暮らしとお金

宝くじで高額当選したら何をする? 不幸を避けて人生に活かす方法

2024年10月30日

突然、自分のものになる見込みの大金を前にする。

「もう仕事を辞めてもいい」
「家族にも分けたい」
「念願の家を買おう」
いくつもの考えが、どっと押し寄せるかもしれません。

しかし、高額当せん者が平均的に不幸になるとは確認されていません。海外の大規模研究では、高額当せんが長期的な生活満足度を高める結果も報告されています。

問題は、大金そのものではありません。
仕事、住居、支出、人間関係を一度に変え、後から戻しにくい判断を重ねることにリスクがあります。

高額当せんを人生に活かすには、まず「何を買うか」ではなく、今の生活から何を減らし、何を増やし、何を守りたいのかを考えてください。

本記事では、研究から分かることと注意すべきリスクを整理した後、使い道を考える自己整理ワーク、当せん金の5つの役割、小さく実践して変化を確かめる方法を紹介します。

TABLE OF CONTENTS
目次
PART 1

高額当せん者は不幸になるのか

「宝くじに当たると人生が壊れる」
よく聞く話でしょう。

破産や離婚などの強烈な事例は記憶に残ります。一方、以前より満足して暮らしている人は、失敗事例ほど話題になりにくいものです。
個別の体験談だけでは、当せん者全体の姿は分かりません。

高額当せんと生活満足度

Lindqvist、Östling、Cesariniが2020年に公表した研究では、スウェーデンの宝くじ当せん者3,362人が分析されました。

主要な当せんから5~22年後の回答を調べた結果、高額当せんは長期的な生活満足度を高めていました。当せん後の経過年数によって、その効果が弱まる明確な証拠も見つかっていません。

一方、幸福感と精神的健康への推定効果は、生活満足度への効果より有意に小さいと報告されています。幸福感や精神的健康について、同じ程度の明確な改善が確認されたとまでは言えません。

つまり、大金によって経済的な安心や選択肢が増えても、毎日の悩みがすべて消えるわけではないのです。
当せん金は、幸福を自動的に生み出す魔法ではありません。人生の制約を減らす資源と考える方が現実的でしょう。

英国研究と心理的健康

GardnerとOswaldが2007年に公表した英国の研究では、中規模の宝くじ当せん者について、当せんから2年後の心理的健康が改善していました。

ただし、研究対象や調査方法はスウェーデン研究と異なります。
そのため、「当せんすれば必ず心も健康になる」とまでは言えません。それでも、高額当せんが平均的に人を不幸にするという俗説を、そのまま前提にする根拠はないでしょう。

当せん者は浪費するのか

一部の海外研究では、当せん者が賞金を直ちに使い切るのではなく、長期間にわたって保有しながら消費する傾向が報告されています。
ただし、対象となる当せん者、賞金額、賞金の一括払い・分割払いなどによって結果は異なります。

日本の令和6年度宝くじ長者白書では、1,000万円以上の当せん者へのアンケートで、回答者540人のうち252人、47%が使い道として「貯蓄」を挙げています。

これは、賞金の47%を貯蓄したという意味ではありません。
また、実際の資金配分額や、その後の幸福度、資産残高、破産率を追跡した調査でもない点には注意が必要です。

ここから分かるのは、回答者の中で「貯蓄」を使い道として挙げた人が最も多かったということに限られます。
「当せん者は必ず浪費する」という見方にも、慎重になる必要があります。

PART 2

高額当せん後に人生が崩れるリスク

研究で確認されているのは、高額当せんが生活満足度を高め得ることです。
ここから先は、少し性質が変わります。

以下では、当せん者研究で直接確認された結果だけでなく、一般的な意思決定や生活設計から考えられるリスクも扱います。
「当せん者は必ずこうなる」という話ではありません。大きな選択を短期間に重ねると、誰にでも起こり得る問題です。

扱う金額だけが急に大きくなる

高額当せんをしても、金融知識や判断経験まで一晩で増えるわけではありません。
ところが、扱う金額は突然大きくなります。

100万円の支出でも、数億円の残高を前にすると、小さく感じる人もいるでしょう。
「これくらいなら大丈夫」そう思うかもしれません。
しかし、支出を一件ずつ判断していると、全体の金額を見失う可能性があります。

重要なのは、個々の支出だけを見るのではなく、一定期間の支出総額と、最初に決めた上限との差を確認することです。
一件では小さく見える支出も、積み重なれば大きな資産減少につながります。

