資産運用のプロの4名の方の実践的にアドバイスが書かれた『投資の鉄人』を読んで感想を簡単にまとめてみました。
4つの章で構成されていて、馬渕さんが情報、岡本さんが相場、竹川さんが商品、大江さんが自分についてそれぞれ書かれています。
また、それぞれの章の最後で座談会でみなさんのご見解もさらに述べられています
感想
投資については普段生活とは関係のない特殊な世界ことだと考えている人も多いかもしれません。
しかし、世の中の多くの人が投資が前提となる会社で働いていますし、投資がなければ今のグローバル化した社会は成り立ちませんので、もっと自分の生活にも関係していることだと捉える必要があります。
一般の人の資産形成においては、まず働いて稼ぐことが一番必要ですが、その働いて稼いだお金の一部を投資して世の中にお金を回して、その上でみんなでがんばって働いて企業などを成長させていけば、もらえる給料も増えてきますし、さらに投資したお金も増えて戻ってくるというよい循環が生まれます。
実際には投資といっても企業価値とは離れた短期的な値動きばかりに目を向けたり、投資そのものに批判的な考えを持っていたり無関心だったりして、世の中の成長に目を向けずに投資をしない人が多いために、日本の経済があまり成長していない要因のひとつになっているのかもしれませんね。
第2章の座談会の中で大江さんが、投資教育の前に社会保障教育と述べられていますが、社会保障制度や投資についての教育は、振り返れば普通の生活をしていると全く受けることがありません。私もFPの勉強をする前は社会保障制度や投資のことについては全く知識がありませんでした。
社会保障制度はマネープランを作成する上でとても重要ですし、投資も特に人生の後半を豊かなものにするためには役に立つ手段なので、社会保障制度や投資については個人の自助努力によるだけでなく、学校教育等においても教育を行ったほうがいいのではないかと思います。
第4章の座談会で岡本さんが、ジュニアNISAは子どもが勉強するための口座だとおっしゃられていますが、国がNISA等の制度を用意してくれているので、大人の人でも勉強のためにと思って、特に投資経験のない方などは、まずは税制措置のあるそれらの制度をうまく活用しながら運用を始めてみるといいでしょう。
書籍等ではFXやデイトレードなどの短期投資で大きく儲けようとする内容のものをよく見かけますが、実際には老後資金については、公的年金等があり大半はそれで賄えます。運用もまずはそれで足りない部分を補う形で行えばよいので、早いうちからしっかり準備しておけば、それほど大きなリスクを負って無理して大きなリターンを追い求める必要はありません。
第3章の座談会などで岡本さんや竹川さんがおっしゃられているように、世界株のインデックスファンドから始めて、慣れてくるにつれて公社債投信、関心のある個別銘柄等へ徐々に分散させながら、いろいろと試行錯誤しながら買ってみればいいと思います。
多くの人は主たる収入は労働収入ですので、普段は本業の仕事でしっかり働いて稼いで、溢れかえる情報や相場の実体価値から離れた値動きに対して惑わされないように、自分の判断基準をしっかり持って、世の中の出来事などに関心を持ちながら楽しんで投資をやれたらいいですね。
まとめ
投資はやってみないと分からないことも多く、私も投資歴は浅く手探りの状態で行っていますが、これから投資を行おうと考えている人でも、既に投資を行っている人にも参考になる内容でした。
著者のみなさんそれぞれが本を出版されているので、本書を読んでみてその考え方に共感できる方があれば、その方の本をまたさらに読んでみたり、セミナーなどにも参加してみるのもいいと思います。