独立系FPとして顧客から信頼を得るためには、専門知識だけでなく、顧客の話に耳を傾け、その気持ちや不安を受け止める力が必要です。
今回の継続教育研修では、顧客との信頼関係を築くためのコミュニケーションスキルと、相談、執筆、講演・講師という独立系FPの具体的な実務について学びました。
本記事では、研修で学んだ内容を中心に、私自身が感じたことや、今後のFP業務に生かしたい点を振り返ります。
日本FP協会福岡支部の継続教育研修を受講
日本FP協会福岡支部の継続教育研修を受講 ↗ 顧客との信頼関係を築くコミュニケーションスキル ↗ 顧客のニーズを理解する傾聴力と受け入れ力 ↗日本FP協会福岡支部の継続教育研修を受講
2017年1月21日、福岡県久留米市にある久留米シティプラザで、日本FP協会福岡支部の継続教育研修を受講しました。
老後資金、教育費、住宅購入、保険、資産形成など、多くの人が将来に向けた資産管理や生活設計について考える必要があります。
そのなかで、ファイナンシャルプランナー(FP)は、顧客の状況や希望を整理し、将来の判断を支援する役割を担っています。
しかし、独立系FPとして活動し、顧客から継続的に信頼されるためには、資格を取得して専門知識を身につけるだけでは十分ではありません。
顧客とのコミュニケーションスキルや、実際の業務の進め方を理解するとともに、自分がどのようなFPとして活動するのか、その方針を明確にする必要があります。
今回の研修では、前半に「FP業に活かすコミュニケーションスキル~『気が合う人』をつくる心のしくみ~」、後半に「顧客ゼロから年間300件超へ。独立系FPが語る実務3本柱」というテーマの講義が行われました。
特に、顧客との信頼関係を築くためのスキルや、顧客満足度を高めるための具体的な考え方について学ぶ内容でした。
講師は、大阪を拠点に活動されているFPの前野彩さんです。
前野さんは当時、年間300件を超える子育て家庭の家計相談に対応されていたほか、年間100件を超える講演会や企業研修を行い、テレビや雑誌などのメディアでも幅広く活躍されていました。
2017年1月12日には、「情報ライブ ミヤネ屋」にも出演されています。
前野さんの詳しいプロフィールや活動内容については、前野彩さんのホームページをご参照ください。
独立して働くことには、自分の考えやスタイルに合わせて仕事を進められる魅力があります。
一方で、独立系FPとして活動を続けるためには、顧客の獲得、相談対応、情報発信、業務管理など、さまざまな課題にも向き合わなければなりません。
そのなかで重要になるのが、専門知識とコミュニケーションスキルの両立です。
どれほど正確な知識を持っていても、顧客に伝わらなければ、適切な助言として十分に機能しません。
また、FPとして活動を続けるためには、相談、執筆、講演・講師などの業務をどのように進めるのかを理解し、それに基づいて自分の方針を明確にする必要があります。
今回の研修は、コミュニケーションと実務という2つの側面から、独立系FPとしての活動を考える機会となりました。
顧客との信頼関係を築くコミュニケーションスキル
FP業務にコミュニケーションが必要な理由
FP業務を行ううえでは、専門性と同じくらい、顧客とのコミュニケーションが重要です。
FP相談では、家計や資産だけでなく、家族、仕事、住宅、教育、老後など、顧客の生活に深く関係する話題を扱います。
顧客が安心して話せる環境をつくるためには、相手の話を丁寧に聞く傾聴力と、相手の不安や意見を受け止める力が必要です。
顧客が不安そうにこちらを見つめ、「大丈夫なのでしょうか」とおそるおそる尋ねてくることがあります。
そのようなときは、すぐに結論を伝えるのではなく、相手の心の揺れを感じ取りながら、静かに耳を傾けることが大切です。
相手の話を深く理解し、気持ちやニーズを感じ取りながら対話することで、顧客は「この人なら信頼できる」と感じやすくなります。
コミュニケーションは、単に会話を続けるための技術ではありません。
顧客が安心して悩みを話し、情報を整理し、納得したうえで行動するための土台になります。
非言語コミュニケーションが与える印象
研修では、言葉以外のコミュニケーションも大切であることを学びました。
表情、姿勢、目線、声の大きさやトーンなどの非言語的な要素は、顧客に与える印象を左右します。
例えば、顧客の目が少し泳いでいれば、不安や迷いを感じている可能性があります。
その様子を見ながら自然に目を合わせ、ゆっくりとうなずくことで、相手の話を受け止めている姿勢を示せます。
真剣に話を聞く姿勢が伝われば、顧客は「自分の話が大切に扱われている」と感じるでしょう。
姿勢を整え、落ち着いた態度で話を聞くことも、相手の安心感につながります。