資産と収入を混同する

宝くじの当せん金は、一度だけ入る資産です。
給与のように、毎月補充される収入ではありません。
それでも生活水準を上げれば、毎月の支出は増えていきます。

広い住宅には固定資産税や修繕費がかかります。高額な車にも、保険料、税金、車検、買い替え費用が必要です。
退職して収入を止めたうえで固定費を増やせば、年間の資産取り崩し額は大きくなります。

購入時に払えるかだけでは不十分です。
購入後10年間の維持費はいくらか。
年間で資産をいくら取り崩すことになるのか。
そこまで確認して初めて、生活に合った選択になります。

一度きりの資産 当せん金 補充されない 継続的な収入 毎月の給与 毎月補充 混同すると危険 固定費(維持費)が増えると、補充されない「資産」が急速に削られていく
【図解】資産(当せん金)と収入(給与)の性質の違い

家族との間に期待が生まれる

当せんを知らせた途端、家族との会話が変わることがあります。
「少しくらい助けてもらえないかな」
実際に言葉にされなくても、期待を感じる場合はあるでしょう。

当せん者側にも、喜ばれたい、恩を返したい、自分だけが豊かになるのは申し訳ないという気持ちがあります。どれも自然な感情です。

ただし、その場で援助額を約束すると、支援の対象、期限、公平性が後から問題になるかもしれません。
なお、高額当せん後に家族関係が悪化する頻度を示す、一般化可能な強い統計は今回確認できませんでした。富が一律に家族関係を壊すとも言えません。

大切なのは一般論で決めつけることではなく、自分の家庭で生じそうな期待や不公平感を考えておくことです。

仕事と生活上の役割

研究では、当せん者全員が即座に労働をやめるという結果は出ていません。
Cesariniらのスウェーデン研究では、当せん後に労働収入や労働量が減少しました。ただし、その変化は比較的小さく、全員が一斉に完全退職する姿とは異なります。

当せん金によって得られるのは、仕事をやめる権利だけではありません。
勤務時間を減らす。職場を変える。学び直す。嫌な条件を断る。
働き方を選び直せることにも価値があります。

お金だけでは変わらない問題

大金で改善できる問題は少なくありません。
住環境を整える。治療を受ける。介護や家事の負担を減らす。
どれも生活を具体的に変えます。

一方、孤独、人間関係の不満、生きる目的の欠如は、お金だけでは解決しない場合があります。
買い物や旅行で気分が明るくなることはあるでしょう。
それでも、一時的に気分を改善する支出を繰り返しても、元の問題が残る可能性があります。

支出の前に、少しだけ自分へ問いかけてください。
「これは生活上の問題を変えるお金か」
「今の感情を一時的に遠ざけるお金か」
後者だから悪いわけではありません。何のための支出かを理解しておけば、同じ行動を繰り返していないか、立ち止まって確認しやすくなります。

失敗の発見が遅れる可能性

これは当せん者に限らない、意思決定上の偏りです。
投資で100万円を失ったとします。通常なら、大きな警告になる金額でしょう。
しかし、残高が数億円あれば、「まだ問題ない」と感じるかもしれません。

すでに使ったお金を惜しんで、合理的でない追加支出を続ける判断は、行動経済学ではサンクコストの影響として説明されます。事業や家族支援でも同様です。
これまで使った金額が大きいほど、途中でやめることを失敗と感じやすくなります。

それでも、過去に使ったお金は、次の支出を正当化しません。
確認するべきなのは、現在の残高だけではありません。
一定期間の支出額、継続費、最初に決めた上限も見ます。数字を定期的に確認すれば、資産が大きく減る前に方針を見直しやすくなります。

PART 3

高額当せん直後の初動

高額当せん直後の初動

当せんを知った直後に、人生を完成させる必要はありません。
最初に行うのは、当せん金を失わないための確認です。

宝くじの種類、抽せん回、当せん番号、当せん金額、支払開始日、受取期限を公式情報で確かめます。
紙券なら原券を安全に保管してください。当せん券の画像をSNSへ投稿したり、不必要に持ち歩いたりしません。
ネット購入なら、購入履歴、登録口座、登録メールアドレス、パスワードを確認しましょう。

