかし、それは経営者として後退したことを意味しません。扱う顧客数、人員、案件、商品、取引、意思決定が増えた結果として、個人の記憶や観察だけで会社全体を管理する方法が限界へ近づいていると考えるほうが自然です。
2025年版中小企業白書では、売上高10億円以上の事業者では6割超が経営計画を策定している一方、10億円未満の事業者では策定割合が5割未満であることが示されています。また、経営計画の策定目的として「業績の向上」「経営状況の把握」「自社の強みや弱みの理解」などが挙げられていますが、業績との関係について白書は因果関係を断定しておらず、経営計画の策定が業績向上につながる可能性があるという慎重な整理です。
会社が大きくなるほど必要なのは、社長がさらに多くの情報を頭へ詰め込むことではありません。社長しか把握していなかった会社の状態を数字へ置き換え、経営幹部や部門責任者も同じ現在地を見られるようにすることが重要になります。
そのための共通の場所として、月次経営会議を機能させます。
月次経営会議で数字を見る本当の目的
月次経営会議というと、各部門の責任者が順番に数字を報告し、社長が質問したあと、来月の目標を確認する場を思い浮かべるかもしれません。しかし、資料に書かれた実績を読み上げるだけなら、会議を開かなくても共有できます。
月次経営会議で数字を見る本当の目的は、計画していた状態と実際の状態とのズレを発見し、その背景を調べ、次に変える行動を決めることです。
例えば今月の売上予算が5,000万円で、実績が4,200万円だったとします。この場合「800万円の未達だった」と確認するだけでは過去の結果を整理したにすぎず、それだけで翌月の会社が変わるわけではありません。
ところが売上の手前にある数字まで確認した結果、商談数が前月80件から55件へ減っている一方、受注率には大きな変化がなかったとします。そうであれば、営業担当者のクロージングだけを問題にするのではなく、商談をつくる前工程に原因があるという可能性があります。
さらに、顧客数や顧客単価、大口案件の計上時期、既存顧客からの売上、新規の問い合わせや紹介案件などを関連付けて確認すれば、「売上未達」という大きな結果を、実際に動かせる原因候補へ分解できます。
ここまで進めば、会議で話す内容も変わるでしょう。単に「もっと営業を頑張ろう」と結論づけるのではなく、問い合わせ流入を増やすのか、紹介施策を立て直すのか、休眠顧客へ再接触するのかといった具体的な行動へ進めます。
2025年版中小企業白書でも、経営計画について、計画達成に向けた行動、進捗管理、実績の評価、計画の見直しまで取り組むほど経営計画への評価が高まる傾向が示されています。この調査だけで因果関係まで確定するものではありませんが、計画を作って終わらず、実績を確認しながら軌道修正することが重要と考えられています。
数字は人を責めるための点数ではありません。数字によって「どこで何が変わったのか」を共通認識にし、次に動かすべき場所を探すことが、月次経営会議の役割です。
月次経営会議で見るべき数字8選
すべての会社が同じ8つの数字を確認すればよいわけではありません。製造業とSaaSでは利益が生まれる構造が異なり、店舗ビジネスと法人営業でも売上までのプロセスが違います。
したがって、これから紹介する8指標は「すべての会社が毎月必ず見るべき8項目」ではなく、自社の月次経営会議を設計するときの基礎候補です。
選ぶ際の考え方は明確です。売上や利益などの結果を確認できる数字に、その結果が悪くなる前に変化する先行指標を組み合わせ、必要に応じて組織と資金の状態まで補います。
8つ全部を並べることが目的なのではなく、自社で「結果が変わった理由」をたどれる組み合わせを作ることが目的です。
売上
売上は、一定期間の事業活動によってどれだけ収益が生じたかを見る基本的な結果指標です。
経営者にとって理解しやすい数字であるため、月次経営会議で最初に確認する会社は多いでしょう。ただし、売上金額だけを見ても「なぜ増えたのか」「なぜ減ったのか」「この状態が翌月も続くのか」までは分かりません。
例えば売上5,000万円という実績があっても、予算4,500万円に対する5,000万円なのか、予算6,000万円に対する5,000万円なのかでは評価が変わります。また、一件の大型案件によって増えた売上と、多数の新規顧客が増えた結果として伸びた売上では、翌月以降の見通しも異なるでしょう。
そこで売上が変化した場合には、顧客数と顧客単価、既存顧客と新規顧客の構成、大口案件による影響、計上時期の変化などを関連付けて確認します。これらを独立した数字としてばらばらに眺めるのではなく、売上が動いた背景を説明する要素として組み合わせることが重要です。
売上は原因そのものを教えてくれる数字というより、「会社のどこかで変化が起きている」と知らせる入口として使うと、会議での分析が進みやすくなります。