反対に、重要な説明をするときに、声が小さく、自信のない話し方をしてしまうと、内容が正確であっても、顧客に不安を与える可能性があります。
自分では丁寧に説明しているつもりでも、声のトーンや姿勢によって、意図とは異なる印象を与える場合があります。
表情や動作には、普段の習慣がそのまま表れます。
面談のときだけ意識するのではなく、日頃から自分の姿勢や話し方を振り返っておきたいものです。
相手の感覚特性に合わせた伝え方
人によって、情報を理解しやすい方法は異なります。
研修では、視覚、聴覚、体感覚のうち、どの感覚を重視するかには個人差があるという話もありました。
図やグラフを見ることで理解が深まる人もいれば、話を順番に聞くことで整理しやすい人もいます。
また、具体的な生活場面を思い浮かべることで、内容を理解しやすくなる人もいるでしょう。
相手がどのような説明に反応するのかを見ながら、話の内容や伝え方を調整することが重要です。
顧客が図やグラフを見て「これで理解できました」と微笑んだときは、その人に合った伝え方ができた可能性があります。
一つの説明方法だけに頼るのではなく、言葉、数字、図、具体例などを使い分ける必要があります。
顧客のニーズを理解する傾聴力と受け入れ力
顧客の話を深く聞く傾聴力
顧客との信頼関係を築くには、相手のニーズを理解することが欠かせません。
傾聴力とは、相手の言葉を表面的に聞くだけでなく、その気持ちや背景まで理解しようとする力です。
顧客が悩みを抱えているときには、その表情や話し方に緊張や不安が表れることがあります。
そのようなときに静かに耳を傾け、柔らかな声で話しかけることで、顧客の肩の力が少し抜けることもあるでしょう。
ただし、「気持ちは分かります」と安易に決めつけるのではなく、相手が何を感じているのかを確認することも大切です。
「どのような点に不安を感じていますか」
「今、一番気になっていることは何でしょうか」
このように問いかけることで、顧客自身が気持ちや問題を整理できるように支えます。
相手の話をよく聞き、必要に応じて内容を確認することが、信頼関係を築く第一歩になります。
顧客の不安を受け止める受け入れ力
受け入れ力も、FP業務に必要な能力です。
顧客の意見や不安を最初から否定せず、まずは受け止めることで、安心して相談できる環境をつくれます。
例えば、顧客から「老後の資金が心配です」と言われたとします。
そのときに「考えすぎです」と否定してしまえば、顧客はそれ以上話しにくくなるでしょう。
一方で、「老後のお金は多くの方が不安に感じる部分です。一緒に現在の状況を確認してみましょう」と伝えれば、安心して話を続けやすくなります。
顧客が小さくうなずき、表情が少し和らいだとすれば、自分の不安を受け止めてもらえたと感じた表れかもしれません。
受け入れることは、顧客の意見にすべて賛成することではありません。
不安や考えを受け止めたうえで、必要な情報を整理し、今後の方向を一緒に考えることです。
質問力と表現力を活かした意思疎通と情報共有
質問によって顧客の本音を引き出す
顧客とのコミュニケーションでは、質問力が重要です。
質問力とは、適切な問いかけによって、必要な情報を引き出す力です。
特に、自由に答えられる質問をすると、顧客は自分の気持ちや考えを整理しやすくなります。
「具体的に、どのような不安がありますか」
このように尋ねることで、顧客が少し考えながら「実は、このことが気になっています」と話し始める場合があります。
それまで漠然としていた不安が言葉になることで、問題の背景や本当のニーズが見えてきます。
初回面談では、FPが知りたい情報だけを順番に尋ねるのではなく、顧客が話しやすい質問から始めることが重要です。
「まずは、ご自身が一番不安に感じていることから教えていただけますか」
このように促すことで、顧客は自分の関心事から話を始められます。
顧客の話をよく聞き、共感を示しながら質問を重ねることで、表面に出ていなかった課題を具体的に掘り下げられます。
専門知識を分かりやすく伝える表現力
表現力とは、自分の考えや専門知識を、相手が理解できる形で伝える力です。
FP業務では、金融、保険、税金、年金など、専門的な内容を扱います。
しかし、専門用語をそのまま並べても、顧客が理解できるとは限りません。
分かりやすい言葉に置き換え、必要に応じて図や具体例を使うことが大切です。
難しい金融商品の仕組みを説明したとき、顧客の真剣な表情が微笑みに変わる瞬間があります。
それは、説明が伝わり、顧客が理解できたと感じた表れかもしれません。
このような瞬間を一つずつ積み重ねることで、信頼は深まります。
ただし、一度説明しただけで十分とは限りません。