ここまでが初動です。
退職、家族への送金、住宅購入、投資は、後から検討できる別の判断になります。

当せんを知らせる範囲

親族や友人へ、すぐに広く知らせる必要はありません。
情報が広がると、援助、投資、寄付、共同事業などの相談を受ける可能性があります。

知らせる相手は、生活上共有する必要があり、信頼できる人に限定するとよいでしょう。
「家族だからすぐ言わなければ」と焦る必要もありません。
安全上の事情がある場合は、自分の身を守ることを優先してください。

大きな決断の保留

退職したい。
家を買いたい。
家族へ分けたい。

気持ちが固まっているように感じても、最終決定は少し先に置けます。
大きな判断を複数同時に行うと、どの変化が生活を良くし、どれが負担になったのか分かりにくくなります。
今すぐ決めないことも、立派な判断です。

PART 4

当せん金で変えたい人生と5つの役割

さて、何を買いましょうか。
その前に、質問を変えます。
「今の生活の何を軽くしたいですか」

欲しい物ではなく、得たい変化を考えてください。
家が欲しいのではなく、騒音や通勤を減らしたいのかもしれません。
退職したいのではなく、長時間労働から離れたい可能性もあります。
目的が分かれば、より小さく、柔軟で、戻しやすい方法を選べるでしょう。

減らしたい負担

日々の生活で、何度も苦痛になっているものを振り返ります。
通勤、家事、介護、借金、住居の不便、健康への不安。
こうした問題を減らす支出は、派手ではありません。

それでも、毎日続く負担を小さくすれば、暮らしは少しずつ変わります。
高価な物を一つ所有するより、毎週繰り返す苦痛を減らす方が、長期的な満足につながる場合もあるでしょう。

増やしたい時間

お金によって増やせるのは、物だけではありません。
睡眠、家族との時間、運動、学び、休息。

ふと、忙しさが消えた平日を想像してください。
その日に何をしていたいでしょうか。
答えが見つからないなら、退職する前に休暇や時短勤務で試す方法があります。
当せん金は、時間の使い方を選び直す余地にもなるのです。

守りたいもの

変えたいことばかり考えると、今ある大切なものを見落とします。
友人関係。仕事仲間とのつながり。落ち着く地域。毎朝の習慣。
お金が増えても変えたくないものを書いてください。

何を守りたいかが分かれば、「当たったのだから全部変えよう」という勢いから距離を置けます。

高額当せん後の自己整理ワーク

ここからは、本記事独自の実践提案です。
研究によって定められた標準手法でも、唯一の正解でもありません。
使い道を一度に決めないための整理方法として活用してください。
10分ほど、紙やメモアプリへ書き出します。

振り返る項目 書き出す内容
減らしたい負担 今の生活で特につらいことを3つ
守りたいもの お金が増えても変えたくないことを3つ
増やしたい時間 週に何時間増やしたいか
10年後の生活 どこで誰と何をしていたいか
戻しにくい判断 退職や住宅購入など元へ戻しにくいこと
失敗できる範囲 失ってもよい金額や時間と守りたい生活基盤

書き終えたら、使い道を一つだけ選びます。
複数の候補があり、優先順位に迷うこともあるでしょう。
その場合は、放置したときの負担が大きいもの、改善効果を繰り返し得られるもの、後から修正しやすいものを優先します。
つまり、緊急性、継続的な効果、戻しやすさの三つで比べる方法です。

選んだ支出によって、どの負担が減り、どの時間が増えるのかも書き足してください。
答えが曖昧なら、まだ決める時期ではないかもしれません。

「家が欲しい」の奥に「静かに暮らしたい」があるなら、まず希望地域への短期滞在でも確かめられます。
「仕事を辞めたい」の奥に「週5日の勤務が苦しい」があるなら、時短勤務や休暇も候補になるでしょう。
目的が見えると、選択肢は増えます。

当せん金の5つの役割

次の分類も、本記事が提案する整理フレームです。
研究で確立された唯一の資金配分法ではありません。
当せん金全体を一つの財布として見ず、用途と上限を考えるために使います。

当せん金 全体の財布 守る 生活費・医療・緊急枠 改善 通勤・家事・健康管理 楽しむ 旅行・趣味・家族経験 試す 小規模事業・移住体験 渡す 家族支援・教育・寄付
【図解】当せん金を1つの財布にせず、5つの役割に分けて管理する

守るお金

守るお金は、ほかの判断に失敗しても、生活を立て直せるように残す資金です。
生活費、医療、介護、住居、緊急時の出費などを想定します。

目的は、短期間で利益を最大化することではありません。生活の土台と、やり直せる余地を残すことです。
原則として、投資や事業の損失を埋めるためには使わない資金として分けます。先に区分しておけば、ほかの判断に失敗しても生活資金を残しやすくなります。