なお、営業管理上の受注額や請求額と、会計上の売上高は必ずしも同じではありません。会計上の収益認識は適用する会計基準等に応じて判断する必要があり、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」は、一定の除外項目を除いた顧客との契約から生じる収益を適用範囲としています。
対象となる取引では履行義務の充足に応じて収益を認識する考え方が示されているため、長期契約や継続サービスなどを扱う会社では、営業管理上の数字と会計上の売上高を混同せず、月次経営会議で使用する数字の定義をそろえておくことが重要です。
粗利益
「売上は伸びているのに、以前より会社へお金が残っていない気がする」という違和感を感じたとき、その背景を確かめるために重要なのが粗利益です。
粗利益は会計上では売上総利益と呼ばれ、売上高から売上原価を差し引いて算出します。企業会計原則では、売上高から売上原価を控除して売上総利益を表示する考え方が示されています。
例えば売上が5,000万円から6,000万円へ増えたとしても、仕入価格の上昇や値引きの増加によって粗利益が2,500万円から2,300万円へ減っていれば、単純に「会社が成長した」と判断することはできません。
現場では仕事量が増え、請求額も大きくなっているため、経営者も社員も「忙しくなったのだから良くなっているはずだ」と感じやすいでしょう。それでも粗利益まで確認すると、走る距離は増えているのに利益の残り方が弱くなっているケースがあります。
粗利益が低下した背景には、仕入価格の上昇、販売価格の下落、値引き増加、商品構成の変化、外注方法の変更など、複数の要因があるという可能性があります。そのため、必要に応じて粗利益額と粗利益率を併せて確認し、商品別や顧客別の変化まで掘り下げます。
売上が増えていることと、採算が良くなっていることは同じではありません。その違いを確かめるために、粗利益を見る意味があります。
営業利益
粗利益が十分に確保できていても、人件費、広告宣伝費、地代家賃、システム利用料などが増えれば、会社全体に利益は残りません。
そこで確認するのが営業利益です。
企業会計原則では、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して営業利益を表示します。本業における利益構造を見るには、売上だけではなく、原価と販管費まで含めて確認する必要があります。
ただし、営業利益が下がったからといって、すぐに経費削減へ進むべきとは限りません。
新しい店舗を開いた、新しい営業チームを採用した、新商品の開発を始めたといった場面では、売上が立ち上がるより先に費用が発生することがあります。計画した先行投資によって一時的に利益が下がったのか、想定外の固定費増加や売上不足によって悪化したのかでは、同じ営業利益の減少でも意味が違います。
経営者としては利益が下がると「まず経費を切らなければ」と焦るかもしれませんが、必要な投資まで止めてしまえば、将来の売上を弱くすることにもなりかねません。
月次経営会議では営業利益額だけで判断せず、予算に対して想定内なのか、どの費用が変化したのか、その費用は将来の売上や利益を生み出すためのものなのかを確認します。
営業利益は単なる節約のための数字ではなく、会社の本業が計画していた利益構造で動いているかを確認する結果指標です。
新規顧客数
現在の売上が順調でも、新しい顧客との取引が長期間増えていなければ、経営者にはどこか落ち着かない感覚が残るでしょう。その不安には理由があり、今月の売上には何年も取引している既存顧客からの売上も含まれているため、現在の数字だけでは将来の顧客基盤まで分からないからです。
例えば、大口の既存顧客によって安定した売上が続いている会社でも、新規顧客数が半年ほど減り続けていれば、既存顧客との取引縮小や契約終了が起きた際に、それを補う売上源が十分に育っていないという可能性があります。
そのため、新規顧客数が将来売上を考えるための先行指標になる事業があります。
一方で、顧客一件あたりの価値はビジネスモデルによって大きく異なります。高単価の法人サービスなら新規顧客数が少なくても十分な粗利益につながることがありますが、低単価の商品販売では多数の顧客獲得が必要になるでしょう。
新規顧客数を増やすこと自体を目的にせず、一顧客あたりの売上や粗利益、継続率などとの関係を踏まえて確認することが大切です。
商談数
商談数は、営業活動から将来の売上を考えるときに使いやすい先行指標です。
特に、初回商談から受注や売上計上まで一か月以上かかる会社では、今月の売上だけを見ても数か月先の状態は分かりません。
例えば、これまで月80件前後あった商談数が60件へ減っているものの、今月の売上はまだ計画どおりだったとします。商談から受注まで平均二か月かかる会社であれば、この減少が二か月後や三か月後の受注へ影響するという可能性があります。
経営者としては「今月の売上は達成できているのだから、まだ問題ではない」と考えたくなるところでしょう。それでも商談数を確認する理由は、結果指標へ異変が表れてから動くより、売上になる前の段階で変化を捉えたほうが対策の時間を確保できるからです。