「ここまでで分かりにくい点はありませんか」
「ご自身の場合は、どのように感じますか」
このように確認し、FPと顧客の認識の違いを減らすことも必要です。
顧客との関係構築に必要な反応力と信頼性
迅速な対応が安心感につながる
顧客との関係を築くには、迅速な反応力が欠かせません。
顧客からの問い合わせに早く対応することで、「自分のことを大切にしてもらえている」と感じてもらいやすくなります。
例えば、メールでの質問にその日のうちに返信したとき、顧客から「すぐに対応してもらえて助かりました」と言われることがあります。
そこには、感謝だけでなく、安心感も含まれているでしょう。
すぐに回答できない場合は、無理に答える必要はありません。
「内容を確認し、明日までにご連絡します」と一度返答するだけでも、顧客の不安を減らせます。
ただし、自分から伝えた期限は守らなければなりません。
迅速さだけでなく、正確さも意識することが大切です。
約束と正確な情報が信頼性を高める
顧客との信頼を高めるには、約束を守り、正確な情報を提供する必要があります。
顧客から「いつも約束どおりに進めてもらえるので安心です」と言われたなら、日々の対応が信頼につながっていると考えられます。
信頼は、一度の面談だけで完成するものではありません。
一つひとつの約束を守り、一貫した対応を続けることで、少しずつ築かれます。
また、分からないことを曖昧に答えない姿勢も大切です。
その場で回答できない場合は、確認が必要であることを伝え、正確な情報を改めて提供するほうが誠実な対応になります。
一貫した対応と迅速な反応を続けることが、顧客との関係を深める鍵になります。
独立系FPに必要なコミュニケーション戦略
初回面談で信頼関係の土台をつくる
独立系FPとして活動するには、コミュニケーションの重要性を理解し、日々スキルを磨いていく必要があります。
特に初回面談では、顧客のニーズを的確に把握するための質問と、認識を合わせるためのフィードバックが重要です。
「まずは、ご自身が一番不安に感じていることから教えていただけますか」
このように優しく促すことで、顧客は心を開きやすくなります。
顧客が「実は、これが気になっていて」と話し始めた瞬間が、信頼関係を築く出発点になるでしょう。
相手の話をよく聞き、共感を示しながら質問を重ねることで、顧客が抱えている不安や課題を具体的に整理できます。
そのうえで、「お話の内容を、私はこのように受け止めました」と確認すれば、顧客は自分の話が正しく伝わっているかを判断できます。
FPが一方的に理解したつもりになるのではなく、顧客と認識を合わせることが重要です。
透明性のあるフィードバックと受け入れる姿勢
顧客との信頼関係を築くためには、透明性のあるフィードバックと、顧客の意見を受け入れる姿勢が欠かせません。
例えば、顧客が「今のプランで大丈夫でしょうか」と不安を感じている場合、問題点だけを指摘するのではなく、良い点と改善できる点を分けて伝えることが大切です。
「現在のプランにも良い部分があります。そのうえで、ここを少し見直すと、さらに安心できる内容になるでしょう」
このように説明することで、顧客に安心感を与えながら、今後の方向を示せます。
また、顧客の意見や疑問を真剣に受け止める姿勢も必要です。
顧客が「もっと良くできるのですね」と安堵した表情を見せたときには、FPも誠意を持って応じなければなりません。
フィードバックは、改善点を指摘するだけのものではありません。
顧客がすでにできている部分を認めることも大切です。
「この部分はしっかり取り組めていますので、今後も続けていきましょう」
そう伝えることで、顧客は自信を持ち、前向きに行動しやすくなります。
今回の研修を通じて私は、顧客の課題だけに目を向けるのではなく、できている点も含めて伝えることが、行動を継続してもらううえで大切だと受け止めました。
顧客満足と信頼性を高める実践
顧客満足と信頼性を高めるためには、日々のコミュニケーション力を磨く必要があります。
顧客のニーズを把握し、状況に応じて柔軟に対応することが求められます。
具体的には、必要な時期に正確な情報を提供し、約束した対応を確実に行うことが大切です。
顧客が「相談して本当によかった」と感じる瞬間は、それまでの対話や対応が形になった瞬間でしょう。
また、安心して話せる環境を整えることも重要です。
顧客が「安心しました」と微笑んだとき、FPの対応が相手にとって意味のあるものだったと感じられます。
顧客との関係は、一度築けば終わりではありません。
相談後も必要に応じて状況を確認し、対話の質を高めながら、継続的に関係を育てていく必要があります。
