「今日からできる!障がいのある子のお金トレーニング」(著書:鹿野佐代子、前野彩 出版社:翔泳社)を読んでみての感想 

障がいのあるお子さんをもつ親の方の悩みといえは子どもの暮らし、特に自分たちが亡くなった後に子どもの暮らしはとても心配です。

特に生活に必要となるのはお金については、子供のためとに思って親ががんばって働いてお金を遺してあげることはできますが、通帳に入っているお金をうまく引き出せなかったり、手元に現金はあってもちゃんと買い物ができない、またきちんとした使い方を知らなければ無駄に使ったりしてしまうかもしれません。

 

最後に大阪府で実施されている国や自治体のサポート制度の例が載せられていますが、行政のサービスや支援制度は結構整えられています。

ある程度自分でお金の管理ができるようになれば、こうしたサポートをを受けながら親が亡くなった後でも安全に暮らせるので、親の不安も解消されていくでしょう。

 

この本はキャリア30年の障がい者福祉のプロの鹿野佐代子さんと、わかりやすい家計のアドバイスで人気のファイナンシャル・プランナーの前野彩さんのお二人が、そうした知的障がいのある人が自分で金銭管理できるようになるためのトレーニング法や、障がいのある子をもつ家庭のマネープランなどが、とても分かりやすく書かれています。

 

まず、お金の基本が身につくトレーニングの最初にお金の絵柄を描いてみるワークが紹介されています。実際自分も書いてみようとしてみましたが、硬貨や紙幣の絵柄が全然思い浮かびません。

お金のことについてきちんと分かっていると思っていることも、以外とまず自分自身からお金の一度基本的なことから見直してみれば新しい気づきがあるかもしれませんね。

 

お小遣いを見える化する「お金カレンダー」や「マネポケ」などのトレーニングツールは、知的障がいのある人のご家庭だけでなく、小さなお子様のいらっしゃるご家庭でも役立つ内容です。

楽しくお金を貯めて、使い、達成感や満足感を得ながら夢や希望を実現できるように工夫されています。

「マネポケ」は気がついたら何に使ったか分からないけど金がないという状況のご家庭でもやってみられるといいでしょう。

 

日常に役立つトレーニングとして紹介されている「ミッションゲーム」や「袋分け」のワーク、お金のトラブルを防ぐ教育などは、特別支援学校だけでなく、一般の学校でも実施してもらいたい内容でした。

今はどうか分かりませんが、自分が子ども頃はこうした教育は全くありませんでした。お金とその使い方はすべての人の生活に関わっています。もっと社会に出るまでにはきちんと学ぶ機会を増えて欲しいですね。

袋分けワークは給料をもらった時点で1か月の生活費を費目別の袋に分けて管理する方法ですが、これもなかなか毎月の支出をコントロールできていないというご家庭では、一度試してみるといいと思います。

 

第4章は親の家計について書かれています。自分ができていないのに他の人にはきちんとするように言ってもダメなのは子どもなどに対してだけではないですね。まずは親の家計をしっかりさせましょうということですが、家計をしっかりさせたほうがいいのはどのご家庭にも言えますので、障がいのある子のあるご家庭に限らずどのご家庭でも読まれていい内容です。

前の記事でご紹介した前野さんのご著書の「本気で家計を変えたいあなたへ」と併せて読むと効果的でしょう。

またこの章で紹介されている「幸せ温度計」のワークは、よくお金のことで喧嘩などになってしまうご家庭では、一度このワークをやってみてお互いの優先順位や価値観を確かめてみるといいでしょう。日本では1年間で約2分に1組のペースで離婚しているそうなので、このワークが広まれば離婚してしまう人も減らすことができるかもしれませんね。

 

この本は、タイトルには「障がいのある子の~」とはなっていますが、障がいのある子を持つご家庭だけではなく、お子さんのいるご家庭にとってとても役に立つ金銭管理のトレーニング法が紹介されています。

障がい者の支援をされている人や教育関係者だけでなく、一般のご家庭の方でも活用できる内容です。また、障がいのある人や子ども向けの金銭教育のやり方やアドバイスの仕方についてのヒントにもなる本なので、FP資格者などにとっても、非常に参考になる内容といえます。

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