ただし、商談数を経営会議で使用する場合には「何を一件の商談と数えるのか」を統一しておかなければなりません。担当者によって、初回面談をすべて商談と数える人と、具体的な提案段階だけを商談と数える人が混在すれば、前月や前年との比較が意味を失います。
数字を見る前に数字の定義を決めることも、経営管理の重要な仕事です。
受注率
商談数は確保できているのに受注件数が伸びない場合には、受注率を確認します。
例えば100件の商談から20件を受注していた会社で、商談数が100件のままなのに受注件数が12件まで減っていれば、商談の量よりも商談後のプロセスに変化が生じているという可能性があります。
ここで「営業担当者の能力が落ちた」とすぐに結論づけないことが重要です。
ターゲット顧客が変化した、競合商品の条件が良くなった、価格改定後に失注が増えた、見込み度の低い問い合わせが増加したなど、受注率は複数の要因によって動きます。
必要であれば、初回面談から提案、提案から見積もり、見積もりから受注というように営業フェーズごとの転換率まで分解します。そうすると「商談自体は十分あるが提案まで進んでいない」「見積もりまでは進むものの最終段階で失注している」といった具体的な状況が見えてきます。
受注率を営業担当者の成績表として使うだけでは、数字を改善する手掛かりは十分に得られません。営業プロセスのどこに詰まりが生じているのかを見つけ、改善すべき場所を特定するために使うほうが経営判断へつながります。
離職率
売上や利益が計画どおりでも、職場に以前とは違う空気を感じることがあります。管理職が疲れているように見える、採用しても人が定着しない、ある部署だけ退職者が続いているなど、人や組織の変化は財務数字よりも早く現れる場合があります。
その変化を確認する数字の一つが離職率です。
厚生労働省の令和7年雇用動向調査では、2025年の離職率は全体で13.7%、一般労働者で11.4%、パートタイム労働者で19.9%でした。
ただし、雇用動向調査は全国の主要産業に属する常用労働者5人以上の事業所を対象とした標本調査です。産業、事業所規模、雇用形態などによって状況は異なるため、全国値の13.7%をそのまま自社の正常値や危険水準として使用することは適切ではありません。
とくに小規模な会社では、一人が退職しただけでも離職率が大きく動きます。単月の数字だけで評価するのではなく、直近12か月の推移、部門別の退職状況、在籍人数、退職理由などを組み合わせて確認すると、数字の背景を捉えやすくなるでしょう。
また、離職率が高いからといって、数字だけで原因まで分かるわけではありません。
ある部門で退職が続いていたとしても、仕事量、管理職との関係、評価制度、配置、本人のキャリア上の事情など、複数の背景があるという可能性があります。数字を入口にしながら、面談記録や現場の声まで確認して初めて、人の感情や組織の状態へ近づけます。
「また一人辞めた」と個別の出来事だけで処理しているうちは、人員の増減しか見えていません。経営会議で離職率を見る意味は、その背後で組織に何が起きているのかを早い段階で確かめることにあります。
資金残高
「利益は出ているはずなのに、なぜ口座のお金が増えないのだろう」と戸惑う経営者は珍しくありません。
利益と現金残高は同じものではなく、売上の計上と実際の入金時期、売掛金、在庫、設備投資、借入金の返済などによって両者にはズレが生じるからです。
日本政策金融公庫も、利益が出ているのに現金が減る背景として、売掛金の回収、在庫の増加、借入金返済などを確認する必要があると説明しています。運転資金についても、売上債権や在庫が増えれば必要額が大きくなるため、利益と実際の資金移動を分けて考える必要があります。
特に売上が急増するときには注意が必要です。
例えば、ある卸売会社を例に考えてみます。大口顧客との取引が始まり、売上が大きく増えたものの、注文増加へ対応するため商品の仕入れと在庫が先に増え、大口顧客からの入金は従来の顧客より遅い一方で、仕入先への支払い条件は以前のままだったとします。
損益計算書では利益が出ているため、経営者としては「これだけ売れているのだから資金にも余裕が出るはずだ」と感じるでしょう。しかし実際には、仕入代金や人件費が先に出ていき、売上代金は後から入ってくるため、成長している最中にも必要運転資金が膨らむという可能性があります。
この場合、売上と営業利益だけを見ていれば、資金面の変化に気づくのが遅れるかもしれません。
月次経営会議で資金残高に加え、売掛金の回収予定、在庫、仕入代金、人件費、納税、借入返済などを確認していれば、資金需要が大きくなる兆候を早めにつかみやすくなります。その段階で金融機関へ相談する、在庫水準を調整する、取引条件を確認するといった選択肢も検討できるでしょう。
売上や利益が会社の収益や採算の状態を示す数字だとすれば、資金残高は実際の支払いを続けられる状態にあるかを考える数字です。
8つの数字を結果指標 先行指標 組織指標に分ける
8つの数字を同じ意味のものとして並べると、どの数字を見て何を判断するのかが分かりにくくなります。