改善するお金

改善するお金は、現在の生活で繰り返される問題を小さくします。
通勤負担を減らす。住環境を整える。健康管理を受ける。家事や介護サービスを利用する。

「高価かどうか」ではなく、「何回その負担を減らしてくれるか」で考えるとよいでしょう。
毎日や毎週の負担を減らす支出は、一度きりの満足ではなく、繰り返し生活を改善します。

楽しむお金

旅行、趣味、食事、家族との経験。
経験や楽しみに使う資金も、当せん金を人生に活かす一部です。
使うこと自体を恐れる必要はありません。

ただし、上限は決めます。
楽しむ資金を別にすれば、生活の土台を守りながら、安心して使いやすくなるでしょう。

試すお金

試すお金は、失敗しても生活が揺らがない範囲で使います。
小規模な事業、移住体験、創作活動、学び直しなどです。

いきなり店舗を買わず、短期間借りる。
すぐ移住せず、数週間暮らしてみる。
小さく始めれば、合わなかったときに戻りやすくなります。

経験のない投資を学ぶ場合も、生活資金や長期管理する資産とは分け、少額から始めてください。

渡すお金

家族支援や寄付に使う資金です。
その場の空気で金額を決めません。総額、目的、対象、期間を先に定めます。

一度だけ支援する。
教育費に限る。
必要な費用を直接負担する。
こうした基準があれば、次の依頼にも同じ方針で答えられます。

ただし、費用を直接支払えば、必ず贈与税がかからないわけではありません。
親子や夫婦などの扶養義務者間で、通常必要と認められる生活費や教育費を必要な都度、その用途へ直接充てる場合は、贈与税がかからないことがあります。
一方、数年分をまとめて渡し、預金、投資、住宅購入などへ回した部分は、この非課税の扱いになりません。

家族支援を始める前に、目的と税務上の扱いを確認してください。
渡す前に、終わり方まで考えましょう。

PART 5

小さく試して変化を確認する

いよいよ実践です。
ただし、すべての判断を小さく試せるわけではありません。
贈与、退職、不動産購入、医療、介護、相続対策など、実行後に取り消しにくい判断もあります。
試せない判断ほど、情報収集、専門家への確認、実行時期の分離が重要です。

試せることについては、生活全体を変えず、一つの小さな変更を選びます。

  • 通勤が苦しいなら、すぐに退職せず、休暇や時短勤務を試す。
  • 住環境を変えたいなら、住宅を購入する前に希望地域へ滞在する。
  • 事業を始めたいなら、店舗を持つ前に小規模な販売で需要を確かめます。

この段階では、大成功を証明する必要はありません。
自分に合うかを確かめることが目的です。

STEP 1 小さく試す 休暇・滞在・小規模販売 STEP 2 数字と気持ちを確認 1〜3ヶ月後を目安に 変化が望ましい 少しだけ広げる 合わなかった 前の生活に戻す
【図解】失敗を避けるための「小さく試す」プロセス

最初の確認時点

小さな変更を行ったら、その効果を振り返ります。
まず1~3か月後を、最初の確認時点としてもよいでしょう。

ただし、この期間は研究上定められた推奨期間ではありません。小さな変更の効果を確かめるための目安です。
住宅、仕事、家族関係など長期的な影響がある判断は、半年後や1年後にも見直してください。

数字と気持ちの確認

確認するのは、数字と気持ちの両方です。

毎月の支出はいくら増えたか。
自由な時間は増えたか。
新しい負担は生まれていないか。
以前より落ち着いているか。
生活に張りがあるか。

変化が望ましければ、少しだけ広げます。
合わなければ戻しましょう。
高額当せんの強みは、一度で完璧な正解を出せることではありません。
小さく試し、何度も調整できる余裕があることです。

仕事を辞める前の判断

退職届を前にして、いったん止まります。
辞めたいのは、仕事そのものでしょうか。
それとも、長時間労働、通勤、上司、責任の重さに疲れているのでしょうか。

原因によって、必要な行動は変わります。
退職後の生活も具体的に描いてください。

何時に起きるのか。
誰と会うのか。
何を学ぶのか。
どこで達成感を得るのか。
仕事が担っていた役割を先に補えば、退職後の空白を小さくできます。

さらに、退職すると健康保険、年金、住民税、福利厚生も変わります。
退職後の健康保険には、任意継続、国民健康保険、家族が加入する健康保険の被扶養者という主な選択肢があります。
協会けんぽの任意継続を選ぶ場合は、退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があることなどの条件を満たし、原則として退職日の翌日から20日以内に手続きしなければなりません。