ただし、顧客の期待を超えることばかりを意識すると、無理な対応や過剰な約束につながる可能性があります。
まずは、約束を守り、正確で丁寧な対応を続けることが基本です。
信頼は、一つひとつの対話や行動を積み重ねた結果として築かれます。
独立系FPの実務を支える3本柱
相談・執筆・講演/講師
研修の後半では、独立系FPの業務を支える3本柱について話がありました。
その3つは、相談、執筆、講演・講師です。
独立系FPとして活動するには、自分の方針を明確にし、コミュニケーションスキルを生かした業務の仕組みを構築することが重要です。
競争のあるFP業界で活動を続けるには、自分がどのような顧客を支援し、どの分野を専門とするのかを考える必要があります。
その方針に応じて、必要な知識やスキルを身につけることが鍵となります。
相談、執筆、講演・講師は、それぞれ方法の異なる仕事です。
相談業務では、顧客の悩みや希望を直接聞き、一人ひとりの状況に合わせて助言します。
執筆業務では、専門的な情報を整理し、多くの読者に分かりやすく伝えます。
講演・講師業務では、参加者の反応を見ながら、理解や行動を促す伝え方が必要です。
業務の形は異なりますが、どの業務でも、相手の立場を考え、分かりやすく伝え、信頼される対応を行うことが求められます。
独立系FPが、自分の具体的な業務について詳しく話す機会は決して多くありません。
今回の研修では、実際の業務について聞くことができ、貴重な機会となりました。
独立系FPとしての方針を明確にする
独立系FPとして活動するからといって、相談、執筆、講演・講師の3つを、すべて同じ割合で行う必要はありません。
自分の得意分野や、対象とする顧客に合わせて、業務の組み合わせを考えることが大切です。
相談業務を中心に活動するのか。
執筆や情報発信に力を入れるのか。
講演や企業研修を広げていくのか。
自分が目指す方向を明確にすることで、今後身につけるべき能力も見えやすくなります。
どの業務を選ぶ場合でも、相手から「あなたなら信頼できる」と感じてもらえる対応を積み重ねる必要があります。
そのためにも、コミュニケーションスキルを磨き、誠実で一貫した対応を続けることが重要です。
研修内容を今後のFP業務に生かす
今回の研修を受け、まずは自分自身のコミュニケーションを振り返る必要があると感じました。
顧客の話を最後まで聞けているでしょうか。
説明を急ぐあまり、相手の不安を置き去りにしていないでしょうか。
自分では分かりやすく説明したつもりでも、専門用語が多くなっている可能性があります。
声の大きさ、話す速さ、表情、姿勢についても、普段から意識する必要があります。
相手の反応を見て、伝わっていないと感じたときには、別の言葉や図、具体例を使って、説明方法を変えることが大切です。
すべてを一度に改善しようとすると、かえって実践が難しくなります。
まずは、顧客の話を途中で遮らず、最後まで聞くことなど、小さな行動から始める必要があるでしょう。
説明した後には「分かりましたか」と聞くだけでなく、顧客がどのように受け止めたのかを確認します。
問い合わせにすぐ回答できない場合には、回答できる予定日だけでも早めに伝えます。
このような小さな実践を積み重ねることで、自分のコミュニケーションの癖にも気づきやすくなるでしょう。
まとめ
独立系FPとして活動するためには、専門知識だけでなく、コミュニケーションスキルを磨くことが欠かせません。
今回の研修では、顧客との信頼関係を築くための傾聴力、受け入れ力、質問力、表現力、非言語コミュニケーションなどについて学びました。
また、迅速で一貫した対応や、透明性のあるフィードバックを心がけることも、顧客の安心感や満足度につながります。
後半では、相談、執筆、講演・講師という、独立系FPの実務を支える3本柱について学びました。
それぞれの業務の特徴を理解し、自分の方針に合わせて必要な知識やスキルを身につけることが重要です。
とても充実した内容で、終わってみれば、あっという間の3時間研修でした。
講師の前野さんには、お忙しいなか、研修会だけでなく、研修後の会員交流会にもご参加いただきました。
さらに、前日からの私的な飲み会にも参加していただき、楽しく充実した2日間となりました。
実際に独立系FPとして業務を行うためには、常に学び続ける姿勢が求められます。
市場の変化や法律の改正など、新しい情報を把握し、顧客に適切な助言を提供することが大切です。
同時に、顧客の表情や言葉から安心や信頼の変化を感じ取り、自分の対応を振り返る必要があります。
今回学んだコミュニケーションスキルを日々の業務で実践し、一つずつ改善を重ねながら、顧客から長く信頼されるFPを目指していきたいと思います。
最後に研修会会場にて講師の前野さんとの記念撮影