そこで「結果指標」「先行指標」「組織指標」という三つの役割に分けると、経営会議で今どの時間軸について話しているのかを整理しやすくなります。資金残高はここでは結果指標へ整理していますが、実務では資金繰りという独立した観点として強く意識しておくとよいでしょう。
| 分類 | 主な数字 | 主に確認すること | 経営会議で考えること |
|---|---|---|---|
| 結果指標 | 売上 | 事業活動によって生じた収益規模 | 予算や前年との差は何によって生まれたか |
| 結果指標 | 粗利益 | 商品やサービスから残った利益の源泉 | 売上増加が粗利益の増加につながっているか |
| 結果指標 | 営業利益 | 本業全体の採算状況 | 費用を含めた利益構造に変化はないか |
| 結果指標 | 資金残高 | 現在と今後の手元資金 | 支払いと投資を継続できる見込みがあるか |
| 先行指標 | 新規顧客数 | 新しい顧客基盤の広がり | 将来の売上源が育っているか |
| 先行指標 | 商談数 | 将来の営業機会の量 | 数か月後の受注機会を確保できているか |
| 先行指標 | 受注率 | 商談から受注への転換状況 | 営業プロセスのどこに変化があるか |
| 組織指標 | 離職率 | 人材流出の推移 | 組織の中でどのような変化が起きているか |
この分類は絶対的なものではありません。
新規顧客数が当月売上へすぐ反映される事業もあれば、数か月後に反映される事業もあるため、同じ数字でも会社によって位置づけが変わるという可能性があります。
重要なのは分類名そのものではなく、どの数字がすでに起きた結果を示しているのか、どの数字がこれから結果へつながる変化を知らせるのかを理解することです。
結果指標だけを見ていれば、異変が売上や利益として表れたあとで対応することになります。一方、先行指標だけを追って最終的な粗利益や営業利益を確認しなければ、商談数などの行動量が増えたこと自体を成果と取り違えるかもしれません。
結果と先行をつなぎ、そこへ組織と資金の状態を重ねることで、会社の現在地と少し先の状態を立体的に捉えやすくなります。
実績だけでなく予算 前年 前月と比較する
月次経営会議で「今月の売上は5,000万円でした」と報告されても、その数字だけでは良いのか悪いのかを判断できません。
予算が4,500万円なら計画を上回っていますが、予算6,000万円なら1,000万円の未達です。さらに前年同月が4,000万円なら前年より成長している一方、前月が5,500万円だったなら直近では減速していることが分かります。
つまり、同じ5,000万円という数字でも、比較する相手によって見える景色が変わります。
月次経営会議では、自社の業態に応じて「当月実績」「予算」「前年同月」「前月」を並べると、数字の変化を捉えやすくなるでしょう。
予算との比較では、計画していた現在地からどれほど離れているかを確認できます。前年同月との比較では季節性をある程度考慮しながら変化を確認でき、前月との比較では直近に発生した急な動きを把握しやすくなります。
ただし、比較した結果だけで原因まで決めてはいけません。
前年同月比がマイナスでも、前年に一度限りの大型案件が計上されていたなら単純比較はできませんし、前月比で売上が減っていても季節性による想定内の動きという場合があります。
比較する目的は数字へ機械的に赤信号を付けることではなく、「なぜこの差が生まれたのだろう」という問いをつくることです。
8指標を1ページにした月次経営会議シート例
経営数字を把握しようとすると、つい詳しい資料を作りたくなります。
しかし、毎月20ページや30ページの資料を準備するようになれば、経理や経営企画の担当者はデータ収集と資料作成だけで疲れてしまい、「会議のために資料を作る」という逆転が起こりかねません。
そこで最初は、主要な数字を1ページへまとめます。
例えばBtoBサービスを運営する会社であれば、次のような月次経営会議シートが考えられます。記載している数値はフォーマットを理解するための一例であり、業界標準や危険水準を示すものではありません。
| 指標 | 当月実績 | 予算 | 前年同月 | 前月 | 確認ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上 | 4,200万円 | 4,800万円 | 4,350万円 | 4,600万円 | 予算を下回っている |
| 粗利益 | 2,300万円 | 2,800万円 | 2,500万円 | 2,650万円 | 利益額が低下している |
| 営業利益 | 200万円 | 500万円 | 330万円 | 420万円 | 予算との差が大きい |
| 新規顧客数 | 7社 | 11社 | 9社 | 10社 | 新規獲得が減少している |
| 商談数 | 64件 | 80件 | 78件 | 76件 | 商談量が大きく減少している |
| 受注率 | 27% | 29% | 28% | 29% | 小幅に低下している |