厚生年金の資格を失い、すぐに別の会社へ就職しない20歳以上60歳未満の人は、国民年金第1号被保険者への切替えが必要になる場合があります。
配偶者が加入する厚生年金・健康保険の被扶養者になる場合は、国民年金第3号被保険者の手続きが必要です。

当せん金が非課税でも、これらの公的手続きが免除されるわけではありません。
給与の有無だけで決めず、退職後の一週間と一年間を描いてから判断しましょう。

家族への援助と境界線

当せんを伝えている家族から相談を受けた場合でも、その場で返答する必要はありません。
「支援の方針を整理してから返事をする」
「税金を確認してから決める」
そう伝えて構いません。

まず、相手が解決したい問題を確認します。
教育費なのか。
住宅ローンなのか。
一時的な生活費なのか。
問題が違えば、適切な支援方法も異なります。

公平と平等も同じではありません。
全員へ同額を渡す方法もあります。必要な人へ目的を限定して支援する考え方もあるでしょう。

重要なのは、対象、目的、上限、終了時期について、自分の基準を説明できることです。
家族を大切にすることと、すべての要求へ応じることは別です。

PART 6

最低限の受取方法と税金

最低限の受取方法と税金

当せん金の受取期限は、原則として支払開始日から1年です。
抽せん日から単純に1年とは限りません。券面や宝くじ公式サイトで、正式な支払開始日と期限を確認してください。

紙券の受取場所

1当せん金または1口当たり5万円を超える当せん金を含む場合は、原則としてみずほ銀行本支店で受け取ります。
ただし、「10万円マーク」のある一部の売り場では、所定の条件を満たす10万円以下の当せん金を受け取れる場合があります。

1当せん金または1口当たり100万円を超える当せん金を含む場合は、印鑑が必要です。
200万円を超える場合は、本人確認書類と印鑑が必要になります。
また、100万円を超える当せん金は、受取手続きに1週間程度かかると案内されています。

売り場の取扱金額や対応する券種には違いがあります。
実際の手続き前に、当せん金額と券種を伝え、利用予定の売り場またはみずほ銀行へ確認してください。

ネット購入の振込

宝くじ公式サイトで購入した場合は、今回の当せん金と、それまでのお預かり当せん金の合計額によって振込時期が変わります。

合計額が1万円以上になると、対象となる当せん金の支払開始日から原則1週間程度で、登録した当せん金受取口座へ自動的に振り込まれます。
合計額が1万円未満の場合は、お預かり当せん金として管理され、原則として3月と9月の半期ごとに自動振込されます。
半期振込を待たず、マイページから個別振込を依頼することも可能です。個別振込も、手続き後から原則1週間程度で振り込まれます。

金融機関のATMや独自のインターネット販売サービスで購入した場合は、宝くじ公式サイトとは異なる規定が適用されることがあります。
利用したサービスの購入履歴、登録口座、振込条件を確認してください。

通帳、振込明細、購入履歴、金融機関から受け取った書類も保管します。
住宅購入や家族への送金を行う際、資金の出所を説明する資料になるためです。

当せん金の税金

日本国内で当せん金付証票法に基づき発売された宝くじの当せん金は、所得税の非課税対象です。
当せん金自体は、個人住民税の所得計算にも通常含まれません。
当せん金を受け取ったことだけを理由に、所得税の確定申告をする必要もありません。

ただし、同じ「くじ」や「賞金」という名称でも、海外宝くじ、一般企業の懸賞金、公営競技の払戻金などは、別の税務上の取扱いになる場合があります。
また、預金利息、配当、金融商品の売却益、不動産収入など、当せん金を受け取った後に生じた利益には通常の税務ルールが適用されます。

家族へ渡す場合の贈与税

当せん者が単独で取得したお金を、後から家族へ無償で渡すと、贈与税が生じる場合があります。
現金だけでなく、家族名義の住宅代金や借金を負担する行為も、贈与と判断される可能性があるため注意してください。

暦年課税の基礎控除は、受贈者一人につき年間110万円です。
贈与者一人ごとに110万円ではありません。

一方、扶養義務者間で通常必要な生活費や教育費を、必要な都度、その目的へ直接使う場合は、贈与税がかからないことがあります。
まとめて渡した資金を預金、投資、住宅購入などへ回した場合は、この例外の対象になりません。