| 離職率 | 直近12か月9% | 社内計画と比較 | 直近12か月7% | 直近12か月8% | 上昇傾向が見られる |
| 資金残高 | 5,800万円 | 資金計画6,000万円 | 5,400万円 | 6,100万円 | 前月から減少している |
この表では、最初に売上の予算未達へ目が向くかもしれません。
しかし売上だけで議論を止めず、先行指標まで見ると、商談数が前月76件から64件へ減っている一方、受注率の変化は比較的小さいことが分かります。そのため「受注能力の低下だけではなく、そもそもの商談量が足りていないのではないか」という仮説を立てられます。
さらに新規顧客数も減っていれば、当月売上の回復だけではなく、翌月以降の営業機会を増やす施策も必要だと考えられるでしょう。
1ページにまとめる価値は、単に資料を短くすることではありません。複数の数字を同じ視界へ入れることで、結果と原因候補のつながりを見つけやすくすることにあります。
数字が悪化したら原因から行動まで決める
数字が悪化すると、会議室の空気が少し重くなることがあります。
担当責任者は「自分の責任を追及されるのではないか」と身構え、経営者も「なぜもっと早く分からなかったのか」と焦りやすくなるでしょう。その感情のまま議論を始めると、数字の分析より先に人の評価が始まり、本当の原因から遠ざかることがあります。
この場面では「事実→原因→行動」という順序を崩さないことが重要です。
最初に起きた事実を確認する
最初に確認するのは「誰が悪かったか」ではなく、数字として何が起きたのかです。
例えば、売上が予算より800万円少なく、商談数も前月比で20%減少しているのであれば、その二つを事実として共有し、いつから変化が始まったのかまで確認します。
この段階で「営業の努力が足りなかった」「管理職が十分に見ていなかった」と決めつけると、原因が特定の人物へ固定されてしまいます。
事実と評価をいったん切り離すことで、担当責任者も防御的になりにくくなり、経営者も数字の背景へ目を向けやすくなるでしょう。
次に原因を分解する
事実を確認したら、結果指標から上流へ戻るように原因を分解します。
売上であれば、顧客数、顧客単価、新規顧客、既存顧客、商談数、受注率との関係を確認します。粗利益なら、販売価格、値引き、仕入価格、商品構成、外注費などを見ながら、どこで変化が生じたのかを探ります。
ここで重要なのは、一つの原因ですべてを説明しようとしないことです。
商談数の減少と受注率の低下が同時に起きていることもあれば、市場環境の変化と社内の人員不足が重なっているという可能性もあります。確認できた事実と、まだ検証していない原因仮説を区別することで、「たぶんこれだろう」という思い込みだけで対策を決めることを防ぎやすくなります。
最後に対策と責任者と期限を決める
原因について納得できる説明ができたとしても、そこで会議を終えれば会社の行動は変わりません。
例えば商談数不足が課題なら、過去の失注顧客へ再接触する、紹介施策を再開する、問い合わせから初回接触までの時間を短縮するといった具体的な施策へ落とします。
その際には、対策だけではなく責任者と期限まで決めます。
「営業部で対応する」という表現では最終責任者が曖昧になり、「できるだけ早く」という期限では日常業務に押されて後回しになる可能性があります。誰が実行を管理し、いつまでに終え、どの数字で結果を見るのかまで明確にして初めて、会議の決定が実務へ移ります。
数字 原因 対策 責任者 期限まで決める会議フォーマット
月次経営会議では、次のような形式で決定事項を残しておくと、翌月の検証までつなげやすくなります。
| 項目 | 会議で確認する内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 数字 | 起きている客観的な変化 | 新規商談数が目標40件に対して20件 |
| 原因 | 確認できた原因と検証中の仮説 | 予定していた展示会が延期され新規リードが減少 |
| 対策 | 数字を変えるための具体的な行動 | 過去の失注顧客へ再提案を実施 |
| 責任者 | 実行と進捗管理を担う人 | 営業責任者 |
| 期限 | 実行を完了する日 | 今月15日までに対象リストを作成 |
| 確認指標 | 施策の効果を判断する数字 | 再商談数と翌月の商談数 |
このフォーマットで重要なのは、翌月の経営会議で「確認指標」まで戻ってくることです。
例えば失注顧客への再提案を実行したのに商談数が変わらなかった場合、単に「効果がなかった」と片づけるのではなく、施策を十分に実行できたのか、実行したものの反応がなかったのか、そもそもの原因仮説が違っていたのかを見直します。
逆に商談数が回復した場合も、たまたま大型案件が重なったのか、施策による変化なのかを確認する必要があります。
こうして数字と行動を往復することで、会議は少しずつ「報告する場所」から「会社の動かし方を学ぶ場所」へ変わります。
また、施策を実行してから数字が動くまでのリードタイムにも注意が必要です。商談から受注まで平均三か月かかる会社なら、期末直前になって商談数不足へ気づいても、その期の売上には間に合わない可能性があります。
結果が悪くなってから慌てるのではなく、その前段階の先行指標を見る理由がここにあります。
KPIを増やしすぎず意思決定に必要な数字へ絞る
会社の状態をもっと正確に把握したいと思うほど、「この数字も必要なのではないか」と指標を増やしたくなります。
問い合わせ数、Webサイト訪問数、架電数、訪問数、見積もり数、採用応募数、残業時間など、経営に関係する数字は数え始めればいくらでも見つかるでしょう。
ところが、数字を増やした分だけ経営管理が精密になるとは限りません。
指標が20個、30個と増えれば、資料を作る担当者はデータ収集に追われ、会議参加者もどの数字を優先すべきか分からなくなります。やがて「結局、売上だけ見ればいいのではないか」と元の状態へ戻ってしまうことさえあります。
月次経営会議で見る数字を選ぶときには「この数字が変化したら、経営として何を判断するのか」を考えてください。
答えがはっきりしない数字は、現場の部門会議では必要でも、全社の月次経営会議には不要という場合があります。
また、本記事で紹介した8指標をすべてKPIと呼ぶ必要もありません。売上、粗利益、営業利益などは一定期間の活動によって生じた結果指標として扱い、商談数や受注率など、行動や営業プロセスに近い数字を先行KPIとして設定する方法があります。
つまり、タイトルにある「8選」は経営会議を考える入口です。
実際に採用する数字は、自社のビジネスモデルと現在の経営課題に応じて選びます。8つすべてを見ることより「結果が悪くなったとき、どの数字をたどれば原因へ近づけるか」を説明できることのほうが重要です。
1枚の経営ダッシュボードで会議を運用する
月次経営会議の入口となる資料は、最初の1ページで会社全体の大きな変化を把握できる形を目指すと使いやすくなります。
まず全体を見て異変のある数字を見つけ、そのあと必要に応じて部門別、顧客別、商品別などの詳細へ進む流れです。この順番なら、問題のない数字まで延々と説明する時間を減らせます。
例えば主要指標について、当月実績、予算、前年同月、前月、差異、対応状況を同じ画面へ配置します。
売上と利益が計画どおりであれば、その説明に長い時間を使う必要はありません。一方、まだ売上へ影響していなくても商談数が大きく減っているのであれば、将来への影響を考えて会議時間を重点的に使う価値があります。
ここで意識したいのは、経営会議を「数字を説明する時間」にしないことです。
資料を見れば分かる実績は可能な範囲で事前に確認できる状態へ近づけ、会議では「なぜ差が出たのか」「何を変えるのか」「誰が実行するのか」という意思決定へ時間を使います。
ExcelやGoogleスプレッドシートでも十分に始められます。
最初からBIツールの導入を目的にするより、数か月運用して「本当に毎月使う数字」が定まってから自動化したほうが、使わない仕組みへ投資する可能性を減らせるでしょう。
組織が大きくなり、会計システム、CRM、業務管理システムなど複数の場所から手作業でデータを集める負担が大きくなった段階では、システム連携やBIの導入を検討します。
経営ダッシュボードの目的は、見栄えのよいグラフを作ることではありません。経営者と責任者が同じ画面を見ながら「今月はどこを議論すべきか」を判断できる状態をつくることです。
数字を見ているのに何も変わらない会議を防ぐ
数字を毎月確認していても、経営会議が会社の改善へつながらないことがあります。
ある会社の月次経営会議を例に考えてみましょう。
経理担当者は毎月売上と利益をまとめ、営業責任者は受注実績を報告し、人事責任者は採用や退職の状況を説明しています。資料も整っており、参加者も真面目に内容を確認しているため、一見すると経営管理はきちんと行われているように感じられます。
ところが売上が未達だった月には「来月は営業活動を強化する」という話で終わり、採用が遅れれば「求人媒体を見直す」という方向だけが共有され、具体的な責任者や期限までは決まりません。
翌月になると、前回の施策が実行されたかを確認する前に新しい月の実績報告が始まります。これが何か月も続けば、参加者には「毎月きちんと数字を見ているのに、なぜ同じ話を繰り返しているのだろう」という徒労感が残るでしょう。
この会議に不足しているのは、さらに多くのKPIではありません。前回の意思決定を次回まで追跡する仕組みです。
そのため経営会議の冒頭では、前月に決めた重要施策について実行状況と確認指標の変化を短時間で確認し、そのうえで当月の数字から新しい重要課題を選ぶ方法があります。
この循環が定着すると、参加者の意識も変わります。
「数字を説明できれば終わり」ではなく、「決めたことを実行し、その結果を次回説明する」という責任が生まれるためです。
数字を見ていることと、数字によって経営が変わっていることは同じではありません。会議の翌日から誰かの具体的な行動が変わっているかどうかが、その違いを分けます。
月次経営会議で見る数字を自社向けに決める方法