高額な送金、住宅資金の負担、共同購入分の分配を行う前には、税務署または税理士へ確認しましょう。

詐欺と情報漏えい

当せん金の受取を理由に、手数料、保証金、税金などの事前送金を求められたら、詐欺を疑います。
警察や金融機関を名乗る相手でも同じです。
電話を切り、相手が示した番号ではなく、自分で調べた公式窓口へ連絡してください。

当せん券の画像、当せん金額、受取日、利用する銀行をSNSへ投稿することも避けます。
すでに送金した場合は、追加送金を止め、利用した金融機関と警察へ速やかに相談しましょう。

まとめ

高額当せん者が、平均的に不幸になるとは確認されていません。
一方、大金によって仕事、住居、支出、人間関係を一度に変えると、後から戻しにくい判断を重ねるリスクが生まれます。

まず、今の生活から何を減らし、何を増やし、何を守りたいのかを整理してください。
複数の候補が出た場合は、緊急性、繰り返し得られる効果、後から戻しやすいかの三つで優先順位を付けます。

次に、当せん金を生活を守るお金、負担を改善するお金、楽しむお金、新しいことを試すお金、家族や社会へ渡すお金に分けて考えます。
この5分類は、研究上の唯一の正解ではありません。使い道を一度に決めず、生活の土台とほかの支出を区別するための整理方法です。

試せるものは小さく始めます。
試せない判断は、情報収集と専門家確認を行い、ほかの大きな決定と時期を分けてください。
数字と気持ちの変化を確認し、良ければ広げ、合わなければ戻します。

高額当せんの価値は、派手な生活だけにあるのではありません。
嫌な条件を断れること。
休めること。
働き方を選び直せること。
失敗しても立て直せること。

大金で別人になるのではなく、今の人生にある負担を減らし、時間と選択肢を増やすために使う。
それが、高額当せんを人生に活かす基本です。

注意事項

  • 本記事は、宝くじ当せん者を対象とした幸福研究や労働研究、一般的な意思決定の考え方、日本国内の宝くじ制度を基に構成しています。
  • 研究結果から直接確認された事実と、一般的な意思決定論から考えられるリスク、本記事独自の実践提案は区別して記載しました。
  • 自己整理ワーク、5つの役割、小さく試す方法、1~3か月後の確認は、学術研究で確立された標準手法ではありません。使い道を整理し、戻しにくい決断を分けるための実践案です。
  • 紹介した研究は、スウェーデン、英国、米国などの特定の集団や制度を対象としています。すべての国や個人へ同じ結果が当てはまるとは限りません。
  • 家族関係の悪化、孤立、破産が高額当せん者にどの程度生じるかについては、一般化できる十分な統計を今回確認できませんでした。
  • 受取場所、必要物、ネット購入の振込条件などは変更される可能性があります。実際の手続き時には、宝くじ公式サイトと利用予定の金融機関で最新情報を確認してください。
  • 税務、法律、社会保険、労務、投資に関する個別判断は、税理士、弁護士、社会保険の窓口などへ確認してください。
  • 記事内容の確認日:2026年7月15日

参考資料

著者と発表年 論文・資料 研究対象と使用した内容
Erik Lindqvist
Robert Östling
David Cesarini
2020
“Long-Run Effects of Lottery Wealth on Psychological Well-Being” The Review of Economic Studies スウェーデンの当せん者3,362人。当せんから5~22年後の生活満足度、幸福感、精神的健康
Jonathan Gardner
Andrew J. Oswald
2007
“Money and Mental Wellbeing” Journal of Health Economics 英国の中規模当せん者。当せんから2年後の心理的健康
David Cesariniほか
2017
“The Effect of Wealth on Individual and Household Labor Supply” American Economic Review スウェーデンの当せん者。資産増加後の労働収入と労働供給
Guido W. Imbens
Donald B. Rubin
Bruce I. Sacerdote
2001
“Estimating the Effect of Unearned Income on Labor Supply Earnings Savings and Consumption” American Economic Review 米国の分割払い型賞金の当せん者。労働、収入、貯蓄、消費
宝くじ公式サイト 「当せん金のお受け取り」 紙券の受取場所、5万円・100万円・200万円の基準、必要物
e-Gov法令検索 「当せん金付証票法」第13条 国内の法定宝くじの当せん金品に所得税を課さないこと
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