ここまで8つの数字について見てきましたが、最終的に必要なのは「自社では何を見るのか」を決めることです。
まず、会社として守りたい結果から考えます。
売上、粗利益、営業利益、資金残高などの中から自社にとって重要な結果指標を置き、その数字が悪化する前に何が動くのかを考えます。
法人営業であれば商談数や受注率が重要になるかもしれませんし、ECなら訪問者数や購入率、継続課金型サービスなら新規契約数や解約率、製造業なら受注残や稼働率など、業態によって見るべき先行指標は変わります。
さらに、人材面の課題が大きい会社では、離職率、採用状況、欠員数、残業時間などの中から、現在の経営課題と関係の深い数字を加える方法があります。
選んだあと、それぞれについて「この数字が大きく変わったら、経営として何を判断するのか」と問いかけます。
答えが明確であれば、その数字は月次経営会議で見る価値があります。一方、何か月表示しても誰も議論せず、変化しても行動が変わらない数字なら、全社会議ではなく部門会議で扱うほうが適切という可能性があります。
そして、最初から完璧な指標体系を作ろうとしないことも重要です。
来月の経営会議では、自社ですでに取得できる数字から主要なものを選び、1ページへまとめます。その中で気になる変化を一つ取り上げ、原因、対策、責任者、期限まで決めたうえで、翌月にもう一度同じ数字を確認します。
改善していれば何が効いたのかを確かめ、変化がなければ施策や原因仮説を修正します。
月次経営会議で見る数字は、一度決めたら永久に固定するものではありません。会社の規模、戦略、顧客構成、経営課題が変われば、見るべき数字も変化します。
最初から正しい数字をすべて選ぶことより、数字と行動の関係を毎月学びながら、自社の経営ダッシュボードを育てていくことのほうが重要です。
発展編 会社規模が大きくなったら部門別PLへ広げる
ここまでの内容で、月次経営会議を始めるための基本設計は完結します。
一方、複数の事業部や店舗を持つ段階まで会社が成長すると、全社の数字だけでは原因を特定しにくくなります。全社では営業利益が出ていても、どの事業が利益を生み、どの事業で採算が悪化しているのかについて、合算されたPLだけでは分からないためです。
そこで次の管理段階として、事業部、店舗、商品群など自社の管理単位に合わせて部門別PLへ広げる方法があります。
部門ごとに売上、原価、直接発生する経費などを分ければ、それぞれの収益構造を確認しやすくなるでしょう。
ただし、部門別PLだけを見て、そのまま事業の撤退や縮小を決定するのは慎重であるべきです。
特に注意したいのが共通固定費の配賦です。
本社家賃、管理部門の人件費、基幹システム費、役員報酬などは複数部門に共通して発生するため、売上比率、従業員数、床面積など一定のルールを使って各部門へ配賦することがあります。
例えば、ある会社のA事業へ多くの共通固定費を配賦した結果、部門別PLでは営業赤字になっていたとします。
この数字だけを見てA事業を閉じても、本社家賃や管理部門の人件費がそのまま残るのであれば、配賦していた共通固定費そのものは消えません。その結果、残った事業へ費用負担が移るという可能性があります。
そのため事業の継続、縮小、撤退を考える場合には、部門別営業利益だけではなく、変動費、直接固定費、限界利益なども判断材料として確認する必要があります。
日本政策金融公庫は、限界利益を売上から売上の増減に応じて動く変動費を差し引いたものとして説明しています。限界利益によって固定費をどの程度賄えているかを見る考え方は、事業や商品の採算構造を確認する際の一つの補助線になります。
もっとも、限界利益だけで撤退判断が自動的に決まるわけではありません。事業間の送客、将来の成長性、主要顧客との関係、ブランド上の役割など、会計数字だけでは表しにくい要素もあるためです。
さらに会社が大きくなれば「誰がどの数字を担うのか」も明確にしていきます。
ただし、責任だけを与えて権限を持たせない制度には注意が必要です。部門長に売上責任を負わせながら、採用、人員配置、価格、販売施策について何も判断できないのであれば、責任者自身が数字を動かせる範囲は限られます。
会社が成長するとは、社長一人がすべての数字を把握し続けることではありません。各責任者が自分の担当数字と会社全体の結果とのつながりを理解し、自律的に判断できる状態へ変わっていくことでもあります。
月次経営会議でよくある質問
- 月次経営会議では何個くらいKPIを見るべきですか
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すべての会社に共通する適正数はありません。また、本記事で取り上げた8つの数字をすべてKPIへ設定する必要もなく、自社の経営判断に実際に使うものへ絞ることが重要です。
数を判断するときは「この数字が動いた場合に、何を判断し何を変えるのか」を説明できるかで考えるとよいでしょう。多くの指標を置いていても実際の全社会議で使わないのであれば、部門管理へ移したほうが議論の焦点を保ちやすくなります。
- 売上だけ確認するのでは不十分ですか
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売上は重要な結果指標ですが、売上だけでは把握できない状態があります。
売上が伸びているのに粗利益が減っていることもあれば、現在の売上は好調なのに将来の売上につながる商談数が減っている場合もあります。さらに利益が出ていても資金残高が減少することがあるため、売上だけで会社全体の状態を判断するのは難しいでしょう。
売上を中心に置きながら、粗利益、営業利益、先行指標、組織指標、資金残高などを組み合わせることで、会社の状態を多面的に確認できます。
- KPIと売上 利益の違いは何ですか
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KPIは一般に、重要な目標へ向かう進捗を管理するための指標として使われます。
売上や利益は一定期間の事業活動が積み重なった結果として表れる性格が強い一方、商談数などは将来の売上へつながる営業プロセスに近いため、先行KPIとして設定できる場合があります。
名称を厳密に分けること以上に「この数字は結果を示しているのか、それとも結果を動かす途中の状態を示しているのか」を社内で共通理解にすることが重要です。
- 経営会議は毎月何日に開催するのがよいですか
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すべての企業に共通する最適日はありません。
基本的には、前月の数字を経営判断に必要な精度で把握でき、なおかつ当月の施策を修正する時間が十分に残る時期を選びます。
月次決算の確定を待った結果、前月実績を翌月末近くに議論しているのであれば、改善策を実行する時間が短くなります。一方、早さだけを優先して信頼性の低い数字を使えば判断を誤る可能性もあるため、自社の月次決算体制とのバランスを取りながら開催日を設定します。
- 予算を作っていない会社でも始められますか
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予算をまだ作っていなくても、月次経営会議は始められます。
最初は前月や前年同月と比較しながら、自社の売上、利益、商談数などがどのように動いているかを確認します。数か月続ければ季節変動や通常の利益率なども見えやすくなり、そこから「次年度はどの状態を目指すのか」を考えて予算管理へ発展させることもできます。
予算がないことを理由に、数字を見ること自体を先送りする必要はありません。
- Excelでも経営ダッシュボードを作れますか
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ExcelやGoogleスプレッドシートでも作成できます。
最初は行に主要指標を並べ、列に当月実績、予算、前年同月、前月、差異、対応状況などを置くだけでも、基本的な月次経営会議シートとして運用できます。
組織が大きくなり、複数部門のデータを手作業で統合する負担や転記ミスが増えてきた段階で、会計システムやCRMとの連携、BIツールなどを検討すればよいでしょう。
重要なのはツールの高度さではなく、同じ定義の数字を継続的に確認し、実際の意思決定へ使えていることです。
- 部門ごとにKPIを変えても問題ありませんか
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部門によって役割が異なる以上、KPIが違うことは自然です。
営業部門では商談数や受注率、人事部門では採用状況や離職率など、それぞれが担当する活動に近い数字を設定する方法があります。
ただし、部門ごとのKPIが独立しすぎると、数字を達成することそのものが目的になり、会社全体の売上、利益、顧客価値などとのつながりが弱くなる可能性があります。
部門KPIを設定するときは「この数字が会社全体のどの結果へつながるのか」まで確認しておくことが重要です。
まとめ
月次経営会議で大切なのは、8つの数字をすべて並べることではありません。売上、粗利益、営業利益などの結果指標に、自社の売上へつながる先行指標、組織の状態、資金残高を組み合わせ、会社の現在地と変化の兆しを捉えることです。
そのうえで実績を予算、前年、前月と比較し、差異があれば原因を分解して「数字→原因→対策→責任者→期限」まで決め、翌月に変化を確認します。
月次経営会議を「先月の数字を説明する場所」から「次の一か月の意思決定をする場所」へ変えることが、数字を見る本当の意味です。まずは来月の会議で、自社にとって本当に判断につながる数字を選ぶところから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
中小企業庁
2025年版中小企業白書 第2節 スケールアップに向けた課題
厚生労働省
雇用動向調査
厚生労働省
最近公表の統計資料
企業会計基準委員会
企業会計基準第29号 収益認識に関する会計基準
企業会計審議会
企業会計原則
日本政策金融公庫
経営に役立つ会計情報